千葉マリンスタジアム
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千葉マリンスタジアム | |
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Chiba Marine Stadium | |
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施設統計 | |
所在地 | 千葉県千葉市美浜区美浜1番地 |
開場 | 1990年3月 |
所有者 | 千葉市 |
管理・運用者 | 千葉ロッテマリーンズ(指定管理者)、株式会社千葉マリンスタジアム(千葉ロッテから管理業務を受託) |
グラウンド | ロングパイル人工芝(NeXturf:2003年~現在) |
照明 | 大庇先端上投光器照明方式(サークルライン方式) 最大照度:投捕間2500Lx 内 野2500Lx 外 野1500Lx |
建設費 | 133億円 |
設計者 | 富家建築事務所 |
建設者 | 大成建設、清水建設、西松建設、 熊谷組、五洋建設 |
使用チーム、大会 | |
千葉ロッテマリーンズ(1992年~現在) | |
収容能力 | |
30,011人(消防法上の定員は 30,200人となっている) |
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規模 | |
グラウンド面積:15,018m² (野球使用時:14,674m²) 両翼 - 99.5 m(約326.4 ft) 中堅 - 122 m(約400.3 ft) |
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フェンスの高さ | |
4 m (約13.1 ft) |
千葉マリンスタジアム(ちばマリンスタジアム)は、日本の千葉県千葉市美浜区にある野球場。日本プロ野球・千葉ロッテマリーンズが本拠地として使用している。球場施設は千葉市、駐車場などの土地部分は千葉県がそれぞれ所有し、千葉ロッテマリーンズが指定管理者として運営管理を行っており、管理業務は県・市・千葉ロッテ球団などが出資する第三セクター・株式会社千葉マリンスタジアムが受託している。
地名を冠せずにマリンスタジアム、或いはマリスタ、千葉マリンといった形で略した通称も使用される。現在、市・マリンスタジアム社・千葉ロッテ球団はマリンスタジアムの命名権(ネーミングライツ)の売却先を募集している。
目次 |
[編集] 概要・歴史
総建設費133億円を費やし1990年2月22日に竣工、同年3月に開場した。球場開きは社会人野球公式戦のJABA千葉市長杯争奪野球大会の第1回大会。同大会はマリンスタジアムの竣工を機に行われたもので、日立製作所が第1回の優勝チームとなった。この千葉市長杯は現在も11月中旬に行われている。アマチュア野球ではこの他、高校野球も行われるようになり、夏の全国高等学校野球選手権大会千葉県大会の開会式と準決勝以降の試合がマリンスタジアムで行われている。プロ野球の初開催は同年3月24日のオープン戦・読売ジャイアンツ対ロッテオリオンズ戦だった。
またマリンスタジアム竣工を前にした1989年、県民・市民や県内政財界関係者によって結成された「千葉にプロ野球を誘致する県民会議」は、マリンスタジアムにプロ球団を誘致しようと活動を進め、陳情書を県・市に提出、いずれも採決された。これを受け、県・市は首都圏に本拠を置く6球団に対し公式戦・オープン戦の開催を求めるなど誘致活動を進めた。これが実り、1991年からヤクルトスワローズが公式戦を開催。プロ野球公式戦第1号の本塁打はヤクルト・荒井幸雄が放ったランニング本塁打だった。また県・市は特に首都圏6球団の中でも当時川崎球場を本拠地とし、老朽化しかつ狭隘な環境下で観客動員が伸び悩んでいたロッテオリオンズ(当時)に対しては、千葉への本拠地移転を前提として特に積極的に誘致を進めた。その結果、ロッテは1991年夏に本拠地の千葉移転を決定。ロッテ主催による千葉マリン初のパ・リーグ公式戦(対西武ライオンズ戦)が開催された7月31日、同日のオーナー会議で正式に移転が表明された。そして9月4日の実行委員会でロッテの保護地域の千葉県への移転が承認され、10月31日のオーナー会議での承認を経て、こうして翌1992年からロッテは千葉マリンに本拠地を移す事が決定した。移転の際、当初球団名は地名を冠した「千葉ロッテオリオンズ」を予定していたが、一般公募を基に改称することとなり、選考の結果、新たな愛称は「千葉ロッテマリーンズ」と決まった(なお、応募1位の愛称は「パイレーツ」だった)。
1992年、千葉ロッテは2年連続最下位に終わり、千葉移転初年を飾る事はできなかったが、移転景気もあって観客動員数では球団新記録となる1,301,000人を記録。前年までの5年連続12球団最下位を脱し、リーグ4位となった。しかし移転2年目の1993年もリーグ5位に沈むと移転景気も潰え、観客動員数は再び12球団最下位の930,000人に終わった。1995年、ボビー・バレンタインが監督に招聘されると、オリックス・ブルーウェーブの独走こそ許したものの、9月にはオリックスの本拠地グリーンスタジアム神戸3連戦で「M1」から胴上げを阻止する3連勝を挙げるなど見せ場を作り、一躍2位に躍進。観客動員も120万人台を回復した。だが同年オフにバレンタインが退団すると、再びチーム成績・観客動員共々ジリ貧の闘いを強いられた。
そんな中、1990年代後半には県・市の政財界関係者の一部の間で、伸び悩む千葉ロッテの観客動員と、強風など気象条件に左右されやすい環境を改善する打開策として「千葉マリンスタジアムのドーム化」を求める動きが起こった。1999年、千葉ロッテがシーズン序盤好調だった際には時の市長が「優勝した場合はドーム化を検討する」と表明したが、この構想はファン・市民の多くが異議を唱えた。結局その後は財政難などもあって、この構想は具体化するまでには至らなかった。
千葉ロッテは2004年から球団の営業戦略の一環として、千葉マリンスタジアムをファンに親しみやすく、多くの観客がより快適に観戦できるよう改善を進めるべく「ボールパーク化構想」を方針付け、県・市に対し協力を要請した。しかしマリンスタジアムの土地は県、施設は市が所有しており、また施設管理は第三セクターが行っていた。またプロ野球だけではなく、アマチュア野球や県内・市内在住者向けの一般利用にも供用される公共施設であることから様々な規制があり、行政側はこれを盾に、球団から提出された様々な利用申請に対して認可を渋り続けてきた。だが、折りしも同年プロ野球再編問題が勃発し、この中で千葉ロッテも、当時オーナー企業ダイエーの経営不振で球団の継続保持が困難といわれていた福岡ダイエーホークス(当時)と合併し「福岡ロッテホークス」とする構想が取り沙汰されたことから行政側にも危機感が生じ、これまで設けていた規制を大幅に緩和した。こうして、スタジアム場外での屋台・露店の営業が可能となり、場内で様々なサービスが開始された他、外野フェンスの広告掲出も開始されるなど、スタジアム内外でファンサービスの拡充や施設収益の改善を目的とした数多くの活動が実施されている。なお、千葉ロッテマリーンズは2006年度から千葉マリンスタジアムの指定管理者に指名されており、施設管理権は現在球団に委譲されている。
また、前述のヤクルト主催のセ・リーグ公式戦は、千葉ロッテが本拠地を置いてからも2005年まで年間1カード2~3試合行われていたが、開催時期は5月下旬の週末となっていた。ヤクルトが本拠地としている明治神宮野球場では同時期、東京六大学野球の春季リーグが行われている。5月下旬の週末は最終週にあたり、早大対慶大のいわゆる「早慶戦」が行われる。神宮球場は大学野球側に優先使用権がある上、早慶戦は通常の公式戦よりも多くの来場者が見込まれることから仮にデーゲームで早慶戦、ナイターでヤクルト戦を開催した場合、周辺の混雑や観客の入れ替え時の混乱が予想されるため、ヤクルトは早慶戦開催時の週末の主催公式戦を1990年までは地方球場で、1991年からは千葉マリンを使用して開催していた(これが当時、ヤクルトが首都圏で開催する唯一のデーゲームによる公式戦だった)。しかし2005年、5月上旬から6月中旬にかけてセ・パ交流戦が行われるのに伴い、必ずしも早慶戦を考慮する必要が少なくなったことから、千葉マリンでの主催公式戦は開催時期を7月にずらして行った。また2006年からは大学野球側との調整の結果、神宮でもデーゲーム開催が可能となったことなどから、東京ヤクルトは千葉マリンでは公式戦を開催していない。
コンサートでも数多く利用されており、1990年4月のマドンナのコンサートを始め、近年では都市型音楽フェスティバルのサマーソニックでお馴染みの会場となっている。
内野側と外野側が通路で繋がっているが、千葉ロッテ戦の場合、許可制であるが外野席のチケットで内野部分に入れるにもかかわらず、内野席のチケットで外野部分に入れるという「上位互換」が2006年からできなくなり、一部ファンからの苦情も発生している(2005年までも、外野席が満員になった試合は互換はできず、優勝決定ゲームなど混雑が予想される試合ではあらかじめ互換禁止が告知されたが、夏休み以外のナイターはほぼ全試合互換できた)。これは外野応援団による応援パフォーマンス目当ての客が内野席招待券などを利用して外野席に居座り、外野席券を所持しているにも拘らず座席に座れない客からの苦情にもよると思われる。
隣接した場所に幕張メッセ、幕張海浜公園、アパホテル&リゾート<東京ベイ幕張>(旧幕張プリンスホテル)、ホテルニューオータニ幕張、ガーデンウォ~ク幕張等がある。
[編集] 風
ドーム球場ではなく、海に極端に近いため風が強く、風速が秒速10mを超えることも珍しくない(この強風のことは「マリン風」と呼ばれる)。本来なら外野まで飛ぶような打球が内野まで押し戻されることは日常茶飯事である。しかも球場の構造上、球場上空とフィールド上では風向が異なるという現象が起こるため、多くの選手がこの風に悩まされる。このため、スコアボードに風向と風速を表示できるようになっている珍しい球場である。風速が秒速18mを超えた場合、プレー進行の障害となるため、試合は中止となるケースがある。
その他にも様々な気象現象に見舞われている。
- 1994年6月には、当時未開発であった周辺地域から大量の赤トンボが襲来。6月28日の西武戦は公式には雨天のため中止されたのだが、一部で今なお「トンボ中止事件」として語り継がれている。翌29日の試合はトンボの飛び交う中で開催された。
- 2005年10月22日に行われた日本シリーズ第1戦(千葉ロッテ対阪神)では濃霧により7回裏途中(一死無走者)でコールドゲームになるという珍事もあった。日本シリーズ史上初の出来事である。この時先発だった千葉ロッテの清水直行は、「初めは阪神ファンが何かやらかしたと思っていた」と言っている。
[編集] 施設概要
- 構造:地上5階(RC造、S造)
- グラウンド面積:15,018m²(野球使用時:14,674m²)
- 内外野:ロングパイル人工芝
- 照明設備:大庇先端上投光器照明方式(通称「サークルライン方式」。最大24種の点灯パターンにより照度可変)
- スタンド上部の庇にサーチライトを架設。照明塔を使わないため外観をスマートに保つ事ができる上、高い照明効果を得られるなどのメリットがある。日本国内の野球場でこの方式を全面採用しているのは千葉マリンだけだが、岡山県倉敷スポーツ公園野球場(マスカットスタジアム)や松山中央公園野球場(坊っちゃんスタジアム)などでは、内野スタンドの庇先端部にサーチライトを設ける手法が取り入れられている。
- スコアボード:フルカラーLED式(東芝ライテック製)
- 開場当初は白色電光式。1992年に松下電器製の大型映像装置「アストロビジョン」を増設した。老朽化のため2002年に全面改修を行った際、LEDを採用した。
- 収容人員:30,011人(内野・外野とも全席座席。内野スタンドのみ2層式)
- 後述のフィールドウィングシート設置による増席のため、実際には31,000人程度まで収容可能。
[編集] 観客向け設備の拡充
2000年以降に実施された、ファンサービス向上を目的とした施設拡充について下記に挙げる。
- 2001年 球場近くの知的障害者支援施設が寄贈した「絵馬堂」を設置。
- 2003年 児童用施設、授乳室、ベビーベッドを設置。
- 2006年 スタジアムの管理権が、市から指定管理者に指名された千葉ロッテ球団に移行。これまで運営管理を行ってきたマリンスタジアム社と共に運営に携わることとなる。フェンス広告の解禁をはじめ、内野席のフィールドウイングシート設置など、大幅なリニューアルが行われる。ラブラドール・レトリバーのボールドッグ“エルフ”登場。同年8月1日、スタジアム敷地内に「マリーンズ・ミュージアム」がオープン。
- 同年シーズン途中よりリリーフカーはボルボのオープンカーに替わった。
- 2007年 同年シーズンから一塁側自由席に限り、横断幕の使用を許可。シーズン開幕戦はサッカースタジアムのような雰囲気となり、よりホーム色が強くなった。
- 同年3月30日からライトゲート付近にバッティングセンターを設置。目玉はアンダースロー投手の渡辺俊介の投球を再現し、地上5センチからボールが投げ出される映像つきバッティングマシン。
[編集] マリーンズ・ミュージアム
2006年にオープンした「マリーンズ・ミュージアム」では、千葉ロッテにまつわる様々な資料が展示されている。
- 選手一覧、写真パネルで見る優勝パレード、2005年に日本一を含めた6冠となった際に贈られた4つのトロフィーの受賞者保存用レプリカ
- ミニカーを使ったリリーフカー
- 球場で実際に使われているダッグアウトや芝及び照明灯、ファールエリア際部分の実物大外野フェンス、実際に操作出来るボールカウント表示器、ホームベースエリアとマウンドの部分再現
- ロッカールームの再現(選手から寄贈を受けた使用済みの用具(スパイクやグローブ、バット他)が置かれている)
- 前身「毎日オリオンズ」以来の千葉ロッテマリーンズの歴史
[編集] 交通
海浜幕張駅にあるプレナ幕張からは、千葉ロッテマリーンズ主催試合時に限り京成バスによる直通「マリーンズ号」が運行される。試合終了時には海浜幕張駅、幕張本郷駅行、稲毛駅行(検見川浜駅、稲毛海岸駅経由)のバスがそれぞれ運行される。このうち幕張本郷駅行にはノンストップ便もある。
[編集] 関連項目
- 日本の野球場一覧
- ゴジラVSメカゴジラ -- 劇中でゴジラに壊される。
[編集] 外部リンク
前本拠地: 川崎球場 1978 - 1991 |
千葉ロッテマリーンズの本拠地 1992 - 現在 |
次本拠地: n/a - |
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