コードレス電話
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コードレス電話 (コードレスでんわ) は、固定電話回線などに接続された親機と子機との間を無線通信で結ぶ電話システムである。
親機(基地局)を加入者が設置し、通常はその親機が設置された宅内あるいは構内とその近傍でのみ利用可能な点が、携帯電話・PHS(公衆モード)などの移動体通信とは異なる。
1979年4月に、旧日本電信電話公社によりレンタルで提供開始された。1987年のコードレス電話機の販売自由化以降普及した。
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[編集] アナログコードレス電話
[編集] 仕組み
コードレス電話の親機・子機それぞれに異なるID(識別符号)が割り当てられており、親機に子機を登録することで使用可能となる。これにより、不正使用を防いでいる。
マルチチャネルアクセス無線方式であり、他の無線局が使用していないか確かめてから電波を発信するキャリアセンス機能で混信を避ける。
スペクトル反転型秘話装置を内蔵し、故意や偶然の傍受がされにくくなっている機種もある。コンパンダ(圧縮伸張器)を内蔵し、電波が弱いときのノイズが聴感上気にならないようにしている機種もある。
[編集] 小電力コードレス電話
電波法施行規則に定められた周波数・出力電力の小電力電波を使用するものである。
出力電力は10mW、周波数は親機380.2125~381.3125MHz・子機253.8625~254.9625MHzである。また、FM放送と同じ周波数変調であるため秘話機能が無い場合、第三者に傍受される恐れがある。半径50m程度なら受信機さえ用意すれば、簡単に傍受できる。高層住宅等で使用した場合、数km先まで電波が到達することもありうる。
事業所コードレス電話と呼ばれる、企業などの内線電話として多数の親機を設置して構内の各場所での通話を可能にしたシステムもあったが、2000年代に入り、構内PHSシステムや無線IP電話(IPセントレックス)に置き換えられるようになった。
[編集] 微弱電力コードレス電話
電波法施行規則に定められた出力電力以下の微弱電波を使用するものである。小電力コードレス電話に比べ、通話可能な親機と子機との距離が短く、音質が悪い。
1990年代の小電力コードレス電話の価格低下に伴い、ほとんど製造されなくなった。
[編集] デジタルコードレス電話
[編集] PHS(第二世代デジタルコードレス電話)
PHSの項を参照。
[編集] 2.4GHz帯デジタルコードレス電話
日本国内では2007年2月現在、パナソニック コミュニケーションズ、パイオニアコミュニケーションズ、シャープ、ユニデン、日本電気が家電(かでん)として発売中。PHSと互換性はない。周波数ホッピングにより、傍受されにくいとされている。
ISMバンドの2.4GHz帯を利用する。FHSS-WDCT(Frequency Hopping Spread Spectrum - Worldwide Digital Cordless Telephone)準拠。
[編集] 不法コードレス電話
微弱電力のものを除いて電波を発するものを使用するには、日本の電波法に従い、総務大臣の許可を受ける必要がある。電波法違反に該当するコードレス電話を、不法コードレス電話と呼ぶ。 海外向けコードレス電話は日本の電波法に適合していない場合が多く、海外から持ち込んだコードレス電話をそのまま日本国内で使うと電波法違反となり、不法無線局となる。このような機器を使用すると、電波法違反として罰則の対象となる。
海外メーカーの製品は、日本メーカーのものとデザインの趣が異なるため人気があるが、日本の電波法への適合を明記していない限り、日本で使用することができない。また、日本のものよりも電波の到達範囲が広いことを売り文句にしているものもあるが、電波法で規定する以上の送信電力の電波を使っている場合もあり、広範囲に他の無線通信に妨害を与える可能性がある。
[編集] 米国のコードレス電話
古くは40MHz帯のアナログFM方式で通信品質が悪く秘話性も無かったが、900MHz帯のISMバンドを利用するスペクトラム拡散方式のものが発売された。その後、2.4GHz帯、5.8GHz帯のISMバンドを利用したものも発売され現在に至る。
[編集] コードレス電話開発メーカ(国内)
NTT、パイオニア、シャープ、鳥取三洋電機、松下電器、ユニデン、日本電気
[編集] 関連項目
- PHS
- 無線LAN
- DECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)
- PCS(Personal Communications Service)