ボッシュ (企業)
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ボッシュ株式会社(英文名称:Bosch Corporation)は、ボッシュ・グループに属し、日本において自動車部品の開発・製造・販売、および自動車機器(アフター市場向け)や電動工具等の輸入・販売を行う企業。
種類 | 株式会社 |
市場情報 | |
略称 | ボッシュ |
本社所在地 | 150-8360 東京都渋谷区渋谷3丁目6番7号 |
電話番号 | 03-3400-1551 |
設立 | 1939年7月17日 |
業種 | 輸送用機器 |
事業内容 | 自動車部品の製造・販売 |
代表者 | ステファン・ストッカー取締役社長 |
資本金 | 36,800百万円(2005年12月31日現在) |
売上高 | 単体:302,142百万円 (2005年12月期) 連結:309,979百万円 (2005年12月期) |
従業員数 | 単体:6,155名 (2005年12月31日現在) 連結:連結 / 7,676名 (2005年12月31日現在) |
決算期 | 12月末日 |
主要株主 | ロバート・ボッシュGmbH 59.2%他 |
外部リンク | [1] |
目次 |
[編集] 概要
東京証券取引所第一部上場。親会社は、世界の自動車部品大手ロバート・ボッシュGmbH(ドイツ、以下「独ボッシュ社」)であり、ボッシュ・グループの日本およびアジアにおける戦略的拠点の役割を担う。
近年は、独ボッシュ社ライセンスによる製品「コモンレール式ディーゼル燃料噴射装置」、同「ESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)」の日本での普及に力を入れている。
「ボッシュ」というと、一般的には独ボッシュ社のことを指すことが多いが、それと区別するため、ここでは日本子会社のボッシュ株式会社をボッシュ(株)と表記する。
[編集] 歴史
現在は独ボッシュ社の子会社だが、主な母体となっているのは、旧ゼクセル(ヂーゼル機器)、旧ボッシュブレーキシステム、旧アスコ、旧ボッシュ(株)(以下「ボッシュKK」)の4社である。
[編集] 旧ゼクセル(ディーゼルシステム事業)
この会社は、ディーゼルエンジンの基幹部品である「燃料噴射装置」の国産化を目指して日本国内の多数の自動車メーカーが共同出資した会社「ヂーゼル機器」に始まる。1939年に独ボッシュ社からライセンスを受け、自動車業界の念願であったディーゼル燃料噴射装置の国産化に、日本で初めて成功。その後、ゼクセル(1990年)、ボッシュオートモーティブシステム(2000年)と社名変更や分社・合併を経るが、現在でも社内で最大の事業である。
多数の自動車メーカーの共同出資による独立系部品メーカーという経緯、特殊な技術を要する競合の少ない製品であるという特徴から、業界グループの枠を超えて国内および海外の幅広い自動車メーカーやディーゼルエンジンメーカーと取引があるが、一時期はいすゞ自動車の子会社だったこともある。主要製品は各種ディーゼルエンジン用燃料噴射装置。
ちなみに、ゼクセル時代は、ディーゼル燃料噴射装置とカーエアコンが事業の二本柱であった。独ボッシュ社のゼクセル子会社化にともない、カーエアコン事業は分社化され、ヴァレオ社(フランス)との合弁会社「ゼクセルヴァレオクライメートコントロール」に移されたことで、ボッシュオートモーティブシステムへの社名変更後も、ゼクセルの名前は暫くこちらに引き継がれていた。しかし、その後2005年4月のヴァレオ社への株式売却により資本関係は解消されたため、ゼクセルヴァレオクライメートコントロールは、2005年11月よりヴァレオ社の完全子会社「ヴァレオサーマルシステムズ」として新たにスタートを切った。
また、トルセン事業は、独自技術で競合が少ないこともあり、旧ゼクセル時代は三本目の柱として期待されたが、独ボッシュ社のゼクセル子会社化にともない、2003年8月に豊田工機(現・ジェイテクト)に事業譲渡された。
[編集] 旧ボッシュブレーキシステム(シャシーシステム事業)
この会社は、「ヂーゼル機器」がベンディックス社(アメリカ)のライセンスによりブレーキ関連部品の生産を始めたことに始まる。当時ベンディックス社と独ボッシュ社が競合関係だったことから、技術情報の流出を警戒したボッシュ側の要請により、1955年にヂーゼル機器のブレーキ部門が分離独立し、「自動車機器」となった。
その後1999年に、日本エービーエス(独ボッシュ社とナブコ(現ナブテスコ)の合弁会社、1984年設立)、ナブコ乗用車ブレーキ関連事業、自動車機器の3社をボッシュ・グループがまとめる形でボッシュブレーキシステムとなり、さらに2002年、ボッシュオートモーティブシステムに吸収される。主要製品はABS(アンチロック・ブレーキ・システム)やESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール=横滑り防止機構)などのブレーキ制御システム。
[編集] 旧アスコ(電子制御機器事業)
この会社は、ゼクセルと独ボッシュ社との電子機器製造の合弁会社である「アスコ」(1992年設立)に始まる。2000年にボッシュエレクトロニクスに社名変更。2002年にボッシュオートモーティブシステムに吸収。歴史は旧ゼクセルとほぼ共有している。主要製品はECUやセンサ類などの自動車用電子制御機器およびトランスミッション関連部品。
[編集] 旧ボッシュKK(電動工具事業およびオートモーティブ・アフターマーケット事業)
この会社は、独ボッシュ社の日本における事業を取りまとめる形で設立された独ボッシュ社の完全子会社、ボッシュKKに始まる。ボッシュ製品の輸入・販売を行う商社である。メーカーではないため、他の事業に比べて規模は小さいが、ホームセンターや自動車用品店で一般消費者が目にするボッシュ・ブランドの商品は、この会社が手がけたものである。主要製品は電動工具(ドライバ、ドリル、グラインダなど)、自動車用アフターパーツ(バッテリ、スパークプラグ、ランプ、ワイパーブレードなど)。
かつて、電動工具はプロ・建設業向け製品(特にハンマードリル)が主で、海外高級電動工具ブランドといった感があったが、近年ではそのブランドイメージを利用し、DIY向け商品を開発・販売している。プロ向け商品はボディーが青色ベース、DIY向け商品は緑色ベースに分けられている。
[編集] 社名について
2005年の合併(ボッシュオートモーティブシステム+ボッシュKK)においては、ボッシュオートモーティブシステムが吸収する形になっているが、ボッシュKKの中には電動工具などの非自動車分野の事業もあり、合併によって新会社全体の事業の幅としても自動車分野以外に拡大したことから、吸収される側のボッシュKKの社名であったボッシュ株式会社を新社名としている。そもそも「ボッシュ」は、独ボッシュ社の創業者である Robert Bosch 氏から来ている。
[編集] 独ボッシュ社との関係
社名に「ボッシュ」を冠していることもあり、「独ボッシュ社の日本における現地法人」と認識されたり、マスコミにもそのように書かれることもある。
しかし実際には独ボッシュ社の持ち株比率は過半数程度で、この会社自身も上場企業であり、母体となった各社も多くはもともと独立した企業として長い歴史を有していることから、現在は会社法上の子会社であることには違いはないが、完全子会社だった旧ボッシュKKの事業を除いては、「親会社が主導して外国に拠点として設けられた完全子会社(またはそれに近い会社)」といった「現地法人」の一般的なイメージとは異なる。
他方、ボッシュ・グループは親会社の統制が強い経営方針・文化であり、ボッシュ・グループの一員としての立場と、自身の上場企業としての独立性や他の株主への配慮とのバランスをいかにとるか、難しい課題を抱えている。
[編集] 主要拠点
主要拠点のほとんどは、関東に集中している。
- 本社(東京都渋谷区)
- 東松山第一工場(埼玉県東松山市)
- ディーゼルエンジン用燃料噴射装置など
- 寄居工場(埼玉県大里郡寄居町)
- 燃料噴射ノズル、インジェクターなど
- 太田工場(群馬県太田市)
- ディーゼルエンジン用燃料噴射装置など
- 栃木工場(栃木県那須塩原市)
- ブレーキ用ハイドロリックユニットなど
- 東松山第二工場(埼玉県東松山市)
- ブレーキブースターなど
- むさし工場(埼玉県比企郡滑川町)
- ブレーキ用部品など
- 横浜事務所(神奈川県横浜市都筑区)
- ガソリンシステム開発など
- 富岡工場(群馬県富岡市)
- 電子機器部品など
[編集] 食器洗い機・乾燥機の不具合について
かつてボッシュKKが独ボッシュ社製電化製品の輸入販売を手がけていたことがあり、そのうち1984年から1992年までに輸入販売した食器洗い機と乾燥機について、不具合による発煙・発火事故が数度発生している。人命に関わることであり、無償点検・修理を行う旨をユーザーに呼びかけているが、思うように周知が進んでおらず、2007年2月に経済産業省からも対策を急ぐように指示を受けている。(下記外部リンク参照)
[編集] 関連項目
- ディーゼルエンジン
- アンチロック・ブレーキ・システム
- 横滑り防止機構 (ESC) - 独ボッシュ社では「Electronic Stability Program」(ESP)と呼んでいるが、アドヴィックス(トヨタ系合弁会社)、コンチネンタルテーベス、および同社のブレーキシステム3社では、日本での横滑り防止装置の認知度向上と普及浸透を図るため、メーカーの商標に左右されない一般名称化を狙い、「Electronic Stability Control」(ESC)で呼称を統一している。
- ボッシュブルーウィンズ(かつて運営していた男子バスケットボールチーム)
[編集] 外部リンク
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