メトロン星人
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メトロン星人(メトロンせいじん)は、特撮テレビ番組シリーズ「ウルトラシリーズ」に度々登場した架空の宇宙人。顔から腹にかけてが赤く、手足の先は青。背中は黄色で背筋に沿って白い円形の器官が並んでいる。別名「幻覚宇宙人」。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] ウルトラセブンに登場したメトロン星人
『ウルトラセブン』第8話「狙われた街」(1967年11月19日放送)に登場。
- 出身地:メトロン星
- 身長:2~50メートル
- 体重:120キログラム~1万8千トン
宇宙の彼方にある紅い星メトロン星から地球に侵入した宇宙人。狡猾な戦略で知られる宇宙人で、地球だけでなく、これまでにもいくつかの星を侵略している。地球上では北川町のとある安アパートを拠点として、人間に変身し活動していた。
煙草の中に、人を発狂させる効果を持つ赤い結晶体(ワイ星で採取できる宇宙ゲシで作られたものらしい)を仕込み、これを吸引した人間同士が殺し合い(周りの人間が全て敵に見えるらしい)、最終的には人類が死に絶えるのを待って地球を乗っ取ろうとしたが、ウルトラセブンによって阻止された。個体としての戦闘能力は決して低くはないが、セブンが相手では分が悪いと見たのか、すぐに逃亡を図るものの、最期は空中でアイスラッガーを喰らい縦に裂かれたところをエメリウム光線を受けて爆破、死亡した。但し、ウルトラマンマックスにおいては、この際一命を取り留めたという解釈になっている。
- 夕暮れを背景にしたセブンとの戦闘は、ウルトラシリーズ中でも屈指の名シーンと評される。
- 畳の上で胡座をかき卓袱台を挟んでダンと対峙するシーンは、一部の好事家に大いに受けた。
- 声の出演は中江真司。
- 「CR羽根ぱちんこウルトラセブン」(京楽)のCMではこのダンとの会話シーンが使われた。また、リーチ演出でも使われている。
[編集] メトロン円盤
自身の陰謀を暴かれたと同時に、作戦遂行に邪魔なダンことウルトラセブンを宇宙に連れ去るため、潜伏先のアパートから星人が発射した。武器は破壊光波。玉が二つくっついた様な独特のフォルムをしており、ウルトラホーク1号のミサイルで攻撃された際に分断。その後星人とダンの乗った方が撃墜され、両者が巨大化したことにより爆発。残る一方もウルトラホーク1号のミサイルで撃墜された。
[編集] ウルトラマンAに登場したメトロン星人
『ウルトラマンA』第7話「怪獣対超獣対宇宙人」、第8話「太陽の命・エースの命」に登場。この時の名称はメトロン星人Jr.。
- 身長:2.2~55メートル
- 体重:140キログラム~3万トン
『ウルトラセブン』に登場したメトロン星人の子供である(ただし劇中でその血縁関係は明示されていない)。目的は(竜隊長曰く)地球の破壊。大型ミサイル・マリア1号の発射基地に地中から突如出現し、発射直前のマリア1号と基地を破壊。TACの山中隊員の婚約者であったTAC職員マヤを殺害し、その体を乗っ取ってTAC基地に忍び込み、マリア2号の発射をも妨害しようとした。しかし南夕子の機転で正体がばれて巨大化、ドラゴリーを指揮し、さらに突然現れたムルチと共にウルトラマンAと闘った。
ヤプール人との関わりはないものと思われていたが、『ウルトラマンメビウス』においてドラゴリーに指示を下していたことが判明したために、やはりなんらかの関係があったと思われる。
最大の武器は両手から出すショック光線。光線状と発光状の2通りの使い方が存在する。これによってマヤを殺害した。
Aのエースバリアでドラゴリーと共に一時封印されたが、マヤを殺された復讐に燃える山中隊員が操縦するタックスペースの攻撃を受けてバリアは破壊される。その後ドラゴリーと共にAと戦うが、Aのストップフラッシュで足止めされバーチカルギロチンで真っ二つにされてしまった。
顔の真ん中辺りに、初代にはなかったV字型の切れ込み(口では無い。)がある
[編集] 『ウルトラセブン 地球星人の大地』に登場したメトロン星人
テレビスペシャル『ウルトラセブン 地球星人の大地』に登場。
- 身長:2~50メートル
- 体重:120キログラム~1万8千トン
狡猾なことで有名な異星人。日々深刻化する地球環境の悪化を憂う科学者に言葉巧みに接触し、その技術力を用いて、ごみを用いて地下に造成した未来都市「エコポリス」を見せて篭絡した。しかし、「エコポリス」は実際には地球を侵略するためのミサイル基地であり、ここを拠点にして、オゾン層破壊による地球上の全生物の絶滅とメトロン星人の地球への移住を計画する。ウルトラセブンとウルトラ警備隊の活躍によって失敗した。
冒頭では、初め1体が生物がいないとある惑星でセブンと戦い、激しい格闘戦の末、形勢不利と見て逃亡しようとしたところをワイドショットで倒されたが、その後、セブンの追跡から逃れていた2体のメトロン星人が地球に侵入し、地球上ではそれぞれ男性と女性に変身して潜伏していた。そのうち1体が巨大化する間もなく倒されたが、もう一方は巨大化。メトロン星の科学技術で再生させた恐竜を操り、セブンに差し向けた。恐竜とともにセブンと対峙したが、恐竜は基地の爆発に巻き込まれて絶命。メトロン星人はリュウ弾ショットを受けて死亡した。
戦闘能力は結構高く、両手からエネルギー弾を連射することができるが、セブンに対しては決定的なダメージにはなりえず、2度目はセブンの張り巡らしたバリヤの前に防がれてしまった。
[編集] 『ウルトラスーパーファイト』に登場したメトロン星人
ビデオ『ウルトラスーパーファイト』第7話「鎖の思い出」、第14話「怪獣達の戦い」に登場。
[編集] 『ウルトラマンマックス』に登場したメトロン星人
『ウルトラマンマックス』第24話「狙われない街」(2005年12月10日放送)に登場。
- 身長:2~50メートル
- 体重:120キログラム~1万8千トン
別名は「対話宇宙人」になっている。人間体及び声を演じたのは寺田農。
北川町で40年前に煙草への薬物混入事件を起こした―つまり『ウルトラセブン』に登場したメトロン星人本人。セブンによって縦に真っ二つにされたはずが、40年後に北川町で刑事をつとめる楢崎少年により、怪獣倉庫に連れられて治療を受け一命を取り留めていた。故に、本作のメトロン星人のデザインには、中央部分に傷跡の縫い目が施されている。
携帯電話に高出力の電磁波を流し、地球人の脳の前頭葉を萎縮させ無気力化・凶暴化させることで再度地球侵略を図るが、「そんなことをしなくても地球人は退化を始めている」と判断し、カイト = ウルトラマンマックスを「眼兎龍茶」(ただの清涼飲料水)でもてなし、さらにジャンケンをしたりと冗談めいたやりとりをした後、迎えのメトロン円盤に乗ってあっさりと帰ってしまった。再会した楢崎刑事と固い抱擁を交わしたり、北川町の変化を悲しんで現代人を「猿」とこき下ろしたり、お土産に地球のものを色々見繕ったりと、40年間で相当地球に馴染んだ様子が伺える。
- 劇中では『狙われた街』の映像が挿入され、タイトルにも「再登場」と明記されるなど、明確には表示さないものの、この話に限って『マックス』の世界と『セブン』の世界のリンクが見られた(『マックス』本来の設定では、この世界は怪獣が最近になって初めて登場した世界であり、『セブン』と同一世界であることはありえない。また、作中にセブンの姿や名前は明確に出されていない。切断シーンにアイスラッガーのみが確認できる)。この旧作との時系列的リンクは次作『メビウス』に受け継がれている。
- なおこの話は、『セブン』におけるメトロン星人登場回『狙われた街』を演出した、実相寺昭雄が自ら演出を担当。カイトとメトロン星人のちゃぶ台を挟んだ会話、夕焼けの中で対峙するメトロン星人とマックスなど、随所に『狙われた街』とオーバーラップする演出が用いられた。また実相寺監督ならではの凝ったカメラアングルが随所に見られる。
- 近年の携帯電話使用や電車内におけるマナーの悪さへの風刺が見られる。
[編集] 関連項目
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