電気通信大学
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電気通信大学(でんきつうしんだいがく)は、東京都調布市にある国立大学。英語名称はThe University of Electro-Communications。通称「電通大」もしくは「UEC」。
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[編集] 組織
電気通信大学は、1学部2研究科から構成される。 各学科・専攻の後のアルファベット文字は略称として学内で使われている。
[編集] 学部
昼間コースと夜間主コースがある。なお、夜間主コースは土曜日にも授業があるが、昼間コースと同様に4年間であり、卒業証書も昼間コースと変わりない。
[編集] 電気通信学部
- 情報通信工学科 (C)
- 学科定員(夜間主定員)・・・130 (30)
- 情報通信に関係する様々な分野についての研究を行っている。
- (情報理論、信号処理、音声・音響工学、光通信、電磁波)
- 情報工学科 (J)
- 学科定員(夜間主定員)・・・110 (20)
- コンピュータそのものの方式と活用に関する科学技術の研究を行っている。情報工学の基礎となるような数学の教育が広く行われる。
- (計算機科学、数値計算、ソフトウェア、プログラミング、ネットワーク)
- 電子工学科 (E)
- 学科定員(夜間主定員)・・・140 (30)
- 半導体などの電子デバイスと電子回路技術を融合した分野で、エレクトロニクスの基礎と応用の研究を行っている。
- (半導体、電子回路、電子材料、エレクトロニクス)
- 量子・物質工学科 (F)
- 学科定員(夜間主定員)・・・110 (20)
- 物理および化学・生物を扱う学科。物理系の物理・量子工学コースと化学・生物系の物質・生命情報工学コースがある。
- (レーザー、超伝導、機能性分子、遺伝子情報)
- 知能機械工学科 (M)
- 学科定員(夜間主定員)・・・100 (30)
- 機械などの「もの」を「つくる」、またそれにともなう力学的現象の解析を行っている。
- (材料力学、機械力学、熱力学、流体力学、制御工学、ロボット、設計、加工、生産システム)
- システム工学科 (T)
- 学科定員(夜間主定員)・・・60 (20)
- 経営、情報、ネットワークシステムなどの統合最適化などを行っている。
- (マネジメント、経営工学)
- 人間コミュニケーション学科 (H)
- 学科定員(夜間主定員)・・・40 (30)
- 理工系、社会・文化系の両面から研究を行う。
- (メディア、社会情報、コミュニケーション)
[編集] 大学院
電気通信学研究科は、電気通信学部の上位組織である。情報システム学研究科は学部組織を持たない独立研究科である。ともに博士課程の後期課程まで有する。なお、情報システム学研究科は2007年4月に専攻組織を再編成し、4専攻となる。
[編集] 電気通信学研究科 (EC)
- 情報通信工学専攻 (C)
- 情報工学専攻 (J)
- 電子工学専攻 (E)
- 量子・物質工学専攻 (F)
- 知能機械工学専攻 (M)
- システム工学専攻 (T)
- 人間コミュニケーション学専攻 (H)
[編集] 情報システム学研究科 (IS)
- 情報システム設計学専攻 (S)
- 情報ネットワーク学専攻 (N)
- 情報システム運用学専攻 (U)
(注)なお、2007年4月からは以下の専攻組織に再編される。
- 情報メディアシステム学専攻
- 社会知能情報学専攻
- 情報ネットワークシステム学専攻
- 情報システム基盤学専攻
[編集] 関連団体
- 株式会社キャンパスクリエイト - 大学の研究成果を企業活動に活かすため1999年9月に設立された認証・承認TLO(技術移転機関)。同大キャンパス内にもオフィスを持つ。役員に、元教官、OBなどが就任している。目黒会も設立に関わった。
[編集] 所在地
- 公式所在地(東地区キャンパス) - 東京都調布市調布ケ丘一丁目5番地1
- 西地区キャンパス - 東京都調布市富士見町二丁目11番地
- 多摩川グラウンド - 東京都調布市多摩川七丁目38番地1
- 菅平宇宙電波観測所 - 長野県上田市菅平高原字菅平1223番地
- 五思寮(学生寮) - 東京都調布市富士見町二丁目11番地
- 教職員宿舎 - 東京都調布市小島町一丁目1番地
- 電通大スカイオフィス - 渋谷区神宮前五丁目52番2号 青山オーバルビル15階
[編集] 名称
- 英語表記は The University of Electro-Communications(略称・UEC)であるが、英語圏において「electro-communication」という言葉は用例がみられない(正しくは「telecommunication」)。また、単科大学ならば college であるが、university には「大学院のある大学」と、いう意味もあり、命名の根拠としている。
- 大学名に地名が付かない国立大学には、電気通信大学と図書館情報大学があった。後者は近年筑波大学と合併したため、電気通信大学が日本で唯一となった(ただし、学部組織を持たない「大学院大学」も含めると総合研究大学院大学、政策研究大学院大学がこれに該当する)。地名の付かない大学名を採用することで、日本全国に開かれた大学を造る、という建学精神を表している。
[編集] 校章
校章の制定は新制大学発足時である。新制大学発足は昭和24年。校章の中心にある文字は「大學」を示している。 校章の模様にはリサージュ曲線が使われている。この曲線は、周波数比5:6、位相差0度で得られる。この5:6というのは東日本、西日本の商用電源周波数に対応した比であり、これによって日本全体の調和を表している。
[編集] 研究・教育
- 21世紀COEプログラム (COE)
- 平成15年度 コヒーレント光科学の展開
- 特色ある大学教育支援プログラム (特色GP)
- 平成15年度 「楽力」によって拓く創造的ものつくり教育
- 現代的教育ニーズ取組支援プログラム (現代GP)
- 平成16年度 専門重視の相互作用型e-ラーニング実践
- 先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム
- 平成18年度 高度IT人材育成のための実践的ソフトウェア開発専修プログラム
多摩地区大学協定に参加しており、他大学(東京学芸大学、東京農工大学、一橋大学、東京外国語大学)との単位互換制度がある。
[編集] インターネット
電気通信大学のウェブサイトは、日本で初めての大学サイトとして知られている。
[編集] 産学官連携
電気通信大学には特許を管理する知的財産本部とTLO(技術移転機関)である株式会社キャンパスクリエイトがある。
[編集] 南極観測
[編集] レーザー
レーザー研究はCOEに採択されている。国立天文台の干渉計型重力波検出器TAMA300用に周波数安定化レーザーを開発、採用されている。また2001年12月19日には、レーザー冷却技術によってボーズ・アインシュタイン凝縮を達成。これは東京大学、京都大学、学習院大学に継いで国内4番目である。さらに、2005年1月5日には原子基板(アトムチップ)上でのボーズ・アインシュタイン凝縮の生成に成功している。
[編集] HFD観測用実験局
2001年3月のJJYの停止で電離層の観測ができなくなることから、2001年7月4日から実験用無線局「JG2XA」を開設し、調布から周波数5006kHzと8006kHz、出力200Wで電波を発信している。電波は無変調のキャリアであるが、一定サイクルでコールサイン(JG2XA ・--- --・ ・・--- -・・- ・-)および実験局の目的(UEC HFD STATION ・・- ・ -・-・ ・・・・ ・・-・ -・・ ・・・ - ・- - ・・ --- -・)を、モールス符号で送信している(モールスも含め通常の短波ラジオで受信可能)。受信証(ベリカード)も発行されている。[1]
[編集] 学生
[編集] 学友会
いわゆる自治会として学友会が存在する。
- 執行委員会
- 調布祭実行委員会
- 新入生歓迎委員会
- 会計委員会
- 群青編集委員会
[編集] 学園祭
調布祭と呼ばれ、毎年11月下旬に行われる。ミス電通大コンテストが毎年行われるが、他大学のミスコンテストとは異なり出場する学生は女装をした男子学生である。主な企画としては電下一武道会(格闘技大会)、我楽苦多市(フリマーケット)、お笑いライブなどがある。同時期にはオープンキャンパスや研究発表、エレクトロニクスコンテストなども行なわれる。尚、過去に女性を出場対象とした本気(マジ)ミスコンも開催されたこともある。 電気通信大学 調布祭実行委員会、電通大エレクトロニクスコンテスト
[編集] 施設
東地区には東1,4,5,6号館、A,B,C,F,G,K,L,P棟、本部棟、講堂、80周年記念会館(通称「リサージュ」)、大学会館、総合研究棟、サークル棟などがある。西地区には西1-9号館、IS棟、体育館などがある。(G棟は時期は未定だが解体予定。)
[編集] 五思寮(ごしりょう)
本学の学生寮。西地区にある。昭和54年(1979年)に完成したため、「ごしりょう」の名前がついた。鉄筋コンクリート5階建てですべて個室、定員は120名。平成2年(1990年)には寮内に学内のインターネット回線が引かれ、寮生は無料で使用できる。なお、入寮できるのは男子のみであり、女子寮は存在しない。
[編集] 歴史
無線電信講習所の設立、新制大学への移行、1980年代の改組(※)、および平成16年度の国立大学法人への移行が大きな節目となっている。
※博士課程の設置、IS研究科の設立、学部の大学科制への移行、短期大学の閉学、夜間主コースの開設が行われた。
[編集] 沿革
- 1918年 社団法人電信協会無線電信講習所が創立。
- 1942年 逓信省に移管。
- 1945年 4月(戦時中)、中央無線電信講習所に改称。
- 1948年 文部省に移管。
- 1949年 新制電気通信大学となる。
- 1953年 電気通信大学短期大学部を併設。
- 1957年 目黒校舎から調布校舎へ移転統合を完了。
- 1988年 電気通信学部改組、5学科制へ移行と同時に夜間主コースを設置。これに伴い短期大学部募集停止。
- 1999年 電気通信学部改組、7学科制へ移行(現行体制)。
- 2004年 文部科学省直轄より、国立大学法人法施行に伴い「国立大学法人電気通信大学」となる。
- 2007年 情報システム学研究科改組、4専攻制へ移行。
[編集] 以前あった学科
1980年代に1学科百人規模の「大学科制」に移行するまでの長い間、1学科50~70人規模の「小学科制」が続いた。以下の11学科があり、2~3学科が合併し5学科に再編された。
- 電波通信学科 (R) - RはRadioから。モールス通信の実習があったのが特徴的。
- 通信工学科 (C) - CはCommunicationsから。3年次で高専・短大からの編入枠があった。
- 応用電子工学科 (T) - TはTechologyから。旧称・電波工学科。電子工学科ができた後に改称。
- 電子工学科 (E) - EはElectronicsから。「電子工学科」としては国立大学で2番目にできた。
- この4学科は2年次までほぼ同じカリキュラムで、専門科目も合同授業であることが多かった。大学科制移行時に、RとC(およびB)、TとEが合併。
- 経営工学科 (B) - BはBusinessから。旧称・通信経営学科。技術もわかる経営者、あるいは経営もわかる技術者の育成を目指した。
- 機械工学科 (M) - MはMechanicsから。
- 機械工学第二学科 (N) - NはMの次の文字であることから。
- MとNは実質的に同じ学科で、大学科制移行時に合併。
- 材料科学科 (S) - SはScienceから。
- 物理工学科 (P) - PはPhysicsから。
- SとPは大学科制移行時に合併。
- 計算機科学科 (D) - DはData Proccessingから(ComputerのCは既に使われている)。
- 情報数理工学科 (I) - IはInformationから。
- DとIは大学科制移行時に合併。
- 電子情報学科(C) - CはCommunicationsから。1999年に情報通信工学科に改組。
[編集] 大学関係者と組織
[編集] 大学関係者一覧
[編集] その他
[編集] 電通大通り
[編集] 東京電機大との混同
- 学科のジャンルに共通性があり名称が類似していることから、屡々東京電機大学と混同され誤解される傾向がある。その傾向を逆手に取ったオリジナルソングがtvkの朝の人気番組saku saku内で放送されたことがある。『電通大のうた』(作詩・作曲/増田ジゴロウ)がそれである。