VIA
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VIA Technologies, Inc.(ヴィア・テクノロジーズ、中: 威盛電子股份有限公司)は、台湾の半導体メーカー。主に、PC/AT互換機向けチップセットとx86互換CPUの開発・設計で知られる。
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[編集] 沿革
- 1992年9月に設立。
- 1999年、ナショナル セミコンダクターから子会社のサイリックスを買収。更にIDT社から傘下のCentaur社を買収。CPU市場に参入した。
- 2000年、グラフィックスメーカーのS3がVIAにグラフィックス部門を売却。更にICEnsembleを買収し、サウンド関連にも参入。
[編集] チップセット
低価格製品を売りに、Socket7用のMVPシリーズや、Slot1/Socket370用のApollo Proシリーズでインテル純正チップセットに対抗、一定の成功を収めた。AMDが自社のプラットフォーム基盤を強化するため、互換チップセットベンダーの育成を図る方針を採ったため、AMD用チップセットとしては大手になった。現在は、多機能チップセットの開発によりシェアを伸ばしたNVIDIAと、特にライバル関係にある。KT/Pro266以降の製品にはノースブリッジとサウスブリッジ間を「V-LINKバス」と呼ばれる技術を用いて高速で接続している。買収したS3のグラフィックスの技術をノースブリッジに用いた統合チップセットは、メーカー製PCにも数多く採用された。
現在では安定性に定評のあるチップセットメーカーのひとつとされているが、かつては問題を抱える製品が数多く存在していた。主にかつてのAGPビデオカードに相性問題が多く発生していたが、これはVIAに限らずSiSやALiなどのサードパーティーのメーカーにはよく起こる問題であった。これはAGPを提唱したインテルがPCIの様に公的な規格にしなかったことと、AGP初期~全盛期は動作が不安定とされていたWindows9xシリーズが主流OSであったことも一因である。また、サウスブリッジのIDEコントローラに不具合がある製品が出回った時期もあった。今後、これらを搭載した古いマザーボード(MVP (Socket7) 系、Pro~133 (P6) 系、KX・KT~133系 (K7) など)を使用する機会は減ってゆくと思われるが、万一使用せざるを得ない場合は注意が必要である。
[編集] CPU
VIAはx86互換CPU、C3(シー・スリー)を開発している。派生製品として、C3をベースにノートパソコン向けのC3-M(旧 Antaur)、消費電力をより低減した組み込み用途向け製品のEDENシリーズ、ノースブリッジチップと統合したCoreFusion(コアフュージョン)が存在する。
C3はIDT/CentaurのSocket5/7互換CPUであるC6/WinChipシリーズをベースに、P6バス (Socket370) 互換にしたもの。低価格・低発熱・低消費電力等を売りにしている。C3は当初『CyrixIII』という名称を使用していた。本来VIAはサイリックスベースのP6互換CPUを先行して開発する予定であったが、元サイリックスの開発陣がこぞってVIAを退社してしまったために、完成を目前にして開発は凍結されてしまった。そのためか、WinChipベースであるにも拘らずサイリックスブランドだったことについては、そのことに対するあてつけであるという説、サイリックスの元親会社ナショナル セミコンダクターの特許が欲しかっただけであるという説など、諸説がある。
2005年5月、C3の後継であるC7(シー・セブン)が発表された。
性能面では最近のインテルやAMDのCPUよりやや劣るが、安価であり、MMXや3DNow!、SSEなど拡張命令も搭載していることから、アジア市場で広く販売されている。日本国内でも、低発熱という利点が買われ、ハードディスクビデオレコーダなどの組み込み市場のほか、静音PC向けCPUとして一部の自作パソコンユーザーに人気がある。
[編集] その他の製品
- Mini-ITXやNano-ITXといった小型マザーボードの規格の提唱もしており、C3を搭載したMini-ITXやNano-ITXのマザーボードも販売している。
- 買収したICEnsemble社のサウンドコントローラであるEnvyシリーズは、ローエンドからプロ用までラインナップがそろい、サウンドカード市場では採用数が非常に高い。
- 100BASE-TXの頃から安価なLANチップを製造しており、VT86C100やVT6105など、有名周辺機器メーカーに採用された物も多い。最近販売されている1000BASE-T対応のVT6122は、安価でありながら低発熱・安定性に優れ、マニアの間で密かなブームとなっている。
[編集] インテルとの確執
自社製チップセットやCPUのシェアを浸食されたインテルから、特許とライセンスを盾にした訴訟攻勢の標的にされたことがある。その対策のために買収したサイリックスの元親会社、ナショナル セミコンダクターのロゴマークをマーキングした製品もあった。現在インテルとはクロスライセンスを締結し、和解している。