高橋留美子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
![]() |
ウィキポータル |
日本の漫画作品 |
日本の漫画家 |
漫画原作者 |
漫画雑誌 |
カテゴリ |
漫画作品 |
漫画 - 漫画家 |
プロジェクト |
漫画作品 - 漫画家 |
高橋 留美子(たかはし るみこ、女性、1957年10月10日-)は日本の漫画家。新潟県新潟市出身。専門は少年漫画、青年漫画。小学館専属。
目次 |
[編集] 概要
代表作は『うる星やつら』、『めぞん一刻』、『らんま1/2』、『犬夜叉』。以上の作品は全てTVアニメ化・映画化されており、週刊連載した作品は全て大ヒットしている。
1978年、「週刊少年サンデー」掲載の『勝手なやつら』でデビュー。
少年漫画や青年漫画を描く女性漫画家のパイオニアとして著名で、1970年代末頃から現在まで第一線で活躍している。
彼女の新規性は、
にある。
1に関しては、例えば押入れが海王星に繋がっており、そこでガールフレンドとその友人と再会するとか、宇宙人(複数)が正月に振袖を着て日本人と百人一首をやるというような、本来SF漫画として扱われるものが、日本人の日常生活のなかに違和感無く共存させている点などが挙げられる。吾妻ひでおも同系統の作法を用いて自己の漫画世界を構築しているが、後者の場合、「日常」と「SF」との乖離そのものを超現実的なギャグとしたのに対し、前者はむしろ超現実が日常化していることが物語の舞台・背景を形成している事をギャグとしている。
2に関しては、日本の少年漫画は、手塚治虫・赤塚不二夫という二大巨匠によって、「ストーリー漫画」と「ギャグ漫画」という棲み分けが漫画界において暗黙の了解となっており、その中間は考えにくかった。そんな中で、高橋はストーリー漫画的な絵柄でギャグを描き、また物語も基本的にギャグでありながらストーリーの手法も取り入れており、一言で言えば「ストーリー」と「ギャグ」という手塚・赤塚以来の境界を取っ払い、少年・青年漫画に新たな地平を開いたと言える。それまでも、永井豪など「ストーリー」と「ギャグ」両方を描く作家はいたが、ひとつの作品に、この二つの要素が同居することは、まず無かった。一方、少女漫画の世界では、高橋のこの偉業も、かなり以前から当たり前に行われていた。少年漫画でそれを実現出来たのも高橋が女性だったからかもしれない。
『うる星やつら』、『らんま1/2』においてお笑い漫画の全盛を極め、『めぞん一刻』で青年誌における恋愛漫画の金字塔を打ち建て、『犬夜叉』では高橋が以前から『人魚シリーズ』等で取り組んできた伝奇と、ギャグを組み合わせるという新しい手法に挑戦している。 彼女の作品群は短編集の名前(『るーみっくわーるど』)から総称して「るーみっく」と呼ばれている。一部ではその作品の愛好者を「るみきすと」と呼ぶ。
[編集] 受賞歴
- 1978年 第2回小学館新人コミック大賞佳作 - 『勝手なやつら』
- 1981年 第26回小学館漫画賞少年部門 - 『うる星やつら』
- 1987年 第18回星雲賞コミック部門 - 『うる星やつら』
- 1989年 第20回星雲賞コミック部門 - 『人魚の森』
- 2002年 第47回小学館漫画賞少年部門 - 『犬夜叉』
[編集] 来歴
新潟市内の開業医の末っ子(2男1女の長女)として生まれる。父、高橋光雄は産婦人科医で、高橋卯木の俳号を持つ俳人。曽祖父、高橋辰五郎も明治時代に新潟県の近代産婆(助産師)教育に貢献した産婦人科医であった。
幼少期からマンガに興味を持ち続け、高校2年生の時に漫画家を目指して「週刊少年マガジン」に投稿するも落選。 また、高校で漫画研究クラブを共に設立した友人が近藤ようこである。
高校卒業後は父の方針で上京。大学では目白花子と漫画研究会「(没)」を設立し、会誌「びびっと」上で作品を発表する一方、プロを目指して劇画村塾で小池一夫に師事した。
1980年6月のデビュー時に、小学館の名物編集者の一人である白井勝也(後の「ビッグコミックスピリッツ」初代編集長。現・小学館専務取締役)に「10年、20年に一人、出るか出ないかの天才」と激賞される。その後楳図かずおの短期アシスタントを経て、大学卒業後は「週刊少年サンデー」で『うる星やつら』、「スピリッツ」で『めぞん一刻』の本格連載を開始、念願のプロとなった。
[編集] 学歴
- 1970年3月 新潟大学教育学部附属新潟小学校卒業。
- 1973年3月 新潟大学教育学部附属新潟中学校卒業。
- 1976年3月 新潟県立新潟中央高等学校卒業。
- 1980年3月 日本女子大学文学部史学科卒業。
[編集] 情報
[編集] プロフィール
以下の情報の多くは「少年サンデーグラフィックうる星やつら」で連載された「けも・こびるの日記」に掲載されている。
- 血液型はA型で右利き。
- 好きな学科は国語と図画。
- 好きな色はサーモンピンク。
- 好きな花は藤の花。
- 得意の料理は豚汁。
- 趣味はプラねんどと電話と落書きで、長電話は最高12時間ぐらい話した事がある。
- 大の地震嫌い。6歳の時に新潟地震を体験しているためといわれる。
- 親指が直角に曲がるのが自慢。
- 夜中に停電が起きても、ローソクを使ってでも手を休めないほど仕事熱心である。
- 実はスネークマンショー の大ファン。
- スポーツは苦手。
- アルバイトはやった事がない。
- 例年10月は誕生日プレゼントで山になる。
- 起きている時間はずっとテレビをつけっぱなしでいる。
- かつて焼きそばに凝っていた。
- 中学と高校の制服はジャンパースカートにブレザーだったためセーラー服に憧れている。
- マンガのキャラと同じぐらい巨乳。
- 実は宝塚歌劇の大ファン。
[編集] 作品のプロフィール
- ラブ・ストーリーが大好きで、ほとんどの作品は恋愛要素を多く含んでいる。
- 自分の漫画で下ネタだけはやりたくない。
- 登場人物の必要外の情報は全く明かさない。例えば誕生日が判るのはうる星やつらの諸星あたると面堂終太郎ぐらい。
- 登場人物の父母の名前はほとんど明かさない。例えば名前が判るのは、らんま1/2の早乙女夫婦と早雲ぐらい。
- 主人公の男女のキスシーンはまず描かない。彼女の漫画史上、最もキスした回数の多いカップルはうる星やつらの諸星あたる&ラム。
- 作中でキリスト教関係者や神道関係者は高潔な人間として描かれるが、仏教関係者は偽善的でだらしない人間として描かれることが多い。
- 作中、キャラクターが手の親指・人差し指・小指を立てる表現がしばしば描かれる。特に意味はないがギャグシーンでよく使われる。過去高橋がアシスタントをしていた楳図かずおの影響と思われる。
- 単行本の表紙は女性キャラクターで絵に花を咲かせるのが特徴。かつて「多分これからもずっと」と述べたが、この特徴は現在はほぼ完全に廃れている。
- 武者小路実篤の「仲良きことは美しき哉」という言葉が好きで作中に数回登場している。
- 擬態語が重大なシーンではカタカナになり、和やかなシーンではひらがなになる。
- 原稿を落とすこと(作者都合による休載)が『らんま1/2』連載中に虫垂炎にかかったとき以外ない。特に五代と響子の仲が佳境をむかえた『めぞん一刻』連載後半時には、『うる星やつら』週刊連載とあわせて怒濤の週刊連載2本を抱えたが、作品の質を落とすことなく見事に連載を成し遂げた。
- ラ行の文字が好きだと語っており、『うる星やつら』に登場する地球人でない者の名前はラム、レイ、ラン、ルパ、カルラ等のラ行ばかり。
- デビュー作『勝手なやつら』は増刊号に載る予定であったが、週刊号が1枠余ってしまったため、そちらに載せてもらった。
- 他の女性漫画家があまり描かないブルマー姿の女の子を描くことがある。
[編集] その他のエピソード
- 16歳の頃まではプロ野球の阪神タイガースファンであったが、読売ジャイアンツとの最終戦で優勝を逃してから足を洗った。しかし現在再び阪神ファンとなっていて、2003年にセ・リーグ制覇した時、デイリースポーツに『うる星やつら』のヒロインのラムがタイガースを応援する描き下ろしイラストを連載した。
- 学生時代、同人誌で『虚塵の星』を描くなど、アンチ巨人である。一説には「虚塵」の当て字を使ったのは高橋が最初といわれている。
- かつてのペンネームは「けも・こびる」。「こびる」は留美子の逆さ読みであるが「けも」の意味は未だに不明。(けも→毛も、として「毛も媚びる」といった言葉遊びも隠されているかのように思える。)
- 漫画を描くことに人生の全てを賭け、結婚が原因で漫画が描きにくくなるとの理由から現在でも独身である。
- 「男がいると面倒くさい」ので、アシスタントは全て女性である。
- 『うる星やつら』連載時の担当、大島誠(現・ビッグコミックスペリオール編集長)とさくまあきら・高橋の3名は顔がそっくりで見分けがつかないと言われた。
- サイン色紙をほとんど書かない漫画家として有名。その為市場等でもほとんど出回っておらず、サイン色紙は高値で取引されているという。なお、あだち充『タッチ』第8巻では、ヴァーチャルでラムが描かれたサイン色紙を見ることができる。
- 作家の筒井康隆と平井和正のファン。『うる星やつら』の連載初期には筒井の著作が背景の書棚に並ぶ回があり、『めぞん一刻』の登場人物名も筒井作品からの影響があるといわれる。また学生時代は平井和正・池上遼一版のスパイダーマンに傾倒しており、連載をファイリングし「汚さないように」と念押しした上でその魅力を啓蒙するため貸し出していた。後年、平井と対談を果たした際に「30を過ぎたら平井先生の作品に影響を受けた漫画を書きます」と宣言したが、「犬夜叉」「人魚の森」といった作品がそれに該当すると思われる。
[編集] 作品リスト
- 勝手なやつら(1978年、週刊少年サンデー)
- 腹はらホール(1978年、別冊BIG GORO)
- 黄金の貧乏神(1978年、週刊少年サンデー増刊号)
- うる星やつら(1978年-、週刊少年サンデー)
- ダストスパート!!(1979年)
- ザ・超女(1980年、週刊少年サンデー増刊号)
- めぞん一刻(1980年-、ビッグコミックスピリッツ)
- 笑え!ヘルプマン(1981年、週刊少年サンデー増刊号)
- 戦国生徒会(1982年、週刊少年サンデー増刊号)
- 闇をかけるまなざし(1982年、週刊少年サンデー増刊号)
- 笑う標的(1983年、週刊少年サンデー増刊号)
- 炎トリッパー(1983年、週刊少年サンデー増刊号)
- 忘れて眠れ(1983年、週刊少年サンデー増刊号)
- われら顔面仲間(1984年、週刊少年サンデー増刊号)
- 人魚シリーズ(1984年-、週刊少年サンデー(増刊含)不定期掲載)
- 第一話「人魚は笑わない」から続く一連のシリーズの総称。
- 一般には「人魚の森」「人魚の傷」などのタイトルで知られる
- らんま1/2(1987年-、週刊少年サンデー)
- 1 or W(1994年)
- 犬夜叉(1996年-、週刊少年サンデー)
- withCAT(1999年)
- 1ポンドの福音(1987年-、週刊ヤングサンデーに不定期掲載、2007年に掲載誌完結)
- Pの悲劇(高橋留美子劇場)
- 専務の犬(高橋留美子劇場)
- 赤い花束
年は発表(連載開始)年。
[編集] 師匠
[編集] アシスタント経験者
デビュー当時から全員女性である。
専任(過去)
- さいとう邦子
- 中野まき子
- 清水彩(後に椎名高志と結婚)
一時参加
[編集] その他の関連作品
- TVアニメ『十五少年漂流記』1982(キャラクターデザイン)
- TVゲーム『機動新撰組 萌えよ剣』(キャラクターデザイン)
- 劇団☆新感線公演『花の紅天狗』(ポスターデザイン)
- 古田新太のエッセイ『柳に風』ぴあ ISBN 483560914X (表紙イラスト・挿絵)
- 金春智子の小説『お嬢さま作家・春菜の事件簿シリーズ』全4冊 光文社文庫 (表紙イラスト)
- 1990年のJR京葉線全線開業時、イメージキャラクター「マリン」をデザインしている。
- GS美神 極楽大作戦!!に、キャラクターの一人として登場。