日本放送協会の放送形態
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日本放送協会の放送形態は、NHKが放送をするにあたり、時刻表示や放送系など様々な要素があって、それを基に運用されている。
目次 |
[編集] 放送系統
アナログ放送 | 地上系による放送 | 中波放送 | NHKラジオ第1放送 - 総合放送 |
NHKラジオ第2放送 - 教育放送 | |||
超短波放送 | NHK-FM放送 | ||
テレビジョン放送 (標準テレビジョン放送) |
NHK総合テレビジョン - 総合放送 | ||
NHK教育テレビジョン - 教育放送 | |||
衛星系による放送 | 標準テレビジョン放送 | 衛星第2テレビ (難視聴解消を目的とする放送) |
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衛星第1テレビ - 総合放送 | |||
高精細度テレビジョン放送 | 衛星ハイビジョンテレビ (デジタル方式の放送へ円滑に移行するための放送) |
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デジタル放送 $ | 地上系による放送 $(高精細度テレビジョン放送を含む放送) |
デジタル総合テレビ - 総合放送 | |
デジタル教育テレビ - 教育放送 | |||
委託国内放送業務 | 衛星系による放送 | 標準テレビジョン放送 | デジタル衛星第1テレビ |
デジタル衛星第2テレビ | |||
高精細度テレビジョン放送 | デジタル衛星ハイビジョン | ||
国際放送 | NHKワールド・ラジオ日本 | ||
委託協会国際放送業務 | NHKワールドTV | ||
外国向け番組配信 | NHKワールド・プレミアム |
[編集] 放送系
各放送局は、放送の種類毎に放送系が異なる。
- ラジオ第1放送及び総合テレビ(デジタル総合テレビを含む)における広域放送
- 関東広域圏 - 水戸放送局、宇都宮放送局、前橋放送局、さいたま放送局、千葉放送局、横浜放送局は、東京を親局とする同一の放送系に属する(デジタル総合テレビにおいては水戸放送局を除く)。
- 中京広域圏 - 岐阜放送局、津放送局は、名古屋を親局とする同一の放送系に属する(総合テレビ、デジタル総合テレビを除く)。
- 近畿広域圏 - 神戸放送局、奈良放送局、和歌山放送局は、大阪を親局とする同一の放送系に属する(総合テレビ、デジタル総合テレビを除く)。
- ラジオ第1放送、FM放送、総合テレビ(デジタル総合テレビを含む)における道県域放送
- 北海道 - 函館放送局、旭川放送局、釧路放送局、北見放送局、室蘭放送局、帯広放送局は、札幌を親局とする同一の放送系に属する。
- 福岡県 - 北九州放送局は、福岡を親局とする同一の放送系に属する。
- ラジオ第2放送及び教育テレビ(デジタル教育テレビを含む)
- 東京以外の放送局は、東京を親局とする同一の放送系に属する。(全国放送)
[編集] 補足
上記放送系統及び放送系における用語の意味は次の通り。
- 国内放送 - 放送法第二条第一の二号に規定する国内放送。
- 国際放送 - 同法同条第二号に規定する国際放送。
- 中波放送 - 同法同条第二の三号に規定する中波放送。
- 超短波放送 - 同法同条第二の四号に規定する超短波放送。
- テレビジョン放送 - 同法同条第二の五号に規定するテレビジョン放送。
- 委託協会国際放送業務 - 同法同条第三の六号に規定する委託協会国際放送業務。
- 委託国内放送業務 - 同法第九条第二号に規定する委託国内放送業務。
- 地上系による放送 - 放送法施行規則別表第一号(注)一に規定する地上系による放送。
- 衛星系による放送 - 同(注)二に規定する衛星系による放送。
- 総合放送 - 同(注)九に規定する総合放送。
- 教育放送 - 同(注)十に規定する教育放送。
- 広域放送 - 同(注)十二に規定する広域放送。
- 県域放送 - 同(注)十三に規定する県域放送。
- 難視聴解消を目的とする放送 - 同(注)十六に規定する難視聴解消を目的とする放送。
- 標準テレビジョン放送 - 電波法施行規則第二条第二十八の二号に規定する標準テレビジヨン放送。
- 高精細度テレビジョン放送 - 同法同条第二十八の三号に規定する高精細度テレビジヨン放送。
- デジタル放送 - 同法同条第二十八の十六号に規定するデジタル放送。
[編集] コールサイン
電波法関係審査基準により、地上放送のコールサイン(呼出符号)として、総合放送系統(総合テレビ、デジタル総合テレビ、ラジオ第1、FM放送)、教育放送系統(教育テレビ、デジタル教育テレビ、ラジオ第2)にそれぞれ割り当てられている。両系統のコールサインの組み合わせに関しては「電波法関係審査基準」に規定がある。
総合 | 教育 | 備考 |
JO*K | JO*B | 東京及び地域拠点局などが多い |
JO*G | JO*C | |
JO*P | JO*D | |
JO*Q | JO*Z | 現在は室蘭放送局のみ(JO*Zは1989年から1995年頃までイベント放送局に付与された) |
JO*T | JO*Y | 現在は使用されていない |
- *はA~Zの任意の1文字
これらのコールサインを確認できる、局名のアナウンスが行われている。テレビ放送は1日の基点となる時間帯(総合テレビは早朝4:20前、それ以外は5:00前)とメンテナンスによる放送休止前。ラジオの場合は複数回行われる。
- ラジオ第1放送、FM放送 05:00前、12:00前、19:00前、01:00(※1)
- ラジオ第2放送 06:00前、09:30前(気象通報終了後)、16:20前(気象通報終了後)、22:20前(気象通報終了後)、放送終了時(※2)
※1:放送休止日のみ。ただし、地方放送局管内の一部地域のみの休止や札幌以外の北海道の各放送局などではコールサインの放送がない。また、彦根第1放送においては自局のコールサインではなく、大阪第1放送のものをアナウンスしている。また、北海道地方では教育テレビ、ラジオ第2放送のコールサインのアナウンスは省略されている(札幌放送局からの「NHK教育テレビジョンです」、「NHK第2放送です」のアナウンスを中継。以前は総合テレビと同様北海道内各局別にコールサインのアナウンスが行われていた)。
※2:月曜深夜は0:40、火曜から木曜深夜は1:00(時報後)、金曜・土曜深夜は1:40、日曜深夜は1:20、集中メンテナンスが行われる日は24:00(時報の後)
[編集] 時刻出し
時刻出しとは、画面の左上に現在の時刻をテロップ表示すること。
表示時間は総合テレビ、教育テレビ、衛星第1、衛星第2、デジタル衛星ハイビジョンそれぞれの項参照。
時刻表示のデザインは、アナログ放送用(縁の細い新フォントと縁の太い旧フォントの両タイプがあったが、新フォントに統一された)とデジタル放送用の2種類がある。数字の切り替えはアナログ・デジタルともにクロスカットである。
[編集] デジタル放送
デジタル放送用ではデジタル数字(7セグメント表示)で時刻表示される。サイズはデジタル総合・デジタル教育(サイズは小さめで4:3映像拡大時は表示されないが4:3映像でも16:9のテレビを使用している場合は表示される)、デジタル衛星第1・デジタル衛星第2(放送時間の多くが16:9ワイドサイズ映像で放送されているため4:3の表示では映像圧縮の関係で16:9よりも縦に若干縮む 最近までデジタル衛星第1で深夜の時間帯ではまれに7セグメントでなく、アナログ放送用の旧フォントで表示されることがあった)、デジタル衛星ハイビジョンでそれぞれ異なる(なお、これまで使用されていた縁の太いアナログフォントは、2000年10月1日午前1時から表示されていた。)。
[編集] アナログ放送
アナログ放送用は、地上放送ではデジタル放送同時送出の場合は縁が細い新フォントを(当初は映像比率サイズにより各種多重放送テロップを含めて表示位置が異なっていたが、現在は総合テレビ・BS1・BS2では映像比率に関係なく常時同じ位置であるが、現在でも教育テレビは各種多重放送テロップの表示位置は映像比率サイズにより異なる)、デジタル放送とは別送出(アナログ放送単独送出=ハイビジョンで制作した番組をアナログ放送、国際放送向け用として別に16:9レターボックス、13:9、4:3に編集した番組や付加サービスが異なる場合、およびアナログ放送のみで放送する番組)の場合は縁が太い従来の旧フォントでの表示だったが、2006年4月以降は地上波アナログの東京送出分ではすべて新フォントに統一された。
BSアナログ放送(アナログハイビジョンは除く)は最近まで従来の縁が太い旧フォントで表示されていたが、2006年11月22日にBS2で現行の地上波アナログと同じ縁が細い新フォントのものに切り替わり、BS1でも同様に11月24日4:00に切り替わったため、これまで長年地上波・BSで使用されていた縁の太いアナログフォントは東京送出分においては姿を消した。なお、アナログ放送の時刻表示位置は地上波とBSで若干異なる。
縁の太さは放送系統や放送局によって異なっている。BSで使用されているものがもっとも細く、地上波の東京送出分はBSよりも極わずかに太めである。多くの放送局は東京送出のものよりも少し太い。札幌局以外の北海道地方の各放送局や大阪局など一部放送局では、以前と同じ太さとなっている。
- 時刻表示フォントは、ニュース速報(総合テレビ、BS1、BSハイビジョン)、地震情報(教育テレビを除くテレビ全チャンネル テレビの放送では通常の横文字表示のほか、縦読みで右寄りに表示する場合あり、速報内容によっては放送中の映像部分の表示を避け、逆L字、逆U字画面の青色のスペース内で表示することもある。NHKワールドでは速報テロップは一切表示されないが、速報テロップを表示するための逆L字、逆U字画面の青色のスペースは国内と同時放送を行っている関係からそのまま流している)、番組の放送時刻変更・休止のお断りテロップ、各種多重放送テロップなどにも関係している(速報テロップ、番組の放送時刻変更・休止のお断りテロップの表示は、時刻表示と重ならない位置で表示)。なお、時刻表示中でも文字テロップと重なる場合は、一旦時刻表示は消去される。また皇室関連のニュースで皇族が映るVTR中は、時刻表示は消去される。これは皇族の顔が時刻表示フォントによって重なることを嫌った措置と言われる。この時はニューステロップもすべて画面の下に表示される。
- 海外向けのNHKワールドTV、NHKワールド・プレミアムでは、放送される現地の時刻(ローカルタイム)と混同される可能性を考慮して時刻出しは一切ない。また、地上デジタル放送のワンセグ放送でもタイムラグが3~4秒発生することを考慮し、10秒間表示を含めて終日時刻出しはない。
[編集] チャンネルロゴ表示
海賊版対策(=著作権保護)のため、放送中にロゴを表示するようになされている(参考リンク1、2、3)。
デジタル放送 | アナログ放送 | ||
デジタル総合テレビ | NHK G | 2003年12月から表示 | |
---|---|---|---|
デジタル教育テレビ | NHK E | 2003年12月から表示 | |
衛星第1テレビ | BS1 | 2000年12月から表示 | 1998年8月から表示 |
衛星第2テレビ | BS2 | 2000年12月から表示 | 1998年8月から表示 |
衛星ハイビジョン | BS hi | 2000年12月から表示 |
- 画面右上に表示されている。災害・地震・津波等の緊急報道がある場合、および東京からのニュース、地震情報などの速報テロップが表示されている場合は表示されない。なお、BSアナログ放送・BSデジタル放送の全チャンネルでは速報テロップが表示されている場合でも消去せず、そのまま表示(2006年11月下旬のマスター更新以前はデジタル放送のみ速報テロップが表示されている場合は一時消去していた。ただし、災害・地震・津波等の緊急報道がある場合はこれまでどおり消去)。デジタル総合テレビでもローカルでの地震情報や交通情報がある場合は原則的に消去することなくそのまま表示。
- NHKワールドTV/NHKワールド・プレミアムは画面左上に「NHK」のロゴを表示(当初は透かしロゴだったが、現在はカラーロゴの表示 表示部分にテロップなどが重なる場合は一時消去 ただ、断続的に消去となることが多い)
- 衛星第1・第2テレビでのロゴ表示は、1998年2月の長野冬季オリンピックの中継放送から断続的に行われてきた。なお、衛星第1・第2テレビでのロゴ表示はアナログとデジタルで透かしの度合いや位置が若干異なる。但し、以前はデジタル放送でも深夜の時間帯でごく稀にアナログ送出とそっくりそのまま透かしの度合いや位置が同じとなることがあった。
- 2005年10月1日よりハイビジョンのロゴが小さくなり、表示位置が従来より若干右寄りとなった。
- デジタル教育テレビは、マルチ編成時に4:3の場合は表示オフ。
- デジタル総合テレビは、東京を除きローカル枠時は表示されない。
- 衛星ハイビジョン放送でも、BSアナログの9チャンネルで放送されている
- BSアナログハイビジョン放送では、2006年4月4日より従来放送されてきた「BS hi」のロゴの下に「アナログ」の文字が追加され、ロゴが幾分大きくなった。これは、2007年9月に終了予定のBSアナログハイビジョン放送からデジタル衛星ハイビジョン放送への移行を促すための処置だと思われる。
[編集] 放送休止
教育テレビ、デジタル衛星ハイビジョン(独立型データ放送のみ24時間放送)、ラジオ第2放送以外は24時間放送を実施している(番組送出自体も完全24時間化されている)。放送機器のメンテナンスに伴う放送休止が行われる程度である。地上波放送の一部地域の放送休止は、放送局管内の一部地域が休止の場合、テレビ・FM放送は、仮に中継局が全て停波したとしても、基幹局が停波することはない。
ラジオ第1放送のAM放送でもパターンはテレビ・FM放送と同様であるが、伝送方法が異なっているため、状況により、基幹局が放送休止でほかの中継局が通常の終夜放送を行うこともある。
BS放送での放送休止はアナログ放送は全くなく、デジタル放送でも年1回程度となっている。尚、BSアナログ放送は1997年春まで「地球や月による食」現象により放送休止時間を設けていた。これは衛星への大容量電池搭載によって解消した。
ラジオ各局は、放送休止時間の長かった時代(1980年代まで。午前0:00~5:00)は、放送開始前にオリジナルのチェレスタ(オルゴールに似た音がする楽器)による音楽が放送。放送終了時は安眠を誘うような曲調の音楽が放送された。現在はラジオ第2放送のみで流れている。(資料がないためオリジナルと思われる)
なお、いずれの放送媒体とも1989年頃までは、放送終了が午前0時を過ぎた場合は国旗や国歌演奏の映像は放送されなかった。
[編集] 国歌の扱い
NHKでは放送終了時(サインコール時)に国歌(君が代)を放送している(以前は総合テレビに限り国民の祝日の該当日の放送開始時にも)。これはサンフランシスコ講和条約が成立し、正式に日本が独立国に復帰した1951年にラジオでまず放送を開始、テレビは1953年9月から放送されるようになった。
1992年4月よりラジオ第一放送(深夜放送「ラジオ深夜便」のレギュラー化)を皮切りに、FMラジオ、総合テレビ、BSテレビの24時間放送が開始され、君が代を連日放送するのは教育テレビとラジオ第2放送の2波となっている。その他の媒体では、不定期に行われる放送機器メンテナンスに伴う休止前後に演奏される程度になった。君が代を放送しないですぐに放送休止に入る地方放送局もあるが、ラジオ第1放送の一部中継局(基幹局以外)での放送休止でもまれに君が代が流されることがある(北海道地方の場合、君が代は札幌放送局管内全域の放送休止、または北海道地方全域が放送休止の場合のみ流しているが前述のようにラジオ第1放送の一部中継局での放送休止ではまれに君が代が流れることもある)。
なおテレビでは上記基点時間になると、総合テレビでは1分程度の環境映像の後、10秒程度日章旗を映している。但し災害・重大事件などによる特別編成時はそれらが割愛される場合もある。BSアナログ放送・BSデジタル放送は君が代は放送していない。テレビで君が代が演奏される場合は、まず青空にはためく日章旗が約30秒程度映し出され、その後地球儀を映して日本列島に近づいたところで「NHK」のロゴが入るものだったが、近年はデジタル放送用に地球儀に代えてランドサットから映した日本列島の映像を流しているものもある。
また、放送開始・終了時とジャンクションを実施する際に放送される放送局名のID表示は、かつてはブーメランを2枚重ねたようなもの(モノクロの場合もあった)をバックに、上からコールサイン、親局のチャンネル番号、放送局名(例・「JOAK TV 1 NHK東京テレビジョン」、「JOBB TV 12 NHK大阪教育テレビジョン」)を表示していたが、1980年代後半から2003年までは各局がそれぞれ異なったデザイン(その放送局のある都道府県の名所などを使用する場合が多かった)をバックに放送されていた。
2003年の地上デジタル放送開始以後は、再び全国共通(アナログ、デジタル共通)で青色デザインのバックにNHKのロゴが入り、その上にコールサイン、下に放送局名を表示している。例外として神戸デジタルテレビジョンが局舎の写真を入れている。チャンネル番号は表示されていない。現行のID表示はデジタル放送対応のマスターを導入した局から順次使用されている。
[編集] その他
[編集] 改編時期
NHKの番組編成は原則4月第1月曜日を1年の基点としているが、平成12年以後、総合テレビ、ラジオ第1放送、FMラジオ放送、衛星放送のいわゆる総合編成チャンネルは、暦の関係から民放テレビや民放ラジオと同様、3月最終月曜日から新編成を始める年もある。(但し、一部番組や教育テレビ、ラジオ第2放送は従来と同じ4月第1月曜日が1年の基点となっている。)
[編集] 小笠原・大東諸島の放送事情
小笠原諸島(東京都)や大東諸島(沖縄県)といった本土から遠く離れ、既存の地上波放送を受信できない離島については、自治体などの補助を受けて、ほかの民間テレビジョン放送事業者とともに東京の総合テレビ・教育テレビを通信衛星で送り、現地で地上波チャンネルに変換して放送している。
このうち、小笠原諸島に関しては、中波放送(ラジオ第1放送・ラジオ第2放送)と超短波放送(NHK-FM)のいずれの送信所も存在せず、放送法に違反している状態が続いている(放送形態も参照)。