羽越本線高速化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
羽越本線高速化(うえつほんせんこうそくか)とは、白新線・羽越本線をミニ新幹線、あるいは軌間可変電車(フリーゲージトレイン)、在来線改良などによって高速化を目指す計画のことである。
[編集] 概要
山形県庄内地方は上越新幹線、山形新幹線、秋田新幹線いずれの路線からも遠く、高速道路の整備も進んでおらず、庄内空港以外の高速交通網から取り残されつつあった。現在、対東京の最も代表的な交通手段は空路であり、夜間駐機の実現という追い風があり、夜間高速バスも好調であるため、鉄道は劣勢に追いやられている。
1997年に羽越本線をミニ新幹線かフリーゲージトレインによって高速化する案が国会議員によって提案された。その後1999年から2年間行われた運輸省の新幹線直通運転化調査の七つの事業化調査区間の一つとして新潟~酒田間が選ばれた。 運輸省調査はフリーゲージトレインの事業化調査を行うものであったがJR東日本は技術的に問題があるとしてミニ新幹線化について新潟・山形両県と検討することで合意。報告書でフリーゲージトレインのほか、ミニ新幹線についても試算され、概算整備費や短縮時間、輸送量、課題などがまとめられた。
新潟・山形両県は検討をすすめ、羽越本線高速化の具体的な方法や課題、事業スキームなどについて共同調査を行った。高速化の手法としてミニ新幹線化、フリーゲージトレイン化のほかに、新潟駅での新幹線と在来線の同一ホーム乗換工事とともに在来線改良を行った場合の3案について検討した。
こういった動きを受け、新潟で2000年11月に羽越本線新幹線直通促進新潟地区期成同盟会が、2001年5月に山形県庄内地区期成同盟会が設立され、秋田で2002年7月羽越本線新幹線直通促進秋田期成同盟会設立と続いた。
2006年3月に最終報告が出され、新潟駅新在同一ホーム乗換と在来線高速化改良がもっとも有効とされた。事業スキームとして国庫補助を活用してもミニ新幹線化、フリーゲージトレイン化では累積資金収支が30年以内に黒字に転換されないという結果となった。今後、費用負担割合や事業費等の精査について進めることとなっている。
2006年11月、JR、新潟、山形、秋田の担当者と有識者による検討委員会が設立された。すでに新潟駅付近連続立体交差事業が着手されていることから同一ホーム乗換の工事を先行させることで認識が一致。2007年1月の会合では高速分岐器化やカント扛上、曲線半径の拡大など在来線改良について話し合われた。また、小岩川~あつみ温泉間のトンネルの活用について安全面からは有効とされ検討課題となった。このトンネルは旧国鉄時代に建設されたまま採算面から使われずにあったものである。
[編集] 庄内アクセス
山形県庄内地方への高速鉄道整備については陸羽西線をミニ新幹線化する山形新幹線機能強化といった観点からも調査されていたが、庄内地方と内陸地方を直結することによる県内交流拡大には適しているものの、時間短縮にはあまり結びつかず、東京方面との時間短縮や採算面では羽越本線高速化のほうが有効という結果となっている。