ファンク
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ファンク(funk)は音楽のジャンルのひとつであり、その中でも黒人起源のブラック・ミュージックのジャンルに属す。ファンクという言葉は、元々が黒人独特の体臭を指す俗語だった。
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[編集] 概要
[編集] 起源
ファンクは、アフリカ系米国人を起源とし、ミーターズやジェームス・ブラウンおよび彼のバンドのメンバーを始祖として祖型が形成されたとされている。そして、ブラック・ミュージック、ソウル/R&Bを土台にし、アフリカ音楽やジャズ的要素を取り入れ発展していった。
[編集] 特徴
ファンク・ミュージックの大きな特徴は、バックビート(裏拍)を意識した16ビートのリズムとフレーズの反復を多用した曲構成である。ダンス・ミュージックとしての色彩も強いため、とりわけリズムはファンクを位置づける大きな要素となっており、分厚くうねるベースライン、鋭いリズムギター、強いリズムのホーンセクションなど、演奏楽器のすべてがファンクビートを形成していると言える。バンドや楽曲ごとにさまざまな特徴があるが、ドラムマシーンによる機械的なビート、アフリカやラテン系のリズム、ジャズやロック、レゲエの要素を取り入れるなど、ジャンルを超えた発展を続けてきた。
[編集] 歴史
1960年代末から1970年代初頭にはスライ&ザ・ファミリー・ストーンがファンクに白人にも受け入れられるようなロックの要素を取り入れ、70年代には、ジョージ・クリントンがPファンク(パーラメント - ファンカデリック)として活動し、ファンクを発展させた。その他の70年代ファンクの代表的アーティストとしては、ブーツィー・コリンズ(Pファンク一派にも属する)、ブーツィによりプロデュースされたザップ(ロジャー・トラウトマン)、ラリー・グラハム、 オハイオ・プレイヤーズ、コモドアーズ、アース・ウィンド・アンド・ファイアー、スレイブ、レイクサイドなどが挙げられる。
1980年代になり、エレクトリックミュージックが市民権を得るのと入れ替わりに、ファンクの人気は衰退したように見えるが、プリンスによる超ロングセラーの名盤「1999」、リック・ジェームス、ミクスチャーロックとされる一部バンドがファンクのリズムを取り入れたり、ヒップホップアーティストがファンクのフレーズをサンプリングしたりするなど、2006年時点においてもその影響は続いている。
[編集] 他ジャンルへの影響
ファンクはジャズ・シーンに大きく影響を与えており、マイルス・デイヴィスやハービー・ハンコック、ジョージ・デューク、エディー・ハリスなどがファンクを取り入れた音楽を演奏している。この音楽はジャズ・ファンクとも形容され、アシッド・ジャズ(踊れるジャズを元に発展した音楽)やレア・グルーヴ(1969~1970年代ごろのジャズ・ファンク、ソウルで、グルーヴ(ノリ)が強いもの)、ジャム(≒即興演奏)に影響を与えている。(※注 ジャズにおけるファンキーとは、そもそも「野暮ったい」「土俗的」などの意を含む俗語であるが、これに対して、ファンキー・ジャズとはブルース色(アーシー)、ソウル色(ゴスペル)を強めたジャズであって、ジャズ・ファンクとは異なる音楽を指す。よって、ジャズを聞きファンキーだと感じるものと、本稿で指す音楽に対してファンキーだと感じるものは異なる場合がある。)
ディスコブームの発展にもファンクは大きく関わった。多くのファンク・レコードがディスコでプレイされ、また多くのファンク・バンドがディスコ向けの曲やディスコ向けのアレンジ(一曲を引き伸ばした曲、リミックスされた曲)などをリリースした。また、ジョージ・クリントンらPファンク一派は、デトロイト・テクノにも、そのベースラインとSF志向において大きな影響を及ぼした。
ファンクは1960年代半ばからアフリカへ紹介され、ジャズやアフリカのリズムをとりいれたアフロビートへ繋がりフェラ・クティにより大きく発展していった。
[編集] ファンクミュージシャン(グループまたは個人)
[編集] 海外
- Atlantic Starr
- アヴェレージ・ホワイト・バンド (The Average White Band)
- The Bar-Kays
- The Blackbyrds
- Bloodstone
- Bootsy's Rubber Band
- Brass Construction
- ブレッカー・ブラザーズ (The Brecker Brothers)
- ブリック (Brick)
- The Brides of Funkenstein
- The Brothers Johnson
- B.T. Express
- キャメオ (Cameo)
- チャカ・カーン(Chaka Khan)
- シック (Chic)
- Cold Blood
- The Commodores
- Con Funk Shun
- カーティス・メイフィールド (Curtis Mayfield)
- Dazz Band
- The Deele
- Donald Byrd
- Dynasty
- ダルファー (Dulfer)
- アース・ウィンド・アンド・ファイアー (Earth, Wind & Fire)
- エディ・ヘイゼル (Eddie Hazel)
- Endenger
- ファットバック (Fatback)
- ファンカデリック (Funkadelic)
- The Gap Band
- グラハム・セントラル・ステーション Graham Central Station
- ハービー・ハンコック (Herbie Hancock)
- Hot Chocolate
- アイズレー・ブラザーズ (The Isley Brothers)
- ジェームス・ブラウン (James Brown)
- Jimmy Castor
- Joe Tex
- klymaxx
- クール&ザ・ギャング (Kool & the Gang)
- LaBelle
- レイクサイド (Lakeside)
- Larry Graham
- Mac Band
- メイシオ・パーカー (Maceo Parker)
- Manchild
- Mandrill
- マイケル・ジャクソン (Michael Jackson)
- ミッドナイト・スター (Midnight Star)
- Morris Day
- エムトゥーメイ (Mtume)
- The Neville Brothers
- オハイオ・プレイヤーズ (Ohio Players)
- Parlet
- パーラメント (Parliament)
- プリンス (Prince)
- レッド・ホット・チリ・ペッパーズ (Red Hot Chili Peppers)
- リック・ジェームス(Rick James)
- Rufus & Chaka Khan
- The Meters
- スレイブ (Slave)
- スライ&ザ・ファミリー・ストーン (Sly & the Family Stone)
- The S.O.S. Band
- ソウライヴ (Soulive)
- スティーヴィー・ワンダー (Stevie Wonder)
- Tease
- The Time
- タワー・オブ・パワー (Tower of Power)
- Skyy
- War
- Watts 103rd Street Rhythm Band
- Wild Cherry
- ザップ (Zapp)
[編集] 日本
- じゃがたら
- 岡村靖幸
- 及川光博
- FLYING KIDS
- スガシカオ
- Scoobie Do
- SUPER BUTTER DOG
- 森広隆
- オーサカ=モノレール
- ドリームズ・カム・トゥルー-FUNK THE PEANUTS:中村正人がアース・ウィンド・アンド・ファイアの熱狂的なファンであり、「決戦は金曜日」などファンク色の濃い作品がある。