アイドル水泳大会
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アイドル水泳大会(あいどるすいえいたいかい)は、アイドルを中心とした多数の芸能人が、大型プールで運動会の様な競技を行った、バラエティ番組の一つである。各テレビ局の番組タイトルには「オールスター~」「アイドル~」「芸能人~」「紅白~」「~水泳大会」「~水上(大)運動会」「~大集合」等類似した名が多数見られたが、最も一般に使われている組み合わせは「アイドル水泳大会」である。当稿では「水泳大会」の名で統一して説明する。
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[編集] 概要
水泳大会や運動会と言えば、一般的なスポーツ大会を示す事が多い。しかしこの番組では水泳とは名ばかりであり、プールの中で芸能人が、発泡スチロール等浮遊物を中心とした様々な競技に挑み、得点を得てチームの勝敗を争い、その経過を放映するテレビ番組である。番組の本当の狙いは、女性タレントの水着とあらわな姿を視聴者に見せて、視聴率を獲得しようと言う事にある(詳細は後述)
番組の規模や知名度としては、2つの分類が考えられる。一つは番組名にテレビ局の名まで冠して毎年行い、実際にヒットを飛ばしているアイドル歌手を多数集めた番組で、これを便宜上メジャー系と呼ぶ。もう一つは人気アイドルよりB級アイドル、モデル、バラエティ番組の出演が多い女性タレント、場合によってはポルノ女優まで引っ張り出して来るもので、こちらはマイナー系と呼んで説明して行く。また歌番組や深夜番組が年に2~3回、スペシャル番組形式で水泳大会を行ったものもある(後述)
メジャー系水泳大会の親戚番組として、アイドルが体操服(当時の女性はブルマー)を着用して陸上競技を行う「運動会」番組もあったが、その存在は水泳大会に比べかなり落ちる。
[編集] 放映時期
季節別に分けた場合、もちろん夏(収録は屋外プール)にも存在したが、夏と水着姿が待ち遠しい季節を狙ってか、意外にも冬(年末、1月3日、2月)を中心に屋内プールの開催が多い。時刻はメジャー系の土日なら昼から午後、平日は19時か19:30から90~120分が一般的である。マイナー系は30~60分が多い。
特にメジャー系では大型プールを必要とする為、収録場所もある程度限られ、大磯ロングビーチや、今は亡き池袋マンモスプールが有名な場所として挙げられる。
[編集] 主な競技の種類
内容は各番組それぞれが勝手に決める為、もちろん統一ルールの様なものは存在しないが(強いて言えば競泳と騎馬戦はルールの基本が単純な為、どの番組でも大体同じ)、大別すればおよそ以下の種類に分類される。なおチーム数は、メジャー系では紅白など2組に、マイナー系では4組か6組に分ける事が多かった。後者では1チーム数人という少人数も珍しくない。
[編集] 浮島戦
プールに浮かべた浮遊物の上で、特定の目標を果たすもの。制限時間内に何人上がれるか、浮遊物の上で角度を変えられるか等を競う。一般にはゲーム終了時の残り人数が、点数として加算される。単純で華やかなので、最初の競技に来る事が多い。
[編集] 障害物競走
泳ぎや浮島上の走行による移動、はしごやすべり台による上下運動、その他特定の行為(着せ替え、粉の中の飴をくわえる等)を必要とするポイントを全て通過する競技。速さか、制限時間終了時に目的を果たした人数の多さで得点を決める。行為や競技名そのものが「着せ替え」メインになっている競技や、メジャー系では夏に大型プールのプールサイドでマラソンを行う競技もあった。
[編集] 水上格闘
浮遊物の上で異なるチームの選手同士が取っ組み合い、プールの中に落とされずに残った者が勝ち。対戦人数から2種類に大別される。1対1の場合、円陣で戦えば「水上大相撲」となる。他にビニールの丸太にまたがるもの、棒を持って殴り合うもの(もちろん棒は軟質である)、背中合わせになり、合図と共に双方が尻で押し合う「ドンケツ」等がある。多人戦の場合、広いフィールドで最後の一人が残るまで戦う「バトルロイヤル」や、攻守にわかれて相手の目標物を奪う「棒倒し」等。「イスとりゲーム」も比較的これに近いと考えられる。
[編集] 飛込み競争・距離競争
プールサイドからの離脱距離を競うもの。高台から飛び込むか、ロープを握ってターザンの様に飛ぶかの2種類が一般的だが、転落しない様慎重に進み、最終的な延長距離を競うものもある。
[編集] 競泳
一般的な泳ぎによる競争である。泳法限定か自由形か、単発レースかリレーか等は、通常の水泳競技と全く変わらない。競技順序は中間かラストに来る事が多い。
[編集] 水上騎馬戦
一般的な騎馬戦を水面で行う。取るのはハチマキでなく帽子である。二回戦ったり、3人騎馬でなくゴムボートで行う場合もある。スタッフ・視聴者共に人気競技と受け止めている為、競技順序としては番組の最初か、ラスト近くか、ラストで行われる事が非常に多い。
[編集] 水泳大会の魅力
番組の紹介や宣誓式では「芸能人精神にのっとり」「若さあふれる根性で」等の建前で表現されているが、その本当の人気とは勿論、女性アイドルの水着姿と、活躍に伴うそのあらわな姿である。水着姿なら殆どのアイドルが今でも披露するが、水泳大会でしか見られない魅力ある映像とは
- 水に濡れて照明に照らされた体のなまめかしさ
- 胸の谷間や臀部のアップ
- 濡れた水着が透けてしまう
そして何と言っても激しい競技の最中、水着がはずれて胸が見えてしまう事である。こうした事態を1980年代前半は「ハプニング」と呼んでいたが、近年は丸いものが落ちる擬音「ポロリ」を使う様になった。現在は水泳大会と関係ない個人の水着の着用でも、ポロリの名が使われる。
ポロリが生じるケースは大別して2点ある。まず騎馬戦や格闘では、どうしても手で相手の上半身を引っ掻き回す必要があり、この時に指が相手の水着のひもを引っ張るケース。もう一つは障害物競争・飛び込み・競泳などで、浮遊物や水流に密着してスライドした結果、水着の布をずらしてしまうケースである。最初から狙って行われた、いわゆる「やらせ」の代表格ともされているが、中には本当のポロリも珍しくなかった。当時の水着の構造も今と比べ、物理的に無防備な構造で作られていた事も、ポロリが生じた理由の一つである。
テレビ雑誌でもこうした点は注目しており、番組の見どころをピックアップする記事では、ポロリについてよく言及されていた。ただし実際に事前の番組を見てポロリを予告した記事もあれば、「お楽しみのポロリはあるかな」等の文章でお茶を濁し、実際はポロリは無かった事もあった。ちなみにNHKが出したテレビ雑誌の番組欄では「番組の内容は省略させていただきます」とだけ書かれていた。
こんな状態の為参加選手は、マイナー系では女性ばかり、メジャー系も男性アイドルは競泳での活躍を除けば、その扱いは事実上おまけである。メジャー系も後述の「女だらけの水泳大会」では名前通り、女だけとなった。
[編集] 水泳大会の歴史
[編集] 始まりから黄金時代
メジャー系ならばアイドルの水着姿がグラビアで楽しめる様になった、1960年代後半には行われていたと考えられる。なおフジテレビではビデオデッキが広く普及した時代に放映した総集編で、フジ初の水泳大会の映像を流した事がある。
水泳大会はアイドルブームと共に放映本数・内容とも高まりを見せ、ビキニの露出度が高くなっていった1970年代半ばから、1980年代初頭が最もピークだったとされる(番組名で言えば後述の「各界美女チーム対抗水中大合戦 」が最高だと語るファンもいる)
この頃「アクション・カメラ術」なる、女性の隙をとらえた覗き撮り(盗撮)に関する書籍がヒットした事もあり、柳の下のドジョウ的に「ヒット・カメラ術」「アタック・カメラ術」など覗き撮り写真集が多数刊行された(ただし「アクション・カメラ術」はウンチク文を並べた新書版なのに対し、後者は殆どグラビア書籍である)それら書籍の中では水泳大会もかなりの比率を占め、中には水泳大会写真集としか言えない出来の本もあった。
[編集] 暗黒時代ヘ
こうなると水泳大会の撮影席にはカメラマンが殺到(カメラマンが気に入った出演者を選ぶ「ミス・フォトジェニック」なる賞もあった)、人気アイドルはカメラの砲列にされされた。ある程度名前のあったアイドルの中には、本当にポロリをTVや雑誌に公開されてしまった者もいた(A級アイドルでも競技中ポロリした者がおり、さすがにカットして撮り直した…と言う話もあるが、真偽の程は定かではない)
こうなるとアイドル本人のみならず、事務所としても慎重になるのは当然で、水泳大会でも人気アイドルが出演拒否したり(拒否自体が話題になったのでなく、表向きは出演者にいないという事)ビキニをやめてワンピースに移行していった。水泳大会やアイドルと関係ない女性用水着自体も、ワンピースが主流となった(これは流行が移っただけで、ポロリ対策ではないと考えられる)こうして水泳大会は本数も激減し、深夜に細々と行われるだけになった。
なおこの頃には基本的にくだらない番組とは言え、これまでの映像はかなりたまって来たので「懐かしのアイドル映像」や「見せます!アイドル水泳大会同窓会」的な総集編も作られ、これで過去の映像を懐かしんだり、喉の渇きを潤すファンも見られた。
[編集] ドキッ!丸ごと水着!女だらけの水泳大会
そんな中フジテレビだけは復活に挑戦、1988年冬から「ドキッ!丸ごと水着!女だらけの水泳大会」を夏と冬の年2回始める。この番組は水泳大会の復権にある程度貢献したが、水着が既にワンピース主流であり、前述のピーク時と比べるとパワーダウンは否めなかった。
その為かワンピースだらけの中に、ビキニのアダルトモデルが若干数おり、騎馬戦などでやらせのポロリを披露する為に出演している事は一目瞭然だった。こうした出演者を「ポロリ要員」などと呼んだ。この他に水着鑑賞のニーズを増す為、水着ファッションショーも番組に組み込まれたが、女性だけでなく男性のファッションショーも行われた事がある。
「女だらけの水泳大会」は、1994年から微妙にタイトルを変える事もありながら、1998年冬の第18回まで続き、暫く年月を置いて2003年春の「ドキッ!丸ごと水着!!アイドルだらけの水泳大会」が最後となった。
[編集] 近年の水泳大会
水泳大会はポロリもあれど「健康的なお色気」として容認されていた所があったが、ここに来てテレビ番組の有害性を批判する声が、水泳大会にも向けられる。こうして一種の自主規制の形で、かつての内容の様な水泳大会はもはや放映出来なくなった。現在でもマイナー系水泳大会は時々放映される事があるが、少人数のグラビアアイドルで大人しいゲームを行う程度で、かつての勢いは見られない。
それでも古くは、ビデオデッキが普及していなかった1970年代より、一般視聴者による録画が行われ、それが長い眠りを得て今の時代に日の目を見、これらの映像を楽しむファンがいると言う。さすがに「女だらけの水泳大会」は歴史が新しいとあって、目にする機会は多い。
[編集] その他
- 応援席からは競技中、笛・太鼓・鐘を激しくならして騒ぐのが、応援のしきたりである。メジャー系では応援団や応援団長がいる場合もある。
- 仮にもスポーツ大会なので、アナウンサー、コメディアン、声優が実況をつけた番組もあった。だがこの中にはよく聞くとリアルタイムでなく、後からアフレコで付け加えた実況もあった。
- アイドル歌手が出る関係上、歌番組としての立場があるので、番組中で歌が出る場合がある。演出には大別して3種類ある。
- 人気歌手は競技を中断、歌のコーナーを作る。正面席(競泳のスタート地点で、司会等番組進行が常駐する所)で歌う。
- 人気歌手の演出としてもう一つあり、プールの施設をあちこち移りながら(もちろん一度に歌っているのでなく、撮影はカット毎に行う)腰掛けたり寝そべったり、プロモーションビデオ的に放映する。1より落ち着いた歌に多い。
- 新人やマイナー歌手は競技中に歌がかかるが、イントロもラストもフェードで切ってしまう場合が珍しくない。ビデオ合成が容易になった1980年初頭からは、トロビカルな極彩色を使った様々な型の枠をビデオで合成、こうした挿入が大変やり易くなった。これは後述する水泳大会のパロディでよく使われている。
- これだけの積み重ねがある事から、今では「○○だらけの水泳大会、ポロリはないよ(笑)」といった具合に、ギャグやパロディの対象とされる事もある。
- アダルトビデオとしても水泳大会をモチーフにした企画が多数ある。ただしこの場合アダルトビデオであり、水着が脱げる以前に、最初の時点で布の面積は水着以下になっており、水泳大会のファンからは「面白味をそぐ」と言う声が殆どである。
[編集] 水泳大会で知られる出演者
[編集] 女性
- アグネス・ラム:胸が大きなアイドルの中では、初期の水泳大会に頻繁に出ていた。
- 浜田朱里
- 高見知佳
- 榊原郁恵:胸が大きなアイドルが普通に出て来た時代の、最初の一人。出世後に世間の水着はビキニが標準になった。
- 河合奈保子:説明不要の、別名「アイドル水泳大会の華」。
- 柏原よしえ:河合のデビュー同期で、当時河合に次ぐセクシー体型だった為、カメラの砲列後に泣きべそのまま歌った事がある。
- 松本伊代:スレンダーだったが、青のセンターストラップワンピースで活躍する姿が印象的だった。
- 山田邦子:アイドルでなくコメディ要員。当時「オレたちひょうきん族」が人気だった為か、フジテレビの水泳大会が多い。
- 沢田冨美子:水泳大会の出演が原因で、B級アイドル化したとも言われる。
- 和泉友子:水泳大会(TBS)でのポロリが原因でペチャパイがばれる。その後プレイボーイでヌードになり引退
- 西田ひかる:「女だらけの水泳大会」の女性アイドルでは最も印象的で、出演回数も多い。
- 石田ひかり:同上。西田ひかるとの競泳のガチンコ対決が有名。
- ダンプ松本:悪役女子プロレスラー。ポロリ要員ならぬはぎ取り要員として「女だらけの水泳大会」に頻繁に出演。ただしA級アイドルに対しては障害物競走で手助けするなど優しい一面も。末期にはアジャ・コングなども。
- いとうしいな
- 松坂季実子
- スクールメイツ:前述した人気アイドルが正面で歌う時、紅組と白組の集団がバックで踊っていた。ただしアイドルより目立ってはいけないので、水着は統一されたワンピースと決まっていた。
[編集] 男性
- 郷ひろみ:競泳など多くの競技に出場し「ミスター水泳大会」と呼ばれた。
- 西城秀樹:学生時代に「自由形」で国体に出場した経験があり、競泳では群を抜いていたため、得意ではない「平泳ぎ」で出場することが多かった。極少ビキニからはみ出るヘソ毛は「ギャランドゥ」と呼ばれた。
- 田原俊彦
- 近藤真彦
- アイドル黄金時代、男性アイドルのトップがこの2人だったので、紅白それぞれのキャプテンをつとめる事が多かった。ちなみに近藤はわき毛が生えていないのが、しっかり見えてしまっていた。
- 吉村明宏:コメディ要員だが、競泳では時折実力を見せ付ける事がある。
- おりも政夫:司会を多数つとめた。
- みのもんた:司会やナレーターを多数つとめた。
- 土居まさる:「各界美女チーム対抗水中大合戦」の司会。
- 田代まさし:「女だらけの水泳大会」の司会。
- 桑野信義:常に田代と活躍する(かませ犬的ボケ役)関係上「女だらけの水泳大会」にも参加していた。
- 大磯ロングビーチ支配人:ここで行われる水泳大会では、ラストの授賞式に自ら表彰役で出てくる。
[編集] 過去に放映された主な水泳大会
- キー局や局名は、現在の東京の標準情報で記述している。
- ★印はレギュラー番組が、スペシャル番組形式で水泳大会をやっていたもの。
- 開催のたびにタイトルが微妙に変わる場合、その部分は略した。
[編集] 日本テレビ
- NTV紅白歌のベストテン★
- 爆笑初泳ぎヤングアイドル大集合
- 日本テレビ水泳大会
- 各界美女チーム対抗水中大合戦
[編集] TBS
- 新春水上大運動会
- Foreverアイドルスター水着ショット
[編集] フジテレビ
[編集] テレビ朝日
[編集] テレビ東京
- 紅白ピチピチ芸能人水泳大会
- 東京12チャンネル水泳大会
- ヤンヤン歌うスタジオ★
- ギルガメッシュないと★
- 水着少女:単発でなくレギュラーの水泳大会は、日本初の可能性がある。
[編集] 放映局未判明
- '78真夏の水泳フェスティバル
- オールスターワールド水上フェスティバル
- いい女40人水着大感謝祭
- 寒中芸能人!水泳大会
- 真夏の水中フェスティバル
- ときめきLOVEスクール夏の水泳大会
- 年忘れ!パンドレッタ水着で隠し芸大会
- 新春ピチピチ楽園水着美女100人大集合
- 見たい見せたい、あのスターあの水着!
- 輝け!!芸能人水中大運動会
- 水着パラダイス'94 アイドル初泳ぎ
- 平成あっぱれ水泳大会
[編集] 水泳大会の要素が入った作品
- アニメ「アイドル防衛隊ハミングバード」
- ゲーム「SIMPLE2000シリーズ もぎたて水着!女まみれのTHE 水泳大会