オズの魔法使い
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オズの魔法使い(オズのまほうつかい)はライマン・フランク・ボーム(Lyman Frank Baum)他を著者とする、児童文学小説。
目次 |
[編集] 概要
アメリカ・カンザス州に暮らす少女ドロシーは竜巻に家ごと巻き込まれて、飼い犬のトトと共に不思議な「オズの国」へと飛ばされてしまう。途中で脳の無いカカシ・心の無いブリキの木こり・臆病なライオンと出会い、それぞれの願いを叶えてもらうため「エメラルドの都」にいるという大魔法使いの「オズ」に会いに行く。
「オズ(Oz)」の名の由来は、原作者ボームの出身地ニューヨーク(NY)のアルファベットを一文字ずらした物と言われている。
[編集] 作品の背景
この作品は児童文学であると同時に、19世紀末のアメリカ経済に関する寓話でもある。1880年~1886年、アメリカ経済は23%ものデフレを経験したが、これは金本位制を採っていたアメリカ経済の拡大に対して、金貨の供給量が追いつかなかったためである。
当時の西部の農民達の殆どが、東部の銀行からの借金で開拓を行っていたが、デフレーションの発生は借金の実質的価値を増大させ、西部の農民は苦しみ、東部の銀行が何もせずに潤うという事態が発生した。
当時の人民主義派はこの問題について、不足する貨幣供給量を銀貨の自由鋳造で賄うことで解決するべきだと主張した。 銀と金、金本位体制を巡っての論争は1896年の大統領選挙において最も重要な論点となったが、民主党は銀貨の採用を主張し、共和党はあくまでも金本位制にとどまることを主張した。
本作品の原作者ボームは西部のジャーナリストだったが、児童文学の登場人物は当時の政治論争のメンバーを据えたといわれている。
経済史家ヒュー・ロッコフの記述では、
- ドロシー:アメリカの伝統的価値観
- トト:禁酒党(Teetotalers)
- かかし:農民
- ブリキのきこり:工場労働者
- マンチキン:東部市民
- 臆病なライオン:1896年民主党大統領候補、ウィリアム・ジェニングス・ブライアン
- 東の悪い魔女:24代大統領、グローヴァー・クリーヴァランド
- 西の悪い魔女:25代大統領、ウィリアム・マッキンリー
- 魔女:共和党議長、マーク・ハナ
- オズ:金の単位、オンスの略号(OZ)
- 黄色いレンガ道:金本位体制
ドロシーは最後に、家に帰る道を見つけるが、黄色いレンガ道をたどるだけでは見つからなかった。ドロシーは魔女が役に立たない代わりに、自分の『銀のスリッパ』に魔力があることを知る(映画ではスリッパの色はルビー色になっているが、ハリウッド関係者は、原作者が19世紀の経済論争を題材にしていることに気がつかなかったか、もしくは誕生石でルビーは処女性や純血の意味も持つので、その暗喩の可能性がある。童話の赤ずきんの赤い頭巾が処女性の暗喩になっているのと同じようなもの)。
結局、民主党は大統領選挙に敗れ、金本位制は維持されることになったが、1898年にアラスカのクロンダイク川で金が発見され、また、カナダや南アフリカの金の採掘量も増え、結果的に貨幣供給量は増大し、デフレは解消されてインフレ傾向となり、農民は借金を容易に返せるようになった。
としている。
[編集] 作品リスト
(著:Lyman.Frank..Baum)
- 1.「オズの魔法使い」 (The (Wonderful) Wizard of Oz)1900年
- 2. 「オズの虹の国」 (The (Marvelous) Land of Oz) 1904年
- 3. 「オズのオズマ姫」 (Ozma of Oz) 1907年
- 4. 「オズと不思議な地下の国」 (Dorothy and the Wizard in Oz) 1908年
- 5. 「オズへつづく道」 (The Road to Oz)1909年
- 6. 「オズのエメラルドの都」 (The Emerald City of Oz)1910年
- 7. 「オズのつぎはぎ娘」 (The Patchwork Girl of Oz)1913年
- 8. 「オズのチクタク」 (Tik-tok of Oz) 1914年
- 9. 「オズのかかし」 (The Scarecrow of Oz)1915年
- 10. 「オズのリンキティンク」 (Rinkitink in Oz)1916年
- 11. 「オズの消えたプリンセス」 (The Lost Princess of Oz) 1917年
- 12. 「オズのブリキの木樵り」 (The Tin Woodman of Oz)1918年
(著:Ruth Plumly Thompson)
- 15. The Royal Book of Oz 1921年
- 16. Kabumpo in Oz 1922年
- 17. The Cowardly Lion of Oz 1923年
- 18. Grampa in Oz 1924年
- 19. The Lost King og Oz 1925年
- 20. The Hungry Tiger of Oz 1926年
- 21. The Gnome King of Oz 1927年
- 22. The Giant Horse of Oz 1928年
- 23. Jack Pumpkinhead of Oz 1929年
- 24. The Yellow Knight of Oz 1930年
- 25. Pirates in Oz 1931年
- 26. The Purple Prince of Oz 1932年
- 27. Ojo in Oz 1933年
- 28. Speedy in Oz 1934年
- 29. The Wishing Horse of Oz 1935年
- 30. Captain Salt in Oz 1936年
- 31. Handy Mandy in Oz 1937年
- 32. The Silver Princess in Oz 1938年
- 33. Ozoplaning with the Wizard of Oz 1939年
(著:John R. Neill)
(著:Jack Snow)
(著:Rachel R. Cosgroce)
- 39. The Hidden Vally of Oz 1951年
(著:Eloise Jarvis McGraw and Lauren McGraw Wagner)
- 40. Merry-Go-Round in Oz 1963年
[編集] メディア作品
[編集] 映画
- オズの魔法使
- 1939年のMGM社ミュージカル映画。ヴィクター・フレミング監督、ジュディ・ガーランド主演。一部テクニカラーを採用した。エドガー・イップ・ハーバーグ(作詞)とハロルド・アーレン(作曲)による挿入歌『虹の彼方に』(en:Somewhere Over the Rainbow)は、主演のガーランドが歌って大ヒットし、現在に至るスタンダードナンバーとなった。製作前からトラブルが相次ぎ、粗悪な化学薬品のメイクの為に俳優が体調を壊し変わったり、撮影の長引きで資金が増えすぎたり、脚本などが難航して何度もスタッフが変わるなど、制作は困難を極めたが、現在も色あせない輝きを放っている。
- オズ
- 原題 "RETURN TO OZ" 1986年、ディズニーによって製作された「オズの魔法使」の続編。「オズの虹の国」と「オズのオズマ姫」を原作にしている。ゲイリー・カーツ製作総指揮、ウォルター・マーチ監督、フェアルーザ・バーク主演。アニマトロニクスやモーション・コントロール・カメラ、ストップモーション・アニメーションなど当時最新鋭のSFX技術を駆使してオズの国の住人たちをリアルに再現したファンタジー大作。
[編集] TV
- オズの魔法使い
- 1974年10月5日から1975年3月29日にかけて日本テレビ系で放映していた作品。全26話。シェリー主演。番組中数分間、赤と緑の色眼鏡を使う立体映像を取り入れていた。なお、エンディング曲は『虹の彼方に』を採用。主演のシェリーが歌っていたが、オリジナルとは違い、アップテンポで現代風な歌詞と編曲(山本直純による)になっていた。
- オズの魔法使い
- 1986年10月6日から1987年9月28日にかけて、テレビ東京系で放映していたアニメ作品。全52話。原作の1〜3巻部分のアニメ化。ただし、原作の2巻目にあたる部分でもドロシーが登場する(原作ではまったく出てこない)。
[編集] 関連項目
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