NHK-FM放送
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
NHK-FM放送(NHK-FMほうそう)は、日本放送協会(NHK)の超短波放送(FM放送)である。民間放送(民放)のFM放送と異なり、ポピュラー音楽以外にクラシック音楽やワールドミュージック、邦楽(純邦楽)、民謡、古典芸能、ラジオドラマなどを織り込んで放送している。
目次 |
[編集] 概要
日本で初めての本格的な超短波放送(FM放送)の実験放送局として、東京、大阪など全国主要都市で1957年から開局。本来は、中波のラジオ第3放送を新設する構想だった。この構想は、クラシック音楽や講演など、非常に高度な教養放送を行なうというものであった。これはイギリスBBCの「サードプログラム」(現在のRadio3、クラシック音楽中心に編成)をモデルとしたものである。1963年12月16日には東京局でステレオ放送開始。本放送開始は1969年3月1日で、24時間放送開始は1998年4月からである。
[編集] ステレオ放送
放送回線は、放送開始当初、当時の電電公社のステレオ回線設備が整っておらず、なおかつFMステレオ放送の音質として満足いく回線も無かったため、ステレオ放送番組のみ、東京、札幌、仙台、名古屋、金沢、大阪、広島、松山、福岡の各放送局にテープを送り、そのテープを流している各放送局のFMステレオ電波を中継する(放送波中継)という方法が取られていた(モノラル番組は電電公社のマイクロ回線だった)。そのため、1978年9月までは、ステレオ生放送は東京及びその電波を中継している地域(関東甲信越及び静岡県地方)のみでしかできなかったので、ステレオ生中継の数も非常に少なかった。
しかし、電電公社のFMステレオ放送用回線としてPCM方式が適しているとの結論が1977年に出され、その翌年の10月1日にFMステレオ放送用のPCM回線(アナログ方式)がまず大阪、名古屋に結ばれ、1979年12月24日には札幌、仙台、金沢、広島、松山、福岡にも結ばれ、沖縄及び奄美諸島を除く全国に於いてようやくステレオ生中継が可能となった。その後、各地方局でもPCM回線が導入され、1984年にはようやく沖縄にも導入され、ステレオ生中継が全国でできるようになった。ちなみに中波(AM)放送と地上波テレビ放送(アナログ・デジタル)の放送回線はデジタル方式である。
また、ステレオ放送はすべての時間で行っているわけではなく、7時、12時、19時のニュースと臨時ニュース(地震情報)、高校野球中継などはモノラルで放送される。上記の夏の高校野球決勝においても同様である。ただし、ラジオ第1とサイマル放送の「ラジオ深夜便」は、NHKニュースも含め1:00~5:00はFMでは全編ステレオ放送となる(年1回程度、放送回線テストが行われる場合はモノラル放送となる)。
同様に、2006年4月からサイマル放送されている「昼のいこい」「昼の散歩道」もステレオ放送化されている。なお、前述の2005年9月11日の「衆議院議員選挙開票速報」、2006年3月25日の北海道・東北地方のみ放送のプロ野球日本ハム-楽天の開幕戦中継(ラジオ第1が選抜高校野球中継放送のための振替放送)もステレオ放送だった。
[編集] 臨時ニュースの扱い
ラジオ第1とは違い、ラジオ深夜便と定時ニュースを除き、日中の放送ではニュース速報、気象警報、地震情報(主に津波の心配がないものや震度2以下の小規模的なもの)、交通情報は一切、放送中の内容に割り込んで放送することはしない(ラジオ第2放送も同様)。交通情報は関東地区のみで1日2回放送される(東京からは11:50~と18:50~、平日の各局ローカル番組でも放送されることがある)。
定時ニュース、「昼のいこい」、「昼の散歩道」、「ラジオ深夜便」などのラジオ第1とFMのサイマル放送であっても、番組途中の地震情報、交通情報、気象警報(解除の知らせの場合も含む)はラジオ第1だけで放送される場合がある。但し、震度6以上の大規模な地震や津波の可能性(有無に拘わらず)のある地震、津波警報・津波注意報の発令については、日中の放送でも放送中の番組に割り込むかたちで放送される。また、番組の途中に各放送局が独自に臨時ニュースや気象・地震情報などを放送する場合もある。
また、大規模な選挙(国政選挙や統一地方選挙など)の政見放送が実施されている時間中に突発的な事件、事故、災害が起こった場合は、政見放送のスケジュールが公職選挙法の規定により変更できない(振替日が設定できない)ため、FMで臨時ニュースが行われる場合がある。
相撲中継、高校野球中継が入っている時に、地震や津波が起こった時は、その情報をラジオ第1放送で伝える為、中継がFM放送で代替放送される。
[編集] 地域放送の特徴
47都道府県全てで県域放送を行っているのがNHK-FMの特徴である。この為、広域放送の対象地域の絡みからNHKの県域テレビ・中波放送(AM放送)が行われていない神奈川、千葉、埼玉、栃木及び群馬並びに県域AM放送が行われていない岐阜、三重、兵庫、奈良及び和歌山では、FM放送のみに県内向けのニュースが存在する。小笠原諸島と沖縄県大東諸島は送信所がないため聴取不可となっているが、大東諸島が2007年4月1日にFM波を使ったNHK(ラジオ第1)・民放(琉球放送・ラジオ沖縄)のAMラジオの中継局が設置されたことから、近い将来、大東諸島にNHK-FM放送の中継局が、また、小笠原諸島にも中波放送(ラジオ第1・第2)とともにNHK-FM放送の中継局設置が予想されるが、具体的な計画は未だにない。
高校野球中継で、ラジオ第1で国会中継や大相撲中継がある場合や、重大事件の発生を理由に放送できない場合は、FM放送で中継が実施される。夏の大会の都道府県大会決勝の中継においても、第1放送が広域放送である地域において、第1放送とは別の県の試合を中継するために行われることがある(水戸、宇都宮、前橋、さいたま、千葉、横浜、岐阜、津、奈良、和歌山、神戸各局がこれに該当)。また、中波が外国波と混信して聞きづらくなるため、1:00~5:00に「ラジオ深夜便」(大型国政選挙、統一地方選挙が実施される場合の開票速報も)をFM放送でも放送している(ラジオ第1放送がオリンピックやFIFAワールドカップのスポーツ中継や年度末に放送されるNHK予算審議の録音中継放送で一部時間帯が休止であってもFM放送単独で「ラジオ深夜便」を予定通り放送している。以前はオリンピックやFIFAワールドカップはFMでも放送されていたが、聴取者の要望にこたえるのとFM放送の役割を明確化するため、2006年からはラジオのオリンピックやFIFAワールドカップのスポーツ中継放送を中波のラジオ第1放送のみで行い、FM放送単独で「ラジオ深夜便」の放送が行われるようになった)。ただし、例外として2005年9月11日の衆議院議員選挙開票速報では、FM放送でも20:00から翌早朝5:00までラジオ第1とのサイマル放送が行われた。
2006年4月からは、12時台の番組も全てラジオ第1放送とのサイマルに変更された(ニュースのほか、「昼のいこい」「昼の散歩道」を放送〈ラジオ第1放送高校野球全国大会が放送される場合でもFMと国際放送で通常通り放送を行っていることから、FM放送の役割の明確化がうかがえる〉。但し、日曜12時台は従来どおり15分間のニュースのみサイマル放送。また、祝日は特別番組放送のため「昼のいこい」「昼の散歩道」が休止されることがある)。
[編集] 主な番組一覧
- 弾き語りフォーユー
- ひるの歌謡曲
- 歌謡スクランブル
- ミュージックプラザ
- ベストオブクラシック
- ミュージックスクエア
- 青春アドベンチャー
- サタデーホットリクエスト
- ラジオ深夜便(FM放送では当初「特集・ラジオ深夜便」として不定期放送) ほか
- ※NHK FM番組一覧も参照
なお、平日07:20~11:30は前の週に放送された「ミュージックプラザ・クラシック」「私の名盤コレクション」「弾き語りフォーユー」の再放送を行っている。
[編集] 備考
一部の番組を除いて、オンエアされる楽曲が「ステラ」に掲載されている。かつては各出版社から出ていたFM情報誌にも掲載されていた。
民放FM局と同様ジングルが存在する。これは民放のような頻繁に流れるものではなく、特定の番組の冒頭で流される。ジャズ風やアジア風などの種類が存在し、基本となるメロディーがそれぞれのジャンルに合わせてアレンジされている。
北海道 : 札幌 | 函館 | 旭川 | 帯広 | 釧路 | 北見 | 室蘭
東北 (宮城県) : 仙台 | 青森 (弘前・八戸) | 盛岡 | 秋田 | 山形 (鶴岡) | 福島 (郡山・いわき)
関東・甲信越 (東京都) : 東京 | 横浜 | 千葉 | さいたま | 水戸 | 宇都宮 | 前橋 | 甲府 | 長野 (松本) | 新潟
東海・北陸 (愛知県) : 名古屋 (豊橋) | 岐阜 (高山) | 津 | 静岡 (浜松) | 金沢 | 富山 | 福井
近畿 (大阪府) : 大阪 | 神戸 (姫路) | 京都 | 大津 | 奈良 | 和歌山
中国 (広島県) : 広島 (福山) | 岡山 | 松江 | 鳥取 (米子) | 山口 (下関)
四国 (愛媛県) : 松山 | 高知 | 徳島 | 高松
九州・沖縄 (福岡県): 福岡 | 北九州 | 佐賀 | 長崎 (佐世保) | 熊本 | 大分 | 宮崎 | 鹿児島 | 沖縄
国内放送 : ラジオ第1 | ラジオ第2 | NHK-FM | 総合テレビ | 教育テレビ | BS1 | BS2 | BShi
国際放送 : NHKワールドTV | NHKワールド・ラジオ日本 | テレビジャパン | JSTV
NHKニュース | 気象情報 | NHKオンライン(公式サイト) | NHK各放送局の一覧 | 海外支局 | NHK関連団体・関連会社
調査・研究・技術開発 : 放送文化研究所 | 放送技術研究所
カテゴリ: 日本放送協会 | 日本放送協会の放送局 | 日本のFMラジオ局