高機動型ザクII
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
高機動型ザクII(こうきどうがたザクツー、High Mobility Type ZAKU II あるいは High Maneuber Model ZAKU II)は、アニメ作品のガンダムシリーズのうち、宇宙世紀を世界観としたシリーズに登場する架空の兵器(モビルスーツ)。
一年戦争期にジオン公国軍において製造された機体であり、生産時期や仕様の差異により型式番号が異なるが、一般的にはMS-06Rと総称される。また、単にR型(R-Type)と呼称されることも多い。(注:「II」は、ローマ数字の2である)
目次 |
[編集] 機体解説
このR型は、宇宙空間におけるザクII F型(MS-06F)の性能向上を目的として開発された高機動空間戦用バージョンである。改良を重ねた結果、外観こそは背部・脚部を除くとそれまでのザクと大差がないが、フレームまで全面的に改修されるなど内部構造は大きく変化しており、事実上別のモビルスーツになっているといえる。推進系の制御が難しく、ある程度熟練したパイロットではないと扱いかねる機体となってしまったが、戦闘能力が大きく向上していたため、多くのエースパイロットに愛用された。
派生型は通説では7種類あるとされ、特にR-2型はザクIIF型の後継機種となる次期主力機コンペティションでリック・ドムとその座を賭けて争った。R型の総生産機数は派生型を含めて78機とするのが定説だが、100機あまりとする説もある。
なお、開発経緯は各派生型の解説に譲る。
[編集] 備考
アニメ『機動戦士ガンダム』本編には登場しない機体で、元々はみのり書房刊のムック『ガンダムセンチュリー』で、ザクIIのバリエーションの一つとして記述されたのが始まりである。黒い三連星が使用したエースパイロット専用の、それもシャア専用ザク(S型)を上回る高機動性能を持つ機体として設定されたことから、ファンの間で話題となった。
その後、大河原邦男によるデザイン設定を経て、プラモデル企画「MSV」において公式設定が作られた。同時に設定された、R型ザクを駆るジョニー・ライデンやシン・マツナガなど、アニメ本編には登場しないエースパイロット達ともあいまって、MSVシリーズ第1弾にして同シリーズを代表する製品となった。
当初はこの機体が「ザクII」と呼ばれていた(「ザクI」は通常の量産型ザクを指す)。しかし、間もなくにMS-05Bを「ザクI」、MS-06Fを「ザクII」、MS-06Rは「高機動型ザクII」と設定し直されている。
その後もR型ザクの人気はとどまることを知らず、マスターグレードシリーズにおいても最初期に模型化された製品の一つとなっている。
[編集] バリエーション
[編集] 試製高機動型ザクII
試製高機動型ザクII | |
型式番号 | MS-06RP |
所属 | ジオン公国軍 |
建造 | グラナダ基地 |
生産形態 | 試作型 |
全高 | 不明 |
本体重量 | 不明 |
全備重量 | 不明 |
ジェネレーター出力 | 不明 |
スラスター総推力 | 不明 |
センサー有効半径 | 不明 |
装甲材質 | 超高張力鋼 (超硬スチール合金) |
主な搭乗者 | エリオット・レム |
武装 | 420mmロケット砲 360mmロケット砲 他F型と同じ |
試製高機動型ザクII(しせいこうきどうがたザクツー、High Mobility Type ZAKU II Prototype あるいは High Maneuber Proto Model ZAKU II)は、プラモデル『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション』において設定された架空の兵器。型式番号はMS-06RP。高機動型ザクII・プロトタイプなどとも呼ばれる。
ジオン公国軍は一年戦争開戦1ヶ月を経て、南極条約の締結によって戦争の長期化が必至となったため、宇宙での戦力強化対策の一環としてR型の開発を始めた。緒戦でのデータにより、F型の汎用性がモビルスーツの性能を妨げていると判断され、宇宙戦用や地上戦用など局地戦に特化した機種が必要となったのである。そのため、ジオン公国参謀本部はF型の宇宙戦用汎用型後継機種として、一般汎用機に位置づけられるF-2型とは別ラインで、高機動汎用機となるR型を開発することにした。
R型の開発にはF型の後期生産型2機が使用され、MS-06RPの型式番号が与えられた。開発は月面のグラナダ基地で行われ、ジオニック社のエリオット・レム中佐(当時は少佐であったとする説が強い)による高機動飛行テスト、マニュアルプレート操作時の機体保持テストなど2週間のテスト後、両機とも良好な結果に終わったため、即時に量産が開始された。設計は基本的に背部メインスラスター(F型の倍となる218t)、腰部インテグラルタンク、脚部サブスラスター(計6基)の3点に絞って行われた。試作機は両機ともオレンジイエロー(ディグロウオレンジ)の識別色で塗装されていた。また、武装は420mmロケット砲(バズーカ)も用意されたが、生産性の問題から量産は却下された。
[編集] 高機動型ザクII 初期量産型
高機動型ザクII 初期量産型 | |
型式番号 | MS-06R-1(MS-06R) |
所属 | ジオン公国軍 |
建造 | ジオニック社本社工場 グラナダ工廠 |
生産形態 | (先行)量産型 |
全高 | 17.5m(異説18.0m) |
本体重量 | 不明 |
全備重量 | 不明 |
ジェネレーター出力 | 不明 |
スラスター総推力 | 不明 |
センサー有効半径 | 不明 |
装甲材質 | 超高張力鋼 (超硬スチール合金) |
主な搭乗者 | シン・マツナガ ノルディット・バウアー ブレニフ・オグス |
武装 | 360mmロケット砲 他F型と同じ |
高機動型ザクII 初期量産型(こうきどうがたザクツーしょきりょうさんがた、High Mobility Type ZAKU II あるいは High Maneuber Model ZAKU II)は、プラモデル『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション』において設定された架空の兵器。型式番号は当初MS-06Rだったが、後にMS-06R-1に変更された。初期生産型、先行型などとも呼ばれる。
RP型のテストデータを検証した結果、軍部はF型を改修するのではなく、全面的に再設計を行った機体を生産することにした。これは、F型をベースにした場合、推進剤の積載量を十分に確保できないと判断されたためである。RP型との大きな違いは外部接続式の伝導ケーブルやサーキットが増えたのが大きな特徴であり、腰部のインテグラルタンクは脚部や胴体上部に分化された。
量産型として指定されながらも、多くの部分が新規設計のものになってしまい、F型の量産ラインをそのまま使うことができなくなってしまったため、生産施設は少なかった。また、推進ロケットエンジンの不良と、推進剤の積載量が少なかったために戦場で推進剤を使い切ってしまうパイロットが続出し、本来の評価を得るのに時間がかかってしまい、初期発注分の22機が完成したところで生産が中止されてしまった。これは、一週間戦争やルウム戦役で多くの優秀なパイロットを失っていたことも原因の一つである。
このR-1型は実践テストもかねて、本国防空本体を含む各要塞基地や、パトロール艦隊へ配備された。正式塗装はF型と同じグリーンであるが、パーソナルカラーを施された機体も多い。なお、生産機数22機のうち、10機がR-1A型に改修された。
- 指揮官用機
- シン・マツナガ専用機
- R-1型ではもっとも有名な機体であろう。詳しくはR-1A型にて述べる。
- ノルディット・バウアー専用機
- ブレニフ・オグス専用機
[編集] 高機動型ザクII 改良型
R-1型の問題点を改良した高機動型ザクII。(型式番号:MS-06R-1A)
[編集] 試製高機動型ザクII 後期型
型式番号:MS-06R-2P。MS-06R-2のプロトタイプモデルである。
[編集] 高機動型ザクII 後期型
R-1Aをさらに改良した高機動型ザク。(型式番号:MS-06R-2)外見こそザクのイメージをとどめているものの、性能、仕様などはR-1A型から大幅な変更が行われているため、改修機というよりはまったく別物の機体と言っても過言ではない。
コンペテイションでリック・ドムと次期主力の座を争ったが、生産性で劣り主力の座に付く事が出来なかった(一部能力ではリック・ドムを上回っていたらしい)。そのため生産された実機はわずか4機にとどまり、うち3機がジョニー・ライデン少佐、ギャビー・ハザード中佐、ロバート・ギリアム大佐の3名に引き渡された。残る1機はジオニック社にてR-3型に改修され、ゲルググのテストベッドとされた。
[編集] 高機動型ザクII改 フルバレット
ジョニー・ライデン搭乗のR-2型を改修した機体。メカニック曰く「真のR-2」。ビーム兵器の使えないザクに多量の実弾系武装を装備、「1発では駄目でも100発の弾丸をもって敵を撃破する」をコンセプトとして開発された。万一ビーム兵器搭載機が開発できなかった時の、プランBであったらしい。 武装は、右腕に3連ミサイルポッド、シールド内に2連マシンガン、左腕に3連マシンガン、胸部に2連バルカン砲、左右腰部にビックガン、頭部にはブレードアンテナの代わりにヒートホークが設置されている。脚部はR-2型と大差ない。
ア・バオア・クー戦にて乗機のゲルググが大破した後ジョニー・ライデンが搭乗、同戦場にて連邦のフルアーマーガンダム(パイロットは不明)と交戦、相打ちになり大破している。なおフルバレットという呼称はジョニー・ライデンが敵のフルアーマーに対抗して命名したもので、正式な物ではない。
[編集] 高機動型ザクII ゲルググ先行試作型
ゲルググの試作機と言われている機体(型式番号:MS-06R-3)。先行量産型ゲルググ(YMS-14)が試作機と呼ばれることもあるがあくまで先行量産機であり、真の試作機としてはザクIIIとも呼ばれた当機であると思われる。
ガンダムシリーズ (カテゴリ) | ||
シリーズ一覧: | ガンダムシリーズ一覧 - ゲーム作品一覧 - SDガンダム | |
世界観: | 宇宙世紀 - 未来世紀 - アフターコロニー - アフターウォー - 正暦 - コズミック・イラ - SDガンダム | |
ガンダムシリーズの映像作品 | ||
テレビシリーズ: | 機動戦士ガンダム - Ζガンダム - ガンダムΖΖ - Vガンダム - Gガンダム - ガンダムW - ガンダムX - ∀ガンダム - ガンダムSEED - SEED DESTINY - SDガンダムフォース | |
OVA: | 0080 - 0083 - 第08MS小隊 - Endless Waltz - MS IGLOO - SEED STARGAZER - SD外伝 ジークジオン編 - - GUNDAM EVOLVE | |
劇場版: | 逆襲のシャア - ガンダムF91 - G-SAVIOUR - GUNDAM THE RIDE - グリーンダイバーズ - SD外伝 聖機兵物語 | |
ガンダムシリーズの劇中項目 | ||
劇中項目一覧: | 人物一覧 - 機動兵器一覧 - 艦船及びその他の兵器一覧 - 用語一覧 | |
テンプレート |