北方謙三
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北方 謙三(きたかた けんぞう、男性、1947年10月26日 - )は日本の小説家である。佐賀県唐津市生まれ。芝中学校・高等学校を経て、中央大学法学部卒業。
目次 |
[編集] 人物
中央大学在学中に、『明るい街へ』で賞を取り、その後純文学作品を書きつづけるが、発表できた作品は、数作のみ。十年間原稿用紙に書き続けた作品は、積み重ねると肩の高さまでになったという。
十年純文学を書き続けた後、「自分が本当に書きたいものを書く、ラストチャンスのつもり」といって書いた『二人だけの冬』(後の『逃れの街』)が、編集者の目に止まり、デビューとなる。出版社の都合で、実際のデビュー作は『弔鐘はるかなり』である。これらの作品は、ハードボイルドといわれたが、当人は当時、かつての日活映画のような雰囲気のアクション小説を書いているつもりであり、ハードボイルドの大御所チャンドラーも知らなかったと言う。
その後『さらば、荒野』『檻』とヒット作を生み出し、一躍人気作家となる。書くスピードが極めて速いことから、「月刊北方」などとも言われた。
ハードボイルド小説の旗手ともいわれ、新境地ハードボイルドで地位を築き上げるが、ハードボイルド小説を十年書いた後、歴史小説を手がけるようになる。
平成元に発表した『武王の門』などの、南北朝時代をはじめ、幕末物、剣術小説、最近では藤原純友を主人公にした『絶海にあらず』を書いている。
歴史小説を十年書いた後、中国史をテーマにした作品を手がけるようになる。まず、『三国志』(全13巻)を書く。その後、『楊家将』、『水滸伝』と精力的に書き続けている。『水滸伝』は、解説本と合わせて全20巻、続編の『楊令伝』(『小説すばる』紙上にて連載中)とあわせると、日本小説史のなかでもかなりの分量の小説となる予定である。
「男の死に様、すなわち如何に生きるか」を普遍的なテーマに創作活動をしている。
愛車はマセラッティ モータージャーナリストの徳大寺有恒の薦めで買ったと言う。北方が、自動車免許を取得したのは、ハードボイルド小説で成功してからであり、最初に所有した車がマセラッティということになる。
船舶免許も所有しており、船の係留できる別荘を所有している。この別荘は、かつてマッカーサーが所有していたものらしい。
2003年、直木三十五賞の選考委員を務めていたが、最有力候補であった横山秀夫の『半落ち』について、自身で関係団体に問い合わせた上で、「現実味に欠ける」と発言して落選の大きな原因を作り、横山が「直木賞決別宣言」をするという騒動に発展した。
[編集] 受賞歴
- 1982年 『眠りなき夜』で第1回日本冒険小説協会大賞日本軍大賞、第4回吉川英治文学新人賞
- 1983年 『檻』で第2回日本冒険小説協会大賞日本軍大賞
- 1984年 『渇きの街』で第38回日本推理作家協会賞長篇、『過去 リメンバー』で第11回角川小説賞
- 1985年 『明日なき街角』で第5回日本文芸大賞
- 1990年 『破軍の星』で第4回柴田錬三郎賞
- 2004年 『楊家将』で第38回吉川英治文学賞
- 2006年 『水滸伝』で第9回司馬遼太郎賞
[編集] 作品
[編集] ハードボイルド小説
- 『ブラディドール』シリーズ(全10冊)
架空の都市N市にある酒場ブラディドールの経営者である川中を主人公にしたハードボイルド小説。
- 『約束の街』シリーズ
約束の街シリーズとブラディドールシリーズは、『されど君は微笑む』で合体し、一つのシリーズとなる。
- 『神尾』シリーズ(全6冊)
海洋冒険小説。
- 『挑戦』シリーズ(全5冊)
- 『老犬』シリーズ(全3冊)
- 逃れの街
- 弔鐘はるかなり
- 檻
- 眠りなき夜
- 明日なき街角
- 渇きの街
- あれは幻の旗だったのか
- 不良の木
- 夜より遠い闇
- 約束
- わが叫び遠く
- 冬こそ獣は走る
- 過去 リメンバー
- 白日
- 雨は心だけ濡らす
- 明日の静かなるとき
- 風の中の女
- 遠い港
- 彼が狼だった日
- 煤煙
- コースアゲイン
- 罅
- 皹
- 擬態
- 夜の眼
- 汚名の広場
- 愚者の街
- 鎖
- 水色の犬
- 標的
- 友よ 静かに瞑れ
- 棒の悲しみ
- 黒いドレスの女
- 火焔樹
- いつか時が汝を
- 逆光の女
- 真夏の葬列
- 傷だらけのマセラッティ
- 冬の眠り
- 二人だけの勲章
- 秋ホテル
- 再会
- 夜を待ちながら
- ガラスの獅子
- 錆
- 君に訣別の時を
- われらが時の輝き
- 魂の岸辺
- 夜の終わり
- 帰路
- いつか光は匂いて
- 錆びた浮標
- 逢うには 遠すぎる
- 夜よお前は
- ふるえる爪
- 牙
- そして彼が死んだ
- 行きどまり
- やがて冬が終われば
- 一日だけの狼
- 2月2日ホテル
- わが叫び遠く
- 烈日
- 抱擁
[編集] 歴史小説
- 絶海にあらず
藤原純友が主人公。
- 武王の門
『週刊新潮』1988年(昭和63)から1989年(平成元)まで連載、以下は書き下ろし。南北朝時代に九州において南朝勢力を築いた懐良親王が主人公の歴史小説。
- 破軍の星
北畠顕家が主人公の歴史小説。
- 道誉なり
佐々木道誉(高氏)が主人公の歴史小説。
- 楠木正成
- 悪党の裔
『中央公論』1991年12月号から92年10月号に連載。赤松則村(円心)が主人公の歴史小説。
- 陽炎の旗
- 波王の秋
剣術物
- 『日向景一郎』シリーズ
- 風樹の剣
- 降魔の剣
- 絶影の剣
- 鬼哭の剣
- 活路
- 余燼
- 林蔵の貌
間宮林蔵が主人公。
- 杖下に死す
大塩平八郎が主人公。
- 草莽枯れ行く
相楽総三が主人公。
- 黒龍の柩
土方歳三が主人公。
- 三国志(全13冊)
『三国志演義』とは異なり正史をもととした作品構成であり、登場人物の描写が独特。
- 『楊家将』上巻 PHP文庫 2006年7月(書籍番号:ISBN 978-4-569-66658-7)
- 『楊家将』下巻 PHP文庫 2006年7月(書籍番号:ISBN 978-4-569-66659-4)
中国で『三国志』と人気を二分する物語『楊家将』。主人公は宋時代の英雄・楊業と七人の息子たち。
- 『血涙 新楊家将』上巻 PHP研究所 2006年12月(書籍番号:ISBN 978-4-569-65813-1)
- 『血涙 新楊家将』下巻 PHP研究所 2006年12月(書籍番号:ISBN 978-4-569-65814-8)
『楊家将』から2年後が舞台。主人公は遼に降った将軍・石幻果と、楊業の六男・楊六郎延昭。
- 北方謙三 水滸伝(全19冊)
北方謙三なりに再構築した話であり、説話の寄せ集めであった『水滸伝』を、時制、人物描写を再構築することにより、より現実的な話としている。
- 楊令伝
『北方謙三 水滸伝』の続編。
[編集] エッセイ等
- 試みの地平線
- 第二誕生日
- 風待ちの港で
- 人生訓なんて蹴っ飛ばせ
- 遠く、ただ遠く
- 疾走の夏
- 国境流浪
- 黒き肌への旅
- 日付変更線
- 男達の荒野
- 俺達と歌おう!
- 愛しき女達へ
- 愛しき女たち
- 男が惚れる男の条件
- 男はハードボイルド
[編集] 児童書
- シロは死なない
- くらやみに星をひろえ
[編集] その他(共著など)
- 男達の長い旅
- 闇に香るもの
- 男のホンネ・女のホンネ
- 誇り高き掟