京王線
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京王線(けいおうせん)は、東京都新宿区の新宿駅と八王子市の京王八王子駅間を結ぶ京王電鉄の鉄道路線である。
「京王線」の呼称は、京王電鉄の広報物などにおいても、次のように多義的に用いられている。なお、俗に京王電鉄線の意味で井の頭線を含む京王電鉄の路線すべてを含めて「京王線」と呼ぶことがある。
- 新宿駅~京王八王子駅間の京王電鉄の路線。後述の「京王新線」を含む。国土交通省への届け出上の「京王線」。「京王本線」と呼ばれることもある。
- 上記から「京王新線」を除く路線。「本線」と呼ばれることがある。「京王線新宿駅」というときの「京王線」はこの意味である。この記事では、この意味での京王線について述べる。京王新線については、京王新線の記事を参照。
- 京王電鉄の路線のうち、上記の京王線に乗り入れ列車のある路線のすべて。京王新線、相模原線、競馬場線、動物園線、高尾線を含む。井の頭線はかつて小田急系の別会社であったことから規格が異なり乗り入れがないので除かれる。
目次 |
[編集] 路線データ
- 路線距離:37.9km
- 軌間:1372mm
- 複線区間:笹塚~京王八王子間(31.3km)
- 複々線区間:新宿~笹塚間(3.6km)
- 電化区間:全線(直流1500V)
- 保安装置:京王形ATS(デジタルATCに更新予定)
- 最高速度:110km/h
複々線区間のうち、既存の線は京王線、都営新宿線直通のために造られた増設線は京王新線と呼ばれている。新線開通前に新宿~笹塚間にあった初台と幡ヶ谷は新線開通時に新線に移設されたため、現在両駅は新線にしかない。また、新宿駅は両方にあるが、距離があるため、それぞれ京王線新宿、新線新宿のように呼ばれている。
初台・幡ヶ谷の2駅に行くためには、列車種別に関わりなく、新宿側からは新線新宿から乗車し、笹塚側からは新線新宿行きまたは都営新宿線への直通列車に乗車することになる。
[編集] 路線概要
新宿と八王子を結ぶ路線であるので、国道20号や首都高速道路4号新宿線・中央自動車道・JR中央本線と並行していると言える。府中以東は国道20号にほぼ沿っており、聖蹟桜ヶ丘以西では川崎街道・北野街道に沿いながら浅川をさかのぼっている。建設時の経緯(後述)から、府中駅を境にして長い直線区間が少なくなるのも特徴である。
[編集] 新宿~笹塚
JR新宿駅の西隣、小田急新宿駅のさらに西隣の地下2階に南北に延びる3面3線の新宿駅を南に出て、国道20号を地下でくぐる。新宿区から渋谷区に入り、海側(京王八王子に向かって左側)2線が合流しながら右に急カーブを切り、西南西に向きを変える。ここでシーサスポイントを通過。国道20号の少し南を走りながら旧初台駅跡を通り、幡ヶ谷駅を越えたところで上り線は急勾配(35‰)で地上へ,下り線はしばらくしてから京王新線と同時に地上へ出る。ここまでの地下区間において初台駅は京王線地下化後に地下線の京王新線に移転したため京王線側に旧駅跡が残っているが、幡ヶ谷駅は地上駅から京王新線に移転したため京王線側に旧駅の痕跡は全くない。上り線のみ踏切が1箇所あり、地上区間が他の3線より長い。そのまま上下線が京王新線を挟む形で高架の笹塚駅に登る。ここまでの地下区間は主に玉川上水の跡地を転用して建設された。旧初台付近までは比較的急な曲線が多い。駅の手前で東京都道420号鮫洲大山線(中野通りの延長)を越える。
トンネル内は騒音が大きいことから、下り列車では車内放送は笹塚駅手前で地上に出てから放送する(車掌によっては新宿駅発車後に車内放送する場合もある)。
[編集] 笹塚~明大前
京王新線の電留線を挟みながら高度を下げ、世田谷区に入る。ここから世田谷区の北端をときおり杉並区に入りながらさらに西南西に向かう。環七通りを越え、玉川上水を越えたところに代田橋駅がある。代田橋駅手前までは高架であるが、ここから先は地上を進む。明大前駅で井の頭線と交差する。
[編集] 明大前~千歳烏山
小さな起伏を超え、右に大きくカーブを切るところに、下高井戸駅がある。ここでは左から東急世田谷線を迎える。下高井戸駅を出ると再び起伏があり、向きを西北西に変え、車両基地(かつては工場もあったが現在は留置線のみ。詳細は若葉台検車区を参照)のある2面4線の桜上水駅へ。続く上北沢駅は京王線では数少ない島式1面の駅である。上北沢駅付近からしばらく首都高速道路との距離が離れる。上北沢駅を出ると高架駅の八幡山駅に向け駆け上る。八幡山駅は京王線では唯一、ホームのない通過線のある駅で、外側線が本線となっているのも唯一である。その高架により環八通りを越える。左に高架の電留線を見ながら高架線から駆け下りて、左にカーブを切って芦花公園駅、西南西に向かって、烏山川を跨ぎ、千歳烏山駅である。この付近はバイパスである国道20号と多少離れるが、旧道とは近い。
[編集] 千歳烏山~つつじヶ丘
仙川の谷に下り、これを渡ると地面は上がっていくが、線路はさらに下って切り通しに入る。調布市となり、仙川駅に着く。現在の仙川駅は山手線の渋谷駅と同じようなホーム構造であるが、かつては島式1面であった。都道114号をくぐると武蔵野台地の国分寺崖線から入間川の谷に突き出す。高架(築堤)で進んで入間川を跨ぎ、武蔵野台地の武蔵野面の舌状台地へ着地する。
[編集] つつじヶ丘~調布
つつじヶ丘駅で左に電留線を見送りながら、本線は崖に突き出しながら国分寺崖線を再び下り、柴崎駅の先で野川を越える。国領駅構内で大きくのカーブを右に切る。ここから再び西北西に向きを変え、東京都道11号・狛江通りと交差。布田駅でさらに右に曲がって、2面4線の調布駅へ入る。一連のカーブは半径300m前後で制限速度が70~75km/hである。
[編集] 調布~府中
相模原線とのポイントを通過したら、都道120号と交差する。相模原線を左に分けると、2003年に完成した鶴川街道の調布鶴川陸橋をくぐる。調布と西調布の駅間はその前後の倍以上ある。西調布駅を過ぎるとすぐ、中央道をくぐる。右手に味の素スタジアムを見ながら、ほどなく飛田給駅である。左右にカーブを切りながら府中市に入る。市道の切り通しを越えて、武蔵野台駅へ。駅端からすぐに土手を上り、市道、西武多摩川線、市道を越え、地上に降りて右にカーブを切って多磨霊園駅へ。このカーブでは京王の曲線制限としては最も高い105km/h制限の標識が立っている。続く東府中駅は下り線のみ待避線を持ち、さらにその南隣に競馬場線専用ホームがある。競馬場線を左に分けて旧甲州街道を斜めに横切り、線路も左にカーブを切りそのまま高架へ上ってゆく。小金井街道を越えて2面4線の府中駅に着く。
[編集] 府中~聖蹟桜ヶ丘
府中を出たらすぐに国分寺街道と府中街道を跨ぎ、JR武蔵野線(地下)と交差して、大きく左にカーブを切りながら地上に降り、進路は南南西になる。ここで再び旧甲州街道の踏切があり、分倍河原駅へ。この駅の途中で立川崖線があり、ここから南は高架駅となる。その崖線下に沿ってJR南武線のホームがある。市道(ホーム下)と鎌倉街道旧道を越え、地上に降りる。降りきったところで中央道をくぐる。再び右にカーブを切りながら西南西に向かって高架に上がり、中河原駅である。ここで新道と合流した鎌倉街道を再び越える。左にカーブを切り、進路を再び南南西として多摩川を越え、多摩市に入る。右に急カーブを切って聖蹟桜ヶ丘駅である。この駅は古くはカーブの途中にあったが、高架化の折りに駅ホームの一部を直線としている。
[編集] 聖蹟桜ヶ丘~高幡不動
ここから川崎街道の北側に沿って走る。野猿街道の一部立体交差を越えると、左から多摩丘陵が迫る。日野市に入り、ここからは多摩丘陵と多摩川の間の狭い平野の南端近くを走ることになる。地平に降りて右、左にカーブを切ると百草園駅。しばらく直線で進むと、右から程久保川が迫り、これを越えると、多摩モノレールの高幡不動駅をくぐる。同時に都道と交差する。高幡不動駅は、動物園線用のホーム、線路を入れて3面5線の駅である。
[編集] 高幡不動~京王八王子
45km/hの低速で左にカーブを切り、右折した川崎街道と交差し、さらにその直進方向である北野街道に沿う。左に曲がって南西を向く。さらに左折すると南平駅である。右に曲がって、平山橋を渡る道と交差し、左に曲がると平山城址公園駅である。八王子市に入って、浅川、北野街道に挟まれるように右に大きく曲がり、勾配を上りながら西進すると長沼駅である。その先で北野街道が左から迫り、これと交差する。なお都道を左に見ながら再び上り勾配となり、直進し、右にカーブして湯殿川を渡り、高架2面4線の北野駅となる。国道16号八王子バイパスを越え、直進する高尾線に分かれて右にカーブし、西北西を向く。左からJR横浜線が迫り、並ぶところで野猿街道の陸橋をくぐる。横浜線を左に分けると、すぐに中央線、八高線の高架をくぐる。左にカーブしながら地下に潜ってゆき、北西を向いて1面2線の京王八王子駅に至る。
[編集] 歴史
京王電気軌道が1913年、笹塚駅~調布駅を開通させた。その後、小刻みに延長を繰り返し、新宿駅~府中駅間を1916年に全通させた。当初、新宿駅~笹塚駅、調布駅~府中駅~国分寺駅はバス連絡を行っていた(東京で最初のバス営業)。
府中駅~東八王子駅(現:京王八王子駅)間は、関連会社の玉南電気鉄道が1925年に開業した。同区間は国から補助金を得るため、軌道法に基づく軌道ではなく、地方鉄道法に基づく鉄道として、軌間1067mmで建設された。そのため、京王電軌と玉南とは直通運転できなかった。 玉南は結局、中央線との競合を理由に補助金を得られなかった。そのため、1926年に京王電軌は玉南を合併。改めて軌道特許を取得して同区間を軌間1372mmに変更した。新宿~東八王子間の直通運転が開始されたのは1928年のことである。
京王線の幡ヶ谷駅以東は戦前、甲州街道を走る軌道だった。新宿方の起点は、現在は新宿駅西側の京王百貨店地下二階であるが、古くは、南口のJRの線路をのりこえた先の新宿追分(新宿伊勢丹前交差点。現在の新宿三丁目駅に相当)であった。1936年、幡ヶ谷より新町までは玉川上水を暗渠とした上に専用軌道を敷設。新宿起点も追分交差点上から脇の四谷新宿駅(のちの京王新宿駅。現在は京王新宿三丁目ビルが立地)に移転した。戦争末期の1945年、新宿~初台間にある天神橋変電所が空襲に遭って電圧が低下した時、新宿駅南口の跨線橋の坂を電車が上れなくなったため、西口の現在の場所にターミナルが作られた。(この場所は東横線新宿延伸計画用の土地だった。詳しくは、東京横浜電鉄新宿延伸計画を参照)以降も、新宿駅と文化服装学院前までの間は甲州街道上に軌道が敷設されていたが、1953年道路中央を専用軌道化した。しかし、新宿駅周辺の甲州街道上り線を横切る踏切に遮断器が設けられていなかったことによるトラブルが相次ぎ、また甲州街道自体拡幅の必要に迫られ、京王線軌道敷を移設することになった。こうして新宿駅は1963年4月に現在の地下駅が完成し、同区間が地下化された。翌1964年に地下区間は初台駅の先まで、1983年には笹塚駅東側まで延長された。
- 1913年4月15日 京王電気軌道笹塚~調布間(12.1km)開業
- 1913年10月11日 代々幡~笹塚間(1.3km)開業
- 1914年4月8日 幡代小学校前~代々幡間(0.3km)開業
- 1914年6月11日 代々木~幡代小学校前間(0.7km)開業
- 1914年11月19日 新町~代々木間(0.6km)開業
- 1915年3月31日 葵橋~新町間(0.4km)開業
- 1915年5月1日 停車場前~葵橋間(0.4km)開業
- 1915年5月30日 新宿三丁目(新宿追分)~停車場前間(0.1km)開業
- 1916年9月1日 調布~飛田給間(1.8km)開業
- 1916年10月30日 飛田給~府中間(4.2km)開業
- 1920年3月27日 笹塚~上高井戸(芦花公園)間複線化
- 1920年4月5日 上高井戸~烏山(千歳烏山)間複線化
- 1920年4月15日 金子(つつじヶ丘)~調布間複線化
- 1920年6月25日 烏山~金子間複線化
- 1923年5月1日 調布~府中間複線化
- 1925年3月24日 玉南電気鉄道府中~東八王子間(16.3km)開業(地方鉄道)
- 1926年12月27日 玉南電気鉄道を合併
- 1927年6月1日 府中~東八王子間(16.3km)開業(軌道)
- 1928年5月22日 新宿~東八王子間直通運転開始
- 1929年4月1日 関戸(聖蹟桜ヶ丘)~北野間複線化
- 1929年4月7日 府中~中河原間複線化
- 1944年5月31日 陸上交通事業調整法により、東京急行電鉄に合併され、同社の経営となる
- 1945年7月24日 新宿起点を現在地(新宿西口)に移転
- 1945年10月1日 軌道から地方鉄道に変更
- 1948年6月1日 京王帝都電鉄発足に伴い、同社に譲渡される
- 1963年4月1日 新宿地下駅営業開始
- 1963年8月4日 架線電圧を1500Vに昇圧
- 1963年10月1日 京王線新宿~東八王子間特急運転開始。
- 1963年12月11日 東八王子駅を移設し、京王八王子駅に改称。
- 1964年4月21日 中河原~聖蹟桜ヶ丘間複線化
- 1978年10月31日 新宿(新線新宿)~笹塚間複々線化(京王新線開通)
- 1980年3月16日 都営地下鉄新宿線開通。相互直通運転開始
[編集] 運転
京王電鉄の基軸となる路線であり、相模原線、高尾線といった支線区や、相互乗り入れを行う東京都交通局(都営地下鉄)新宿線への直通列車も多数運転される。なお、都営新宿線との相互乗り入れについては、京王相模原線を参照されたい。
多様な列車種別と緩急結合に配慮したダイヤによって各駅の利便性の確保に努めるとともに、最高速度110km/hという関東の民鉄では首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)、京浜急行電鉄などに次ぐ首都圏内における高速運転の実施によって都市間輸送にも対応している。準特急を設定したことで利用者からは好評を得ているが、停車駅の増加した快速は遅すぎると不評である。
新宿~八王子・高尾間は中央快速線と競合し、高速運転によるサービス向上も実施されているが、平日ラッシュ時には相模原線からの直通列車と京王線列車双方の多数の列車が輻輳し、複々線区間が短い(笹塚~新宿・新線新宿間のみ)こともあり、所要時分が長くなってしまう不利な面も持ち合わせている。 京王八王子→新宿まで、平日朝の通勤時間帯は急行で59分~61分もかかる(特急・準特急は京王八王子発8時半以降からとなるが、8:32発の準特急を利用しても、新宿まで52分前後もかかる)。急ぐ場合は、同区間を約45分で走る中央線の通勤特別快速を利用するのが一般的である。
平日、土曜・休日の各ダイヤは、基本的に大きく朝間、昼・夜間、深夜に分けられ、早朝を除く朝間は不規則ながらほぼ10分ヘッド、昼・夜間は20分ヘッド(但し特急と準特急、急行と快速を同一視すればほぼ10分ヘッドと言える)、深夜は15分ヘッドである。昼・夜間は、昼間、夕方、夜間に細分できる。
- 2006年(平成18年)8月までは、土曜・休日ダイヤがオフダイヤ(1~3・7・8・12月)とシーズンダイヤ(4~6・9~11月)に分けられていた。
[編集] 列車種別
[編集] 特急(Special Express)
本路線における最速達列車。区部は明大前のみの停車、市部は基本的に1市につき1停車駅である。当初新宿~京王八王子(当時の東八王子)間最速40分運転で設定された後、5000系時代に最高速度105km/h引き上げ・最速所要時間35分への短縮が行われたが後に一旦所要時間は延びた。1992年の改定では本線系統の特急は同年に投入された8000系に一度に置き換えられた(2001年3月改定以後は他系列も運用に入るようになる)。2001年3月改定で調布以西の最高速度110km/hへの引き上げと最速34分化(上り最速35分)が行われた。シーズンダイヤでは分割併合や運転パターンの違いにより所要時間が延びていた。その後、2006年9月改定により最速所要時間が再び延びた。これは調布駅地下化工事による徐行のためとのことである。時刻表上の所要時間(分単位)は下り最速37分運転、上りは約40分掛かる。臨時停車を除くと、定期運転となった1963年(昭和38年)以来一度も停車駅変更が行われていない。
- 平日ダイヤでは、昼間時間帯に京王線新宿~京王八王子間で運転(20分間隔)。17時以降は代わりに準特急が運転される。
- 土休日ダイヤでは、早朝に京王線新宿~高尾山口間(上り1本・下り2本)、京王線新宿~京王八王子間(上り2本)で運転。その他の時間帯は準特急が運転される。
- 2001年3月までは相模原線系統の特急も運転されていたが、廃止された。
- 2006年6月までは土曜・休日シーズンダイヤでの京王線新宿~京王八王子・高尾山口間(高幡不動で分割併合)が運転されていたが、同年9月に行われるダイヤ改定でこの系統の運転は6月をもって一旦終了する形となった。
- 現在では全列車が10両編成にて運転される。
- 行楽輸送用として一部の特急の新宿~京王八王子間で運転される列車に「陣馬」、新宿~高尾山口間で運転される列車に「高尾」と愛称を付与したこともあった。
[編集] 準特急(Semi Special Express)
2001年3月に、急行、平日夕夜間の通勤快速に置き換えて新設された高尾線方面への速達列車の主力。府中まで特急停車駅とそれ以降の急行停車駅に停車。全体では特急停車駅に分倍河原と北野を追加した形となる。
- 平日昼間は京王線新宿~高尾山口間の運転となる(20分間隔)。
- 平日の夕方・夜間は京王線新宿~京王八王子の運転(10分間隔)。
- 休日は京王線新宿~京王八王子間の列車と、京王線新宿~北野間(北野~高尾山口間を各駅停車として直通運行)の列車が10分間隔で交互に運転される。
- 2006年9月改定までの日中の高尾山口までの下り所要時間は、シーズンダイヤ時を除き47分であったが、実際には夜間に、時刻表上45~46分で結ぶ列車(高尾での停車時間が短くなる)も設定されていた。上り高尾系統の列車は高尾に加えて北野での停車時間も長い。これは北野駅で八王子系統との同時進入が出来ず、先に到着して待ち合わせる形となるため。
- 全列車10両編成にて運転される。
[編集] 急行(Express)
相模原線方面へ直通する急行は、分岐駅の調布でその性格を変える。同駅で特急もしくは準特急に接続することにより相模原線内では新宿に向かう最速達ルートの一部となるが、京王線内(新宿~調布間)では特急・準特急の停車しない主要駅を対象とした速達列車となる。通勤急行の種別があった1992年まではつつじヶ丘を通過していた。
- 京王新線内は、各駅に停車。
- 朝間は主に京王線新宿~京王八王子・高尾山口間で運転されるが、都営新宿線に直通する列車もある。
- 昼間は都営新宿線に乗り入れ、本八幡~橋本間の運転となる。新宿線内も急行運転。なお調布で後続の新宿~京王八王子間の特急もしくは準特急と相互接続をとり、相模原線への速達化を行っている。
- 平日17時から下り19時半・上り20時半頃までは、以下の2系統が交互に運転される。
- 京王線新宿~橋本間
- 都営新宿線内各駅停車・新線新宿~橋本間急行
- 夜間は以下の2系統が交互に運転される。
- 京王線新宿~橋本間
- 本八幡~調布間快速・調布~橋本間急行。調布で種別・行先の表示を変更する。
- 深夜は京王線新宿駅~京王八王子駅間の運転となる。終電近くの下り急行は新宿発の高幡不動行の表示で、そこから各駅停車の京王八王子行に表示が変わるものがある。
- 2001年3月までは昼間でも京王線新宿~高尾山口間で夕方ラッシュ時を除き運行されていた。この系統は2001年3月の改正で準特急に格上げされた。
- 元日の終夜運転で高尾山口行きの急行電車「迎光」が設定されている。そのうち1本は都営新宿線からの電車で新宿線内は各駅に停車する。
- 10両編成または8両編成での運転。
- 2006年9月のダイヤ改定より、昼夜間の都営新宿線直通電車は10両編成となったため、10両編成での運転時間帯が拡大した。それまでは京王線新宿発着の電車(一部除く)が10両、都営新宿線直通電車は8両での運転だった。
- 1992年のダイヤ改正でつつじヶ丘が停車駅に加わる。
[編集] 通勤快速(Commuter Rapid)
2001年のダイヤ改正までの快速との違いは下高井戸を通過するだけの違いであった。平日の朝ラッシュ時に京王線系統と都営新宿線~相模原線系統で、平日深夜には新宿→橋本で数本運転される。2006年現在では新宿~分倍河原間は急行と同じ、その他は各駅に停車する。
- 京王新線開通までは笹塚を通過していた。
- 平日の朝ラッシュ時と深夜帯での運転のため、殆ど10両編成での運転だが、都営車はすべて8両である。
- 停車駅は
- 新宿-笹塚-明大前-桜上水-千歳烏山-つつじヶ丘-調布-東府中-(以西は各駅に停車)
- 高尾線・相模原線など他線の停車駅は、各路線の記事を参照のこと
- 新宿-笹塚-明大前-桜上水-千歳烏山-つつじヶ丘-調布-東府中-(以西は各駅に停車)
[編集] 快速(Rapid)
通勤快速より3駅停車駅が多い。2001年のダイヤ改正から、各駅停車減便の代償として八幡山と仙川を停車駅に加えた。相模原線系統の快速は、本線では急行と対を成し、各駅に停車する相模原線では急行を補完する列車である。
- 昼間は京王線新宿~橋本間の運転。相模原線急行通過駅からの速達化を計るため、調布で準特急と相互接続を行う。
- 通勤快速および都営線内各駅停車の急行が運転される時間帯は運転されない。
- 休日夜間は都営新宿線に直通し、本八幡~橋本間の運転となる。60km近くの長距離を走るが全区間で通過するのは6駅である。それでも大半の列車はつつじヶ丘で各停を追い越す(詳しい停車駅は後述)。
- 平日夜間は都営新宿線に直通し、本八幡~調布駅の運転となるが、調布~橋本は同じ車両で急行に種別変更する。
- なお、都営新宿線直通本八幡方面の快速は新宿線内各駅に停車するため、新線新宿到着時に「各駅停車」に種別を変更する。(京王車と都営車の10-300系電車は「各停」と表示、都営車の10-000系電車は「快速」表示を消して無表示になる。)
- 京王線系統の列車が土曜・休日の朝間に運転されている。平日は早朝の上りが1本が運転される。
- 急行に追い抜かされる快速があり、2003年の改定までは通勤快速に抜かれる快速も設定されていた。準特急にも抜かれることがある。このような場合、所要時間は各駅停車とほぼ同じである。
- 例えば平日2804レ(16:41橋本発快速本八幡行)は、京王多摩センターで急行に抜かれ、さらに八幡山で特急に抜かれるため、走行する時間帯が違うため単純な比較はできないが、橋本~桜上水間で一切待ち合わせをしない各駅停車より5分程度時間がかかる。
- 基本的に都営新宿線直通の電車は10両編成、京王線新宿発着の電車は8両編成での運行であるが、深夜の時間帯は都営新宿線直通の電車は東京都交通局の電車を使用するため8両編成、京王線新宿行きの電車は新宿で折り返し下りの通勤快速に運用されるため10両編成での運行である。
[編集] 各駅停車(Local)
各駅停車を名乗るものの、京王線新宿に発着する列車は、初台、幡ヶ谷はホームがないため通過する。
京王線の各駅停車が車両に「各停」の種別を表示するようになったのは2001年初頭からであり、それまでは種別表示器は黄色無地、LED式の場合は正面非表示、側面は終着駅名表示のみであった。2001年3月のダイヤ改正まで表示は「普通」だったが、案内放送では以前から「各駅停車」である。
- 平日昼間と土休日は京王線新宿~京王八王子間の列車と京王線新宿~高尾山口間の列車を交互に運転。平日ダイヤでは高尾山口発着列車に接続する北野~京王八王子間の列車が加わる。
- ラッシュ時や深夜には桜上水、つつじヶ丘、府中、高幡不動発着の列車も運転される。
- 早朝・深夜には新線新宿発着となる。
- 都営新宿線からの直通列車は大半が笹塚発着であるが、平日夕方と深夜はつつじヶ丘発着の列車が、朝と深夜には桜上水発着の列車もある。
- 朝ラッシュ時は10両編成で運転されることもあるが、基本的には京王線新宿に発着する列車は8両編成、その他支線(相模原線・高尾線)のみ運転するいわゆる"区間各停"は6両または4両にて運転されていた(末期は日中は高尾線各停が高幡不動発着であったため京王線内も6連で運行。また、2005年3月改定までは土休日に6000系7連があった。6000系の項を参照)。相模原線は2006年9月改定で日中は都営車の8両に変更した。系統再編などにより、平日の競馬場線(2連)と動物園線(4連)を除き大部分が8連以上となった。
[編集] 過去の列車種別
[編集] 通勤急行
平日朝の上り列車のみ運転していた。京王新線の開通により通勤急行が通勤快速とともに笹塚に停車するようになってからは、急行と通勤急行の違いは、つつじヶ丘に停車するか通過するかだけであった。1992年に急行のつつじヶ丘停車により統合され、消滅した。
[編集] 特急(相模原線系統・通称「橋本特急」)
1992年5月から2001年3月27日までの間は相模原線系統の特急も運転されていた。新宿~橋本を速達で結ぶため、途中停車駅は明大前、調布、京王多摩センターと少なく、調布での各停への接続廃止後は相模原線の大半の駅では利用出来なくなり、また、新宿~調布間で急行(平日の夕方は通勤快速)の後追いとなり本線系統の特急より到達時間がかかることもあって、2001年3月のダイヤ改正で停車駅を見なおし急行に格下げし、調布で本線系統の特急または準特急と接続するダイヤを最速とする形に修正し廃止した。
登場時は主に本線系統の優等列車を8000系として区別するため6000系を中心とした運用だったが、1995年に8000系の8両編成(8020系)が登場した後には8020系を中心とした。末期には登場したばかりの9000系も運用に就いていた。
[編集] 女性専用車
いずれも10両編成の車両に限られる。
- 平日朝7:30~9:30に新宿駅・新線新宿駅に到着する上り準特急・急行・通勤快速の進行方向先頭車両(実施区間は全区間)
- 新線新宿駅に到着する電車は都営新宿線内も女性専用車となる。
- 平日夕方・夜18:00~22:40に新宿駅を発車する下り準特急の進行方向最後尾車両(実施区間は新宿~調布)
- 平日夜22:50以降に新宿駅を発車する下り急行・通勤快速・快速の進行方向最後尾車両(実施区間は新宿~調布)
なお、都営新宿線では朝ラッシュ時に新宿方面のすべての電車の先頭車両が女性専用車となるが、新線新宿から先の下り京王新線・京王線内は女性専用車の設定が解除される。
[編集] 駅一覧
- 各駅停車は表記されているすべての駅に停車するため省略。
- ◇印はイベント開催による臨時停車。
駅名 | 駅間 キロ |
累計 キロ |
快速 | 通勤快速 | 急行 | 準特急 | 特急 | 接続路線 | 所在地 | ||
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新宿駅 | - | 0.0 | ● | ● | ● | ● | ● | 東日本旅客鉄道:中央線(快速)、中央・総武線(各駅停車)、山手線、埼京線、湘南新宿ライン 小田急電鉄:小田原線 東京地下鉄:○丸ノ内線(M-08) 都営地下鉄:○新宿線(S-01)、○大江戸線(E-27、新宿西口駅:E-01) |
東京都 新宿区 |
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この間の初台駅と幡ヶ谷駅は、京王新線にのみホームがある。 | |||||||||||
笹塚駅 | 3.6 | 3.6 | ● | ● | ● | | | | | 京王電鉄:京王新線(一部列車直通) | 東京都 | 渋谷区 | |
代田橋駅 | 0.8 | 4.4 | | | | | | | | | | | 世田谷区 | |||
明大前駅 | 0.8 | 5.2 | ● | ● | ● | ● | ● | 京王電鉄:井の頭線 | |||
下高井戸駅 | 0.9 | 6.1 | ● | | | | | | | | | 東京急行電鉄:世田谷線 | |||
桜上水駅 | 0.9 | 7.0 | ● | ● | ● | | | | | ||||
上北沢駅 | 0.8 | 7.8 | | | | | | | | | | | ||||
八幡山駅 | 0.6 | 8.4 | ● | | | | | | | | | 杉並区 | |||
芦花公園駅 | 0.7 | 9.1 | | | | | | | | | | | 世田谷区 | |||
千歳烏山駅 | 0.8 | 9.9 | ● | ● | ● | | | | | ||||
仙川駅 | 1.6 | 11.5 | ● | | | | | | | | | 調布市 | |||
つつじヶ丘駅 | 1.0 | 12.5 | ● | ● | ● | | | | | ||||
柴崎駅 | 0.8 | 13.3 | | | | | | | | | | | ||||
国領駅 | 0.9 | 14.2 | | | | | | | | | | | ||||
布田駅 | 0.7 | 14.9 | ◇ | | | ◇ | ◇ | ◇ | ||||
調布駅 | 0.6 | 15.5 | ● | ● | ● | ● | ● | 京王電鉄:相模原線(一部列車直通) | |||
西調布駅 | 1.5 | 17.0 | | | | | | | | | | | ||||
飛田給駅 | 0.7 | 17.7 | ◇ | | | ◇ | ◇ | ◇ | ||||
武蔵野台駅 | 1.1 | 18.8 | | | | | | | | | | | 西武鉄道:多摩川線(白糸台駅) | 府中市 | ||
多磨霊園駅 | 0.8 | 19.6 | | | | | | | | | | | ||||
東府中駅 | 0.8 | 20.4 | ● | ● | ● | ◇ | ◇ | 京王電鉄:競馬場線(一部列車直通) | |||
府中駅 | 1.5 | 21.9 | ● | ● | ● | ● | ● | ||||
分倍河原駅 | 1.2 | 23.1 | ● | ● | ● | ● | | | 東日本旅客鉄道:南武線 | |||
中河原駅 | 1.6 | 24.7 | ● | ● | | | ◇ | | | ||||
聖蹟桜ヶ丘駅 | 1.6 | 26.3 | ● | ● | ● | ● | ● | 多摩市 | |||
百草園駅 | 1.7 | 28.0 | ● | ● | | | ◇ | | | 日野市 | |||
高幡不動駅 | 1.7 | 29.7 | ● | ● | ● | ● | ● | 京王電鉄:動物園線(一部列車直通) 多摩都市モノレール:多摩都市モノレール線 |
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南平駅 | 2.4 | 32.1 | ● | ● | | | | | | | ||||
平山城址公園駅 | 1.3 | 33.4 | ● | ● | | | | | | | ||||
長沼駅 | 1.5 | 34.9 | ● | ● | | | | | | | 八王子市 | |||
北野駅 | 1.2 | 36.1 | ● | ● | ● | ● | | | 京王電鉄:高尾線(一部列車直通) | |||
京王八王子駅 | 1.8 | 37.9 | ● | ● | ● | ● | ● | 東日本旅客鉄道:中央線(快速)、横浜線、八高線(すべて八王子駅) |
なお、かつて、新宿駅付近~幡ヶ谷駅間には、京王新宿駅、省線新宿駅前駅、葵橋駅、新町駅、天神橋駅、西参道駅、幡代小学校前駅、幡代駅が存在したが廃止された。各駅の情報は、京王線の新宿駅付近の廃駅を参照。
◇印の臨時停車の解説
- 布田駅:調布市花火大会開催日に、開催時間に合わせて臨時停車(京王相模原線の京王多摩川駅でも実施)。
- 飛田給駅:味の素スタジアムにて、Jリーグ、コンサート等の大イベント開催日に、開催時間に合わせて臨時停車。
- 東府中駅:東京競馬場にて、競馬開催、場外発売が行われる日に、あらかじめ設定されたダイヤで臨時停車。同駅にて府中競馬正門前行き電車に接続。
- 中河原駅:せいせき多摩川花火大会開催日に、開催時間に合わせて臨時停車。
- 百草園駅:百草園にて、梅祭り開催日の土曜・休日の日中に、臨時停車。悪天候時は臨時停車を見合わせることがある。
[編集] 新宿~調布間の連続立体交差化事業および複々線化計画
京王線の新宿~調布間は相模原線からの直通電車が多いため、朝夕の混雑が非常に激しく、またいわゆる開かずの踏切が多く存在し、沿線の交通事情を悪化させている。抜本的な対策としては同区間の連続立体交差化を行う必要がある。
新宿~笹塚間は京王新線として事業が完了しており、現在は柴崎~調布~西調布間ならびに、調布~京王多摩川(相模原線)間の地下化工事が進められている(2012年に完了予定)。この工事により国領・布田・調布の3駅が地下駅となり、加えて調布駅が2層式ホームになり、相模原線との平面交差が解消され、慢性的な遅延の緩和が期待される。
調布~つつじヶ丘間は地下を利用した複々線計画が検討されている。また八幡山駅周辺は交通量の多い環状八号線が通っており、早めに高架化が行われた。その際に待避線を増設したため、八幡山駅構内のみ事実上複々線化工事は完了している(かつては上り本線にもホームがあったが撤去された)。この待避線を利用して八幡山駅は平日朝夕ラッシュ時には各駅停車や快速が通過待ちをする。
なお国土交通省は笹塚~調布間の複々線化について「今後整備について検討すべき路線(沿線の開発プロジェクトの進捗状況、輸送需要動向、投資能力などを踏まえつつ、整備の必要性、整備方策などについて検討すべき路線 )」と位置付けている。具体的な課題としては工事に必要な用地取得の問題、工事にかかる資金調達による経営上のリスク、沿線の人口減による将来の鉄道収入減少への懸念などがある。
[編集] 放送機器
京王全線のうち、約半数の駅で列車が接近する時に接近メロディが流れる。メロディが流れるのは分倍河原駅以外は各駅停車のみ、もしくは各駅停車と快速(下高井戸駅・八幡山駅・仙川駅以外は通勤快速も含む)のみが停車する駅である。上りが「牧場の朝」、下りが「野ばら」である。大まかに分けて急行停車駅と飛田給駅・八幡山駅と通過駅(実際の区分は運行管理システムと連動するかしないか)でメロディーが異なる。その他、相模原線のみだが、一時期「アマリリス」も使用されていた。近年機器更新で廃止になった駅が非連動駅(通過駅タイプ使用)を中心に多いが、井の頭線を含めて新タイプの導入も進んでいる。余談であるが、非連動駅タイプの「牧場の朝」は八高線の箱根ヶ崎駅でも使用されているほか、「野ばら」も宇都宮線黒磯駅などで使用されていたものと同一である。しかし、最近では通過駅でも井の頭線で使われているタイプのものに更新され、「牧場の朝」や「野ばら」が流れるところが珍しくなった。
また、一部駅を除いて、駅構内の放送は大原さやか、関根正明らによるアナウンスが使用されている。基本的に下りホームが関根、上りホームが大原だが、調布駅(京王線と相模原線)、笹塚駅(京王線と京王新線)などのように同一ホームで行き先が違う電車が発車する場合は誤乗を防ぐためにアナウンスの声を分けている場合もある。