アルジャーノンに花束を
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アルジャーノンに花束を(あるじゃーのんにはなたばを、Flowers for Algernon)は、アメリカ合衆国の作家ダニエル・キイスによるSF小説。及び原作としたテレビドラマ、舞台。
1959年に中篇小説として発表し、1966年に長篇小説として書き直される。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
主人公である「彼(チャーリィ・ゴードン)」自身の視点による一人称で書かれており、主に「経過報告」として綴られている。最初の頃は簡単な言葉や単純な視点でのみ、彼の周囲が描かれる。
精神遅滞の青年チャーリィは子供の頃、知能的には正常であった妹に性的な乱暴を働いたと家族に誤解され母親に捨てられた。別れ際に彼女が発した「いい子にしていれば迎えに来る」という言葉を大人になっても信じている。知的障害の為、幼児並の知力しか持っておらず、そのことでパン屋の従業員にからかわれたり騙されいじめられていることや母親に捨てられたという事実は理解できない。彼は自身がスピナーと名づけたガラクタを眺めるのが趣味であった。誰にでも親切であろうとする、大きな体に小さな子供の心を持った、おとなしい性格の青年だったのだ。
ある日、彼はパン屋の仕事の傍らに通う精神遅滞者専門の学習クラスで、監督者である大学教授から、開発されたばかりの脳手術を受けるよう勧められる。先んじて動物実験で対象となったハツカネズミの「アルジャーノン」は、驚くべき記憶・思考力を発揮し、チャーリーの目の前で難関の迷路実験で彼に勝ってしまう。この手術の人に対する臨床試験の被験者第一号として、彼が選ばれたのだ。
手術は成功し、チャーリーのIQは68から徐々に上昇。ついには150に達し、彼は超知能を持つ天才となった。チャーリーは大学で学生に混じって勉強することを許され、知識を得る喜び・難しい問題を考える楽しみを満たしていく。だが一方で、頭が良くなるに連れ、これまで友達だと信じていた仕事仲間に騙されいじめられていた事、忘れていた父親から受けた虐待の記憶、母親に捨てられた事など、知りたくも無い事実の意味を理解するようになる。
そんなチャーリィの豹変によって誰もが笑いを失った。不正を追及したことでかつての仕事仲間は彼を恨むようになり、遂には手術を行った教授の間違いを手酷く指摘して仲違いをしてしまう。周囲の人間が遠ざかっていく中で、チャーリーは手術前には抱いたことも無い孤独感を感じるのだった。また、彼の未発達な幼児の感情と、突然に急成長を果たした天才的な知能のバランスが取れないことに加え、未整理な記憶の奔流がチャーリーを苦悩の日々へと追い込んでいく。
そんなある日、自分より先に脳手術を受け彼が世話をしていたアルジャーノンに異変が起こる。チャーリーは自身でアルジャーノンの異変について調査を始め、手術に大きな欠陥があった事を突き止めてしまう。手術は一時的に知能を発達させるものの、性格の発達がそれに追いつかず社会性が損なわれること、そしてピークに達した知能は、やがて失われる性質の物であることが明らかとなり、彼は失われ行く知能の中で、退行を引き止める手段を模索する。
彼は経過報告日誌の最後に、正気を失ったまま寿命が尽きてしまったアルジャーノンの死を悼み、これを読むであろう大学教授に向けたメッセージとして、「アルジャーノンのお墓にお花をあげてください」と締め括る。
「本当の幸せとは何なのか?」そして「天才になる事は本当に幸せに繋がるのか?」というメッセージを孕んだ、多くの人が涙した作品である。
[編集] 邦訳版
邦訳版(早川書房が独占翻訳権を獲得、1978年に小尾芙佐(おび・ふさ)訳で出版。1989年に改訂)では、チャーリーの知識が増えるにつれ、はじめは滅茶苦茶だった句読点や漢字の使い方が知能の回復に応じて徐々に正しくなっていったり、漢字を多く使うようになったり、人称名詞が変わっていったりとその様が非常に生き生きと書かれた秀逸な訳になっている。
[編集] 賞
[編集] 映画
- 『まごころを君に』(原題「Charly」)、アメリカ、1968年
- 監督:ラルフ・ネルソン
- 主演:クリフ・ロバートソン
- 出演:クレア・ブルーム、レオン・ジャニー、リリア・スカラほか
- 『まごころを君に』(原題「Flowers for Algernon」)、カナダ、2000年
- 監督:ジェフ・ブレックナー
- 主演:マシュー・モディン
- 出演:ケリー・ウィリアムズ、ボニー・ベデリア、ロン・リフキンほか
[編集] テレビドラマ
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テレビドラマ |
2002年、小説版をもとにしたテレビドラマが、関西テレビで製作、10月8日~12月17日にフジテレビ系の火曜22時枠で放送された。全11回、平均視聴率11.1%。
この作品では、主人公チャーリー・ゴードンは藤島ハルと名前を変え、舞台も日本に変更され、主人公が恋する先生にも恋人がいるなど一部変更されている。
海外に著作権があったためドラマ化をするにあたり、交渉に3年かかった。
[編集] キャスト
- 藤島ハル - ユースケ・サンタマリア
- 遠矢エリナ - 菅野美穂
- 高岡晴彦 - 吉沢悠
- 桜井恭子 - 中島知子(オセロ)
- 小林留美子 - 石橋けい
- 蓮見冬美 - 山口あゆみ
- 原田文彦 - 井澤健
- 柳元啓輔 - 岡本竜汰
- 成瀬和歌子 - 牛尾田恭代
- 西岡義人 - 野口優樹
- 竹井友子 - 田中景花
- 建部真一郎 - 益岡徹
- 徳永篤 - 田口浩正
- 田代ミキ - 榎本加奈子
- 蓮見佐智代 - いしだあゆみ
[編集] 主題歌
- ジェニファー・ウォーンズ「ソング・オブ・バーナディット」
[編集] 韓国でのリメイク
- 2006年、韓国放送公社(KBS)で「アンニョンハセヨ ハヌニム!」(おはよう、神様)のタイトルでリメイクされている。主人公の名は日本版ドラマと同じ「ハル」であるが、パン屋に勤務しているのではなく養護学校にいることや、女詐欺師が登場するなど日本版とは違う展開になっている。出演はユ・ゴン、キム・オクビンイ・ジョンヒョクなど。
[編集] 舞台
様々な形で舞台化されている。
- 菊池准によって演劇化されている。戯曲は 1992年に早川書房から『戯曲 アルジャーノンに花束を』として出版された。ISBN 4152035277
- 2005年 荻田浩一演出でも舞台化。
[編集] 関連項目
- 知的障害
- 人間強化
- 『FLOWERS for ALGERNON』(1988年) - 氷室京介のアルバム
- 『山田ババアに花束を』(1990年) - 山田邦子主演の映画
- 『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010』(1986年) -マーベル、サンボウプロダクション制作のテレビアニメ。本作を下敷きにしたと思われるエピソード「グリムロックの新しい頭脳/Grimlock's New Brain」がある。
[編集] 外部リンク
フジテレビ系(関西テレビ制作) 火曜22時枠の連続ドラマ | ||
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前番組 | アルジャーノンに花束を (2002.10.8 - 2002.12.17) |
次番組 |
天体観測 (2002.7.2 - 2002.9.17) |
僕の生きる道 (2003.1.7 - 2003.3.18) |
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