伊豆急行2100系電車
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2100系電車(2100けいでんしゃ)は、伊豆急行が保有する電車。「リゾート21」の愛称で広く知られている。
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[編集] 概要
1985年(昭和60年)7月20日に営業運転を開始した。先頭に展望席を設けたり、海側の景色を楽しむ為に座席配列が独特になっているなど、普通列車用ではあるが観光客の利用を見込んだ豪華な設備が売りとなっている。当初計画では100系の機器流用車である1000系第3編成を東急車輛製造に発注していたが、方針転換のため社内全体での検討により登場した。この結果車両の海側と山側でデザインが異なり、前面で海側の赤帯と山側の青帯が斜めに入る(アルファリゾート21では車体側面で斜めに赤帯と青帯が交互に入る)ことから理容店のサインポールを連想する人もいる。
8両編成5本の計40両が製造され、R-1からR-5までの編成番号が与えられている。R-1・2編成は一部車両の足回りを100系から流用して製造された。なお、1986年(昭和61年)には2次車(R-2編成)が伊豆急での営業運転開始に先立ち、6月18日から22日までの5日間イベント列車として東京急行電鉄の新玉川線・池上線を除く鉄道線各線を走行した。1988年(昭和63年)登場のR-3編成以降は足回りを含め完全な新製車両である。制御方式は全編成とも抵抗制御である。R-3編成は1988年に快速「リゾートライナー21」として初めて東京駅に乗り入れ、これが後述する特急「リゾート踊り子」へと発展する。
東海道本線・伊東線乗り入れに必須の保安装置としてATS-PをR-4~5編成は新製当時から装備しており、R-1・2・3編成は伊東線へのATS-P導入時に装備した。1990年(平成2年)に登場したR-4編成は「リゾート21EX」となり、集電装置(パンタグラフ)を菱形から下枠交差式に変更し、前面を大きな一枚窓にするなどの仕様変更点がある。特筆点は3列シートのグリーン車「ロイヤルボックス」(サロ2180形)を新製当初から連結したことで、寝台車のようなハイルーフを採用し、トンネルに入ると特殊塗装とイルミネーションによる演出で天井が星空になる工夫がなされている。この仕様が好評だったことから1991年にR-1~R-3編成にも内装に小変更を加えてロイヤルボックスが増結され、星空天井も採用された。
また、1993年(平成5年)に登場した最終編成のR-5編成については、外観を変更し、リゾートシリーズに+αという意味で「アルファ・リゾート21」の愛称とした。こちらはロイヤルボックスの特殊照明が星空から海底に変わっている。
2004年(平成16年)には1次車(R-1編成)が下田開港150周年を記念して黒船を模して黒色に塗装が変更され、車内で下田開港当時の資料を展示した「黒船電車」としてリニューアルされた。この編成は2006年(平成18年)3月10日をもって定期営業運転を終了し、3月11日・12日・18日・19日に「さよなら運転」と撮影会が実施された。1次車の運転終了を前に、後継車両として4次車(R-4編成)が2代目「黒船電車」としてリペイントされた。
[編集] 使用列車
主に伊東線熱海駅~伊東駅~伊豆急下田駅間の普通列車に使用される。また、土曜・休日及び繁忙期には特急「リゾート踊り子」や、繁忙期に走る特急「リゾート踊り子81・82号」で使用されている。このほか、毎年元日の早朝に走る「伊豆初日の出号」(品川駅→伊豆急下田駅、片道のみ運転)などにも使用されている。
特急「リゾート踊り子」などに使用される際にはグリーン車である「ロイヤルボックス」を連結する。普通列車でも「ロイヤルボックス」を連結していたが、普通列車での「ロイヤルボックス」連結は2003年3月31日をもって廃止された。それ以来、普通列車では「ロイヤルボックス」を抜いた7両で走っている。
[編集] 今後の予定
製造されてから20年程度であるにもかかわらず、沿線の潮風などで車体の腐食が目立っており、第1~3次車(R-1~3編成)は8000系への置き換えにより順次廃車される事になっている。先述のとおり1次車が2006年3月10日に定期運用を終了し、2・3次車も2010年頃までに運用終了する予定である。R-1~3編成に連結されていた「ロイヤルボックス」は既に廃車・解体されている。
[編集] 外部リンク
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