阿含経
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基本教義 |
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縁起、四諦、八正道 |
三法印、四法印 |
諸行無常、諸法無我 |
涅槃寂静、一切皆苦 |
人物 |
釈迦、十大弟子、龍樹 |
如来・菩薩 |
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部派・宗派 |
原始仏教、上座部、大乗 |
地域別仏教 |
インドの仏教、日本の仏教 |
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経典 |
聖地 |
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阿含経 (あごんきょう、又は、あごんぎょう:agama (sanskrit, pali))とは、初期仏教の経典であり、「阿含」の語源は、サンスクリット・パーリ語の「アーガマ」の音写で、伝承された教説、その集成という意味である。
釈迦入滅後、その教説は迦葉や阿難を始めとする弟子達によって、何回かの結集を経てまとめられ、経蔵(sutta-piTaka (pali))を形成した。他方、守るべき規則は律蔵(vinaya-piTaka (pali))としてまとめられた。
経蔵は、それぞれ阿含または部(nikaaya)の名で表示された。現存するものは、スリランカ、ミャンマー(旧ビルマ)、タイ、カンボジア、ラオス、ベトナムに伝えられているパーリ語聖典と、それに相応する漢訳経典などである。
- 長部 (diigha-nikaaya (pali)) 長阿含経(じょう-)-長編の経典。
- 中部 (majjhima-nikaaya) 中阿含経-中編の経典集。
- 相応部 (saMyutta-nikaaya) 雑阿含経(ぞう-)- 短編の経典集。
- 増支部 (AGguttara-nikaaya) 増一阿含経(ぞういつ-)- 法数ごとに集められた短篇の経典。
- 小部 (khuddaka-nikaaya) -法句経(ほっくきょう)や本生経(ほんじょうきょう)など。漢訳では相当文が散在する。
一般に、紀元前4世紀から紀元前1世紀にかけて、徐々に作成されたものであると言われている。
中国においても、原初的な経典であることに気付いており、研究を行った記録もあるが、大勢を占めることはなかった。日本にも伝播初期から伝えられており、倶舎宗で研究されていたとされるが、ほとんど伝えられていない。
漢訳の阿含経は、パーリ語の物からの翻訳とは考えられない形跡がある。同経典がサンスクリット語で伝えられ、漢訳されたとも考えられている。
更に、パーリ語のニカーヤは、その名の通り、部派仏教の部派にそれぞれ独自に伝えられており、少なからず異同がある。逆に、その異動によって部派を特定することも可能である。
現在、残存しているパーリ語経典よりも、漢訳の阿含経の方が古い形態を残していると認められる事がしばしばある。上記の部派による伝承の間に、編集ないし変質が加わったためと考えられている。
- このニカーヤや阿含経は、ヨーロッパの研究者によって注目され、世界中に広がった。そのため、大乗経典よりヨーロッパの哲学への影響は大きく、新しい宗教の考え方の基盤となっているとされる。しかし、厳密な翻訳作業を経ておらず、誤った認識を示しているものも多く、注意を要する。
ブッダの言葉と呼ばれている物はこの経典に納められているものが多く、有名な物に毒矢の例えや、自灯明・法灯明などがある 大般涅槃経などの一部になっている物もある。
また、因果についてもこの経典では述べられているが、毒矢の例えでいわれているように現在の生き方を中核としてとりあげていて、霊そのものや死者が死後どうなるかなどこの世にあらざる物を中核として取り扱うことはこの経典ではしていない。