岡山・香川両県の民放相互乗り入れ放送
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岡山・香川両県の民放相互乗り入れ放送(おかやま・かがわりょうけんのみんぽうそうごのりいれほうそう)は、旧郵政省(現総務省)が1979年4月1日付で行なった、岡山県と香川県の電波行政に対する政策である。この2県をあわせて瀬戸内準広域圏という。
地理的に、岡山市を中心とする岡山県と、高松市を中心とする香川県は、瀬戸内海を隔てて対岸に位置するが、瀬戸内海の南北間が短く、海上伝搬の為に両県から発せられるテレビ電波が、対岸を中心に飛び易い環境であった。
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[編集] 乗り入れ前
- 岡山市に立地する放送局
- 高松市に立地する放送局
相互乗り入れ前には、これら4局が受信可能な地域では各系列局同士の補完が可能で、実際に岡山・高松の2都市を初めとする2県で日常的に視聴されてきた。特にVHF波のRSKやRNCで顕著であった。
[編集] 乗り入れ実施
そこで旧郵政省は1979年4月1日付でこの2県を1つのエリア(瀬戸内準広域圏)に合併して各局のネット体制を統一し、当時全国各地で推進して来た多局化を両県でも実現させることにした。
これに伴い、1983年に五色台・青峰にあったRNCの本局送信所と、高松・前田山にあったKSBの本局送信所を、それぞれ岡山県側の本局送信所がある岡山市・玉野市の金甲山に移したが、その際にKSBの旧高松本局は出力を半減した上で中継局に降格し、更にRNCの旧本局は廃止の上で代替としてKSBと同じ前田山に同出力の中継所を新設した。
更にRNCは他局が岡山本局とする金甲山の送信所をチャンネルを従来どおり(9ch)とした上で「高松本局」、同じく他局が高松中継局とする前田山の中継局は「前田山中継局」の扱いで放送するようになる。なお、四国新聞と山陽新聞は他の放送局と同じく、金甲山を「岡山局」、前田山は「高松局」と扱う。
その後の1985年10月に、両県にとっての第5の民放・テレビせとうちが開局するが、この経緯については「テレビせとうち」のページを参照すること。こうして、岡山県と香川県は、2県が同一のエリアで、民放テレビ局5局が立地する体制となった。
[編集] 乗り入れ後
その他にも岡山・高松両市の各民放局共に、乗り入れ先の県内にも中継局を新設するようになったが、一部では今なお乗り入れ側の中継局が無い地域も残されている(例:岡山県蒜山高原地域にある民放中継局はRSKとOHKのみである)。なお、地上デジタル放送においては、これらの地域にも全局の中継局を設置する予定となっている。ただ、検討中や非該当の地域もあるため全域をカバーするかは不透明である。
また、AMラジオにおいても準広域圏であったため、ラジオ・テレビ兼営であるRSK(岡山県側)がJRN、RNC(香川県側)(いずれも1953年10月1日開局)がNRNにそれぞれ単独加盟し、各ネットワークのネットを受けていた。だが、RSKの番組不足などから1997年以降は両局共にAM波に関しては相互乗り入れが撤廃されて県域放送になると両局同時にJRN・NRN双方に加盟した。ただし、AMラジオについては乗り入れ先に中継局が作られたことはなく、県内で若干のエリア強化のため中継局増設や増力が行われた程度である。