さくらコマース
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さくらコマースは、東京競馬場のある府中市にある株式会社である。パチンコ店・ボウリング場などのレジャー事業や居酒屋の経営を行う一方、競走馬事業も展開しており、会社名義で競走馬を保有している1993年12月、創業者の全演植(チョン・ヨンシク)が他界し、息子の全尚烈(チョン・サンヨリ)が会社を引き継いだ。焼肉屋モランボンを経営するモランボン株式会社は関連企業。
[編集] 競走馬事業
さくらコマースの生みの親である全演植は朝鮮出身だったが、太平洋戦争後に日本に渡ってきた。そして府中市を拠点にして各種事業を展開していった。やがて同市に競馬場がある土地柄、1950年台半ばよりさくらコマース名義で競走馬を所有するようになった。
中央競馬におけるさくらコマースの勝負服の色はピンクで、競走馬名に「サクラ」の冠名を用いていることから、後に同社の所有馬の総称としてサクラ軍団という名称が生まれた。(なお、このような例はメジロ・マチカネ・マイネルなど、他にもある)。なお、全演植は「桜は日本の国花で、日本人の心でもあるから」という理由で、「サクラ」を冠名とすることを考えたらしい。軍団最初の勝ち馬となったのはハヤサクラという名前の馬だった。その後次第に頭数も増え、重賞クラスで健闘する馬も登場し始め、1973年にサクライワイが初の重賞勝ち馬となった。以降GI優勝馬を含め、数多くの重賞優勝馬を所有している。
かつてのサクラ軍団の競走馬は美浦の境勝太郎厩舎に所属し、小島太が騎乗することが非常に多かった。これは境、そして小島が全演植と親しかったことが影響している。しかしサクラの全ての馬が該当したわけではない。サクラショウリやサクラスターオーは境厩舎の馬ではなかったし、サクラスターオーには小島太は殆ど騎乗していない(その頃の小島が、早坂太吉率いる「モガミ軍団」に気が移りかけていたという事情があり、それに対して全が不快感を示した結果)。また境の息子の境征勝の厩舎に所属する競走馬もいた。騎手については小島のほか、東信二や境勝太郎厩舎所属の木藤隆行や高橋明らも多く起用されていた。
境勝太郎が調教師を引退し、小島が調教師に転向した1996年頃からは「サクラ=境&小島」という大方の構図は必ずしも当てはまらなくなった。その要因の1つとして、小島がさくらコマース以外の馬主(西川清など)の所有馬を多く管理するようになったことが挙げられる。現在、さくらコマースの所有馬は栗東、美浦を問わずさまざまな厩舎で管理されている。
サクラ軍団の活躍馬には伝統的に豊かなスピードをもつ競走馬が多く、サクラユタカオーやサクラバクシンオーなど距離ごとのレコードホルダーとなった馬もいる。伝統的にステイヤー育成に力を入れたメジロ牧場との対比として「スピードのサクラ、スタミナのメジロ」という対比がなされたこともある。
[編集] さくらコマース所有の競走馬一覧(重賞優勝馬)
- サクライワイ…1973年函館3歳ステークス、1974年スプリンターズステークス、1975年安田記念、スプリンターズステークス
- 芝1200m元レコードホルダー
- サクラオンリー…1975年東京障害特別(春)、1976年中山大障害
- 1976年優駿賞最優秀障害馬
- サクラショウリ…1978年東京4歳ステークス、日本ダービー(東京優駿)、セントライト記念、1979年アメリカジョッキークラブカップ、目黒記念、宝塚記念
- 1978年優駿賞最優秀4歳牡馬
- サクラシンゲキ…1979年函館3歳ステークス、1980年京王杯オータムハンデキャップ、1981年スプリンターズステークス、京王杯オータムハンデキャップ
- 1981年スプリンター賞
- サクラエイリュウ…1979年ステイヤーズステークス、1980年七夕賞
- サクラゴッド…1980年スプリンターズステークス
- サクラトウコウ…1983年函館3歳ステークス、1986年七夕賞
- サクラシンボリ…1984年エプソムカップ
- サクラサニーオー…1985年京成杯、1986年アルゼンチン共和国杯
- サクラガイセン…1985年アメリカジョッキークラブカップ
- サクラユタカオー…1985年共同通信杯4歳ステークス、1986年大阪杯、毎日王冠、天皇賞(秋)
- 1986年優駿賞最優秀古馬牡馬
- 芝1800m及び芝2000m元レコードホルダー
- サクラスターオー…1987年弥生賞、皐月賞、菊花賞
- 1987年JRA賞年度代表馬・最優秀4歳牡馬
- サクラチヨノオー…1987年朝日杯3歳ステークス、1988年弥生賞、東京優駿(日本ダービー)
- サクラホクトオー…1988年朝日杯3歳ステークス、1989年セントライト記念、1990年アメリカジョッキークラブカップ
- 1988年JRA賞最優秀3歳牡馬
- サクラサエズリ…1989年京成杯3歳ステークス
- 1989年JRA賞最優秀3歳牝馬
- サクラバクシンオー…1992年クリスタルカップ、1993年スプリンターズステークス、1994年ダービー卿チャレンジトロフィー、スワンステークス、スプリンターズステークス
- 1994年JRA賞最優秀短距離馬
- 芝1200m及び芝1400m元レコードホルダー
- サクラセカイオー…1993年エプソムカップ
- サクラエイコウオー…1994年弥生賞、1996年七夕賞
- サクラチトセオー…1994年中山記念、京王杯オータムハンデキャップ、1995年アメリカジョッキークラブカップ、天皇賞(秋)
- 1995年JRA賞最優秀古馬牡馬
- 芝1600m元レコードホルダー
- サクラローレル…1995年中山金杯、1996年中山記念、天皇賞(春)、オールカマー、有馬記念
- 1996年JRA賞年度代表馬・最優秀古馬牡馬
- サクラキャンドル…1995年クイーンステークス、エリザベス女王杯、1996年府中牝馬ステークス
- サクラスピードオー…1996年京成杯、共同通信杯4歳ステークス
- サクラエキスパート…1997年愛知杯
- サクラプレジデント…2002年札幌2歳ステークス、2003年札幌記念、2004年中山記念
- サクラセンチュリー…2004年鳴尾記念、2005年日経新春杯、アルゼンチン共和国杯
- サクラメガワンダー…2005年ラジオたんぱ杯2歳ステークス、2006年鳴尾記念