太閤立志伝
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太閤立志伝(たいこうりっしでん)はコーエーから発売されているコンピュータゲームあるいはテレビゲーム。ジャンルはリコエイションゲーム。豊臣秀吉の立志出世をテーマにしたゲームで、2007年現在、5作目の『太閤立志伝V』まで発売されている。基本的には、プレイヤーは下級時代の秀吉、木下藤吉郎となり、評定に出席して主命と呼ばれる様々な種類の仕事を請け負い、その結果によって功績を貯め、功績の上昇に従って身分も上がり、家老、城主、大名へと出世していくゲームである。
なおゲームタイトル本来の表記はローマ数字であるが、以下ではアラビア数字で表記する。
目次 |
[編集] 特色
コーエーの他の歴史ゲームと比較した場合の特色としては
- 一人の人物とその人間関係にスポットを当てていること
- 立身出世をテーマとしていること
- 物資や人材を居城に集結させることができるので手間が省けること
- 城単位で移動するのではなくマップ上を一人で移動できること
- 時間の経過は一日単位であること
- 各種自由度が高いこと
- 能力や特技を成長させることができること
などがある。
秀吉(あるいはその他の主人公)と武将同士に友好度や親密度、好みなどが設定され、それが高いと登用に成功しやすくなったり、裏切られにくくなったり、技能を師事できるなどのメリットがある。3では派閥が存在する。
自由度の高さは1からの伝統であり、評定で主命をこなす以外は原則として何を行っても構わない。また2・4・5では、信長から離反して他の大名に仕えたり浪人して旅をしたりすることも可能である。4以降ではさらに、商人や忍者になるなど自由に生き方を変更できる。
またコーエーの他シリーズが基本ゲームシステムを頻繁に変更するのに対し、本シリーズは比較的システムの変更が少ないシリーズと言える。特に4から5への改良は、好評だった基本システムはほぼ保持したまま、細かな改善が数多く施されており高く評価されている。
[編集] 各作品について
[編集] 太閤立志伝
1992年に各種パソコン版が、1993年にはスーパーファミコンやメガドライブでも発売された。舞台が中国地方から関東地方までと限定されていたが、700名を超える登場武将と、大名ではなく織田信長の家臣として主命を達成していくという斬新なシステム、また辻斬りや商人と結託して悪事を行う事ができるなどの理由で圧倒的な自由度などにより人気を博した。
史実の動きを追う上でも秀吉のイベントはすでにかなり充実しており、楽しむことが出来た。基本的なシナリオは、信長の家臣として足軽組頭から始まり、侍大将、武将、家老などへと出世していき、やがては信長から城主に任命される。仕事をこなすことにより能力が向上するようになっている。柴田勝家や佐々成政などは秀吉のいじめ役として登場し立身出世の野心を掻き立てる設定になっている。なお、本作では織田信長以外の大名に仕える事はできない。城主に任命された後は家臣を集めたり内政を命じたり、城を攻めたりできる。信長を攻めると謀反を起こすことも可能である。本能寺の変イベントをいかに起こすかは、その後のシリーズのプレイでの共通テーマとなる。墨俣一夜城や金ヶ崎の退き口など、その後もほぼ変わらぬ形で受け継がれているイベントも少なくない。一方で、大名家の姫に話しかけたり、白拍子と一夜を共にしたりと、その後に受け継がれなかった惜しい要素もあり、今なお愛好するファンは多く、2004年には、コーエー設立25周年記念事業の一環として、コーエー25周年記念パックのVol.5に復刻版として収録されたものが発売された。後にコーエー定番シリーズでも単品発売された。(後述の太閤5にも体験版が収録されている。)
[編集] 太閤立志伝2
PC-9801版が1995年3月に、プレイステーション版は1996年2月に発売された。前作のシステムをほぼそのまま継承しつつ、舞台を全国に広げた上で秀吉のみならず柴田勝家や明智光秀、新武将でのプレイが可能となった。また、本作では他家に仕官する事ができる。家臣の1人を用心棒として同行できるなど新システムが導入されたが、自由度が前作と比べやや低下したためファンの間では評価が分かれる。
データ的には、前作では削除されていた四国・九州・東北地方まで網羅され、公家や僧侶など武将以外の人物も増えて彩りを添えている。主命の内容によってミニゲームを行う要素はこの2作目からであり、その後ミニゲームの種類が増えていくことになる。また携帯電話向けに配信されている「Mobile太閤立志伝」のベースともなっている(ただし用心棒システムなどは搭載されていない)。
[編集] 太閤立志伝3
1999年3月に発売された。目新しい要素としては信長勢力には派閥が存在し、徐々に自分の派閥を広げていくことができるなど。前作のシステムを大幅に変更した意欲作であったが、前作までに比べかなり自由度が少なかったため、あまり評価されることはなかった(それでも、自由度の大きいゲームで目的を見失って戸惑っていたプレイヤーにとっては、高い評価を得た)。
また受けの悪かった理由として、重要な局面で緊張感のない選択肢が出てきたり、喜怒哀楽別に用意されている主人公の表情が大げさ過ぎたりするなどシナリオやグラフィックの面での(本来太閤シリーズはライト層向けに作られていると考えられるものの、それでも)あまりの「軽さ」があったことも理由として考えられる。
しかし基本仕様は以後標準化されることとなった。プレイできるのは木下藤吉郎(豊臣秀吉)、および番外シナリオとして柴田勝家に仕える簗田政勝なる武将(正体はプレイ中のイベントで明らかになる)の2人。秀吉でのイベントでは、史実通りの展開だけでなく、いろいろなバリエーションの分岐があった。また大河ドラマ「秀吉」の影響を受け、母・なかや、友人・がんまくといったキャラクターが活躍している。今作から京の町に登場する公家が菊亭晴季1人になり、その後も受け継がれている。
[編集] 太閤立志伝4
2001年6月1日にWindows版が発売され、2001年11月29日にはプレイステーション2で発売された。再びシステムを変更し今作からカード制を導入、自由度も3に較べて飛躍的に上昇し、秀吉のみならず600人ほぼ全ての武将でプレイが可能(風魔小太郎を始めとする一部人物は、雑誌の付録CDで入手、もしくはコーエーのサイトから購入する)になった。また商人や忍者でのプレイも可能で新たな太閤立志伝を開拓した。
シリーズ初の試みとしては、時代ごとに設定された複数シナリオの存在、主人公カードによるプレイ可能武将の飛躍的増大、宿屋娘との結婚が可能、武士以外への就職可能、名所巡りの要素など。イベントに関しても、それまでの織田家中心のイベントのみならず、地方大名に関するイベントや関ヶ原の戦い・大坂の陣などスケールの大きい歴史イベントを様々な立場で体験出来るなど、ふくらみが出ている。ユーザーの評価も非常に高く、2003年にはベスト版が発売された。台湾でも中文版が発売された。2006年3月31日にはソースネクストから「Qualityイチキュッパ」シリーズでも発売(ただし、コーエーへのユーザー登録ができないため、シナリオ4と5をダウンロード購入することなどは不可能。)。2006年8月31日にはプレイステーション・ポータブル版も発売された。
登場するシナリオは以下の通り
- シナリオ1:「尾張の風雲児」(1560年)
- 最初からプレイできるシナリオ。シリーズの基本シナリオでもある。桶狭間の戦い直後からの開始となる。
- シナリオ2:「平安楽土の階」(1577年)
- 播磨国主となった秀吉が姫路城に赴いた時期からを描く。本能寺の変を起こすのには最も手早くできるシナリオである。
- シナリオ3:「夢のまた夢」(1598年)
- シリーズ初の秀吉死後のシナリオ。当然のごとく関ヶ原の戦いから大坂の陣などが主軸となる。また宮本武蔵などでもプレイ可能。
- シナリオ4:「覇王の危機」(1570年)
- 信長上洛後の時代。足利義昭による信長包囲網が完成していく時代を題材とする。PC版ではコーエーオフィシャルサイトでダウンロード販売。PS2版では標準搭載。
- シナリオ5:「猿公と古狸」(1584年)
- 本能寺の変の直後、秀吉と家康の対立を主軸におく、戦国シミュレーションゲームとしては珍しい時期のシナリオ。PC版ではコーエーオフィシャルサイトでダウンロード販売。PS2版では標準搭載。
- シナリオ0:「乱世の余燼」(1555年)
- PS2版のみ。斎藤道三や今川義元、陶晴賢など今までシリーズに登場しなかった有名武将などが登場する。
[編集] 太閤立志伝5
2004年3月12日にWindows版(発売直後に重大なバグが発見され、修正パッチをダウンロードする必要がある)、2004年8月26日にはプレイステーション2版、それぞれ後にベスト版も発売された。前作からのカード制を踏襲し、武士・忍者・商人のほか新たに海賊、剣豪、鍛冶屋、医者、茶人でのプレイも可能となった。それにともない、忍者・海賊・剣豪などの登場武将も増え、シリーズの中でも登場人物(プレイ可能武将数はWindows版は800人、PS2版は860人。さらに武将以外の人物(武将の妻など)も増えている)の数や、自由度が最も高い。シリーズとして初めての要素としては、プレイヤー武将以外の新武将を登場させることができる、新武将の顔や小物のパーツを組み合わせて自分好みの顔を作成できる、女性武将でのプレイが可能になった、など。プレイした者からは隠れた名作と評価が高い作品である。
カードをたくさん集めていくことでシナリオが増えたり、新武将のパーツが増えたり、別の主人公でプレイできるなどのメリットがあり、カードをすべてコレクションしたくなるようにうまく設定されている。 また、個人戦・野戦がカードバトルから一変し、とても緊張感あるものとなった。刀剣、槍、苦無、弓、鎖鎌、火縄銃といった武器を使え、秘技も多数存在する。商人の大判振る舞いで敵を誘惑して、医者の止血で体力を回復できるなど、他の職業で身につけた特技を活用できる。4に続き台湾でも発売されている。攻城戦では、停戦交渉による駆け引きを重んじるなど、実際の歴史に近い要素もあった。
Windows版では初めて「イベントコンバータ」が登場。プレイヤーがスクリプト形式で自由にイベントを作成できる機能が好評を博した。近年のコーエー作品はPS2版に、Win版にはなかった新要素を追加したり、バランスの再調整をしたりして発売することが多いため、「Win版はPS2版のβ版」とも揶揄されることが多く、それは本作においても後述の通り例外ではないが、本作のPC版の場合はイベントコンバータの存在によりPS2では難しい、PCであるがゆえの利点のある作品となった。
PS2版では秀吉が織田家に仕える前、信長がまだ当主ではない時期(1549年)シナリオが新たに登場し、またすべての武将が同年齢で登場し、バラバラの配置で始まるシナリオなども追加されている。新たな登場人物も信長の野望・蒼天録で有名となった二階堂盛義をはじめ多数追加された。なおPS2版はハードディスク(PlayStation BB Unitに搭載)にインストールすることで動作がかなり軽くなる。
登場するシナリオは以下の通り。
- 「日輪の章」(1560年)…最初からプレイできるシナリオはこのシナリオだけである。シリーズの基本時代設定。ただし今作では桶狭間の数ヶ月前からスタートする。
- 「昇龍の章」(1568年)…信長上洛直後のシナリオ。前作との違いはまだ信長包囲網が出来る前の段階であること。
- 「覇道の章」(1575年)…長篠の戦い直前のシナリオ。鉄砲による三段撃ちの他、鳥居強右衛門のイベントなどが見られる。
- 「転変の章」(1582年)…本能寺の変の直前シナリオ。天目山の戦いで武田勝頼を滅ぼすことで、本能寺の変を起こすことは比較的容易である。
- 「太平の章」(1598年)…前作の「夢のまた夢」シナリオとほぼ同様の時代設定となっている。唯一の秀吉死後のシナリオである。
- 「乱麻の章」(1554年)…前作の「乱世の余燼」から1年さかのぼった1554年のシナリオ。厳島の戦いや道三と信長の正徳寺の会見などのイベントがある。
- 「流亡の章」(1549年)…PS2版のみ。乱麻の章から更に5年さかのぼり、織田信秀、松平広忠、大内義隆ら従来のシナリオの父親の代の武将も多く登場する。
- 「夢幻の章」(1560年)…PS2版のみ。すべての武将が同年齢で登場し、名前によって分けられた大名家に所属する架空の戦国世界。他のシナリオで武将の妻になっている女性が宿屋娘として登場し結婚できるなど、特殊要素もある。
[編集] 関連項目
- リコエイションゲーム
- 大航海時代シリーズ
- 本シリーズと同じくリコエイションゲームに属し、初代太閤立志伝に初代大航海時代の主人公レオンフェレロが登場して以来、全ての作品で同シリーズの登場人物が南蛮商館の主として登場する。その他アイテムなどにも共通面が見られる。
- 信長の野望・蒼天録
- 信長の野望シリーズで(今のところ)唯一、本シリーズと同様武将個人プレイが可能
- 三國志シリーズで全武将プレイが可能な作品
[編集] 外部リンク
- 太閤立志伝IV 公式サイト
- 太閤立志伝V 公式サイト
- 太閤立志伝Vユーザーズページ