週刊新潮
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『週刊新潮』(しゅうかんしんちょう)は株式会社新潮社から発行されている週刊誌である。1956年2月6日(2月19日号)創刊であり、日本の出版社系週刊誌としては最も歴史が古い。
2007年現在、発行部数で後発の『週刊ポスト』『週刊現代』を抜き『週刊文春』に次いで第2位である。定期出版物の多くが減少傾向にありながら、十年前とほぼ変わらない発行部数を維持する。
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特徴
編集傾向
出版社系週刊誌のスクープとしては、『週刊文春』が姉妹誌『文藝春秋』とタイアップ的に動いた、いわゆる「田中金脈」事件が有名であるが、『週刊新潮』はシングルヒット的な、どちらかと言えば地味な内容が多い。しかし、如何なる権力にもおもねらず(そうではないとの批判もあるが)特定の問題を根気よく継続的に追及する姿勢は、こうした出版社系週刊誌のお手本ともなっている。又、真相が分からなくても書ける「藪の中方式」は同誌で誕生した。
編集方法
週刊新潮で編集者を務めた事があるジャーナリストの亀井淳によると、『週刊新潮』ではデータマンと呼ばれる記者が取材を行い、それをアンカーマンと呼ばれる担当デスクがこれらの資料を基に記事を書く方式を取っているという。これは創刊当時、新聞社と違ってこれといった取材網が無かった事や取材経験のある従業員がいなかった同誌の苦肉の策であった(TIMEやニューズウィーク等のように記者の署名記事が殆ど無いのはこのためである)が、結果的に大成功を収め、その後の週刊誌創刊ラッシュの道を開く事になった。
こうした手法は新聞・テレビの報道でも使われるようになったが、同時に責任の所在が曖昧になったり、誤報・捏造の温床にもなったりしていった。
編集スタンス
1997年まで同誌担当の統括責任者※を務めた斎藤十一(後に新潮社顧問 2000年歿)により確立された路線は基本的に右派であり、左派とは対立関係にある。特に、犯罪者(および被疑者)の人権保護が過剰であるとするスタンスからの報道が特徴である。又、少年法批判をタブーとされていた時代から行い、少年法論議の活溌化に寄与した。少年問題を扱う弁護士の団体、人権団体からは、少年事件(とりわけ、殺人事件)の被害者を神格化して報道していると批判されている。又、被害者側でも過剰な取材、被害者の声を歪曲して報道しているという意見もある[1]。
だが、自分たちにとって立場が近いなど、特定の人物に対しては徹底的に人権を掲げ守り通そうとする。その部分に着目して、一番人権擁護に熱心な週刊誌と評されたこともあった。[要出典]
基本的に創価学会とは敵対関係にあり、最近の政府を批判する記事では公明党絡みであることも少なくない。又、創価学会を批判するため、学会系タレントを名指しで「創価の広告塔」などと批判する事がある。その攻撃的な記事から、名誉毀損訴訟など数多くの訴訟を起こされるが、「提訴するならどうぞ」という姿勢が貫かれているために誌面のテンションは維持されている。
公明党側も敵視しており、2000年3月13日、東京都大田区議会で、公明党の田口仁議員は『週刊新潮』『週刊文春』『文藝春秋』(月刊)の3誌を区内の図書館から排除するよう要求した。同年夏には東京中央区でも公明党所属の区議による同様の動きがあった事が分かっている。何れも、公明党・創価学会に批判的な雑誌である。又、機関紙の『聖教新聞』や系列誌の『潮』などを使い、定期的に新潮社に「クズメディア」や「デマ雑誌を追放しろ」などと攻撃を加えている。
その他、週刊誌という立場からテレビ局や新聞社に対しても辛辣な記事をしばしば掲載する。そのうちでも主に朝日新聞、毎日新聞、NHK、TBSのスキャンダルや捏造問題を取り扱うことが比較的多い。
一方で、小沢一郎などに対して好意的な記事を数多く掲載しているため特定の政治家には甘いとする意見もある[要出典]。それは小沢が新進党党首在任期間中に小沢寄りの記事を数多く掲載した事などが根拠とされている。ただし、近年では小沢一郎が記事になることは稀である。
ワイド特集
細かい記事を何編もまとめて記事にしたワイド特集を最初に始めたのは『週刊新潮』だと言われている。当初この特集は好評だったが前編集長松田宏の時代に部数維持の為ワイド特集を乱発した事や他の週刊誌もマネをするようになった。又、このワイド特集の存在が結果的に週刊誌全体の売上部数低迷の原因の一つになっているとの指摘もある[要出典]。
ネット取材
最近では2ちゃんねるやブログを引用・丸写ししたとしか思えないような記事が多く[2]、取材力や記事の質の低下を指摘する声がある。月刊『WiLL』編集長の花田紀凱は「最近の週刊誌はネットで資料集めをして取材もせずに書いているというのが読んでミエミエ。それをまたデスクが見抜けない」と苦言を呈している。
批判を浴びた記事
誤報・捏造
- 松本サリン事件の報道の際、「毒ガス事件発生源の怪奇家系図」という見出しの記事で被害者の河野義行の家系図を掲載した。翌年の地下鉄サリン事件で疑いは晴れたが、河野義行は『週刊新潮』に対してのみの告訴を検討。謝罪文掲載の約束により告訴を取り下げた。しかし約束は守られていない。
- 1996年に創価学会名誉会長池田大作の強姦疑惑を報道し、その年の「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」に選ばれたが、最高裁判所は2001年6月26日、被害者の老女の訴えを「訴訟に名を借りた悪質な狂言騒動」と断定、「訴権の濫用」として却下した一審・二審を支持する判決を下した[3]。
- 1996年4月18日号の「秋篠宮殿下度重なるタイ訪問に流言蜚語」と題する記事で、「秋篠宮が宮中晩餐会を欠席してまでタイを頻繁に訪問しているのは現地に親しい女性がいるから」と報道、6月20日号では秋篠宮夫妻の不仲説を報道した。これに対し宮内庁が抗議、宮内庁と『週刊新潮』との間で応酬が続いた[4]。最終的には秋篠宮が11月30日の誕生日の記者会見で「火のないところに煙がたった」と報道が誤報であると主張し、沈静化した。
- 2000年に熊本県の医療関係者が自動車事故で死亡した際、噂を基にして、事故があたかも保険金目当ての殺人事件であるかのような内容の記事を掲載した。病院と理事長に訴えられ、東京高等裁判所で賠償金1980万円の支払いを命じる判決が下り、佐藤隆信社長が書類送検された。
- 2002年9月19日号で、テレビ東京の人気番組『開運なんでも鑑定団』を制作する番組制作会社ネクサスが、ロシア美術品を鑑定した際裏金をもらっていたという記事を書き、同社から告訴された。2006年3月27日、最高裁判所は賠償金550万円の支払いと同誌への謝罪広告の掲載を命じた一審・二審を支持する判決を下し、敗訴が確定した。
- 2003年の福岡一家4人殺害事件で、被害者の家族及び親族の私生活を中傷する記事を掲載した。被害者親族が告訴し、2005年8月に東京地方裁判所は賠償金330万円の支払いを命じる判決を下した。『週刊新潮』側は控訴するものの、2006年2月の東京高等裁判所の判決では賠償額を770万円に倍増させる異例の判決が出た。同年8月、最高裁判所は『週刊新潮』側の上告を棄却し、東京高等裁判所の判決が確定した。
- 2006年10月、「水面下で捜査が進む『楽天』三木谷社長のXデー」の記事を巡り、楽天と楽天証券から謝罪広告の掲載と計12億6891万円の損害賠償を求める訴訟を起こされた。この訴訟では請求金額が12億と巨額だが、これは『週刊新潮』の記事が同誌の発売日前日にネット等一部で出回ったことで株価が急落し、巨額の損害が発生したことが背景にある。
その他
- 1981年の第53回全国高等学校野球選手権大会の決勝戦報徳学園(兵庫)対京都商業(京都)で両校のレギュラーメンバーの大半が在日韓国・朝鮮人であるとして、外国人が甲子園大会に出たことを問題視する記事を書いた。高校野球では選抜・選手権とも外国人の出場制限を行っておらず、高校野球関係者などから批判が出た。
- 2005年10月27日号の特集「史上最凶『リンチ殺人』で死刑判決なのに新聞が載せない元少年3人の『実名と顔写真』」で、少年法第61条に違反し、大阪・木曽川・長良川事件の被告人3人(事件当時少年)の実名と顔写真を掲載した。
注目を集めた記事
- 2000年11月9日号で中川秀直内閣官房長官(当時)や自民党の姿勢を批判した記事のタイトルは「この国の誇りある人々を失望させた森首相、中川スキャンダルを人権侵害とのたまう自民党の厚顔、永年の利権にあぐらをかいて猿芝居ばかりのあなた方に国民は呆れ返っている」と余りに長く、ライバル誌から「『日刊ゲンダイ』か」と評された。
- 2005年7月21日号で、NHK大津放送局の記者が連続放火事件で警察から事情聴取を受けたと報じた。その記者は4ヵ月後、非現住建造物等放火未遂の疑いで逮捕された。
- 2006年2月16日号で、元読売新聞社主の正力松太郎がCIAに操作されていた事実を、早稲田大学教授の有馬哲夫が米国国立公文書館によって公開された外交機密文書を基に初めて明らかにし、反響を呼んだ。
テレビコマーシャル
かつてはテレビコマーシャルで「週刊新潮は明日(本日)発売です」「週刊新潮はただいま発売中です」と発売日前後にスポットを打っていた。表紙の谷内六郎の童画風の絵と「赤とんぼ」の曲、子供の声によるナレーションは、パロディーが生まれるほど定着し、テレビCMの成功例の一つとされる。ちなみにラジオでもCMが時折放送されている。
関連図書
- 『谷内六郎 昭和の想い出』谷内六郎・谷内達子・橋本治・芸術新潮編集部 著 新潮社 2005年 ISBN 4106021315
関連項目
外部リンク
脚注
- ^ 『週刊新潮』では同誌の統括責任者が編集方針の実権を握っていて編集長以下編集部は統括責任者が「こういう方針でやる」といえばはいとその通りに編集する。この編集スタイルを確立したのが斎藤十一であり彼が離れて以降も不変である。このスタイルは「非民主的である」と一時同業から批判されたが現在はそういう声が聞かれない。
- ^ 2004年のイラク日本人人質事件の際、2ちゃんねるの内容を基に人質を非難。その他に「2ちゃんねらーに笑われた鳥越俊太郎」など。
- ^ 『判決 訴権の濫用』(日本評論社)
- ^ 一連の報道では以前のような右翼団体による抗議や襲撃事件が起こらなかったため、「菊タブー」が無くなりつつあるのではないかといわれた。
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