ミュージック・ビデオ
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ミュージック・ビデオ(music video)は、主にポピュラー音楽の楽曲の発表に際して制作される、楽曲を含む映像作品。CDの販売促進が目的のため、プロモーション・ビデオ(promotion video)という呼び方が近年では一般化され、これをプロモ、PV(ピーブイ)と略すこともある。また、ミュージック・クリップ、ビデオ・クリップという呼び方もある。
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[編集] 概要
ミュージック・ビデオの概念は1970年代以前から存在しており、ポップミュージック以前ではディズニー制作の「ファンタジア」などが音楽と映像を融合させた作品として著名である。イギリスのロックバンド、ザ・ビートルズが新曲リリースの度に、様々なテレビ番組に出演しなければならない事を疎ましく思い、演奏シーンとイメージ映像を組み合わせた映像作品を予め作成し、テレビ局へ提供したのが始まりという説が一般的に浸透している。その後、クイーンによる「ボヘミアン・ラプソディ」の演奏シーンにとどまらない映像技術を使ったビデオでその存在が一躍有名になり(なお、このボヘミアンラプソディは世界で初めての「プロモーションを目的としたビデオ」として一般的に認識されている)、アメリカ合衆国で1980年代にMTVの登場によって急速に一般化した。
現在のような形態のプロモーション・ビデオの最も早い例はバグルズ(Buggles)の1979年のヒット曲、「ラジオスターの悲劇」(Video Killed the Radio Star)のイメージビデオだったと言う見方が多い。このビデオが評判となり、ロック系ミュージシャンが新曲をリリースする度に、凝ったプロモーション・ビデオを制作するのが当然になっていった。前述のMTVの誕生と発展もほぼ軌を一にしている。
日本でも'80年代初頭からプロモーション・ビデオが制作される例が見られたが、多くはクオリティやテーマ性の点で欧米のレベルに達してはいなかった[要出典]。日本におけるプロモーション・ビデオの発展は、生放送の音楽番組が急速に衰退した1980年代末~1990年代初頭以降、アーティストの音楽番組出演に代わるプロモーション手段の一つとして普及した[要出典]。従来は、プロモーションのみが目的であったので、店頭での視聴や音楽番組(洋楽では「ベストヒットUSA」や「SONY MUSIC TV」が有名)での放映に限定されていたが、1990年代後半頃からは、これらの映像イメージも楽曲に引けを取らない娯楽・芸術作品であるという考え方から、販売される機会も増加した。現在ではDVD-Videoによる販売が主流であるが、CDにDVDをセットして割安な価格で販売する商品が売上を伸ばすケースが多い。
代表的なシングル曲のミュージック・ビデオを集めた「ミュージック・ビデオ集」(「シングル・クリップ集」などとも呼ぶ)は、そのアーティストの音楽世界を理解する優れた資料となる。アーティスト自身がミュージック・ビデオに出演している場合がほとんどで、作成過程に参与しているケースも多い。
一般にシングル曲のプロモーションのために制作されることが多いが、2000年代に入るとシングルCD市場の衰退などの要因によりアルバム収録曲のミュージック・ビデオが制作されるケースが多くなった。50セントは2005年にイントロを含むアルバム収録曲すべてのミュージック・ビデオを収録した「Re Massacre」(国内版名称)を発表している。ミュージック・ビデオにストーリー性を加味する物が多くなってきていて、ユニークなミュージック・ビデオとしては、2005年R・ケリーのDVD「トラップト・イン・ザ・クローゼット」では、全12曲(約40分)にわたるストーリーをミュージック・ビデオで展開している。
日本国内でミュージック・ビデオはSKY PerfecTV!や、ケーブルテレビ局などを介した音楽専門チャンネル(MTVジャパン、スペースシャワーTVなど)で視聴できる。また近年はインターネットの動画配信ウェブサイトやiTunes Storeなどでも視聴できる。
最近はメジャーレーベルの作品ではハイビジョン撮影が増えており、映像比率が16:9で公開される作品が多くなっている。しかし公開される際に標準画質の4:3レターボックスに落とされる場合がほとんどで、地上デジタルテレビジョン放送やBSデジタル放送でもハイビジョン画質では放映されない。DVD化においても映画作品のように16:9サイズで収録されることは皆無に近い。勿論DVDにはハイビジョン画質で収録することはできないため、熱心なファンには次世代DVDでの発売が待たれている。
[編集] 問題点
日本国内・国外を問わず、映像のアイデアや演出が何を基準に盗作なのかという著作権やルールが明確に定まっていないため、ミュージック・ビデオに他の作品などからアイデアを盗用した疑いが浮上して問題になるケースが多々ある。
例えば2003年にデヴィッド・ラチャペルが監督したジェニファー・ロペスのミュージック・ビデオ「アイム・グラッド」は、映画「フラッシュダンス」を似せて制作された。ジェニファー側は「これはオマージュである」としたが、「フラッシュダンス」制作側との事前確認がされなかったため、「オマージュであれば著作権が守られないのか」と問題になった。特に訴訟にはならなかったが、「フラッシュダンス」制作側はこの件に対して苦言を呈した。
日本国内や韓国や中国(韓国の場合は日本から)などでこのような行為が多く見られ、「オマージュ」「インスパイア」「リスペクト」「パロディ」など、同様の模倣を正当化する言葉は多数あるが、いずれも無断盗用と指摘される可能性がある。
[編集] ミュージック・ビデオで注目を集めたアーティスト
ミュージック・ビデオが楽曲と同等以上に話題を集めた人物、レコード・CDの売上に相当の影響を与えたと考えられる人物を挙げる。
[編集] 洋楽
- a-ha
- エミネム
- クイーン
- ジャネット・ジャクソン
- スパイス・ガールズ
- t.A.T.u.
- ダイアー・ストレイツ
- ダフト・パンク
- デュラン・デュラン
- ピーター・ガブリエル
- ビートルズ - ミュージックビデオの走りともいわれる
- ビョーク
- マイケル・ジャクソン
- マドンナ
- ジャミロクワイ
[編集] J-POP
- 森高千里 (1990年代初頭、秋葉原の電気街に彼女のPVやライブビデオがよく流れていた)
- モーニング娘。
- CHAGE and ASKA(宮崎駿監督によるスタジオジブリ作品として話題に。参照:On Your Mark)
- 米米CLUB (ボーカルである石井竜也自身が監督を務め、数作品がMTV Video Music Awardsの賞を獲得している)
- GLAY
- 宇多田ヒカル
- 浜崎あゆみ
- B'z
- L'Arc~en~Ciel
- 電気グルーヴ
- 大塚愛(2th SingleさくらんぼのPVで話題になり人気になった。)
[編集] ミュージック・ビデオの監督として有名な人物
ミュージック・ビデオで注目を集め、映画監督などに進出した人物も多い。
- スパイク・ジョーンズ
- クリス・カニンガム
- ミシェル・ゴンドリー
- ジョナサン・グレイザー
- ジョナサン・デミ
- David Starkey
- ゴドレイ&クレーム
- キース・マクミラン(キーフ)
- デヴィッド・フィンチャー
- マイケル・ムーア
- Nigel Dick
- 井上強
- 井上哲央
- 岩井俊二
- UGICHIN
- ウスイヒロシ
- 内野政明
- 大喜多正毅
- 大坪草次郎
- 上村右近
- 川村ケンスケ
- 小島淳二
- 紀里谷和明
- 久保茂昭
- 児玉裕一
- 是枝裕和
- 清水康彦
- 島田大介
- 下山天
- 信藤三雄
- 末田健
- 須永秀明
- 竹石渉
- 竹内スグル
- 竹内鉄郎
- 宇川直宏
- 高田弘隆
- 田所貴司
- タナカノリユキ
- 田中秀幸
- 丹下紘希
- 丹修一
- 辻川幸一郎
- 中井庸友
- 中野裕之
- 中村剛
- 中村友彦
- 夏目現
- 西郡勲
- 八若道洋
- 番場秀一
- Higuchinsky
- 藤本実
- 前嶋輝
- 真木蔵人
- 牧鉄馬
- 宮坂まゆみ
- 武藤眞志
- 森田空海
- 山口保幸
- 薮内省吾
[編集] 自らミュージック・ビデオの監督を務めるアーティスト
- 石井竜也
- 向井秀徳
- 岸田繁(くるり)
- 木下理樹(ART-SCHOOL)
- 峯田和伸(銀杏BOYZ、ex.GOING STEADY)
- Tommy heavenly6
- ピエール瀧(電気グルーヴ)
- 松岡昌宏(TOKIO)
- ジョセフ・ハーン(リンキン・パーク)
- アル・ヤンコビック
[編集] ミュージック・ビデオ制作プロダクション
- イエローブレイン
- オクナック
- OMB
- COLOURFIELD
- ゴイス
- GROOVISIONS
- コクーン
- ザ・セカンド
- ジーグラヴィティ
- SeP(スペースシャワーTVの系列会社)
- 竹内芸能企画
- teevee graphics
- birth
- P.I.C.S.
- フィッツロイ
- ビヨゴンピクチャーズ
- MAZRI(CMプロダクションTYOの系列会社)
- ミディア(旧トゥーマックス、エイベックスの系列会社)
- MOCAL
[編集] 関連項目
- 音楽専門チャンネル一覧
- MTV Video Music Awards
- MTV Video Music Awards Japan
- SPACE SHOWER Music Video Awards
- プロモマニア
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