札沼線
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札沼線(さっしょうせん)は、北海道札幌市中央区の桑園駅から北海道樺戸郡新十津川町の新十津川駅までを結ぶ北海道旅客鉄道(JR北海道)が運営する鉄道路線(地方交通線)である。
函館本線にほぼ並行して石狩川右岸を通っている。
札沼線という名称は、札幌駅と、かつての終点だった留萌本線石狩沼田駅から一文字ずつ取ったものである。沿線に北海道教育大学札幌校・北海道医療大学があることから、1991年3月11日から学園都市線(がくえんとしせん)という愛称が付けられた。
車窓は、石狩当別駅までは札幌郊外の住宅地、農地等である。その先はやや山地を抜ける。札比内駅から新十津川駅までは平坦な農地を進む。新十津川駅に向かって進行方向左側にピンネシリ山を含む山地がよく見える。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別):北海道旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):桑園~新十津川 76.5km
- 軌間:1067mm
- 駅数:29駅(起終点駅含む)
- 複線区間:八軒~あいの里教育大間 11.4km
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:
- 桑園~八軒間 特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)
- 八軒~あいの里教育大間 複線自動閉塞式
- あいの里教育大~石狩月形間 特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)
- 石狩月形~新十津川間 スタフ閉塞式
[編集] 歴史
改正鉄道敷設法別表第136号に規定する「石狩国札幌カラ当別ヲ経テ沼田ニ至ル鉄道」で、1931年に北側の札沼北線(さっしょうほくせん)石狩沼田~中徳富(初代。現在の新十津川)間が開業したのを皮切りに1934年に浦臼まで、南側は札沼南線(さっしょうなんせん)として1934年に桑園~石狩当別間が開業した。1935年に石狩当別~浦臼間の開業により全通し、札沼線と改称した。
しかし、太平洋戦争が激しくなると不要不急線として、1943年から1944年にかけて石狩当別~石狩沼田間が休止された。
戦後は1946年に石狩当別~浦臼間が復活したのに続いて1956年までに全線が復活したが、営業成績は振るわなかった。1968年には「赤字83線」に廃止すべき路線としてその名をあげられ、その取組みの中で新十津川~石狩沼田間が1972年に廃止された(この時の廃止区間は34.9kmで、赤字83線における1路線の廃止距離としては最長である)。
残った区間については、新十津川側では依然として列車の本数が少ないままな一方、札幌側においては新駅の設置・高架化・複線化が実施され、札幌市の近郊区間として脱皮が図られている。
- 1931年10月10日 【開業】札沼北線 石狩沼田~中徳富(34.9km) 【駅新設】北龍、和、石狩追分、雨龍、上徳富、石狩橋本、中徳富(初代)
- 1934年10月10日 【延伸開業】中徳富~浦臼(13.8km) 【駅新設】下徳富、浦臼
- 1934年11月20日 【開業】札沼南線 桑園~石狩当別(25.9km) 【駅新設】新琴似、篠路、石狩太美、石狩当別
- 1935年10月3日 【延伸開業・全通】石狩当別~浦臼(36.8km) 【線名改称】札沼線 桑園~石狩沼田(札沼北線を札沼南線に編入) 【駅新設】石狩金沢、本中小屋、中小屋、石狩月形、札比内、晩生内
- 1943年10月1日 【休止】石狩月形~石狩追分(-45.9km) 【駅休止】札比内、晩生内、浦臼、下徳富、中徳富、石狩橋本、上徳富、雨龍
- 1944年7月21日 【休止】石狩当別~石狩月形(-20.4km) 【駅休止】石狩金沢、本中小屋、中小屋、石狩月形 【休止】石狩追分~石狩沼田(-19.2km) 【駅休止】石狩追分、和、碧水、北龍
- 1946年12月10日 【営業再開】石狩当別~浦臼(36.8km) 【駅復活】石狩金沢、本中小屋、中小屋、石狩月形、札比内、晩生内、浦臼
- 1953年11月3日 【営業再開】浦臼~雨龍(26.1km) 【駅復活】下徳富、中徳富→新十津川、石狩橋本、上徳富、雨龍
- 1956年11月16日 【営業再開】雨龍~石狩沼田(22.6km)(全線復活) 【駅復活】石狩追分、和、碧水、北龍 【駅新設】鶴沼、南下徳富、中徳富(2代)、北上徳富、渭ノ津、中ノ岱、五ヶ山 【仮乗降場新設】南雨竜、中雨竜
- 1958年7月1日 【駅新設】釜谷臼、月ヶ丘、知来乙
- 1959年12月1日 【仮乗降場新設】於札内
- 1960年9月1日 【駅新設】札的
- 1960年9月10日 【駅新設】豊ヶ岡
- 1967年12月15日 【新設】東篠路
- 1972年6月19日 【路線廃止】新十津川~石狩沼田(-34.9km) 国鉄バスに転換(注) 【駅廃止】石狩橋本、上徳富、北上徳富、雨龍、石狩追分、渭ノ津、和、中ノ岱、碧水、北龍、五ヶ山 【仮乗降場廃止】南雨竜、中雨竜
- 1979年2月1日 【貨物営業廃止】桑園~新十津川(-76.5km)
- 1981年12月1日 【仮乗降場新設】大学前
- 1982年4月1日 【仮乗降場→駅】大学前
- 1986年6月28日 【臨時乗降場新設】百合が原
- 1986年11月1日 【駅新設】あいの里教育大 【臨時乗降場新設】新川、太平
- 1987年4月1日 【承継】北海道旅客鉄道 【臨時乗降場→駅】新川、太平、百合が原 【仮乗降場→駅】於札内
- 1988年11月3日 【駅新設】八軒
- 1995年3月16日 【複線化】太平~篠路(2.9km) 【駅名改称】東篠路→拓北、釜谷臼→あいの里公園、大学前→北海道医療大学
- 1997年3月22日 【複線化】篠路~あいの里教育大(3.4km)
- 2000年3月11日 【複線化】八軒~太平(5.1km)
- 2006年3月18日 【駅廃止】中徳富
(注)当初は国鉄バスに転換されて滝川~新十津川~石狩沼田間が運転されていた。のちにこの系統はジェイ・アール北海道バスの空知地区撤退に伴い2003年2月28日に北海道中央バスに移管された。なお北海道中央バスの路線は新十津川駅には乗り入れていない。
[編集] 運行形態
基本的に運行系統は石狩当別駅で分かれている。ただし北海道医療大学発着便については石狩当別以南に直通する。なお1日1便ずつ、「札幌駅→浦臼駅」と「新十津川駅→札幌駅」の系統がある。
路線上の始点は桑園駅であるが、桑園駅発着の列車はなくすべて1駅隣の札幌駅まで乗り入れる。そのため、函館本線札幌駅~桑園駅間に札沼線専用の単線を有する。1日1往復、函館本線経由で江別駅までの乗り入れがある。
北海道医療大学駅までは、札幌市の大都市近郊区間として運転本数が多く、あいの里教育大駅・あいの里公園駅・石狩当別駅・北海道医療大学駅折り返しの列車が多数設定されている。札幌駅~あいの里教育大駅の間では日中おおむね20分間隔で列車が運転されている。しかし北海道医療大学駅から石狩月形駅は1日7.5往復、石狩月形駅から浦臼駅までは7往復、浦臼駅から新十津川駅までは3往復しか設定されていない(すなわち、新十津川駅には一日に3本しか列車が来ない)。新十津川駅までは、函館本線滝川駅から徒歩または路線バス(北海道中央バス、空知中央バス)で連絡可能であり、新十津川町町民でも日常的に札沼線を使う人は皆無に等しい。ただし運転本数の少なさから、鉄道ファンには人気がある。なお、石狩当別駅~新十津川駅の区間はワンマン運転である(札幌~北海道医療大学発着便の列車は除く)。
[編集] 使用車両
- 国鉄キハ40系気動車
- JR北海道キハ141系気動車(桑園~北海道医療大学間のみ)
- JR北海道キハ201系気動車(桑園~北海道医療大学間のみ)
[編集] 駅一覧及び接続路線
- |:単線区間 ∧:これより下は複線 ∥:複線区間 ∨:これより下は単線
- #印は、単線区間(札幌~八軒(注)・あいの里教育大~新十津川)内の駅で交換可能な駅。
路線名 | 駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 単線/複線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|
※ | 札幌駅 | 北海道旅客鉄道:函館本線 | | | 北海道 | 札幌市北区 | |
#桑園駅 | 0.0 | 北海道旅客鉄道:函館本線 | | | 札幌市中央区 | ||
札沼線 | ||||||
八軒駅 | 2.2 | ∧ | 札幌市西区 | |||
新川駅 | 3.7 | ∥ | 札幌市北区 | |||
新琴似駅 | 5.6 | 札幌市営地下鉄:南北線(麻生駅) | ∥ | |||
太平駅 | 7.3 | ∥ | ||||
百合が原駅 | 8.6 | ∥ | ||||
篠路駅 | 10.2 | ∥ | ||||
拓北駅 | 12.2 | ∥ | ||||
あいの里教育大駅 | 13.6 | ∨ | ||||
#あいの里公園駅 | 15.1 | | | ||||
#石狩太美駅 | 19.3 | | | 石狩郡当別町 | |||
#石狩当別駅 | 25.9 | | | ||||
北海道医療大学駅 | 28.9 | | | ||||
石狩金沢駅 | 31.1 | | | ||||
本中小屋駅 | 35.6 | | | ||||
中小屋駅 | 38.8 | | | ||||
月ヶ岡駅 | 41.6 | | | 樺戸郡月形町 | |||
知来乙駅 | 44.2 | | | ||||
#石狩月形駅 | 46.3 | | | ||||
豊ヶ岡駅 | 51.0 | | | ||||
札比内駅 | 53.5 | | | ||||
晩生内駅 | 58.0 | | | 樺戸郡浦臼町 | |||
札的駅 | 60.9 | | | ||||
浦臼駅 | 62.7 | | | ||||
鶴沼駅 | 66.1 | | | ||||
於札内駅 | 67.9 | | | ||||
南下徳富駅 | 69.4 | | | 樺戸郡新十津川町 | |||
下徳富駅 | 71.5 | | | ||||
73.9 | | | |||||
新十津川駅 | 76.5 | | |
※:函館本線
[編集] 廃止区間
新十津川駅 - 石狩橋本駅 - 上徳富駅 - 北上徳富駅 - 南雨竜仮乗降場 - 雨龍駅 - 中雨竜仮乗降場 - 石狩追分駅 - 渭ノ津駅 - 和駅 - 中ノ岱駅 - 碧水駅 - 北龍駅 - 五ヶ山駅 - 石狩沼田駅
[編集] 過去の接続路線
- 現存区間
- 廃止区間
- 石狩沼田駅:留萌本線
[編集] 沿線市町村
現存区間は駅一覧及び接続路線を参照。