援助交際
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援助交際(えんじょこうさい)は、主に日本の若い女性が行う、売春の一形態。広義では性行為は伴わない金銭目的の交際を指すこともあったが、現在では若い素人女性の売春行為の代名詞となっている。
現在、13歳未満の性的合意年齢に達していない少年や少女を相手にした性行為は、性虐待、強姦罪に分類される。また、それとは別に18歳未満の者との売買春が児童買春・児童ポルノ禁止法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律)によって規制されている。
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[編集] 概説
売り手側の女性は、主婦・社会人・フリーター・学生など年齢職業は様々だが、買い手側が「性的欲求の簡便な充足」を目的とするのと違って、売り手側は、「極秘で自由な個人営業形態の短時間肉体労働による金策」が主目的であるため、生活的に金策が必要な何らかの背景がある女性たちであるケースが多い。
売春行為を言い換えた隠語として使用されるが、はじめから交渉の段階で「カラオケや食事を共にするだけ」という条件で契約し、デートに対する料金の授受が行われることもある。このため、未成年者との性交を禁じた淫行条例が存在するものの、性的行為を伴わない交際の範疇に収まっているケースもある。
売り手は主に女性で、逆に男性が売り手となるケースを逆援助交際などと呼ぶことがある。
出会い系サイトの電子掲示板などでは、この行為を表す際に「¥」「○」(円=援助)などの隠語で記される事が多い。これは、サイトのサーバー側で、援助交際成立までのコミュニケーションで使用頻度の高い文字や文字列が、売買春行為の温床になることを防ぐという名目で使用不可能に設定されている(使用した場合、すべて●●や××などの伏字に自動設定される)ことが多いため、その規制をすり抜けるための工夫である。 なおオーラルセックスのみの場合、隠語は主として「口割り」という言葉が使われている。また男性の自慰を見るだけの場合「オナ見」という言葉が使われる。
[編集] 歴史的経緯
1980年代は、一部の女性週刊誌や成人向女性雑誌、成人向男性週刊誌等々で事実を伏せたような形で類似した募集が行われていた。つまり文章を見て、連絡があった場合に互いが電話または書面等で話を進めるという原始的なスタイルで始まった。85年にいわゆるテレクラが登場してからは、そのシステム上匿名性が高まった(交際する者同士が互いの居住地や自宅の電話番号などプライバシー情報を相手に知られる心配がなくなった)ため、社会に浸透していった。その後90年代になって携帯電話が普及し始めると、社会的に広く認知されるようになった。このためマスコミによってしばしば取り上げられ、1990年代前半には高校生など未成年の援助交際が問題になった。1994年にはダイヤルQ2を使い「援助交際クラブ」と称し、児童を使って売春(組織売春)をしていた業者が摘発されている(1994年9月20日朝日新聞夕刊。ただし容疑となったのは1992年当時の売春あっせん行為)。1996年には黒沼克史『援助交際 - 女子中高生の危険な放課後』が刊行され、同年の流行語大賞にも入賞するほど、ポピュラーな言葉になった。ただし、言葉自体はさらに以前から存在していたともいわれる。
[編集] 援助交際の問題点
売買春は、一般的に大変に金銭的な誘因が強いので、自由な試行錯誤を阻害する可能性が高い。更に低年齢においては、年長者の年齢による優越的な地位の利用があるためなおさらである。例えば交渉力が不足しているために、自由意思に基づく契約といいながら理不尽な条件をのんでしまったり、契約不履行に抗議できなかったりする可能性がある。更に、問題解決能力不足により、妊娠や性感染症などの売買春の結果を自分自身で解決できず、周りをも巻き込んでしまい、そのプロセスで自分自身も傷ついてしまう可能性があったり、様々な問題を受けやすい。また、援助交際を巡る恐喝事件や強盗事件、殺人事件など様々な犯罪を多く生み出しているのが現状である。
また、買い手を誘い出して、売り手側が恐喝暴行するケースもある。
[編集] 援助交際と携帯電話
以前は電話代は光熱費の範疇であり家計全体で支払っていたが、個人で所有する携帯電話は若者の小遣いで支払うケースも多い。若者の通話の相手は大抵身近な友人や恋人であり、また、固定電話の近距離通話料と比べると携帯電話の通話料は割高であることが多く、それをよく認知せず過度に使用するあまり、月に数万円と子供の小遣いで支払うには高額な請求を受けることも珍しいことではない。現代、若者の生活において携帯電話は不可欠なものとなっており、支払いができず通話が止まることを恐れるあまりアルバイト代の多くを通話料の支払いに充て、それでも支払いきれない場合には売春行為で支払ってしまうという場合もある。
インターネットの掲示板でも援助交際の目的が携帯電話料金の支払いを理由にしているものは多い。また、携帯電話は個人で所有するため家族に秘密で相手と連絡を取ったり、携帯電話の高機能化によって出会い系サイトなどのコミュニティが形成されていることも気軽に援助交際を行う場を生んでいる。
[編集] 援助交際問題の対処法
売春行為を行った少女の方も厳しく罪を問えば援助交際を減らすことが可能ではないか、という声もあるがそうすると少女側も売春行為を否認するようになり、男性の買春行為の裏付けが出来なくなって援助交際の逮捕、起訴立件が困難になる。したがって少女を被害者として担ぎあげつつも、飴とムチを使い分けて半ば強制的に捜査に協力させているというのが現状である。
こういった現状が残されていた為、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律が2003年9月13日に施行され、出会い系サイトによる規制や出会い系サイトで援助交際を募集する投稿を行うと罰則が出来るようになった。但し、出会い系サイトが無数に存在する為に援助交際に関する投稿を全てチェック出来ていないことが現状にあり、焼け石に水のような状態になっている。
[編集] 関連項目
- 同氏は、社会学的側面から研究している。
- 性交渉のみを目的としたものながらも、金銭の授受が行われないという点で、援助交際とは対極に位置する。