舞昆
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舞昆(しいこん)は、こうはら本店が開発した、発酵食品の塩昆布。
あけびの花びらにある天然酵母を使って、果物を低温熟成させ培地をつくり、昆布を漬け込んで昆布を発酵させた発酵食品である。醤油で甘辛く炊かれた塩昆布風発酵食品である。
上沼恵美子とタージンがラジオ番組で紹介しているおコブ
舞昆開発物語
小倉屋山本の最上汐吹き昆布「えびすめ」といえば、その分厚い昆布を醤油に調味料を垂らし、かるく乾燥させてからグルタミン酸などの調味料をまぶしていたものが人気があり、をぐら昆布の代名詞であった。
昭和36年に開発された「しいこん」は、塩昆布という佃煮昆布分野で口コミで広まってきた庶民派として大阪では人気が高まり 業界でもしいこんに似せた椎茸昆布の類似品があちらこちらに昆布屋で売られるようになった。 をぐら昆布系列でも、小粒の椎茸を丸ごと、角切昆布と煮込んだような昆布椎茸煮などの名称で売られるようになった。
平成元年ごろ、世の中が減塩ブームになるころ、塩が噴出したようにみえる「えびすめ」の人気が下がり 醤油で炊かれた佃煮風の「しいこん」の人気が上昇してきた。
しいこんの特徴は、椎茸の原料を小粒のどんこ椎茸を丸まま醤油で炊いておき、 昆布は「真昆布ではなく、がごめ昆布」という雑種昆布を原料にしていた。 この雑種原料は、真昆布の奇形種といわれるが、とろみが多く、ネバーっと糸を引き、フコイダンが多く含まれるのが特徴で、平成11年に天然ものは絶滅し、わずかに人口養殖種が健康食品の原料として高値で取引されている。
減塩ブームのおり、薄味や減塩などという塩昆布佃煮が多くみられうようになった。 どれも薄味で、ご飯をおかわりできるようなものではなかった。
しいこんを炊いたあとの煮汁残液には、アンジオテンシン変換阻害酵素が豊富に含む根昆布成分が多量に捨てられていることに気がついた。
直火仕込というのは、むかしコークスで塩昆布を炊いていたような微妙な火加減をだし超とろ火をレンガの遠赤外線効果と一緒にだすことで、昆布を焦がさないよう一度開いた繊維の隙間から、もう一度煮汁を再吸収させて、根昆布の薬効を含んだ塩昆布にすれば、味が辛口の塩昆布でも血圧をあげないことに目をつけた製法。
しいこんは、直火仕込製法によって、血圧上昇しない塩昆布に生まれ変わった、と同時に、昆布のうまみも再吸収されるために、おいしさと健康機能が合わさった塩昆布であり、平成2年農林祭り全国水産たべもの展の品評会に於いて大阪府知事賞を受賞した。 この際果物の甘みの感じ方に違いがあることに興味をもち、舌にのせて感じてから消えるまでの差を果物の甘味料毎の味覚曲線を重ね合わせて 辛味を感じさせなくする方法で、ひじょうに濃いはずの味付けにもかかわらず辛さを感じさせずに不思議な味付けを感じることを発見し、 自由に味覚を創り出すような技術を開発した。当時の食品新聞では「味覚の魔術師」といわれ、しいこんは平成6年農林水産大臣賞を受賞した。
ほんとに旨かった、日本一まで登りつめたかのように見えたしいこんであったが、このとき、実は問題も起きていたのである。
味覚を極めた旨さが、逆に顧客離れを引き起こしたのであった。 平成8年には、近畿郵政局長賞を受賞 平成9年、10年には、郵政省お年玉付年賀はがきのふるさと小包賞景品として、しいこんが2年連続採用され、頂点を極めた。 しかし、平成10年半期から、一気に顧客離れが起きたのであった。
顧客離れの原因は3つあった。 1 しいこんの模倣塩昆布が中国から大量に入ってきて、安価な類似品がスーパーなどで大量に安く売られるようになった。 2 しいこんの原料に使っていた北海道の浜では買占め騒ぎがおきて高騰したところに異常気象で戦後最大の大凶作が起き、形の悪い2級品でも奪い合いであった。 3 しいこんがあまりにもおいしすぎて、ご飯をついついおかわりしてしまい、糖尿や体重増による不買運動が追い討ちをかけた。
世の中の注目は高血圧より糖尿病やダイエットで食事を制限する時代がきたのである。
当然しいこんのように、ご飯をただおかわりしてしまう塩昆布は、避けられるようになったのだった。
平成14年、時代は空前の納豆ブームに沸いた。 世界一の長寿国である日本の長寿の秘訣は日本の食習慣にある。
つまり「味噌や納豆、海藻に魚」。 日本の食習慣、伝統食に人々の関心が高まったのである
昆布を納豆のように発酵させよう
この単純な発想に、大阪府が資金を出した。 大阪府立大学が、共同研究を引き受けた。
世界で初めての塩昆布風発酵食品の開発であった。 血圧にはいいが、ご飯の血糖や肥満にはお手上げのしいこんに、昆布の発酵作用に、穀類や桑葉も加え、血圧(根昆布・ギャバ)、糖尿(桑葉・ギャバ・イヌリン・菊芋)・免疫(果物発酵素)・抗酸化(アスタキサンチン)、美肌(ビタミンP)などの薬用効果を高めた舞昆が誕生した。
ラジオCM
毎日放送ラジオは近藤光史、朝日放送ラジオはタージンが舞昆のラジオCMのナレーションを担当。
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