マトリックス・リローデッド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マトリックス・リローデッド THE MATRIX RELOADED |
|
監督 | ラリー・ウォシャウスキー アンディ・ウォシャウスキー |
---|---|
製作 | ブルース・バーマン グラント・ヒル アンドリュー・マーソン アンディ・ウォシャウスキー ラリー・ウォシャウスキー |
脚本 | ラリー・ウォシャウスキー アンディ・ウォシャウスキー |
出演者 | キアヌ・リーヴス キャリー=アン・モス ローレンス・フィッシュバーン モニカ・ベルッチ ジェイダ・ピンケット=スミス ヒューゴ・ウィーヴィング |
音楽 | ダン・デービス |
撮影 | ビル・ポープ |
編集 | ザッハ・シュテンベルク |
配給 | ワーナー・ブラザーズ |
公開 | 2003年5月15日 2003年6月7日 |
上映時間 | 138分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
興行収入 | 7億3500万ドル(全世界) 2億8100万ドル |
前作 | マトリックス |
次作 | マトリックス・レボリューションズ |
『マトリックス・リローデッド』(THE MATRIX RELOADED)は、2003年のアメリカ映画。
1999年に公開されたSF映画『マトリックス』の続編(第2作)であり、完結編の『マトリックス・レボリューションズ』に続く。
ジー役は当初アリーヤを配役して撮影を進めていたが、完成前に彼女が事故死したために、この役はノーナ・M・ゲイが代わって制作された。
監督・脚本はウォシャウスキー兄弟。ワーナー・ブラザーズ配給。
2003年5月15日、北米で公開された。その約半月後に世界中でも公開された。日本公開は6月7日。
『マトリックス・リローデッド』は全米で2億8100万ドル、全世界で7億3500万ドルの興行収入を記録するほどの大ヒットを起こした。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ストーリー
第一作と第三作のあらすじはマトリックスとマトリックス・レボリューションズを参照。この作品はストーリー的に非常に難解であるため、ここでは詳細を述べることとする。
マトリックス・リローデッドは未来の世界でマトリックス(仮想空間、プログラムで出来ており、その中では人類はコンピューターに支配されている)と現実の世界を舞台に、人類とコンピューターとの戦いを描く。
ネオ(救世主)は、最近いやな夢を見て眠れない日々が続いていた。その夢はトリニティーとエージェント(ちなみに2作目のエージェントたちの名前は「ジャクソン」「ジョンソン」「トンプソン」)がビルで闘っており、トリニティーが窓を突き破り外へ飛び出した際に、エージェントも彼女を追って外へ飛び出し、エージェントに撃たれてしまい、地面に叩き付けられるというものだった。
ナイオビはザイオン(人類の拠点で地下にある)の全ての船(ホバークラフト)を緊急会議に招集した。彼女は、不運にも全滅したオシリス号からの最後の情報を発表した(ちなみにオシリス号は、アニマトリックス「ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス」に登場する)。25万体のセンチネル(AIのコンピューター軍のロボット兵器)がザイオンへ向け地下を掘り進んでおり、72時間で到達するというものである。対策は模索中であったが、ザイオンの安全を考え、ロック司令官(人類の軍のトップ)は全ての船長と船員に、ザイオンへ戻るよう命令していた。このため、ナイオビはこの命令を全員に告げた。しかしモーフィアスはロック司令官の命令を拒否。自分の船、ネブカデネザル号(モーフィアスの船)は充電のためにザイオンへ戻る必要があるが、オラクルから預言の連絡が来たときのために、他の一隻に残ってほしいと申し出る。モーフィアスはオラクルの預言が現実になり、この戦争が終わることを信じていた。バラード船長がこの申し出を引き受ける。
ネブカデネザル号はザイオンへ帰還し、ネオやモーフィアスが一息ついていたころ、マトリックス世界では、バラードとその乗組員たちがオラクルからのメッセージを受け取っていた。しかし運の悪いことに人類の敵、スミス(後にわかるが、この時点ですでにエージェントではないので、ただのスミスであるがエンティングロールでは「エージェントスミス(Agent Smith)」になっている)から襲撃を受ける。スミスは誰かに触ればその人の精神と肉体を乗っ取り自分自身をコピーできるという能力を身につけていた。乗組員の一人であるベインはスミスに乗っ取られ、コピーされてしまう。
マトリックスから戻ってきたバラードから連絡を受けたネオたちは、再びザイオンを離れ、戦争のヒントとなる預言を聞くためマトリックスに入った。ネオはオラクルのボディーガードであるセラフに導かれオラクルの待つ広場へ行った。ネオは彼女がプログラムの一部で、機械からコントロールされていることを指摘する。
オラクルは漂流プログラム(エグザイル)というものがあることを説明した。通常プログラムというものは、故障したり新しいプログラムができたりすると、替わりに古いプログラムは削除される。だが、この削除命令を無視した一部のプログラムは、マシンメインフレームであるソースから自発的に自分自身を切り放し、マトリックスの中で彷徨い、エグザイルとなる。セラフやオラクルも漂流プログラムである。オラクルはネオに、戦争を終わらせザイオンを救うためには、機械のメインフレームである「ソース」へ行かなければいけないと言った。
ソースへ行くにはまず、漂流プログラムのひとつであるキーメーカーを探さなければならない。彼の持っている鍵は、マトリックスの全てのバックドア(ソースへ通じている)を開けることができる。しかし、キーメーカーは、マトリックスに住む危険なプログラムであるメロビンジアンに捕らえられていた(彼もまた、エグザイルである)。
オラクルはネオを励まし、広場を出ていった。その直後に、スミスが現れた。スミスは第一作にてネオによって破壊されていたはずだった。スミスは自分とネオの関係について話した。スミスはもはやエージェントではなく、マトリックスの不安定要素の排除の役目から解放されていた。
スミスはネオを倒すために自らの分身を増殖させ、スミスの集団を作っていた。スミスは「君が我々から奪おうとしたものを奪うのが目的だ」と説明する。ネオはスミスと闘い始めたが、劣勢になったために撤退を余儀なくされる。
現実世界では、ロック司令官や船長たち、評議会員による会議が行われていた。ロック司令官はザイオンを守るためにはすべての船が必要だと考えていたが、評議会はロック司令官の意向を無視。消息不明となったネオが乗るネブカデネザル号の捜索のため、ソーレンの乗るビジラント号とナイオビが乗るロゴス号の二隻の船を派遣することを決定する。
ネオ、トリニティー、モーフィアスはマトリックスに入りメロビンジアンに会った。メロビンジアンのそばには妻のパーセフォニーとボディーガードのツインズがいた。彼はネオたちのキーメーカーと接触したいという要求を断った。キーメーカーを使って何をするのか、ネオたちはその「目的、理由」を知らないことを指摘。この世界を支配するものは因果関係であって「理由」を知らないものは無力。そんな者にキーメーカーを渡せるはずがない、と。要求を断わられたネオたちが帰ろうとすると、意外なことに、夫に反感を持つパーセフォニーがキーメーカーのもとへ導くことになる。しかし、キーメーカーと会った直後にメロビンジアンが現れる。パーセフォニーがメロビンジアンへ嫉妬していたため、彼への当てつけとしてわざと呼んだのだ。ネオは6人のメロビンジアンの部下と闘い始めた。一方、トリニティーとモーフィアスはキーメーカーを連れ、車で逃げたが、フリーウェイでツインズ、エージェントとのカーチェイスが始まった。
現実世界では、機械の軍があと9時間余りでザイオンに到達するところまできていた。そして、ホバークラフト艦隊が、機械の攻撃を阻止するための奇襲攻撃の配置に着いていた。
ネオたちはナイオビたちの協力もあって、フリーウェイでの闘いからなんとか逃れることができ、アパートの一室にいた。キーメーカーがソースへの行き方を説明し始めた。あるビルの中に、エレベータでも階段でも行けないフロアがあり、そのフロアはたくさんのドアで満たされている。そこにあるドアは、隠されたいろいろな場所に通じている。そして、ひとつのドアは特別で、ソースへと通じている、と。
ソースへ行くには、そのビルの警報システムを停止させる必要がある。この警報が鳴ると、各階にある爆弾が発動してしまうという。そのシステムを停止させるには、27区画すべての送電を行っている発電所を爆破し、ビルの電気を止めなければならない。だが、大規模な発電所にはフェイルセーフ(緊急システム)がある。これは、何らかの原因で停電が発生した場合、自動的に周りの発電所から電気の送電を行うというシステムである。送電網のコアネットワークにアクセスして、この緊急システムもOFFにしなければならない。ソースへのドアが開いているのは送電停止から314秒。つまり、これら3つの行動を同時に決行する必要がある。また、ソースへのドアを開けられるのは救世主だけだとも言った。また、ネオは自分が見た夢が現実になることを恐れ、トリニティにマトリックスへ侵入しないことを提案した。
ナイオビは発電所を爆破。ビルへの送電を停止させた。一方、ソーレンたちは緊急システム解除をしている途中で、現実世界でセンチネルからの爆弾を受け、全滅。このままネオたちがフロアへ入るとすると警報が鳴ってしまうため、トリニティがマトリックスへ侵入する。トリニティは緊急システムの解除に成功。ネオたちは侵入に成功した。しかしその後、トリニティはエージェントに見つかり、命を狙われることになる。
一方ネオはドアを開け、テレビモニターで埋め尽された部屋(ソースにつながっている)に入る。そこで、マトリックスの制作者であるアーキテクトに会った。アーキテクトはマトリックスがネオたちが考えているよりも古いと言った。彼は今のマトリックスは6番目のマトリックスであり、ネオには5人の前任者がいると言った。最初のマトリックスは理想郷として作られた。機械が人間を支配するだけのマトリックス(悲しみや妬み等、負の感情がない快楽だけの世界)である。しかし人間はこのマトリックスに拒絶反応を起こし、最初のマトリックスは失敗に終わった。
そこで、アーキテクトは人類がマトリックスを拒否しないための対策を施した。人間の持つグロテスクな面を反映させ、作り直したが、これも失敗に終わる。偶然にも人間の感情、心理を調べるプログラム(オラクル)がこの答えを見つけた。自分で「選択」ができるという「決定権」を人間に持たせたのだ。これにより、実際はすべての結果はコントロールされているとはいえ、人間があたかも自分でその道を選んだように思わせることで、支配されていることを意識しない、できないようになる。このため99%の人類がマトリックスを受け入れるようになった。
しかしこのシステムは本来、不確定的な要素が強いため、システム内部にアノマリー(異常)を生成してしまう。これを放置すると、システム全体を脅かすものとなる。また同時に、マトリックスを拒否した1%の人間たち(ザイオン)を放置すると、大惨事を起こす可能性を増大させる。マトリックスを安定させるため、オラクルはそれらのマトリックスを拒否した1%の人間たち(ザイオンの住人たち)に預言を与えることで、アノマリー自身(マトリックスから出たがっている人間など)をマトリックスから分離するよう促し、マトリックスへの脅威をなくそうとした。
ザイオンの存在は、完全なアノマリー、つまり救世主が現れるまでの間は許されるが、不安定要素が収拾不可能になる前に定期的に破壊される。この破壊と同時期にシステムの安定化を図るためにマトリックスの「RELOAD」が行われる(ちなみに続編マトリックス・レボリューションズでラストに「RELOAD」が行われていることがわかる)。またソースに行った救世主は、いったん自分の所有しているコードをばらまき、初期プログラムを書き込む。その後、ザイオンの再建のため、女16、男7人の23人をマトリックスから解放し、新たなザイオンを再建する。
アーキテクトは今、ネオにこれをさせようとしている。アーキテクトはネオがこのことをしなければ、致命的なシステムクラッシュを引き起こし、ザイオンのみならず、プラグにつながれているマトリックスの住人を含む人類全体が滅びると言った。ソースにつながっている右のドアへ行って、ネオは一度ザイオンを滅ぼしザイオンを再建するか、左のドアへ行って、エージェントに襲われているトリニティを助け、人類全体を滅ぼすか、選択することになる。
ネオは自分の見た夢で、トリニティーが新型エージェントに撃たれてしまうことを知っている。人類全体への愛よりも、一人への愛の方へ傾倒している6番目のネオは、後者のドアを選んだ。すべてを犠牲にした彼は、なんとかトリニティーを救い、2人はマトリックスを出た。
ネオはモーフィアスに、オラクルの預言、救世主までもがシステムの支配の一部であったと言った。モーフィアスは、このことに愕然とする。ネブカドネザル号はセンチネルの攻撃を受けたため、乗組員は船を放棄しなければならなかった。外の下水道で、船から降りた乗組員はセンチネルから逃げる。この時、ネオは自分の中の何かが変わったことに感づき、もはやマトリックスの中にいなくても、彼はセンチネルの存在を感じることができるようになっていた。不思議な力で、彼はセンチネルの機能を不能にした。しかしその後、彼は昏睡状態になってしまう。乗組員は別の船で帰った。映画は、機械の軍の攻撃を阻止するための奇襲攻撃が失敗したというニュースで締めくくられる。誰かが電磁パルス (EMP) のスイッチを予定より早く押したため、5隻の船が使用不可能になったという。武器を失ってしまったあとはセンチネルの虐殺が待っていた。ただ一人の生存者を除いて……。それは、マトリックスでスミスに精神を乗っ取られた、ベインであった。
[編集] 映画の概要(あらすじ以外)
マトリックス・リローデッドの大部分はオーストラリアシドニーのフォックススタジオ・オーストラリアで撮影された。フリーウェイでのカーチェイスのシーンはカリフォルニア州アラミダでアラミダ海軍退役軍人飛行場で撮影した。製作チームはそこの映画撮影用の古い道路の上に2.5km 近くのフリーウェイを作製した。また、短いトンネルはオークランド(カリフォルニア州)とアラミダを結ぶウェブスターチューブで撮影された。また、編集のうちいくつかは航空機格納庫で行われた。
本作は映画撮影技術、視覚効果の予算は第一作を上回っており、何人かのファンは第三作のアクション、ストーリー、哲学的な要素はさらにこれを上回るだろうと見解した。
リローデッドは、アメリカで公開初日に4250万ドルの興行収入を記録し、2002年5月にスパイダーマンが記録した3940万ドルを越え、全米の公開初日の興行収入の新記録を樹立した。
前編のマトリックスの登場人物のはとんどは、リローデッドにも続けて出演している。また、リローデッドにはメロビンジアンなどの多くの新しい登場人物が出演している。また、第一作で紹介されたザイオンがリローデッドでついに登場する。
この映画は、戦闘シーンが多いためと、ユダヤ、キリスト、イスラムの3つの一神教に関連した人類の起源の話題が多いためにエジプトで上映禁止になった。エジプトのメディアは、リローデッドはシオン(エルサレム)をモデルにしたザイオンが登場し、それが悪に破壊されるため、シオニズムを助長する映画だとクレームをつけた。
[編集] 著作権
著作権を侵害しコピーしたファイルが公開から約2週間後にはインターネット上に出現した。 このファイルは映画館に高精度のデジタルビデオカメラを持ち込み、スクリーンを丸ごとズームして撮るという古典的な手法でデジタル化され、それがネット上にファイル共有ソフトなどで違法に配布された。このファイルに翻訳した字幕を付け、自分のハンドルネームをナンバリングして再配布する者も多かった。
[編集] スタッフ
- 監督 - ラリー・ウォシャウスキー / アンディ・ウォシャウスキー
- 脚本 - ラリー・ウォシャウスキー / アンディ・ウォシャウスキー
- 音楽 - ダン・デービス
- カメラ - ビル・ポープ
- 編集 - ザッハ・シュテンベルク
- 視覚効果 - ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス
- 製作 - ブルース・バーマン / グラント・ヒル / アンドリュー・マーソン / アンディ・ウォシャウスキー / ラリー・ウォシャウスキー
[編集] キャスト
- ネオ - キアヌ・リーヴス
- トリニティー - キャリー=アン・モス
- モーフィアス - ローレンス・フィッシュバーン
- パーセフォニー - モニカ・ベルッチ
- ナイオビ - ジェイダ・ピンケット=スミス
- エージェント・スミス - ヒューゴ・ウィーヴィング
[編集] 関連項目
- マトリックス
- マトリックス・レボリューションズ
- アニマトリックス(THE ANIMATRIX)
- エージェント (マトリックスの登場人物)
- モーフィアス
- ネオ
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 映画関連のスタブ項目 | マトリックスシリーズ | 2003年の映画