妖星ゴラス
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『妖星ゴラス』(ようせいゴラス)は、東宝制作で1962年公開の特撮映画作品である。謎の燃える怪星ゴラスと地球の衝突を回避するために人類が地球軌道脱出を計るスペクタクル大作。
ほとんどの地球滅亡物のディザスター映画では、少数の選ばれた者がシェルターに避難したり、地球外に脱出する、あるいは原因そのものをなくすといった方法で解決するか、なすすべもなく滅亡するのが普通であるが、『妖星ゴラス』では「ロケット化した地球で全人類が脱出する」という壮大無比な設定によって描かれている。
- 「妖星ゴラス」という星は『ゴジラ FINAL WARS』でも登場している。
- 登場怪獣に、南極のジェットパイプの影響で目覚めた、セイウチに似たマグマがいる。
- 作中に登場するVTOL機(ビートル機)は、後にジェットビートルとして改造され、『ウルトラマン』に登場している。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
土星探査の任務を負った日本の宇宙船 JX-1 隼号は、質量が地球の6000倍あるという妖星「ゴラス」発見の報を受け、急遽目的を変更し調査に向かう。だがその方向に巨星は存在しないうえに、逆にゴラスの引力に捉えられてしまう。ゴラスは質量こそ膨大だったが、大きさは地球の4分の3しかなかったのだ。脱出の努力も虚しく、隼号は最後の観測データを送信した直後乗組員共々遭難してしまう。このニュースは多大な衝撃を与えるが、隼号のデータから導き出された結論はさらに恐るべきものだった。「ゴラスは今の進路のままだと地球に衝突する」。
だが、日本宇宙物理学会の田沢博士(池部良)と河野博士(上原謙)の想いとは裏腹に、国民世論は衝撃こそ受けても自分の問題として捉えている人は少なく、政府も対策に本腰を入れようとしない。宇宙省のパイロット達(久保明、太刀川寛、二瓶正也他)は再度観測を実施せんと JX-2 鳳号の打ち上げを宇宙省長官(西村晃)に直訴するが、兆単位の国家予算を費やした隼号の事故の影響で思うように予算が出ないという現実を知るのだった。しかし田沢は、河野と共に訪れた園田博士(志村喬)亭で、彼の孫・速男の「ゴラスを爆破するか地球が逃げるか、その2つしかないじゃないか。」という言葉に一つの活路を見出す。
やがて田沢と河野は、国連科学会議で「地球移動計画」を提案。100日間で地球を40万km移動させるために、南極に巨大ロケット推進装置を建設し、これを海水から取り出した重水素及び三重水素を用いた原子力エネルギーを使って地球の軌道を変える、という高度な技術を要する大計画であった。各国の学者はこれを疑問視するが、実はアメリカもソ連も似たような技術を秘密裏に研究していたことが判明。これがきっかけで一気に計画は推進し、日本もゴラスの精密なデータ収集のため鳳号の打ち上げを決定した。
かくして「南極計画」は始まり、南極には世界中からありとあらゆる技術と莫大な資材が投入され、一丸となって巨大ロケット建設に取り掛かる。一方の鳳号は、太陽系に向かいつつあるゴラスの観測を急いだ。結果、ゴラスの質量は他惑星や宇宙の塵を吸収した結果、6200倍に増加していた。もはや爆破は不可能であり、地球を救う術は南極計画のみとなる。
困難を乗り越えロケット基地は完成し、ついに点火の時を迎えた。1000本以上のジェットパイプから一気に立ち上がった炎は、計算通りの速度で地球を動かし始めた。このニュースに世界中が歓喜。だが順調に進もうとする計画の中で、ひとり田沢は不安を抱えていた。ゴラスの質量増加が続けば現在の施設だけでは追いつかなくなる、と。彼は国連にさらなる設備投資を訴えるが、その前に河野が立ち塞がる。河野は田沢の意見を支持しつつも、既に国連が“無い袖は触れない”状態であることを知っていたからだった。
その田沢の不安は思わぬ形で的中してしまう。南極の氷の下に眠っていたセイウチ型の巨大生物・マグマが目覚め、施設の一部に損傷を与えたのだ。田沢と河野、そして園田等の処置によりすぐさまマグマは葬り去られるが、復旧作業も含めて72時間というタイムロスを抱えてしまう。
そしてついに、ゴラスと地球が最も接近する日を迎えた。あらゆる人々の尽力によりタイムロスは減ったが、それでも移動距離は36時間分も足りないのだ。地球上ではゴラスの引力により、各地で高潮や嵐、崖崩れが発生し始める。運命の時は刻々と迫っていた。
[編集] スタッフ
[編集] キャスト
※オープニングタイトルに準拠
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