兵庫県立大学
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兵庫県立大学
大学設置/創立 | 2004年 |
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学校種別 | 公立 |
設置者 | 兵庫県 |
本部所在地 | 神戸市中央区東川崎町1丁目3-3 |
キャンパス | 神戸(神戸市中央区) 神戸学園都市(神戸市西区) 姫路書写(姫路市書写) 播磨科学公園都市(赤穂郡上郡町) 姫路新在家(姫路市新在家本町) 明石(明石市北王子町) |
学部 | 経済学部 経営学部 工学部 理学部 環境人間学部 看護学部 |
研究科 | 経済学研究科 経営学研究科 工学研究科 物質理学研究科 生命理学研究科 環境人間学研究科 看護学研究科 応用情報科学研究科 |
ウェブサイト | 兵庫県立大学公式サイト |
兵庫県立大学(ひょうごけんりつだいがく、英称:University of Hyogo)は、神戸市中央区東川崎町1丁目3-3に本部を置く日本の公立大学である。2004年に設置された。大学の略称は定着したものはないが、「兵県大」と略記される場合が比較的多い。
目次 |
[編集] 概観
[編集] 大学全体
兵庫県立大学は、全国的な地方財政の悪化と少子化を控えた大学再編の波の中で、2004年に神戸商科大学、姫路工業大学、兵庫県立看護大学の兵庫県立の3大学を統合して誕生した大学である。前身校はそれぞれ関西ではよく知られた大学であったが、戦後まったく伝統を異にして発展してきた学校をひとつにしたため、まだ大学としての一体感は醸成途上にあると言える(終戦直後の学制改革で、「一県一大学」の原則により県下に点在した官立学校をすべて統合して新制の国立大学を成立させたが、目下はそれに近い状態にある)。
[編集] 学風および特色
兵庫県立大学には、6学部8研究科あわせて6つのキャンパスがある。このうち、神戸キャンパス、神戸学園都市キャンパス、明石キャンパスの3つを東地区、姫路から上郡方面にある他の3つ(旧姫路工業大学のキャンパス)を西地区と位置づけている。現在、いわゆる教養課程に相当する全学共通教育を中心に一部の授業で遠隔授業が行われている。しかし、6つのキャンパスの位置が神戸から岡山県境に近い上郡まで新幹線の停車駅で4駅分に点在しているため、すべてを連絡する交通手段は車しかない。このため、現実的な東西の学生の交流は一部のクラブ・サークルを除きほとんどなく、学生からは東西交流の充実を望む声が挙がっている。
[編集] 沿革
[編集] 略歴
兵庫県立大学は、2004年4月に神戸商科大学、姫路工業大学、兵庫県立看護大学が統合し誕生した。その際、新たに神戸ハーバーランドセンタービルに大学本部が置かれ、そこに大学院応用情報科学研究科も新設された。また、兵庫県立大学への移行と同時に、旧神戸商科大学の商経学部が経済学部と経営学部に再編された。
[編集] 年表
[編集] 神戸商科大学
神戸商科大学は、第二次世界大戦後における全国最初の公立新制大学として1948年に誕生した。神戸商科大学の前身である県立神戸高等商業学校は、戦前、旧制の官立神戸高等商業学校が3年制本科だけの神戸商業大学(現神戸大学)へ昇格することが内定し、県内に官公立の高等商業学校がなくなることになったため、県下の商業学校卒業生の進学先として兵庫県によって新たに設置された。戦後、新制神戸商科大学は商経学部の単科大学として、経済・経営学科の2学科で発足した。その後、管理科学科、国際商学科を増設し、4学科体制となる。キャンパスは神戸市垂水区の星陵台(高丸校舎)にあったが、1990年に同市西区の神戸研究学園都市に移転された。
- 1929年 兵庫県立神戸高等商業学校設置
- 1944年 兵庫県立神戸経済専門学校に改称
- 1948年 神戸商科大学発足、商経学部経済学科・経営学科設置
- 1950年 経済研究所設置
- 1963年 管理科学科増設
- 1965年 大学院経営学研究科(修士課程)設置
- 1967年 大学院経済学研究科(修士課程)設置
- 1971年 大学院経営学研究科・経済学研究科に博士課程増設
- 1980年 国際商学科増設
- 1990年 神戸研究学園都市へ移転
[編集] 姫路工業大学
姫路工業大学は、兵庫県立高等工業学校、兵庫県立工業専門学校を前身として1949年に発足した。長らく工学部の単科大学であったが、1990年に理学部を設置した。公立大学の理学部としては31年振りの開設となった。これは兵庫県の大型放射光施設SPring-8の誘致に呼応したもので、SPring-8における兵庫県専用ビームラインを管理・運営するなど、中型放射光施設ニュースバルを有する高度産業科学技術研究所ともども放射光を利用した研究・教育に大きな特質がある。また、1998年に設置された環境人間学部は日本に唯一の学部であり、広義の「環境」を人間を主体とした観点から研究教育する。
- 1944年 兵庫県立高等工業学校を神戸市長田区に設置、兵庫県立工業専門学校に改称
- 1946年 姫路市伊伝居(現在は兵庫県立姫路工業高等学校の地)に移転
- 1949年 新制姫路工業大学発足
- 1950年 短期大学部開設。兵庫県立姫路工業高等学校を附属高等学校とした。
- 1957年 短期大学部を兵庫県立姫路短期大学 (Himeji College, Hyogo)として分離独立
- 1965年 附属高等学校を兵庫県立姫路工業高等学校として分離独立
- 1965年 姫路短期大学が神戸大学姫路分校(旧制姫路高等学校)跡地(現在の兵庫県立大学姫路新在家キャンパス)に移転
- 1970年 姫路市書写にキャンパスを移転
- 1990年 理学部を新設
- 1991年 播磨科学公園都市キャンパス竣工。姫路市書写のキャンパスは「姫路キャンパス」とされた。
- 1994年 姫路工業大学附属高等学校を播磨科学公園都市に新設(1965年に分離した姫路工業高等学校とは別の組織)
- 1998年 一般教育部と姫路短期大学を統合改組し、環境人間学部を設置。姫路キャンパスは書写キャンパスとされた。
[編集] 兵庫県立看護大学
旧兵庫県立看護大学は、1993年4月に国公立大学初の看護系単科大学として開学した。また、2004年12月には地域ケア開発研究所が設置された。
[編集] 兵庫県立大学
- 開学前
- 2000年11月 県立大学検討懇話会にて、既存県立3大学のあり方を検討した結果、「統合が望ましい」との提言。
- 2002年2月 「新県立大学設置準備委員会」を設置(2003年4月からは「兵庫県立大学設置準備委員会」)
- 2002年12月 公募を経て、大学名が「兵庫県立大学」に決定と発表。
- 2003年12月 公募を経て学章が決定。
- 2004年4月1日 開学
- 開学と同時に大学院応用情報科学研究科が新設され、旧神戸商科大学の商経学部4学科が経済学部2学科と経営学部2学科に、旧姫路工業大学の大学院理学研究科2専攻が物質理学研究科と生命理学研究科に、工学部の8学科が3学科に再編された。また、自然・環境科学研究所に新たな研究部門として宇宙天文系が設けられた。
- 2004年12月1日 地域ケア開発研究所が開所。
[編集] 基礎データ
[編集] 所在地
- 神戸キャンパス(兵庫県神戸市中央区東川崎町1丁目3-3 神戸ハーバーランドセンタービル内)
- 神戸学園都市キャンパス(兵庫県神戸市西区学園西町8丁目2-1)
- 姫路書写キャンパス(兵庫県姫路市書写2167)
- 播磨科学公園都市キャンパス(兵庫県赤穂郡上郡町光都3丁目2-1)
- 姫路新在家キャンパス(兵庫県姫路市新在家本町1丁目1-12)
- 明石キャンパス(兵庫県明石市北王子町13-71)
[編集] 象徴
- 兵庫県立大学の学章はブルーとゴールドを基調とし、英称が書かれている。
- 兵庫県立大学では現在、学歌製作委員会により学歌を製作中である。歌詞は全国より公募されたが、大学名を兵庫大学と間違えているものが多数寄せられた(兵庫大学は加古川市にある私立大学で、兵庫県立大学とは無関係)。また、「神戸にある大学」というイメージで寄せられた詩も多かった。現在選考中である。
[編集] 教育および研究
[編集] 組織
[編集] 学部
- 経済学部
- 国際経済学科
- 応用経済学科
- 経営学部
- 組織経営学科
- 事業創造学科
- 工学部
- 電子情報電気工学科
- 機械システム工学科
- 応用物質科学科
- 理学部
- 物質科学科
- 生命科学科
- 環境人間学部
- 環境人間学科
- 看護学部
- 看護学科
[編集] 大学院
以下、特記していない専攻は博士前期課程・博士後期課程である。
- 経済学研究科
- 経済学専攻
- 経営学研究科
- 経営学専攻
- 会計研究科会計専門職専攻(専門職大学院)
- 工学研究科
- 電気系工学専攻
- 機械系工学専攻
- 物質系工学専攻
- 物質理学研究科
- 物質科学専攻
- 生命理学研究科
- 生命科学専攻
- 環境人間学研究科
- 環境人間学専攻
- 看護学研究科
- 看護学専攻
- 応用情報科学研究科
- 応用情報科学専攻
[編集] 附属機関
- 経済経営研究所(神戸市西区学園西町 神戸学園都市キャンパス内)
- 高度産業科学技術研究所(兵庫県赤穂郡上郡町光都 播磨科学公園都市キャンパスの近傍)
- 中型放射光施設ニュースバル(NewSUBARU)
- SPring-8と同じ敷地内に隣接しビーム光源を共有する国内3番目の規模を有する放射光施設。
- 自然・環境科学研究所
- 自然環境系(兵庫県三田市弥生が丘 兵庫県立人と自然の博物館内)
- 景観園芸系(兵庫県淡路市野島 兵庫県立淡路景観園芸学校内)
- 田園生態系(兵庫県豊岡市祥雲寺 兵庫県立コウノトリの郷公園内)
- 宇宙天文系(兵庫県佐用郡佐用町西河内 兵庫県立西はりま天文台内)
- 地域ケア開発研究所(兵庫県明石市北王子町 明石キャンパス内)
[編集] 研究
[編集] 21世紀COEプログラム
- 採択2件。
- 2002年
- 生命科学
- 構造生物学を軸とした分子生命科学の展開
- 2003年
[編集] 学生生活
学生自治会・部活動・学園祭などについては、基本的には東地区と西地区では別に運営されている。
[編集] 学園祭
- 商大祭
- 神戸学園都市キャンパスで行われる学園祭。大学統合後も伝統を引き継ぎ、神戸商科大学の略称を冠している。
- 工大祭
- 姫路書写キャンパスを中心に行われる学園祭。大学統合後も伝統を引き継ぎ、姫路工業大学の略称を冠している。
[編集] 大学関係者と組織
[編集] 大学関係者組織
- 兵庫県立大学では、その背景からキャンパスごとに同窓会組織が異なっている。
- 淡水会
- 経済学部・経営学部の同窓会。
- 姫路工業倶楽部
- 工学部の同窓会。
- 姫路工業大学理学部同窓会。
- 理学部の同窓会。
- ゆりのき会
- 環境人間学部の同窓会。姫路短期大学の同窓会でもある。
- けやき会
- 看護学部の同窓会。
- 淡水会
- 応用情報科学研究科の修了生が既に存在しているが、現在のところ、本人の希望があれば淡水会に入会できるようになっている。ただし、同研究科修了生の中で独自の同窓会組織の立ち上げを望む声もある。
- 兵庫県立大学の生協は東西で組織が分かれており、それぞれ兵庫県立大学東部生活協同組合、兵庫県立大学西部生活協同組合となっている。大学統合後も生協が合併しない原因としては、東地区と西地区のキャンパス間に距離があるため東西の交流が活発と言い難い現状の他、両生協の経営状況の違いも理由として考えられる。
[編集] 大学関係者一覧
[編集] 施設
[編集] キャンパス
[編集] 神戸キャンパス
神戸の港を代表する神戸ハーバーランドのビル内に位置している。兵庫県立大学の開学と共に設置され、大学本部も置かれている。ビルの上階に位置するため眺望に恵まれている。ちなみに、同一ビル内の階下のフロアには情報セキュリティ教育を行うカーネギーメロン大学日本校がある。
[編集] 神戸学園都市キャンパス
- 使用学部:経済学部・経営学部
- 使用研究科:大学院経済学研究科・経営学研究科
- 使用附属施設:経済経営研究所
- 交通アクセス:神戸市営地下鉄西神・山手線学園都市駅より徒歩約10分
神戸市西郊の大学などが集まる神戸研究学園都市に位置している。看護学部の1年生も通う。関係者の間では「学都(がくと)」と呼ばれる。同都市内外の近隣の大学と神戸研究学園都市大学交流センター(大学共同利用施設「UNITY」) を中心に交流がある。
[編集] 姫路書写キャンパス
- 使用学部:工学部
- 使用研究科:大学院工学研究科
- 使用附属施設:なし
- 交通アクセス:JR山陽本線姫路駅・山陽電気鉄道本線山陽姫路駅より神姫バスで約30分(一部は姫路新在家キャンパスを経由)。距離的にはJR姫新線余部駅が近い。
姫路市街近郊の書写山の麓に位置している。理学部と環境人間学部の1年生も通う。前身の姫路工業大学の本部と工学部が長年に渡って所在してきた経緯から、西地区の中心的キャンパスであり、クラブ・サークルの数も比較的多い。西地区の学生は単に「書写(しょしゃ)」と呼ぶことが多い。
[編集] 播磨科学公園都市キャンパス
相生市北郊、播磨高原の一部を切り開き造られた播磨科学公園都市に位置する。住所地名から「光都(こうと)」と呼ばれるが、関係する学生は単に「理学部」と呼ぶことも多い。大型放射光施設SPring-8を中心に国や企業の研究機関が近くにある。交通が非常に不便なため、自宅外生の比率、自動車所有率が高い。附属高等学校とも近接している。
[編集] 姫路新在家キャンパス
姫路市街、姫路城城下町の一角、新在家に位置する。このキャンパスは非常にまれな変遷をたどっている。もとは旧制姫路高等学校のキャンパスであったが、1949年の学制改革により神戸大学姫路分校となる。その後1965年に分校が神戸大学のある六甲台に統合移転したため跡地に姫路短期大学が移転。附属幼稚園も設置され、幼稚園跡地には環境人間学部のキャンパスとなった現在もその面影が残る。旧制姫路高等学校本館と講堂は、登録有形文化財に登録されている。キャンパス内には姫路市の保存樹となっているユリノキがあり、同窓会名の由来となっている。西地区の学生は新在家または単に「環境」もしくは「環境人間」と呼ぶ場合が多い。
[編集] 明石キャンパス
神戸市西区に隣接する明石市域に位置する。学部のキャンパスではもっとも学生数が少ない。建築家の安藤忠雄が設計した。
[編集] サテライトキャンパス
- 三宮教室
- JR三ノ宮駅西口の神戸交通センタービル(兵庫県立神戸学習プラザ内)に入居している。
- 主に経済学研究科・経営学研究科のサテライト教室として利用されている。
[編集] 寮
- 兵庫県立大学の寮は播磨科学公園都市キャンパスと同一の区域に隣接するかたちで3つあり、基本的に理学部2年生以上が入寮できる。
- 附属高等学校管理の「黎明寮」(附属高校生と大学生が入寮可)と大学管理の「西播磨学生寮」(A,B棟、大学生のみ入寮可)の2つは寮費は月3000円で風呂・トイレが共同。西播磨学生寮C棟は大学院生専用(学部生でも入寮している人もいる)で風呂・トイレの付くワンルームタイプで寮費は4000円である。
- キャンパス周辺に学生に向いた物件が非常に少ないこともあって、入寮に際しては毎年必ず抽選になる。しかし、数ヶ月すると寮生活が嫌になって退寮する人も少なからずいるらしい。
- 歩いて5分ほどの距離ながらキャンパスの所在地は赤穂郡上郡町光都であるのに対し、寮の所在地はたつの市新宮町(旧揖保郡新宮町)光都であり、隣接する市町村で同一の住所地表示を使う非常に稀なケースである。
[編集] 対外関係
- 事業連携に関する協定(2005年締結)
- 養父市商工会と経営学部との間において締結。
- 姫路信用金庫と連携して中小企業を対象にした「ひめしん研究開発支援助成金」を創設(2005年)。2005年2月に締結した産学連携協定を受けた制度。
- 西兵庫信用金庫と産学連携センターは地域産業の活性化を目標に産学連携協定に調印(2005年)
[編集] 地方自治体との協定
- 産官学連携協力の推進に係る協定(2004年締結)
- 姫路市・姫路商工会議所・産学連携センターの三者間で締結。
- 教育研究活動の推進とまちづくりに関する協力・連携協定(2006年締結)
- 香美町と環境人間学部が2005年、旧・美方町(現・香美町小代区)と結んだ協定を合併後に拡大して新たに締結。
- 連携協力に関する協定(2006年締結)
- 宍粟市と産学連携センターとの間において締結。
[編集] 他大学との協定
- 神戸研究学園都市大学交流センター(大学共同利用施設「UNITY」)
[編集] 附属学校
現在、兵庫県立大学附属中学校(仮称)が2007年4月開校に向けて準備中である。
[編集] 公式サイト
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