ノストラダムスの大予言 (映画)
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『ノストラダムスの大予言』(ノストラダムスのだいよげん)は、1974年8月3日に公開された東宝制作の特撮映画。文部省(当時)推薦映画で、『ルパン三世 念力珍作戦』と同時上映された。1974年の邦画部門の興行収入第2位(1位は前年より『日本沈没』)。
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[編集] あらすじ
夢の島で公害のため巨大化したナメクジが大発生したことをきっかけに環境学者西山は国会で様々な人類滅亡のパターンを警告。地球の危機の可能性を力説、破滅への展望を展開していく。その凄惨な内容とは・・・
[編集] 概要
前年の『日本沈没』のヒットを受けて東宝が作成したパニック映画の第二弾であり、1973年11月に発売されて大ベストセラーとなっていた五島勉の著書『ノストラダムスの大予言』を原作として制作が開始された。映画のプロットを練る際の科学考証の過程で、アドバイザーの一人であった農林省食品総合室長(当時)の西丸震哉の影響を色濃く受けた。西丸は五島との対談形式の著書『実説大予言』(祥伝社)を映画の公開直前に出版しているが、ここに表れた西丸の極度に悲観的な環境観・食糧観は、映画の基本的なモチーフと一致している。
インタビュー等によれば、製作者側は環境問題への真剣な警告という側面を強く打ち出したかったようだが、その描写の仕方などからSF映画としての評価は芳しいものとはいえない。
本作の続編として、『ノストラダムスの大予言Ⅱ 恐怖の大魔王(仮題)』の企画が進められ、プロデューサーの田中友幸による企画書が現存するが、後述する事情なども関連してか、制作には至っていない。
[編集] 撮影事故
劇中の「オゾン層破壊による超紫外線の影響で山火事が発生する」という特撮場面を、世田谷区砧の東宝撮影所第7スタジオにて撮影中、ライトを強く照射し過ぎ、高温の為ミニチュアセットが発火し、火災が発生。成城消防署などから36台もの消防車が駆けつけたが、火の回りが早く、第7スタジオは全焼してしまった。けが人などは出なかった。これ以降撮影所は第4スタジオを廃し、番号を一つずつシフトして使用された。
ちなみに、焼失後の第7スタジオを用いて本編部分の撮影が行われたりもしている。
[編集] 本編修正およびビデオソフト未発売についての経緯
劇中で核実験により南方の原住民が被爆、放射能の影響で食人化して探検隊に襲いかかるシーンや、近代文明が核戦争で滅亡した後に放射能で異形の姿となった新人類のデザインが、実際の原爆症による奇形をデフォルメしたものであったことなどが差別的であると取り沙汰された。公開から4ヶ月後にはそれらの描写の一部(約1分45秒)をカットした修正版フィルムと差し替える措置がとられたが、公開自体は続けられた。
その後、1980年に修正版がテレビ放送されたが、ビデオカセットと LDは1986年春に発売予告がなされたものの中止となる。1996年にサウンドトラックCDがバップから発売されたが、本編に関わるソフトは発売されないままだった。
そんな中、1998年8月に劇中の音声を録音したドラマCDが東宝の協力を得たとするメーカーにより発売された(2006年現在、国内で公式にリリースされたソフトはこのCDドラマのみである)。それからまもなく、比較的鮮明なノーカット版の海賊版ビデオが突如広範囲に流出する事態が発生した。前記ドラマCDの発売元との関連を指摘する声もあるが、真相は不明である。
なお、海外ではこれまでにカセットソフトやLD、DVD等が発売されており、逆輸入するのは比較的容易である。英語版では "Last Days of Planet Earth" または "Catastrophie 1999" というタイトルが付けられている。
[編集] スタッフ
[編集] キャスト
- 西山良玄、西山玄哲、西山玄学:丹波哲郎
- 中川明:黒沢年男
- 西山伸枝:司葉子
- 西山まり子:由美かおる
- おりん:谷口香
- 玄武:田遠実
- 柏尾憲兵少佐:青木義朗
- 大根:竜崎勝
- 吉浜:佐々木勝彦
- 井原:武藤章生
- 木田:浜村純
- 自衛隊隊長:下川辰平
- 植物学者:平田昭彦
- 動物学者:小泉博
- 病院長:志村喬
- 田山:谷村昌彦
- 学者A:加藤和夫
- 学者B:渥美国泰
- 総理大臣:山村聡
- 開発大臣:瀬良庄太郎
- 環境庁長官:鈴木瑞穂
- 官房長官:内藤武敏
- 予言の声:岸田今日子
- 声の出演:納谷悟朗、市川治、作間功、村越伊知郎、梶哲也
- ナレーター:中江真司
[編集] 参考文献
- 安藤健二『封印作品の謎』ISBN 4872338871