男どアホウ甲子園
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『男どアホウ甲子園』(おとこどアホウこうしえん)は、原作:佐々木守、漫画:水島新司の野球漫画、及びそれを原作としたテレビアニメ。『週刊少年サンデー』で1970年8号 - 1975年9号に連載されていた。1970年 - 1971年にアニメ化。その後、1999年36・37号に復活連載された。第19回(昭和48年度)小学館漫画賞受賞作品。
目次 |
[編集] 概説
少年サンデーは野球物の連載をやりたいという水島新司の企画を通したが、少年マガジンの「巨人の星」といった熱血ドラマを想定していた為なのか水島の実力を危ぶんで編集部は佐々木を原作者としてつける。プライドの高い水島(※)が鬱屈したのに対し、原作者の佐々木は野球漫画にも関わらず細かい野球のルールについては無知であり、かつ、他の仕事と掛け持ちであったことで打合せもしなかった。このため、連載途中で「何であの人が原作者でギャラが発生するんだ」と怒りを爆発したとされる説がある。
(※他の漫画家への手塚治虫の嫉妬癖は有名だが、作品に対しての評価も厳しく「その批判」こそ生涯の勲章であるのは間違いない。手塚没後に「俺も生きている間に批判された」と公言している漫画家もいる。水島もその一人であるが証人はいない)
なお、別の説では金にうるさい水島が佐々木の原稿料をしつこく周囲に聞いてまわった為に喧嘩別れしたという説もある。ちなみに同作者には『銭っ子』、『野球狂の詩 スチール100円』等、銭にまつわる名作があることも特筆しておく。いずれにしろ途中の巻より佐々木は手を引き完全に水島のマンガとなった。これは個人の才能に成立するマンガと複数の作業分担のアニメ畑との違いを明らかにする逸話として名高い。
なお本作品で、単に「甲子園」と呼ぶ時は主人公の藤村甲子園のことを指し、阪神甲子園球場は「甲子園球場」、選抜高等学校野球大会は「選抜」、全国高等学校野球選手権大会は「夏の甲子園」、あわせて「甲子園大会」と表記されて、主人公の名前と区別されるので注意されたい。
話の流れは『男どアホウ甲子園』→続編『一球さん』→『大甲子園』(『ドカベン』と合流)になる。
安恒理(やすつね おさむ)著『「巨人の星」から「ルパン三世」まで“アフターストーリー”全掲載!!』(辰巳出版)では『男どアホウ甲子園』の後日談として『大甲子園』を取り上げているが、そこまでの過渡期にあたる『一球さん』については作者の調査が及ばなかったのか、全く触れられていない。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 主な登場人物
[編集] 藤村家の人々
- 藤村甲子園(主人公。北城中学野球部→南波高校野球部→東京大学野球部→阪神タイガース)
- 投手、左投げ左打ち、背番号1(学生時代)背番号111(プロ入り後)。
- 球威のある超速球「剛球」の持ち主で変化球を毛嫌いする。高校時代に水泳にヒントを得た「クロール投法」と呼ばれる新しい剛球を会得する。
- しかし最終回直前に、カーブ、ナックルボール、フォークボールと数々の変化球を投げられる事を実演した。そして最後に165kmの超速球を投げるがそれが原因で選手生命を絶たれる。
- 関西弁を話し、口癖は「行くでぇ、豆タン!」
- 甲子園は高二の時に、ちょっとした行き違いから南波ナインと対立して岩風とともに南波野球部を退部、自称「高校野球ブローカー」の鮫島某に誘われるまま、青辰高→桜ヶ丘大付属高→青城高に転校して各校野球部の練習に参加、青城高では南波との練習試合にも参加している(試合中に誤解が解けて南波野球部に復帰するが)。
- いうまでもなくこの出来事は日本高等学校野球連盟の定めた憲章違反であり、この物語がフィクションでなければ甲子園、岩風、及び南波も含めた各高校には、日本学生野球協会審査室に図られた上で、出場停止処分が下るものと思われる。
- 「大甲子園」では、祖父とともに甲子園球場の職員となっていた。
- 藤村球乃進(甲子園の祖父)
- 甲子園球場職員でグラウンド整備の達人。熱狂的な阪神タイガースファンで家族に迷惑をかける。
- 孫の出生届を出す際に婿の秀人から「名前は甲子国(きねくに)」と伝えられるが、「甲子園」にしてしまった。
- 衛生観念がないのか、手術直後の甲子園の傷口に甲子園球場の土を塗るのは止めてもらいたいもの。
- 藤村虎子(甲子園の母親)
- 家族に惜しみなく愛情を注ぐ母性愛の塊のような人。
- 甲子園のことを「ボク」と呼ぶ。
- 藤村球子(甲子園の妹)
- みつあみ姿の少女。普段はクールだが、兄弟思いの一面もある。
- 藤村球三(甲子園の弟で双子の弟)
- 皮肉屋の秀才で、頭の悪い甲子園や家族(父親を除く)をバカにしている。しかし、さすがに巨人戦で兄の甲子園が長嶋を打ち取って勝ったときは涙した。
- 兄と同様、後に捕手として夏の甲子園に出場する。右投げ右打ち背番号2。
[編集] 南波高校野球部関係者(ただし藤村兄弟を除く)
- 鬼頭哲(野球部初代監督)
- 元プロ野球投手(サウスポー)で本物の剛球の持ち主、八百長事件に巻き込まれてプロ野球を永久追放されている。
- 巻き込まれた暴動から甲子園と岩風を投石で助け、以来その剛球のほれた甲子園の心の師匠。
- 初代監督として南波野球部の基礎を作るが失踪。後に「名無しの権兵衛」として甲子園に助言を与える。
- 早乙女静先生(野球部部長)
- 南波高校新任の女性教師。気が弱く、神島にムリヤリ部長にさせられた。しかし出場停止処分を受けた野球部を支えた陰の功労者。神島に惚れている。
- 岩風五郎(捕手)
- 通称:豆タン。背番号2(学生時代)背番号222(阪神入団後)、右投げ右打ち。南波→東大(実力で入学)→阪神(テスト入団)と甲子園のボールを受け続ける。
- 自動車事故で失明しても、かすかな球音を頼りに捕手を続ける努力家。のちに剛球仮面の剛球に当たった拍子に視力が回復する。
- 口癖は「はいな、あんさん!」「うちの人」。
- 最終回で母親が倒れたので阪神を退団する記念に甲子園に最後の勝負を挑み、見事にホームランを打つ。
- 丹波左文字(一塁手)
- 神島竜矢(遊撃手)
- 通称:東海の竜。背番号6、右投げ右打ち。番長連合を率いて南波高校支配を狙い、丹波の右翼連合と抗争し、同様に甲子園に負けて和解する。以後は遊撃手として攻守に活躍。
- 後に『大甲子園』で南波高校野球部監督として、球二・球三兄弟を夏の甲子園出場に導く。
- 松下講平(一塁手)
- 二代目一塁手、背番号3、一時は主将も務める。右投げ右打ち。目立つ事は少ないが野球センスは野球部随一。
- 知覧太郎(中堅手)
- 背番号8、右投げ右打ち。丹波の率いる右翼同盟の一員として九州から南波に転向してくる。死球を恐れない特攻精神が持ち味。
- 松葉月夫(右翼手)
- 背番号9、左投げ左打ち。生まれつき足が不自由で松葉杖姿でプレーする。
- 東城大武蔵の故意死球で倒れ、右翼に気を失ったまま寝かされていた事もあるが、気がついた後で意地のタイムリーヒットを打った。
- 千曲ちあき(三塁手)
- 通称:美少女。背番号5、右投げ右打ち。甲子園を心から愛している純愛の人。甲子園の為にメンバーが足りない南波野球部に入部して試合にも出場する。抗争が和解し野球部員が増えた後に引退し、甲子園を見守る。
- 東大2年秋に鬼塚のバットを胸に受けてメチャクチャになって入院した甲子園に、自分の肋骨を提供して失踪する。しかし最終回直前に姿を見せる。
- 大山風太郎(二塁手,左翼手)
- 背番号4→7、右投げ右打ち。いつの間にか転校してきて、南波優勝に貢献して、いつの間にか去っていった格好良い人。無精ひげがトレードマーク。
- 長嶋との対決前に、何故かライバルチームの一員として登場する。
- ピノキオのような鼻のある丸顔と体格が、『ドカベン』の坂田三吉に酷似している。
- 福本(遊撃手)
- 背番号6、右投げ右打ち。甲子園大会決勝戦で突如出現した選手で、それまで南波は9人のメンバーが固定されていたのかどうかも不明であった。甲子園が負傷してスタメン落ちした際に、福本とは違う名称不明の選手が二人存在するが、別の場面では南波は9人しか選手がいないとも言われている。
- 完全に数合わせの選手と思いきや、気迫満点の打撃で活躍する場面もある。
[編集] 東京大学野球部(ただし甲子園と岩風を除く)
- 日ノ本政治(野球部主将)
- 背番号10、右投げ右打ち。
- 堀田(投手)
- 甲子園と岩風入学前の東大野球部のエース。背番号18、右投げ右打ち。
- 野呂間鹿之助(捕手のち左翼手)
- なぜか背番号30、右投げ右打ちで「まさかり打法」が得意。明るい性格で野球部のムードメーカーで、古風な言葉遣いが特徴。大柄な肥満体で東大生としてはパワーある打力があるが、その弊害の鈍足も併せ持つ。
- 妻小春と一子菊乃介がいる妻帯者。
- そのほかの東大野球部員は全員メガネ使用者。
[編集] 藤村甲子園の主なライバル達
- 池畑三四郎(北城中学→明和高校→東城大武蔵→早稲田大学)
- 投手→捕手、背番号1(高校時代)、右投げ右打ち。中学野球部で甲子園と喧嘩して以来、高校、大学を通じた甲子園の永遠のライバル。
- 甲子園の剛球と対照的な軟投派で、「七色の変化球」と呼ばれる程多くの変化球を持つが大阪大会で敗退。
- 関西出身なのになぜか共通語を話す。
- 東城大武蔵時代は、甲子園とほぼ互角の剛速球を投げる「剛球仮面」として登場(仮面を被った美形ライバルとしては勇者ライディーンのプリンス・シャーキンよりも先)、甲子園大会で南波高校を苦しめるが、足にケガを負ってからは、負担のかかる大回転投法で甲子園と投げ合うのは無理と判断して仮面を取り、再び七色の変化球の池畑三四郎に戻る。が、9回裏の岩風の打席では迷った揚げ句に大回転投法で投げるものの岩風に打たれ、打球を取ろうとして足を折ってしまいサヨナラ負けを喫してしまった。
- 春の選抜後に姿を消してから何故「剛球仮面」として東城大武蔵に入ったかは、池畑曰く「甲子園と甲子園球場で投げ合いたかったから」、「頬に傷を付けた土方を憎むよりもむしろ土方のいる東城大武蔵なら夏の甲子園に出場できるから」。
- 天王寺三郎(阿倍野西高校)
- 投手、背番号1、左投げ左打ち。阿倍野西高校のエース。剛球・巧打で知られる「大阪の手長ザル」。甲子園から大阪大会でホームランを打ったのは彼だけ。
- しかし岩風が自動車事故で手術を受けた時に献血する優しさもある。
- 川島(阿倍野西高校)
- 右翼手→捕手、右投げ右打ち。通称・大阪のベーブルース。天王寺登場後に捕手に転向。
- 土方玄(東城大武蔵高校)
- 投手→捕手、背番号1→2、右投げ右打ち。選抜で南波と対戦した東城大武蔵の主将でエースで4番打者。
- 夏の甲子園では剛球仮面の大回転投法を受ける捕手に転向する。
- 鬼塚幽次郎(早稲田大学)
- 神宮響(慶應義塾大学)
- 伊賀蘭丸(明和高校)
- 超スローボールを駆使し、転校した池畑に代わり明和高校のエースとなる。
- 顔が似ていたためか、岐阜の山ザル(中日ドラゴンズ練習生)と混同されがちで、作者すらライバルチーム結成登場時に間違えていた。
- 風見天神丸(中日ドラゴンズ二軍選手)
- 外野手、右投げ左打ち、背番号99。二軍落ちしていた藤村が頭巾を被って夜な夜な強打者相手に辻斬りまがいの勝負を持ちかけているとの噂を聞きつけ、王貞治のユニフォームで夜道を歩いてまんまと対決に成功。藤村と小野田の投球を見事に打ち返す。ウエスタンリーグで小野田信長、甲子園と対決し、「背面打法」という回転力を利用した打法でホームランを打つ。甲子園も小野田も風見との対決の為、一軍復帰を拒絶する。甲子園とほぼ同時に一軍に昇格。一軍公式戦では甲子園に挑む。その日、剛球を受けてやけどをした田淵のミットから球筋を読もうと怪我を装って救護室に行き、「力と力の勝負に小細工は無用」とたしなめられる。その後、力で藤村に挑み、腕を骨折して敗れる。
- 三原武司(松山南海高校)
- 松山南海高校の主将で策士の捕手。春の選抜準決勝にて南波と対戦し、盲目の岩風の弱点をつく作戦を決行し南波を苦しめるが敗退。
- 東城大武蔵の土方とともに夏の甲子園にて南波にリベンジを誓うが、残念ながらその後の彼の登場は無かった。
[編集] 藤村甲子園を取り巻くヒロイン達(ただし千曲ちあきを除く)
- 朝野あゆみ(明和高校)
- 甲子園の永遠の憧れ。一時実家の没落により、金貸しの権藤金次郎と政略結婚するが、死別して朝野姓に戻る。「私は藤村君の剛球にほれているの。」という名言を残す。
- なお連載初期では明らかに甲子園より身長が高かった。
- 千代子(下宿の娘)
[編集] 阪神タイガース
- 村山実
- 投手。ただし甲子園入団前に登場し、入団時には解説者として登場する。
- 金田正泰
- 一軍監督。
- 小山正明
- 一軍投手コーチ。史実に当てはめると大洋ホエールズで現役引退・コーチとして古巣に復帰直後。
- ことあるごとに藤村を挑発し、小野田とのライバル意識を掻き立てる。
- 江夏豊
- エース投手。巨人戦を前にブルペンで「思い切り行け、ぶっ倒れたらわしが行くで!」と無言で声援。
- 田淵幸一
- 捕手で4番打者。徹底した二枚目で、『がんばれ!!タブチくん!!』とは正反対のキャラクター。
- 遠井吾郎
- 一塁手。開幕戦で藤村をリリーフした小野田が「捕手を岩風に変えて欲しい」と要求したところ、「ブチを一塁に回したらええ。わしも下痢気味やし。」と機転を利かせる。まさに人柄そのもの。
- 他にも連載当時の選手、コーチ、スタッフが多数実名で登場する。
- 小野田信長(架空の投手)
- 阪神タイガース2軍投手。背番号87、右投げ右打ち。テストで入団し、阪神のエースの座「虎の座」を狙う。
- 一軍の捕手である田淵に接近する甲子園を尻目に岩風に近付く。その後もことあるごとに対立。藤村が南海戦で滅多打ちを食った日、岩風相手にピッチングをしていたところ、剛球フォークを小山正明投手コーチに見出される。
- 二軍落ちした藤村のむこうを張って辻斬り投手を名乗る。自然消滅。
[編集] 読売ジャイアンツ
- 王貞治
- 一塁手、球界屈指のホームランバッター。しかし、当時の作者の好みか、藤村の前にセカンドゴロ、センターフライ(実際はエラーで三塁に進塁)に討ち取られ、いいところなし。
- 長嶋茂雄
- 三塁手。ルーキーの年の甲子園球場遠征で甲子園に出会い、「お兄ちゃんをキリキリ舞いさせたんねん。」と言われて発奮する。超一流の打者に成長したが引退が近付いていた。
- 本作品では「長島」姓で登場する。
- 連載最終回に成長した甲子園と対決する。1点勝負を予想して切り札としてベンチに待機。9回表2アウト3塁で代打登場。バットを折って三振。「あとは頼むぞワンちゃん」と笑顔で去る。
[編集] テレビアニメ
1970年9月28日から1971年3月27日まで日本テレビで放映。放送時間は毎週月曜-土曜PM6:35-6:45。全156話。
[編集] キャスト
[編集] 主題歌
[編集] 逸話
本来この漫画は関西の話であるが、日本テレビの上層部が「東京の局がキー局なのに、関西弁はけしからん」と言い出したため、初期の話は標準語の台詞で放映された。しかし、やはり違和感が大きかったため途中から関西弁の台詞に変更された。
[編集] 関連項目
日本テレビ系 月-土帯18:35-18:45枠 | ||
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男一匹ガキ大将(再放送) | まんがジョッキー ※本作の再放送後に |