留萌本線
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留萌本線(るもいほんせん)は、北海道空知支庁の深川駅(深川市)から留萌支庁の留萌駅(留萌市)を経て、増毛駅(増毛郡増毛町)を結ぶ北海道旅客鉄道(JR北海道)が運営する鉄道路線(地方交通線)である。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別)・区間(営業キロ)
- 北海道旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 深川~増毛 66.8km
- 北海道旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 軌間:1067mm
- 駅数:20駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:
- 深川~留萌間 特殊自動閉塞式[軌道回路検知式]
- 留萌~増毛間 スタフ閉塞式
- 交換可能駅:2(峠下、留萌)
本線を名乗るJR線の中では、筑豊本線(66.1km)に次いで二番目に路線距離が短い。
[編集] 廃止線
留萠鉄道が留萌港まで開設した石炭や木材の貨物線であったが、1941年10月1日、買収と同時に留萠駅の構内線とされた。
- 留萠~西留萠 (1.2km) - 1930年12月1日開業
- 留萠~北留萠 (1.0km) - 1932年12月1日開業
- 分岐点~仮古丹浜 (1.1km) - 1934年9月30日開業
[編集] 歴史
天塩地方随一の良港として栄えた留萌港への石炭、木材、海産物等の輸送のため、北海道鉄道敷設法に規定する予定線として建設されたもので、1910年に留萠まで、1921年に増毛まで全通した。また、羽幌線の一部(留萠~古丹別)も留萠線として開業している。
1941年には、留萠鉄道の貨物線を買収し、同時に留萠駅の構内線とした。
開業以来、線名・駅名は「留萠」、地名等は「留萌」であったが、1997年に「留萠本線」→「留萌本線」、「留萠駅」→「留萌駅」と字体を変更している。
- 1910年11月23日 【開業】留萠線深川~留萠間(31.1M≒50.1km) 【駅新設】筑紫、沼田、恵比島、峠下、幌糠、藤山、大和田、留萠
- 1921年11月5日 【延伸開業】留萠~増毛間(10.4M≒16.7km) 【駅新設】礼受、舎熊、増毛
- 1924年4月25日 【駅名改称】沼田→石狩沼田
- 1926年7月1日 【仮乗降場新設】瀬越
- 1927年10月25日 【延伸開業】(*1)留萠~大椴間(後に羽幌線に編入) 【駅新設】三泊、小平、大椴 【信号場新設】東留萠
- 1928年10月10日 【延伸開業】大椴~鬼鹿間 【駅新設】鬼鹿
- 1931年8月15日 【延伸開業】鬼鹿~古丹別間 【駅新設】力昼、古丹別
- 1931年10月10日 【区間分離】羽幌線 留萠~古丹別間 【線名改称】留萠本線 深川~増毛
- 1941年10月1日 【買収】留萠鉄道(貨物線。詳細は上記)
- 1941年12月9日 【信号場廃止】東留萠
- 1954年11月10日 【駅名改称】筑紫→秩父別
- 1955年7月20日 【駅新設】北一己
- 1956年7月1日 【仮乗降場新設】北秩父別、真布
- 1962年1月15日 【列車新設】小樽・札幌~築別間を運行する準急「るもい」運行開始。
- 1963年5月1日 【列車新設・運行区間変更】札幌~幌延線幌延間運行の急行「はぼろ」運行開始。また、「るもい」運行区間を小樽~増毛間とする。
- 1963年12月1日 【仮乗降場新設】東幌糠、桜庭、阿分、信砂、朱文別、箸別 【列車新設・運行区間変更】「るもい」運行区間を旭川~増毛間の運行とし旭川~羽幌間のみを準急運転で運行する。札幌直通列車の名称を「かむい」に変更する。
- 1966年3月5日 【列車種別変更】準急行列車制度変更に伴い、「かむい」・「るもい」を急行列車に変更する。
- 1965年10月1日 【列車名称変更】「かむい」の本線直通列車の名称を「ましけ」に変更。
- 1968年10月1日 【列車運行区間・種別変更】「ましけ」留萌駅以遠を普通列車化。また、下り列車始発駅を手稲駅に変更。
- 1969年10月1日 【仮乗降場→臨時乗降場】瀬越
- 1970年10月1日 【列車運行区間・種別変更】「ましけ」上り終着駅を手稲駅とする。
- 1971年7月1日 【列車運行区間・種別変更】「ましけ」札幌駅→小樽駅間快速列車化。下り列車始発駅を手稲駅から札幌駅に変更する。
- 1978年10月2日 【貨物営業廃止】留萠~増毛間
- 1980年10月1日 【列車廃止】「ましけ」廃止。
- 1986年11月1日【列車廃止】「るもい」・「はぼろ」廃止。
- 1987年4月1日 【承継】北海道旅客鉄道 【仮乗降場→駅】北秩父別、真布、東幌糠、桜庭、阿分、信砂、朱文別、箸別 【臨時乗降場→駅】瀬越
- 1989年7月23日 【臨時駅新設】浜中海水浴場(瀬越~礼受間)
- 1990年3月10日 【列車新設】快速「るもい」1往復新設
- 1990年10月1日 【駅廃止】桜庭(東幌糠~藤山間)
- 1995年4月1日 【列車廃止】快速「るもい」普通列車化
- 1995年8月8日 【臨時駅廃止】浜中海水浴場
- 1997年4月1日 【線名改称】留萌本線 【駅名改称】留萠→留萌、北一己(きたいちゃん)→北一已(きたいちやん)
- 1999年4月1日 深川~留萌間の日本貨物鉄道の第二種鉄道事業が廃止
- 2006年3月18日 【駅廃止】東幌糠(峠下~幌糠間)
-
- (*1) 羽幌線の列車は留萠駅を発車すると、深川方面に東留萠信号場まで1.3km後退し、同信号場でスイッチバックして羽幌方面に向かっていた。これを解消するため、留萠駅に羽幌線用の4・5番ホームを新設し、留萠~三泊間に新線を敷設してこれに切り替えた。また、留萠~東留萠信号場間は留萠本線・羽幌線の二重戸籍区間であったが、この線路付替により解消された。
[編集] 運転
現在は普通列車のみの運転であり、全線通しで運転される列車が多いが一部「深川~留萌」や「留萌~増毛」の系統での運転もあり、深川~留萌間は2~3時間に1本、留萌~増毛間は5時間以上間隔が開く時間帯がある。下りのみの系統として1日1便「旭川→増毛」の系統もある。普通列車のみといえども、北秩父別駅は多くの列車が通過するほか、石狩沼田駅・峠下駅・留萌駅・礼受駅・舎熊駅を除く各駅については通過する列車が存在する。
かつては留萌駅・増毛駅発着や羽幌線直通の急行列車「るもい」・「かむい」→「ましけ」・「はぼろ」も運転されていたがすでに廃止され、都市間連絡需要は北海道中央バスや沿岸バスの運行する高速バス(高速るもい号・日本海るもい号・特急はぼろ号)に移転している。路線の歴史も参照されたい。
走行車両はキハ54形気動車の限定運用である。
[編集] SLすずらん号
1999年、NHKの連続テレビ小説『すずらん』の撮影が、真岡鐵道から蒸気機関車を借入れて行なわれた。これを機に、JR北海道においてもC11形蒸気機関車が動態復元され、本路線でもこれを使用した「SLすずらん号」が不定期で運転されていたが、2006年9月10日を最後に運転を終了した。
- SLすずらん号は全車指定席の快速列車として運行していた。
- SLすずらん号の停車駅は以下の通り(2005年運転時)。
- 深川駅 - 秩父別駅 - 石狩沼田駅 - 恵比島駅 - 留萌駅 - 増毛駅
- 上り(深川行き)は、留萌まで運転して運行を一旦打ち切り、その後2時間ほどしてから留萌から深川まで運行されていた。これは留萌駅を出ると増毛駅までの全駅が棒線駅であり、交換設備がないため、増毛駅に到着後すぐに列車を折り返さないと次の列車を増毛駅方面に運行できないからである。
[編集] 駅一覧及び接続路線
駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|
深川駅 | 0.0 | 北海道旅客鉄道:函館本線 | 北海道 | 深川市 |
北一已駅 | 3.8 | |||
秩父別駅 | 8.8 | 雨竜郡秩父別町 | ||
北秩父別駅 | 11.2 | |||
石狩沼田駅 | 14.4 | 雨竜郡沼田町 | ||
真布駅 | 17.8 | |||
恵比島駅 | 20.7 | |||
峠下駅 | 28.3 | 留萌市 | ||
31.6 | ||||
幌糠駅 | 34.5 | |||
37.2 | ||||
藤山駅 | 40.0 | |||
大和田駅 | 44.2 | |||
(48.8) | ||||
留萌駅 | 50.1 | |||
瀬越駅 | 52.2 | |||
礼受駅 | 56.2 | |||
阿分駅 | 57.5 | 増毛郡増毛町 | ||
信砂駅 | 60.2 | |||
舎熊駅 | 61.0 | |||
朱文別駅 | 62.7 | |||
箸別駅 | 64.0 | |||
増毛駅 | 66.8 |
- 取り消し線を引いた駅は、廃止となった駅。
[編集] 過去の接続路線
- 深川駅:深名線 - 1995年9月4日廃止
- 石狩沼田駅:札沼線 - 1972年6月19日石狩沼田~新十津川間廃止
- 恵比島駅:留萠鉄道 - 1969年5月1日休止、1971年4月15日廃止
- 留萠駅(留萌駅):
[編集] ロケ地データ
- 増毛駅
- 『駅~STATION』『魚影の群』『じゃこ萬と鉄』『網走番外地(さいはての流れ者)』『BOOTLEG FILM』『殺し(KOROSHI)』
- 留萌駅
- 『留萌交番日記』『学校II』『てなもんや駅長奮戦記』『歩く、人』
- 恵比島駅
- 『すずらん』
- 幌糠駅
- 『青空に一番近い場所』