営団03系電車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
03系電車(03けいでんしゃ)は、1988年(昭和63年)7月1日に営業運転を開始した東京地下鉄(旧・帝都高速度交通営団)の通勤形電車である。
目次 |
[編集] 概要
老朽化した3000系の取り替えを目的として、日比谷線に投入された。
車体全長18m・片側3扉、直流1,500V架線集電方式の狭軌線用アルミ車両である。東武鉄道伊勢崎線や東京急行電鉄東横線にも全編成が乗り入れる。3000系で乗り入れ先の保安設備の搭載が編成によりまちまちであったのを反省点とし、全編成に東急形ATS・ATC及び東武形ATSを搭載する。現在、東急形ATSは営業運転では使用されないが鷺沼工場への入場(後述)の際に使用される。
1994年(平成6年)までに8両編成42本(336両)が製造された。製造メーカーは第1編成が川崎重工業、第2編成が日本車輌製造、それ以外は近畿車輛と東急車輛製造である。
2000年(平成12年)3月8日に、中目黒駅付近で死傷者を発生させた列車脱線事故(営団日比谷線脱線衝突事故)を起こしている。その結果、脱線した1両(03-802号)が廃車され、2001年(平成13年)に代替車が日本車輌製造で落成した。
定期検査は、千住工場が廃止になったことから鷺沼検車区に併設された鷺沼工場において行われている。その際には武蔵小杉駅から東急目黒線に入り、大岡山駅から大井町線、二子玉川駅を介して田園都市線へ入線する。なお、東急大井町線又は東急目黒線が工事などで経由ができない場合は半蔵門線を経由して鷺沼検車区に回送する。(北千住~押上(運転停車)~渋谷(運転停車)~鷺沼(運転停車)~鷺沼検車区)
日比谷線が人身事故、車両故障、信号故障などで不通の場合、東横線を走行中の編成は渋谷駅に入線することがある。また、東武線側は北千住駅で地上ホームに到着し、浅草方の留置線を使って折り返すことがある。
[編集] 外観・電装品など
- 日比谷線のラインカラーである銀色(表記上は灰色)の帯が入っている。
- 第1~4次車(1~25編成)は高周波分巻方式のチョッパ制御(主電動機出力160kW)を、第5次車(26~42編成)からはIGBT素子を使用した3レベルVVVFインバータ制御(主電動機出力190kW)をそれぞれ採用している。
- 1990年(平成2年)から製造された第9~28編成は、乗降時間を短縮するために1・2・7・8号車を5扉車とした。先頭車の正面には「5DOORS」と表記したマークを掲出している。営団時代、この「5DOORS」マークは現在東京地下鉄のハートMマークが貼られている位置に貼られていたが、東京メトロへの移行期から順次現在の貫通扉上部に変更され、東京メトロ移行時には全編成が変更された。
- 5扉車は2扉(第2・4番目の扉)を締め切りにすることも可能(現在は中目黒・北千住などの始発駅のみ終日締切っている)で、締め切り中は車外の扉横と車内の扉上部に「このドアは開きません」と表記したメッセージが点灯する。また、締め切り対応扉は車内側の化粧板色が通常の白色ではなく薄緑色とされている。
- 5扉車運転開始当初は、東武線内では整列乗車が乱れるという理由から5扉のうち2扉を締め切って運行していた。しかし、1993年(平成5年)2月末に試験的に全扉の使用を開始し、翌3月から本格的に全扉を使用する運用にした経緯がある。同時期に東武鉄道も乗り入れ車20000系の5扉車バージョンである20050系を投入した(1992年(平成4年)12月運転開始)。
- 1993年に製造された第6次車の第29編成からは全車3扉車に戻った。
- 営団で初めて車両制御情報管理装置 (TIS) を採用した。
- 客用ドアの車内側上部にはLED式の案内表示器がある。これに行先・駅名・乗り換え路線を表示する。日比谷線内ではすべての編成で自動放送とともに表示することができる。表示される文字数は5扉車の1・2・7・8号車が全角11字の他はすべて全角13字で、スクロールも可能になっている。
- 車外スピーカーが全車に搭載されているが、乗降促進アナウンス内容は営団時代の「扉が閉まります、ご注意下さい」のままである。
- VVVFインバータ車の第26~42編成(運転席窓ガラス下部に「V」と表記)は、東武線と東急線内でも自動放送とともに車内案内表示器に次駅名などの情報が表示できるが、チョッパ車の第1~25編成は東武線と東急線内での車内案内表示器は「この電車は東武動物公園ゆき」、「この電車は菊名ゆき」といった行先のみの表示で、自動放送も行われていない。半蔵門線の8000系の車内表示器も乗り入れ先では同様の表示をする。また、以前第1~25編成では東武・東急線内でドアチャイムが鳴動しない編成も存在した。
- 落成時点では座席表地が全車茶色系区分柄であったが、2001年~2006年(平成18年)にかけて定期検査施工の際に非バケットシート車(第1~9編成)は紅紫色系区分柄に、バケットシート車(第10編成以降)は紅紫色(優先席は青色)のプリント柄に変更された。
- 2006年12月には第23編成の床材が新05系と同様の灰色系に変更された。
- 乗務員室内は緑色である。運転台のマスコンハンドルは紺色のデスクタイプ回転式ツーハンドルであり、東急線内を走行する唯一のツーハンドル車である。ブレーキハンドルは取り外し式の車両(チョッパ制御車)と固定式の車両(VVVFインバータ制御車)があり、いずれもノッチが刻んである。速度計は120km/h表示であり、現在では全車新CS-ATC表示スペースがあり、白地でオレンジ色に電照するものである。
- 乗務員室仕切りは後に登場した06系・07系と同様に大窓と乗務員室扉があるもので、乗務員室扉部に遮光幕はない。地下鉄線内では仕切り窓が3か所の05系などより客室から前方がよく見える。
- 2006年9月25日から東急線直通列車のうち元住吉駅発着が武蔵小杉駅発着に変更された。03系も1往復が同駅発着の運用に使われているが、運用されるのは同駅発着に対応した編成に限定されている。
[編集] 車内設備
[編集] 運用区間
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 日本の電車 | 東京地下鉄 | 鉄道関連のスタブ項目