サハリン2
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サハリン2 (さはりん2) とは、樺太(サハリン州)北東部沿岸に存在する石油および天然ガス鉱区。現在同鉱区において進行中の開発プロジェクトの名称でもある。
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[編集] 概要
鉱区は樺太東北部沖のオホーツク海海底に存在する。原油は約11億バーレル、天然ガスは約18兆立方フィートの推定可採埋蔵量が推定されている。鉱区は主にピルトン・アストフスコエ (Piltun-Astokhskoye)鉱区とルンスコエ (Lunskoye) 鉱区に分かれる。前者は主に石油が、後者は天然ガスが埋蔵されていると見られる。
[編集] 経緯
- 樺太周辺に豊富な化石エネルギー資源が存在することは早くから予想されていた。その中で、1991年にソビエト連邦政府は樺太北東部沖の2鉱床 (ピルトン・アストフスコエおよびルンスコエ鉱区) の開発を国際入札を用いることを発表した。この入札には複数の会社が手を挙げた。
- 1994年にロイヤル・ダッチ・シェルと三井物産、三菱商事の三者が合同でサハリン・エナジー・インベストメントを設立し、ロシア政府と生産物分与契約を締結した。
- サハリン・エナジーへの出資比率は英蘭シェルが55%、三井物産25%、三菱商事20%であり、開発にかかる総費用は当初約200億ドルと見積もられた。
- 1999年には初めての原油生産が行われ、さらに2001年に全体開発計画がロシア政府によって承認された。
- 2008年中の本格稼働を目指し、最終的には日量18万バレルの原油生産、天然ガス産出量はLNG換算で年間960万トンを見込んでいた。これは日本の総輸入量のそれぞれ4%、18%に相当する。開発計画は順調に進行し、1997年にはピルトン・アストフスコエ鉱区の第1段階開発計画が承認された。
[編集] 開発中止への危惧
[編集] 自然環境破壊への危惧
- 鉱区の周辺は流氷の接岸、10m近くに達する高波など過酷な気象条件下にあることから、原油流出事故などが発生した場合には破局的な環境汚染を招くとして、一部の自然保護団体から反対運動が行われている。
- IUCNでは、付近の海域に生息するクジラの生息状況を評価している。