札幌市営地下鉄東豊線
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札幌市営地下鉄東豊線(さっぽろしえいちかてつとうほうせん)は、北海道札幌市東区の栄町駅から同市豊平区の福住駅までを結ぶ、札幌市営地下鉄の路線。中央のレールをまたいでゴムタイヤで走行する案内軌条式鉄道である。
車体及び路線図や乗り換え案内で使用されるラインカラーは「スカイブルー」(水色:■)。路線記号はH。
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[編集] 路線データ
[編集] 概要
東区は大きな人口を抱えているにもかかわらず、地下鉄が通っていなかった。そのため、約2キロ離れて並行している南北線の乗車率が、ときに200%を超える事態に陥っていた。そこで東区選出の議員が中心となって新路線建設を推し進め、1988年の東豊線開業にこぎ着けた。初期構想の段階では当時往来の多かった東区役所から東8丁目篠路通経由で栄町、あるいは苗穂丘珠通にある開成高校付近への案が取沙汰されていた。最終的にはこの両案の折衷案的な東15丁目屯田通経由の現行ルートとなったが、結果として開業時は当初計画を大きく下回る利用者のため、市民に「政治路線」と揶揄されたこともある。
なお、終点側は当初は市電山鼻線・山鼻西線に代わるかたちで山鼻方面への延伸も計画されていた(地下鉄はもともと市電の置き換えを想定したもの)が、市電の廃止に地元が難色を示したこと、また同時期国道36号の混雑が深刻化され緊急の改善策が求められたことから、月寒・北野方面へ目指すかたちに決定した。
1994年に開業した豊水すすきの駅~福住駅間は発展が著しく、特に学園前駅、豊平公園駅、福住駅周辺は、開通以降現在に至るまでマンション建設ラッシュなどで人口増加が著しい。バブル崩壊後、東区の地価の暴落を抑え、スラム化を防いだのも東豊線があるからであるといわれる。また開発の遅れていた東区側の元町駅、新道東駅周辺のマンション建設ラッシュによる人口増加、きたえーる、つどーむ、札幌ドーム等駅周辺の公共施設の完成と2003年の北海道日本ハムファイターズの本拠地移転によって、さらに輸送人員を増やしている。
[編集] 歴史
- 1988年12月2日 栄町駅~豊水すすきの駅間(8.1km)が開業。7000形車両(15編成60両。701編成が1次車、702編成~715編成は2次車)が登場。
- 1994年10月14日 豊水すすきの駅~福住駅間(5.5km)が延長開業。これに伴い、「新7000形車両」(7000形第3次車両)5編成20両を増備。
- 2007年1月上旬 自動音声による車内放送開始。
- 2007年1月中旬 自動音声放送開始に続き、広告放送開始。
- 2019年度 ホームドア(ホーム柵)を全駅に設置完了予定。
[編集] 使用車両
- 7000形:20編成80両
4両編成、1両3扉。
[編集] 車両基地
東豊線には車両基地がないため、東西線西車両基地に留置されている車両が東西線を回送運転し、西11丁目駅から連絡線を通って東豊線さっぽろ駅に出る(入庫時はこの逆)運用がなされており、稀にさっぽろ駅→栄町駅という運用もある。なお列車の構造上、東西線の車両が東豊線に進入することはできない。
また、車両基地まで回送ができなくなった場合に備え、栄町駅の北側に検車線が設けられている。ここは当初、東豊線の車両基地となる予定であったが、用地取得の問題などから断念された。
[編集] 利用状況
札幌市交通局の調べによると、東豊線の2005年度一日平均乗車人員は、12万7288人(乗換人員を除く)であり、前年度比2.6%増加した。札幌市営地下鉄で最も利用者が少ない路線である。
[編集] 運行形態
日中は約7分間隔、朝ラッシュ時は3~4分間隔、夕ラッシュ時は約6分間隔で運転されている。
全線通しの運転がほとんどだが、西車両基地からの回送でさっぽろ駅に来た列車がそのまま「さっぽろ→栄町」の系統で運行する便も一部ある。
[編集] 駅
駅番号 | 駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
H01 | 栄町駅 | 0.0 | 札幌市 | 東区 | |
H02 | 新道東駅 | 0.9 | |||
H03 | 元町駅 | 2.1 | |||
H04 | 環状通東駅 | 3.5 | |||
H05 | 東区役所前駅 | 4.5 | |||
H06 | 北13条東駅 | 5.4 | |||
H07 | さっぽろ駅 | 6.7 | 札幌市営地下鉄:■南北線(N06) 北海道旅客鉄道:■函館本線(札幌駅) |
中央区 | |
H08 | 大通駅 | 7.3 | 札幌市営地下鉄:■南北線(N07)・■東西線(T09) 札幌市電:一条線(西4丁目停留場) |
||
H09 | 豊水すすきの駅 | 8.1 | 札幌市電:山鼻線(すすきの停留場) | ||
H10 | 学園前駅 | 9.5 | 豊平区 | ||
H11 | 豊平公園駅 | 10.4 | |||
H12 | 美園駅 | 11.4 | |||
H13 | 月寒中央駅 | 12.6 | |||
H14 | 福住駅 | 13.6 |
[編集] 計画区間
- 東豊線計画の元になったのは、1974年3月に提出された報告書『最適交通体系の選択と投資順位の研究』で提案された四号線(元町~月寒間)である。
- 札幌市交通局が発案した「地下鉄50キロ計画」では、現在豊平区側の終点である福住付近から同じ豊平区の「共進会場駅」と「月寒東駅」、そして隣接している清田区の「北野駅」まで延伸する計画が提示されていたが、未だ実現には至っていない。なお、東豊線の終点が現在の福住駅の位置になってしまったため、「共進会場駅」は不可能に近く、実際の延長路線のルートも未定で、開業の見通しはまったく立っていない。
- 札幌商工会議所が札幌競馬場を札幌ドームの南側に移転させ、「札幌ドーム・競馬場駅」を設ける構想を打ち出しているが、JRAは競馬場の移転を否定した。
[編集] 備考
- 公式文書での呼び名は札幌市高速電車東豊線である。
- 1994年に延伸開業した豊水すすきの駅~福住駅間は、建設費を抑えるためすべて島式ホームで統一された。また、同区間では、現在ホーム長が6両分しか整備されていないが、将来的に8両分が停車できるよう準備工事がされている。1988年に先行開業した栄町駅~豊水すすきの駅間は当初から8両編成に対応しているが、現在の東豊線電車はすべて4両編成のため、ホームの約半分には転落防止柵が設置されている。
- 東豊線7000形の車番は7100、7200、7300、7800というように、将来的に8両編成が可能ということを示している。札幌市営地下鉄3路線の中では最も利用客の少ない路線ではあるが、各駅の周辺にはマンションが次々と建設されており、今後も利用者が増え続けると期待されている。
- 札幌ドームで催事があるとき、福住駅から札幌ドームまでは通常歩いて10分弱で到着するが、帰りは大勢の人々が福住駅に向かうため歩道は行列となり、福住駅まで20分弱かかる場合もある。歩道が幹線道路である国道36号に面していることもあり、危険防止のため交通整理員を各所に配置している。
[編集] 車内放送
[編集] 主な放送内容
- 栄町駅:
- 新道東駅:
- 元町駅:
- 環状通東駅:
- 東区役所前駅:
- 北13条東駅:
- さっぽろ駅:JRタワースクエア、テンプスタッフ
- 大通駅:スポーツクラブフィップネス大通
- 豊水すすきの駅:須貝ビル
- 学園前駅[1]:北海学園大学、北海高校、北海学園札幌高校、北海商科大学
- 豊平公園駅:
- 美園駅:恵仁会佐々木内科病院
- 月寒中央駅:
- 福住駅[2]:柏葉脳神経外科病院
- ^ 2007年FISノルディックスキー世界選手権札幌大会期間中は、前駅発車後に会場へは地下鉄を利用することを促す放送が行われた。
- ^ 札幌ドームイベント終了時刻と重なる場合、月寒中央駅発車後に福住駅が混雑している旨の放送が流れる。
[編集] 関連項目
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