ナマズ
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ナマズ | ||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||
Silurus asotus | ||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||
ナマズ(マナマズ) | ||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||
Japanese common catfish |
ナマズ(鯰、学名 Silurus asotus)は、ナマズ目ナマズ科、あるいはコイ目ナマズ亜目ナマズ科に属する淡水魚。頭と口が大きく、目が小さい。口ひげは4本(稚魚は6本)。鱗がなく、粘液で体表が覆われている。全長は30~60cm(まれに1mを越す大物もいる)。また、ナマズは、ナマズ目に属する魚類の総称でもある。
同属の魚は、世界に約17種があり、日本には、マナマズ、ビワコオオナマズ、イワトコナマズの3種が在来種として生息する。一般にナマズと呼ばれる魚はマナマズを指し、後の2種は琵琶湖固有種である。霞ヶ浦には北アメリカ原産のチャネルキャットフィッシュ(通称アメリカナマズ)が、沖縄には東南アジア原産のヒレナマズが定着し、外来生物法の規制対象となっている。また、意外と知られていないが、かつて東日本にはナマズは生息していなかった。江戸時代ごろから東日本にも分布し始めたものとされる。
また、ギギやギバチ、アカザなどの在来魚のほか、観賞魚として人気があるコリドラスやプレコもナマズ目である。
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[編集] 生態
川の流れのゆるやかな中・下流域の淵や、湖沼、池の泥中に生息する。 夜行性であり、夕方から朝まずめの間に主に捕食を行う。昼間は物陰にじっとしているが、台風などの大雨の後などで水が濁っている時には昼間にも捕食を行う。肉食魚であり、小魚やエビ、カエル、ザリガニなどを捕食する。非常に貪欲で、ほとんど自分の体と変わらない大きさのものも丸飲みにする。摂食は水温が18℃以上になってから行うようになり、20℃を超えると活発に摂食するようになる。また、水温が15℃以下になると全く摂食しなくなる。活動は主に春先~晩春にかけて活発に活動をし、冬にはあまり活動をせずに水底でじっとしていたり、泥にもぐったりして仮眠状態に入る。日本固有の淡水系在来魚種においては生態系のトップに君臨する。
ナマズは5月はじめから梅雨にかけて産卵を行う。産卵期には群れをなして浅い水域に集まり、水草などに産卵する。産卵期の梅雨にまとまった降雨があると、水田や用水路に多数の大物が現れる。 ナマズの卵は淡黄色あるいは淡緑色である。
[編集] 食材
身は白身でクセが少なく、フライや蒲焼きなどにすると美味である。ただし日本では現在、京都府や滋賀県また関東では埼玉県など一部の地域を除き、一般的には食材としての市場での流通が目的で捕獲されることは少なく、そのため、養殖が行われて食用に出荷しているところもある。しかし、市場で流通する量は少ない。ただし、かつては農村部などを中心に、自家消費のため捕獲が行なわれる地域が多かった。また、蒲鉾の原料として使われたこともあった。
一方、アメリカ合衆国南部ではフライなどにして淡水産のナマズ類を広く食用にし、市場で多くが流通し、アメリカ産のほか養殖されたベトナム産も流通している。
[編集] ナマズと文化
日本では市場で多く流通している食用魚ではないとはいえ、食用に捕獲されることが多かったことから、古くからその姿がユーモラスに思われ、親しまれてきたとはいえる。このため、伝統的な郷土玩具でもナマズを題材にしたものが見られる。近代以降は漫画で描かれる題材ともされ、小学館の漫画雑誌の一部でも、ナマズを模ったシンボルマークが用いられ、表紙などに描かれている。
禅の問答では、ぬめった皮膚のナマズを表面が滑らかなヒョウタンでいかに押さえるかを絵画で問うものがあり、ヒョウタンを持った人物とナマズとが描かれたそのような絵画を「瓢鯰図(ひょうねんず)」という。
ナマズを釣りの対象とする場合、その肉食で貪欲な性質を利用し、小型のカエルを釣り餌として、片足から吊り下げる形で釣り針に通して付け、それを水面で上下に動かす、「ぽかん釣り」と呼ばれる方法が用いられる。 ルアーで釣る場合は夕方や朝まずめなどはスプーンやワームやミノーを利用するとよい。夜間時はノイジー等の音を出すトップウォーター系のプラグがよい。餌を丸呑みにする性質があるので、針が喉の奥に刺さる場合が多く、顎も固いため、針を抜くのが困難である場合が多い。そのため、ペンチなどを利用して針を抜く。
日本では、地震の前にナマズが暴れるとする俗説が定着しており、微振動や電流などに反応しているとも言われるが、その関連性や科学的機序などは明らかになっていない。また、地面の下には大きなナマズがいて、それが暴れることで地震が発生するとする迷信が古くからあり、一般的に知られている。
1937年~1988年に名古屋鉄道(名鉄)で運用されていた850系電車は、その姿形から「ナマズ」と呼ばれ親しまれた。
[編集] ナマズの飼育
以下はマナマズ(一般的な日本ナマズ)の飼育法について述べる。
- 飼育器具
- 水槽 : ガラスとアクリル樹脂があるが、マナマズでも40cm程度まで成長すると突進力もかなりのものとなるため、最終的には衝撃に強いアクリル水槽が好ましい。稚魚なら60cm水槽での飼育を開始し、35cmを超えたあたりで90cm水槽に切り替えるのが一般的か。 直射日光を避け静かで安定した場所に設置すること。
- ろ過器:与える食料にも依るが肉食魚で糞の量もそれなりにあるため、ろ過容量が大きい上部式ろ過器が好ましい。
- 隠れ家:ストレスを与えないためにも、体の半分以上が隠れられる管などを入れる。
なお、夜行性のためライトを使う場合は照射しすぎに注意。高温に弱くヒーターは基本的に不要。底砂(砂利)などはお好みで。
- 飼育
基本的に混泳は同種・他種ともに不可。単体飼育となる。餌は市販の底棲肉食魚用人工餌や、金魚等の生餌、ハツやササミといった肉類を適量与える。生餌を使用する場合は感染症を防ぐために一週間ほど別水槽で薬浴させてから餌として投入すること。与える餌の量にも依るが1週間に1度、1/3程度の水換えを行う。
- 病気など
擦り傷や白点病、尾腐れ病などに罹患した場合、早めの塩水浴を行う。2%程度の食塩水でもかなりの殺菌効果が見込める。専用の魚病薬を用いても良いが、ナマズは薬品に弱いため、規定量の1/4~1/3程度の使用に留めた方が無難。
[編集] 関連項目
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