コナミ矩形波倶楽部
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コナミ矩形波倶楽部(- くけいはくらぶ)は、コナミ(現・コナミデジタルエンタテインメント)で活躍していたバンド。コナミのゲーム音楽を担当していたメンバーが在籍していた。今日でもファンは多い。
コナミ矩形波倶楽部をサウンドチームの総称、矩形波倶楽部はバンドの名前だとする説もあるが、一般的にはどちらの名称も混同して使用されており(コナミでさえも混同して使用していた)、この項目名は一括してコナミ矩形波倶楽部としている。
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[編集] 概要
1980年代後半、当時在籍していたコナミの音楽担当チームのメンバーがバンド活動を行う為にコナミ矩形波倶楽部を結成した。当時はタイトーのZUNTATA、セガのS.S.T.BAND、日本ファルコムのJ.D.K.BANDなどゲームメーカー内でのバンド結成が相次いだ時期でもあり、矩形波倶楽部もその流れに乗ったものであった。
コナミのゲーム音楽CDでは、基本的にバンド結成以降「作曲者」「コンポーザー」のクレジットが「コナミ矩形波倶楽部」で統一されていた(1996年以降のアルバムから「矩形波倶楽部」の名前が消え始める)が、実際にバンド活動に関わっていたのは古川もとあき・プロフェット深見・森本ゆきえ・船橋淳・なぞなぞ鈴木などであり、その他の音楽スタッフも在籍してはいるが、バンド活動にはあまり携わっていない状況であった。行ったライブの内幾つかの模様は(音源のみであるが)『千両箱』シリーズに収録されている。
矩形波倶楽部が存在していた期間に於けるコナミの音楽には非常に評価が高い。特にファミコン黎明期である80年代中期では、同社のゲーム音楽は他社の追随を全く許さないレベルに達していた。『グーニーズ』『悪魔城ドラキュラ』『ツインビー』『グラディウス』『がんばれゴエモン』『火の鳥 鳳凰編 我王の冒険』などは名曲として今日でもよく名が挙がるタイトルである。これは完成した曲をコナミのスタッフの間で何度も聞き意見を募るというチェック体制がしっかりしていたお陰でもある。また、メロディーラインが際立っている、『沙羅曼蛇』を始めとした3連符の多用、ボイス(声で無く音種の一つ)の効果的な使用なども特徴として挙げられる。
1990年代後半以降、バンド結成当時のスタッフもほとんどコナミを退社しており、矩形波倶楽部最後の主要メンバーであった古川もとあきの退社をもって消滅してしまった。復活を望む声もあるが、コナミの会社としての体質も2000年代になって大きく変化して(BEMANIシリーズから派生したライブが開催されたり、『beatnationレーベル』が立ち上げられたりしたように音楽ゲームを中心とした展開が主流になったことなど)、復活は困難な状況になっている。
[編集] 歴史
- 1987年3月 アルファレコード(G.M.Oレーベル)から発売された『コナミックゲームフリークス』で、コナミの音楽スタッフの古川もとあき・森本ゆきえ・船橋淳によって結成。
- 1990年2月 リリースした『グラディウスIII』がオリコン26位に入り、ゲーム音楽界初の快挙を成し遂げた。
- 1990年11月 オリジナルアルバム『矩形派倶楽部』リリース(1998年9月にコナミお宝ゲームミュージックコレクションとして再リリース)。T-SQUAREのメンバーが参加(安藤まさひろがプロデュース)
- 1992年6月 『SOUND LOCOMOTIVE』をリリースし、古川がソロでデビューを飾る。
- 1993年 メンバー変更宣言
- 1993年11月 オリジナルアルバム2枚目『HOPE』リリース。
- 1996年11月 セガのS.S.T.BAND元メンバー、並木晃一と古川が手を組み、『POLICENAUTS F/N』リリース。
- 1997年12月 ベストアルバム『矩形波倶楽部&コナミ矩形波倶楽部BEST vol.1』リリース。
- 1998年9月 ベストアルバム『矩形波倶楽部&コナミ矩形波倶楽部BEST vol.2』リリース。
- 2003年1月 古川がコナミを退社した事により、実質消滅。
[編集] 主要メンバーと担当作品
- 古川もとあき(ミッシェル古川、古川元亮)
- グラディウス2、グラディウスII、A-JAX、SUPER魂斗羅、悪魔城伝説、XEXEX(編曲のみ)、GUITARFREAKS、drummania
- プロフェット深見(プロフェット・FUKA)
- グラディウスII、バイオミラクル ぼくってウパ、サンダークロス、グラディウスIII、ガイアポリス、極上パロディウス
- MIKI-CHANG(東野美紀)
- グラディウス、イー・アル・カンフー、沙羅曼蛇、ライフフォース、グラディウスIII、T.M.N.T.、サプライズアタック、魂斗羅スピリッツ、幻想水滸伝
- その筋森本(森本ゆきえ)
- グラディウスII(ファミコン)、ゴーファーの野望 エピソードII、悪魔城伝説、グラディウスIII(スーパーファミコン)、Pop'nツインビー、ツインビー・レインボーベル・アドベンチャー
- フナ-chan(船橋淳)
- 悪魔城伝説、ツインビー3ポコポコ大魔王
- ルーズベルト泉(泉陸奥彦)
- スナッチャー、SDスナッチャー、クライムファイターズ、T.M.N.T.、スピードキング、ソーラーアサルト、GUITARFREAKS、drummania、KEYBOARDMANIA
- なぞなぞ鈴木(Suzuki Katsuhiko)
- 魍魎戦記摩陀羅、ラグランジュポイント、ツインビー3ポコポコ大魔王、夢ペンギン物語、KEYBOARDMANIA
- ピストン上原(上原和彦)
- 魔城伝説2~ガリウスの迷宮~、ゴーファーの野望 エピソード2、F1スピリット、スペースマンボウ
- テクノウチ(竹ノ内裕治)
- 激突ペナントレース2、スペースマンボウ、ヘクシオン、ミスティックウォーリアーズ、ポリゴネットコマンダーズ
- むちむちプリン聡子(宮脇聡子)
- XEXEX、ワイワイワールド2、極上パロディウス、ガイアポリス
- METAL YUKI(メタルユーキ、斎藤幹雄:テクモより移籍)
- サンダークロスII、ときめきメモリアル、悪魔城ドラキュラX・血の輪廻、グラディウスII(PCエンジン)
- エンゾニック前田(NAOKI MAEDA、前田尚紀)
- ツインビーヤッホー!、沙羅曼蛇2、DanceDanceRevolution、beatmania IIDX
- プレイバック半沢(半沢紀夫(現在NONに改名):1992年トレジャーに移籍)
- クォース、ドラキュラ伝説
- ゼンジーペキト(関戸剛:1995年スクウェア(現:スクウェア・エニックス)に移籍)
- スペースマンボウ、SDスナッチャー、メタルギア2 ソリッドスネーク、リーサルエンフォーサーズ2 ザ・ウエスタン
- フンイキ福井(福井健一郎:関戸とほぼ同時期にスクウェアに移籍)
- リーサルエンフォーサーズ、G.I.ジョー、バイオレントストーム、XEXEX
- 仲野順丸(仲野順也:関戸とほぼ同時期にスクウェアに移籍)
- マーシャルチャンピオン、ポリゴネットコマンダーズ、ミスティックウォーリアーズ
- yamako(上田絹代(旧姓・山下絹代)、Charming yamako、ONIGIRI YAMAKO:ナツメに移籍)
- 悪魔城ドラキュラ、もえろツインビー、パロディウス、火の鳥 鳳凰編 我王の冒険
[編集] 備考
- アルファレコードのG.M.O.レーベルから発売された『コナミックゲームフリークス』『コナミゲームミュージックVol.4』はサイトロンから復刻されているが、この2つのアルバムは一部曲削除やゲームタイトル表記の変更が行われている。前者は『WEC LE.MANS24』が全曲削除、『火の鳥 鳳凰編 我王の冒険』は「コナミ ファミコンアクションゲーム」と名前を変えて収録されている。後者は『F1スピリット』が「MSXレーシングゲーム」と名前を変えてある。これらについては画像も削除されている。理由は商標問題のためであり、このことによって復刻盤が一度発売中止になった経緯がある。
- ゲーメスト大賞からの企画でゲームミュージック部門10位以内に入ったゲームの音楽を収録したCD(ビデオゲームミュージック年鑑)をサイトロンから発売する事になったが、当時コナミはキングレコードからCDを発売しており、キングレコードが音源の提供を拒否したため、上位に入った『パロディウスだ!』と『サンダークロス』は収録されず、以後数年間に及び発売された「ビデオゲームミュージック年鑑」シリーズにコナミゲームの曲が収録される事は無かった。この事は後々まで尾を引き、GMフェスティバル'92で行われたゲームミュージックバンドのライブを収録したCDもサイトロンから発売されたためにコナミ矩形波倶楽部の曲は収録されず、代わりに『コナミオールスターズ1993』(キングレコード)に収録される事になる。ただし、ライブの模様は全て入っておらず2曲のみ、なおかつフェードアウトするため、当時のファンからは非難を浴びた。
- 1980年代後半には音源開発にもコナミは力を入れており、MSXの『グラディウス2』などに見られるようなSCC、ファミコンの『悪魔城伝説』、『魍魎戦記MADARA』、『エスパードリーム2』に搭載しているVRC VI(パルス波2ch+鋸波1ch)、同じくファミコンの『ラグランジュポイント』に搭載されているVRC7(FM音源をファミコンでも使用できるようにした)など、独自の音源をROMカセット及びROMカートリッジに搭載していた。