ガンタンク
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ガンタンク(GUNTANK)は、アニメ作品の「ガンダムシリーズ」のうち、宇宙世紀を世界観とするシリーズに登場する、架空の兵器。地球連邦軍の長距離支援用モビルスーツで、V作戦により開発されたガンダム・ガンキャノンと同じRXシリーズの一つ(型式番号:RX-75)。
なお「砲戦車」(英訳はGunTank)という用語は本項とは無関係である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 機体解説
ガンタンク | |
型式番号 | RX-75 (RX-75-4) |
所属 | 地球連邦軍 |
開発 | 地球連邦軍 |
製造 | ジャブロー (サイド7説あり) |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 15.0m |
本体重量 | 56.0t |
全備重量 | 80.0t |
ジェネレーター出力 | 878kW |
スラスター総推力 | 88,000kg |
装甲材質 | ルナ・チタニウム合金 |
武装 | 120mm低反動キャノン砲×2 40mm4連装ボッブミサイルランチャー×2 |
主な搭乗者 | ハヤト・コバヤシ リュウ・ホセイ |
一年戦争開戦前、地球連邦軍はジオン公国軍のモビルスーツ (MS) 開発計画を察知して対MS戦闘車両として完成したRTX-44を、更にMSとして全面的にリファインした。RX計画の元、タキム社、サムソニシム社等が参画し、急遽ロールアウトに漕ぎ着けた地球連邦軍初のMSがガンタンクである。この開発にはジオン公国から亡命したMS技術者も関わったといわれる。
複雑な二足歩行システムの完成を待たずに開発されたため下半身が装軌式で、戦車に人間の上半身を乗せたような格好が特徴である。最高時速は70kmと、通常のMSと比較しては決して速いものではなかったが、重力下でトラブルを抱えることがあった二足歩行に対し信頼性が高いという一面を持ち、実戦ではホワイトベースとともに地球をほぼ1周したが、あらゆる地形に問題なく適用した。スラスターと姿勢制御バーニアを用いることで宇宙空間でも一応運用可能であったが、キャタピラを含む下半身はAMBACとしては機能せず、単なるデッドウェイトにしかならなかったため運動性は極端に悪かった。そのため、ジオン公国軍からは「タンク(戦車)もどき」「MSの出来損ない」と評価された。
また、核融合炉も完成しておらず、ガスタービンエンジンと原子炉(核分裂炉)のハイブリッド式の動力システムを持つ。一説にはコア・ブロック・システムの採用時に核融合炉を組み込んだとも言われる。
この機体の最も特徴的な武装が両肩に装備された120mm低反動キャノン砲である。射程距離は260kmにもおよび、装薬によって実体弾(装弾数16発)を射出するこの方式は、信頼性が高く特に地上戦において非常に有効であった。無論、実際にその射程での射撃を完遂するには観測施設などとの連携は必要不可欠で、ミノフスキー粒子の元での実行はかなりの困難なものなのだが。両腕部には射程距離20km、装弾数120発の40mm4連装ボッブミサイルランチャーを装備し、給弾システムも腕部に内装されている。そのためマニピュレーターを持たず、肘関節の可動範囲も制限を受けていた。また、各種ミサイルランチャーを搭載する予定であったが、こちらは計画のみで終わっている。
ガンタンクは、これらの武装を生かして遠距離からの支援攻撃に用いられる。そのため、MSというより移動砲台として運用されることが多い。キャタピラ部に支障を来した場合には上半身を強制排除し、それ自体は据付式の砲台として用い、腹部のコア・ファイターを有効に機能させる、という運用法も見られた。また近接戦闘に対応する武装を持たないため、機体のすぐ近くに敵が侵入するともろい一面もある。何よりも上半身が回転しない(胴体内にはコア・ブロックがある)為、キャノン砲を横方面に射角を変えて撃つ為にはキャタピラを動かすことで機体自体の向きを変えないといけない、という戦車としては致命的な欠点があり、形式としては自走砲に近い。また頭部コクピットは透明キャノピーにより視界が広いものの防御力が低く、また緊急脱出装置も無いためパイロットの生残性に問題があった。
開発当初、4機(8機という説もある)が試作されたが、サイド7でのテスト中にジオン公国軍の強襲を受け、うち3機が破壊された。残った3号機はホワイトベースで運用された。当初はパイロット(腹部)とガンナー(頭部)の2名を要する複座式で、メインパイロットはリュウ・ホセイとハヤト・コバヤシが勤めていたが、後に単座式(頭部のみ)に改修され、ハヤトが搭乗している。
[編集] 劇中の活躍
テレビアニメ版『機動戦士ガンダム』の後半において、この一見戦車にも見える機体であるが宇宙空間にも出撃し、ア・バオア・クーにおける最終決戦まで戦い抜いている。しかし、さすがに無理があるためか、アニメ映画版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙篇』では、ハヤトの乗る機体はガンタンクからガンキャノン(C-109号機)に切り替えられている。Gファイターと同じく映画版に際しての変更点の一つである。
漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』ではアニメ版とは異なるデザインのガンタンクが登場する。MSではなくあくまで主力戦闘戦車であり、かなり以前から配備されていたという設定になっている。しかし宇宙空間での運用も(限定的な状況であれば)可能なのはTVシリーズと同様である。正確な運用開始時期は明らかではないが、宇宙世紀0068年のジオン・ダイクン死亡直後のデモに対する鎮圧任務に出動していた。またジオンでのザクの前身であるモビルワーカーのテストにおいて、仮想敵機としてガンタンクのコピー機を使用しており、頭部などに違いが見られる。
[編集] 設定の変遷
1979〜80年代初頭発行の書籍では、タキム式核融合炉でエネルギーを発生、85,000軸馬力を生み出し、ガンダム、ガンキャノンより出力は大きいとされていた。また1981年発行の「ガンダムセンチュリー」では全く異なり、原子炉とガスタービンエンジンのハイブリッド(出力8,000馬力と、はるかに小さい)だが、コアファイターが使用できるように改装されてからも機関の熱核融合炉への変更は無かったとされている。もっともこれでは、ガスタービンエンジンが使えない空気の無い宇宙で戦っていたという矛盾が発生してしまう。なおガンタンクの主砲はTV放映当時から120mmキャノン砲と、ザクマシンガンと同じ口径で見た目に比べ不自然に小さい数字となっているが、「ガンダムセンチュリー」では280mm砲、ボッブミサイルランチャーも180mmロケット弾というデータになっている。
[編集] バリエーション
- RTX-44
- RX-75 ガンタンク
- RX-75 量産型ガンタンク
- コア・ブロックなどを省略して量産を容易にした機体。『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に登場する。主砲の給弾方法が試作機と大きく異なる。コア・ブロック・システムを廃止したことにより、上半身の回転が可能となっている。地上部隊を中心に支援用MSとして配備された。劇中ジオンの秘密工場のある岩山に対し、ガンタンク本来の任務といえる間接支援砲撃を行っていた。(何故か劇中の台詞では『艦砲射撃』と言っている。)
- RXM-1
- RMV-1 ガンタンクII
- ガンタンクを重装備の戦車として再設計した機体。局地防衛用に少数量産された。『機動戦士Ζガンダム』のジャブロー降下作戦時にも、他のMSV登場機体に混じって登場している。
- RXR-44 ガンタンクR-44
- 『機動戦士ガンダムF91』に登場したガンタンクで、次期主力MS開発計画の中で試作された。正式採用には至らず放棄されていたものを、戦史博物館の館長ロイ・ユングが引き取って改修した。モビルスーツへの変形機構を持つ。「R-44」とは型式の略号であるとも、またロイ (Roy) 将軍が44歳の時に入手したことからきているともいわれる。
また、ボールを宇宙戦闘用に特化させた量産型ガンタンクと見ることもできる。実際、資料によっては装備されているキャノン砲は両者同じ物とされている。
[編集] RTX-44
RTX-44はアニメ『機動戦士ガンダム』に端を発したモビルスーツバリエーション (MSV) に登場する架空の兵器。地球連邦軍の戦闘車両。
[編集] 機体解説
そもそもは、地球連邦軍において61式戦車に代わる次世代主力戦車 (MBT) として開発されていた。しかし、ジオン公国軍のMS開発計画を察知したことにより、対MS戦闘車両としてコンセプトが変更され、RX計画に統合された。宇宙世紀0078年3月20日に完成し、4機が製造された。その形状は明らかになっていないが、通常の戦車と同様の形状といわれる。
武装は240mm砲2門、対空ロケット砲4門。総重量は97tと61式戦車と比較して機動性が極端に低かった。
本機をベースとして全面的にリファインが行われ、地球連邦軍発のMSガンタンクが完成した。
[編集] 関連項目
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