トヨタ・スプリンター
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スプリンター(SPRINTER)は、トヨタ自動車が1968年から2002年まで、日本国内で生産・販売していた小型の乗用車の名前であり、カローラの兄弟車種であった。車両型式から、生産台数はカローラシリーズの一部に含められていたが、日本自動車販売協会連合会(自販連)調べの販売台数は販売チャネルが異なるため、カローラシリーズと分けられていた。
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[編集] 系譜
[編集] 初代(E15系、1968年~1970年)
スプリンターの歴史は1968年、それまでセダンのみであった「カローラ」を、独立したトランクを持つファストバックスタイル(トヨタは「スイフトバック」と名づけた)のクーペ・ボディとした「カローラ・スプリンター」に始まる。そもそもカローラの開発段階では、まずクーペスタイルが構想されていたが、ファミリーカーとしては不適であるとして、セミファストバックスタイルのセダン型が発売されたという経緯がある。しかしクーペのデザインも惜しまれたため、車種追加の形で発表された。
キャッチフレーズは情熱の車。ボディ形状の違いによる空力特性の差によるものか、スプリンターの最高時速は、カローラ(セダン)より時速5kmずつ速い数値が公表されていた。発売当初の価格は、標準車(スプリンター)が487,000円、デラックスが525,000円、SLは587,000円であった。SL以外にはコラムシフト仕様とトヨグライド式セミオートマチック車が用意されていた(AT車は38,000円高)。スプリンターはカローラとは別に、新たに設立された系列、「トヨタオート店(現・ネッツトヨタ店)」で販売された。
[編集] 2代目(E20系、1970年~1974年)
1970年のフルモデルチェンジを機に、カローラとスプリンターとがそれぞれ独立した車種として設定された。以来、この2つの車は外観に若干の違いはあるものの、ボディ以外はほぼ同一で同じ形式番号を名乗る姉妹車としての道を共に歩み続けることになる。
[編集] 3代目(E40系、1974年~1979年)
3代目スプリンターは、カローラが30系を名乗ったのに対し40系となり、型式としては独立したシリーズになった。
従来通り1200/1400/1600の3シリーズ構成であり、ホッテストバージョンのトレノも引き続き用意された。
ボデーは4ドアセダンのほか、カローラのハードトップに対して、スプリンターはクーペが与えられた。クーペと後に追加されるリフトバックのフロントマスクはフェアレディZによく似たデザインが特徴だった。 昭和48、50、51、53年と排気ガス規制の間に販売された3代目は、エンジンの改良の度に変更が繰り返され、その過程で形式が40系から60系、65系と増えていった。
1975年のモーターショーでリフトバックシリーズが発表された。これはスプリンタークーペのボデーにリヤゲートを追加したものである。またこのとき、2T-G(R)エンジンが廃止され、トレノの生産を一時中止した。
1977年1月のマイナーチェンジでは、トレノが51年規制適合の2T-GEUエンジンを搭載して復活し(詳細はスプリンタートレノの項を参照)、ハードトップシリーズが加わった(同時にカローラにはクーペを追加)。
[編集] 4代目(E70系、1979年~1983年)
エンジンは1300ccと1500ccが主流だが、1979年9月に1800ccのガソリンとディーゼルが登場した。グレード名は「1.8SE」。モデル末期の1982年8月、ターセルのシャーシをベースにしたスプリンターカリブがデビュー(L25系)。
[編集] 5代目(E80系、1983年~1987年)
1983年5月登場。FF化された4ドア/5ドアセダンおよびFRの2ドア/3ドアクーペ(トレノ・通称ハチロク)。キャッチコピーは「SEXY スプリンター」。なお4ドア1600GTのキャッチコピーは「MOREセクシー」。CMキャラクターは古谷一行。カリブは継続生産。
1985年5月、マイナーチェンジ。
[編集] 6代目(E90系、1987年~1991年)
1987年5月発売。4ドアセダン・5ドアハッチバック(シエロ)・2ドアクーペ(トレノ)・ステーションワゴン(カリブ)。なお、カリブは初代が継続生産(1988年1月まで)。4ドアセダンのキャッチコピーは「ハードトップ・フィーリング」。
1987年10月、フルタイム4WDを発売。
1988年2月、カリブフルモデルチェンジ。ターセルベースから4ドアセダンがベースとなる(AE95G)。
1988年5月、SEサルーンEFIを発売。
1989年5月、マイナーチェンジ。SEサルーンEFIを廃止。1500EFI・S(5A-FHE)搭載のSEサルーンGを発売。また、1500ccシリーズ全車にEFIが標準装備。
[編集] 7代目(E100系、1991年~1995年)
1991年5月発売。ボディは4ドアセダンと2ドアクーペ(トレノ)とステーションワゴン(カリブ)の3種。5ドアハッチバックのシエロは廃止された。4ドアセダンにはプレスドアが採用された。カリブは2代目が継続生産。
1992年5月 ハードトップバージョンのスプリンターマリノデビュー。カローラセレスの姉妹車。
1993年5月 マイナーチェンジ。
[編集] 8代目(E110系、1995年~2000年)
1995年5月発売。リアコンビネーションランプはホンダ・オデッセイ(初代)のリアコンビネーションランプに類似していた。1992年デビューのマリノは継続生産。カリブも同時にフルモデルチェンジ。
1996年4月、一部改良。全車に運転席/助手席SRSエアバッグ、ABSが標準装備される。
1997年4月、マイナーチェンジ。エクステリア、インテリアを大幅に改良。
1998年6月、マリノの生産終了。バリエーションもセダン、トレノ、カリブの3タイプとなる。
2000年5月、特別仕様車「SEヴィンテージリビエール」、「XEヴィンテージリミテッド」が追加される。
[編集] スプリンターの終焉
2000年8月に行われたカローラのフルモデルチェンジ(のちにカローラフィールダー、カローラランクス、カローラスパシオ)に伴い、兄弟車「スプリンター」のモデルが廃止され、2002年にはステーションワゴン(カリブ)がヴォルツにバトンタッチ。また、商用車(バン)が「プロボックス」(現在はビスタ店の統合に伴い、カローラ店のみ販売となった)に移行することにより全てのスプリンターシリーズの生産が終了し、34年間の歴史にピリオドを打った。なお現在は、カローラランクスのネッツ店扱いの姉妹車アレックス(アレックスが登場するまでは繋ぎとしてヴィッツの4ドアセダン版のプラッツ(現ベルタ)が一時的な後継車種だった)が、スプリンターの実質的な後継車種という位置付けとなっている。
[編集] 派生モデル
- スプリンタートレノ:スポーツクーペ
- スプリンターカリブ:ステーションワゴン
- スプリンターシエロ:5ドアハッチバックセダン
- スプリンターマリノ:ハードトップ
- スプリンターワゴン:ライトワゴン
- スプリンターバン:ライトバン