イチイ
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![]() イチイ(Taxus cuspidata) |
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Taxus cuspidata Siebold & Zucc. |
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和名 | |||||||||||||||||||||
イチイ | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Japanese Yew |
イチイ(一位、櫟)は、イチイ科イチイ属の植物。またはイチイ属の植物の総称。常緑針葉樹。別名をアララギ。北海道ではアイヌ語由来のオンコと呼ばれる。
同属にヨーロッパイチイ(Taxus baccata)があるが、本稿においては特に注記しない限りは日本に生息するイチイ(Taxus cuspidata)についての説明である。
目次 |
[編集] 分布
日本では北海道から九州にかけて山地に自生する。特に東北から北海道までの寒冷地帯に群生する。庭木としては一般的で沖縄を除いた日本全国で見られる。
[編集] 特徴
雌雄異株で、高さ20mほどの高木になるが成長は遅い。樹型は円錐形になる。幹の直径は50-100cmほどになり、樹皮には縦に割れ目が走る。
葉は濃緑色で、線形をし、先端は尖っているが柔らかく触ってもそれほど痛くない。枝に二列に並び、先端では螺旋状につく。
4月ごろ小形の花をつけ、初秋に赤い実をつける。種子は球形で、杯状で赤い多汁質の仮種皮の内側におさまっている。外から見れば、赤い湯飲みの中に丸い種が入っているような感じである。
[編集] 用途
耐陰性、耐寒性があり刈り込みにもよく耐えるため、日本では中部地方以北の地域で庭木や生垣に利用される。東北北部と北海道ではサカキ、ヒサカキを産しなかったため、サカキ、ヒサカキの代わりに玉串など神事に用いられ、神社の境内に植えられる。
木材としては年輪の幅が狭く緻密で狂いが生じにくく加工しやすい、光沢があって美しいという特徴をもつ。工芸品や机の天板、天井板、鉛筆材として用いられ、岐阜県飛騨地方の一位一刀彫が知られる。
日本(一説には仁徳天皇の時代)では高官の用いる笏を造るのにこの木が使われた。和名のイチイ(一位)はこれに由来するという説もある。
果実は甘くそのまま食用にしたり、焼酎漬けにして果実酒が作られる。しかし種子にはタキシン(taxine)という有毒のアルカロイドが含まれている。種子を誤って飲み込むと中毒を起こし、量によってはケイレンを起こし、呼吸困難で死亡することがあるため注意が必要である。イチイのタキシンは果肉を除く葉や植物全体に含まれる。
葉はかつて糖尿病の民間薬としての利用例があるが、薬効についての根拠はなく、種子と同様有毒であるために絶対に服用してはならない。
木が赤い為、赤色の染料にも用いられる。
[編集] 都道府県の木に指定されている自治体
- 岐阜県
[編集] 市町村の木に指定されている自治体
- 北海道 - 恵庭市、北見市、函館市、富良野市、今金町、小平町、中川町、当麻町、東神楽町、美幌町、むかわ町、由仁町、西興部村
- 青森県 - 八戸市、五戸町
- 岩手県 - 遠野市
- 山梨県 - 忍野村、山中湖村
- 長野県 - 上田市、岡谷市、塩尻市、飯島町、御代田町、高山村、山形村
- 岐阜県 - 高山市
[編集] 関連項目
- 抗癌剤でヨーロッパイチイ(T. baccata)に含まれる物質より合成される。