大阪市営地下鉄堺筋線
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堺筋線(さかいすじせん)は、大阪府大阪市北区の天神橋筋六丁目駅から同市西成区の天下茶屋駅までを結ぶ大阪市営地下鉄の路線。正式名称は高速電気軌道第6号線、大阪市交通局では大阪市高速鉄道第6号線と称し、鉄道要覧では6号線(堺筋線)と記載されている。
路線愛称の由来は堺筋の地下を走ることから。ラインカラーは相互乗り入れする阪急線に合わせた茶色(ビビッドブラウン)である。
目次 |
[編集] 路線データ
- 路線距離(実キロ):8.5km(営業キロ(運賃計算キロ)では8.1km)
- 軌間:1435mm
- 駅数:10駅(起終点駅含む)
- 複線区間:全線
- 電化区間:全線電化(直流1500V・架空電車線方式)
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 最高速度:70km/h
- 編成両数:8両(1993年~)
- ホーム最大編成両数:8両
運賃計算には、東梅田~南森町~動物園前間のキロ数が御堂筋線梅田~動物園前間と同じになるよう調整された営業キロに対応する区数を用いる。
[編集] 概要
大阪市中心部では、沿線に証券街や薬問屋、電気店街のある堺筋の地下を走り、御堂筋線、四つ橋線、谷町線とともに大阪市中心部の南北の交通を担っている。
車両基地は自局線内になく、乗り入れ先の阪急京都本線正雀駅近くの吹田市南正雀に東吹田検車場がある。車両基地を乗り入れ先の路線内に設ける方式は東京メトロ(日比谷線・半蔵門線)でも見られ、俗に植民地車庫とも呼ばれることがある。
大阪市営地下鉄では3番目に利用者が多いが、長堀鶴見緑地線と今里筋線に次ぐワースト3位の赤字額であり、営業成績は悪い。近年は大阪の金融の中心であった北浜(大阪証券取引所がある)の地位低下や三越大阪店の閉店、電気店街であるでんでんタウンの衰退、御堂筋沿線や梅田への移転など沿線の要因が乗客の減少を引き起こしている。
[編集] 運行形態
堺筋線内折り返し運転のほか、天神橋筋六丁目駅からは阪急京都本線高槻市駅までと阪急千里線北千里駅まで相互直通運転を行っている。また、平日の朝ラッシュ時に堺筋準急が阪急京都本線河原町駅と高槻市駅から、夕方に茨木市駅まで運転される。なお、堺筋準急はすべて阪急電鉄の車両で運用され、堺筋線内では各駅に停車する。また、堺筋線内折り返し列車にも阪急電鉄の車両が使用される。
- 2007年3月17日に行われたダイヤ改正で、従来運行されていた堺筋急行と堺筋快速急行は、ともに阪急線内の停車駅が増えた堺筋準急に変更となり、同時に天下茶屋始発分の運転区間は茨木市駅まで短縮された(天下茶屋行きは従来通り河原町・高槻市始発)。ちなみに大阪市営地下鉄今里筋線開業に伴い更新された車内掲示用路線図では、高槻市~河原町間が直通運転区間より省かれている。
大阪市交通局所属車が高槻市駅以北へ乗り入れる運用は原則として存在しないが、60系が堺筋線開業30周年のイベント列車として阪急京都本線桂駅まで乗り入れた例や、66系の導入時に試運転で同駅まで運転された例がある。なお、阪急線内でも千里線・京都線共に出入庫を兼ねた堺筋線66系を使った運用がある。しかし、66系の7次車から方向幕に列車種別も入るようになり「急行」表示も確認されているので、近い将来66系が高槻市駅以北に乗り入れる日が来るのではないかとも言われていたが前述のダイヤ改正により準急を含めた方向幕に変える可能性が出て来ている。
一方、阪急所属車の堺筋線乗り入れ運用は3300系以降の京都線仕様車のうちのロングシート編成が専ら使用されており、車両規格上は乗り入れ可能な9300系は乗り入れ対応の無線機が搭載されていないため(セミクロスシート車であることも理由である)、現時点での乗り入れ運用はない。また、6300系は2扉クロスシート車である上に、乗り入れ対応の無線機と運転切り替えスイッチ(地上・地下)が搭載されていないため、また2300系も乗り入れ対応の無線機と運転切り替えスイッチが搭載されていないため乗り入れができない。
[編集] 車両
[編集] 自局車両
- 66系(1990年~)
[編集] 乗り入れ車両
[編集] 過去の車両
- 60系(1969年~2003年)
[編集] 歴史
当初は南海電鉄と乗り入れるか、阪急電鉄と乗り入れるかが協議されたが、吹田市で万国博覧会が開催される事が決まったため、阪急と直通することになった。両社の軌間(阪急は1435mm、南海は1067mm。また当時は架線電圧も阪急は1500V、南海は1973年まで600Vと異なっていた)が異なることから、三線軌条ないしは四線軌条を採用して、両者の電車を直通させる案も出たが、コスト面や車両規格の相違、工事期間中に対象区間を運休させる必要が生じる事などから見送られた。なお、南海電鉄とは南海新今宮駅に近い動物園前駅で徒歩連絡しているほか、1993年からは天下茶屋駅で連絡している(1996年から同駅に南海本線および高野線の一部の優等列車が、2003年からは全列車が停車)。
- 1969年(昭和44年)12月6日 天神橋筋六丁目~動物園前間(7.0km)が開業。阪急千里線・京都本線と相互直通運転開始。
- 1975年(昭和50年)5月8日 ラインカラー導入開始。
- 1979年(昭和54年)3月5日 動物園前~阪急河原町間に堺筋急行を運転開始。
- 1993年(平成5年)2月21日 8両編成化開始。
- 1993年(平成5年)3月4日 動物園前~天下茶屋間(1.5km)が開業し全通。
- 1993年(平成5年)10月7日 8両編成化完了。
※上記のキロ数は実キロ
[編集] 駅一覧
駅番号 | 駅名 | 駅間キロ | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
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阪急電鉄千里線北千里駅・千里線経由京都本線高槻市まで(準急は河原町駅から/茨木市駅まで)直通運転 | ||||||
K11 | 天神橋筋六丁目駅 | - | 0.0 | 大阪市営地下鉄:■谷町線(T18) 阪急電鉄:千里線(直通運転あり) |
大阪市 | 北区 |
K12 | 扇町駅 | 0.7 | 0.7 | 西日本旅客鉄道:大阪環状線(天満駅) | ||
K13 | 南森町駅 | 0.6 | 1.3 | 大阪市営地下鉄:■谷町線(T21) 西日本旅客鉄道:JR東西線(大阪天満宮駅) |
||
K14 | 北浜駅 | 0.8 | 2.1 | 京阪電気鉄道:京阪本線、中之島線(なにわ橋駅・2008年度末開業予定) | 中央区 | |
K15 | 堺筋本町駅 | 0.9 | 3.0 | 大阪市営地下鉄:■中央線(C17) | ||
K16 | 長堀橋駅 | 1.0 | 4.0 | 大阪市営地下鉄:■長堀鶴見緑地線(N16) | ||
K17 | 日本橋駅 | 0.9 | 4.9 | 大阪市営地下鉄:■千日前線(S17) 近畿日本鉄道:難波線(近鉄日本橋駅) |
||
K18 | 恵美須町駅 | 1.0 | 5.9 | 阪堺電気軌道:阪堺線 | 浪速区 | |
K19 | 動物園前駅 | 0.7 | 6.6 | 大阪市営地下鉄:■御堂筋線(M22) 西日本旅客鉄道:大阪環状線・関西本線(大和路線)(新今宮駅) 南海電気鉄道:南海本線・高野線(新今宮駅) 阪堺電気軌道:阪堺線(南霞町駅) |
西成区 | |
K20 | 天下茶屋駅 | 1.5 | 8.1 | 南海電気鉄道:南海本線・高野線 |
[編集] その他
- 大阪市営地下鉄では、携帯電話のルールを優先座席付近では電源を切り、それ以外ではマナーモードに設定して通話を控えるよう呼び掛けているが、この路線では優先座席制度を採用しない阪急電鉄のルールに合わせて、一番前と後の車両では電源を切るように呼び掛けている。しかし、他の路線と異なるルールで、かつ職員等から直接注意されにくい環境にある(阪急線内では、稀に車掌が直接注意する光景が見られる)ことに加え、自局車両の66系には阪急車と異なり優先座席も並存しているためか、利用者に周知徹底されているとまでは言えない。