あしたのジョー
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『あしたのジョー』 は、高森朝雄(梶原一騎)原作、ちばてつや画によるボクシングをテーマにした漫画である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 概要
講談社の週刊少年マガジンに、1968年1月1日号(発売日は1967年12月15日)から1973年5月13日号にかけて連載された。
『巨人の星』と並んで、梶原一騎のスポ根劇画の最高傑作として評価されており、現在においても日本漫画を代表する作品の一つである。連載中の社会的反響は凄まじく、ジョーのライバルである力石徹が死んだ時には寺山修司によって実際に葬儀が行われ、よど号ハイジャック事件では、ハイジャック犯が「われわれは明日のジョーである」(原文ママ)と声明を残したことでも知られる。
[編集] ストーリー
東京のとあるドヤ街に、ふらりと一人の少年が現われた。矢吹丈(ジョー)と名乗るその少年に一方的に叩きのめされたアル中の元ボクサー・丹下段平は、その動きから天性のボクシングセンスを見出し、一流のボクサーに仕立て上げんと奮闘する。しかしジョーは、ドヤ街の子供たちを引き連れて乱行を繰り広げた挙句、自分に向けられる段平の情熱を利用して犯罪に手を染め、少年院へと送られてしまった。
ある日、少年鑑別所のジョー宛てに、「あしたのために」の書き出しで始まる段平からの葉書が届く。その内容は、左ジャブの打ち方から始まるボクシング技術の講義であった。時間と体力を持て余していたジョーは、そのアドバイスに従ってボクシングの練習に身を入れるようになり、やがて自分のパンチの切れが、今までと比べ物にならないほど向上してゆくのを実感する。野菊島の東光特等少年院にて、終生のライバル・力石徹との宿命の出会いを経て、ジョーは本格的にボクシングの道へと足を踏み入れることとなった。
[編集] 登場人物
あしたのジョーの登場人物を参照。
[編集] TVアニメ
[編集] あしたのジョー
- 1970年4月1日~1971年9月29日、毎週水曜19時~19時30分、フジテレビ系放映(全79話)
- チーフ・ディレクター:出﨑統
- 演出:崎枕、吉川惣司、富野喜幸、石黒昇、波多正美、斉藤博、平田敏夫、西牧秀雄、石山英児、北島教夫、棚橋一徳、本田元男、北野英明、瀬山義文、林政行
- 脚本:雪室俊一、山崎忠昭、伊東恒久、田村多津夫、宮田雪、小林幸、松岡清治、山崎晴哉
- プロデューサー:富岡厚司、別所考治(フジテレビ)
- 制作担当:おおだ靖夫
- 設定:丸山正雄
- 作画監督:杉野昭夫、金山明博、荒木伸吾
- 作画:中村一夫、佐々門信芳、川尻善昭ほか
- 美術監督:明石貞一
- 美術:渡辺毅
- 背景:椋尾篁
- タイトル特殊効果:橋爪朋二
- 撮影監督:熊谷幌史
- 編集:松浦典良
- 現像:東洋現像所
- 音楽:八木正生(A・R・A)
- 効果:石田サウンドプロ(石田秀憲)
- 制作:虫プロダクション
人気は高かったが、放映中にストーリーが原作に追いついてしまい、矢吹丈VSカーロス・リベラ戦で終了している。原作の魅力に加え、初めて監督格となった出崎統の先鋭的な演出によりその名を高めた。また、矢吹丈と丹下段平の声を(元来アニメ声優ではない)あおい輝彦と藤岡重慶が担当し、そのハマリ具合の絶妙さは「彼ら以外には考えられない」と思わしめるインパクトだったため、続編や劇場版に於いても他キャラの声の配役は大幅に変更される中で、この両名だけは常に不動とされた程である。しかも、これほどの好評にも拘らず両名とも結局アニメ吹き替えは「あしたのジョー」関連(CMやゲームを含む)のみにとどまり、俳優業のキャリアを歩んだ点で共通している。なお、続編『2』ほどではないにせよ、本作にも原作にないオリジナルキャラやオリジナルストーリーが随所に挿入されている。
[編集] 声の出演
- 矢吹丈:あおい輝彦
- 丹下段平:藤岡重慶
- 力石徹:仲村秀生
- 白木葉子:西沢和子、恵比寿まさ子(34話~44話を代役)
- マンモス西(西寛一):西尾徳
- 林紀子:小沢かおる
- サチ:白石冬美
- キノコ:牛崎敬子
- 太郎:増岡弘
- ヒョロ松:肝付兼太(話数により嶋俊介)
- トン吉:八奈見乗児
- カーロス・リベラ:広川太一郎
- ウルフ金串:加藤修(話数により今西正男)
- 白木幹之介:和田啓
- ハリー・ロバート:桑原たけし
- ゴロマキ権藤:大塚周夫
- タイガー尾崎:飯塚昭三
- 大高会長:大宮悌二
- 国友会長:雨森雅司
- 兵頭会長:北村弘一
- 小野会長:宮内幸平
- 林敬七(紀子の父):和久井節緒
- 林玉子(紀子の母):阿部光子
- 稲葉(ドサ回りボクサー):小林清志
- 草拳闘プロモーター河野:野本礼三
- 青山まもる:小宮山清
- ガイコツ:城山堅
- トンネル:細井重之(話数により西山連、野本礼三、飯塚昭三)
- ゲリラ:飯塚昭三
- 笑い屋:原田一夫
- 池内(東光特等少年院の教官):風祭修一(話数により村松康雄)
- ドクター大井川豪平:大木民夫
- ヘンリー・ジェイムズ(プロモーター):家弓家正
- パンチョ・レオ:立壁和也
- シャーク(ドサ回りボクサー):納谷六朗
- ハリケーン(ドサ回りボクサー):中江真司(話数により北村弘一、安田隆)
- ベア(ドサ回りボクサー):阪脩(話数により安田隆)
- プロテスト候補生・稲垣正太:田中信夫
- 原島龍(バンタム級1位):井上弦太郎
- 南郷満(バンタム級2位):木原規之(話数により安田隆)※原作では南郷浩二
- 家庭裁判所の裁判長:永井一郎
- 日本ボクシング協会コミッショナー:塩見竜介
- ユリ(桧山牧場の娘):野沢雅子
- 平田(鬼姫会幹部):渡部猛
- 権太:槐柳二
- 吉沢:徳丸完
- Missオカマ:田の中勇
- おかみさん(林屋の常連客):京田尚子
- チビ:麻生みつ子
- 幼い頃のジョー:牛崎敬子
[編集] 主題歌
- OP:「あしたのジョー」(作詞:寺山修司 作曲:八木正生 歌:尾藤イサオ)
- ED(~40話):「ジョーの子守唄」(作詞:梶原一騎 作曲:八木正生 歌:小池朝雄)
- ED(41話~):「力石徹のテーマ」(作詞:寺山修司 作曲:八木正生 歌:ヒデ夕木)
[編集] 作品リスト
- あれが野獣の眼だ!
- 四角いジャングルに生きろ
- けものよ牙をむけ!
- 熱きこぶしに涙を流せ!
- あしたのために-その1-
- 燃えろ! 左ジャブ!
- 狼を裁くな!
- 東光特等少年院
- 奴の名は力石徹!
- 赤い夕陽に吠えろ!
- 地獄の底で燃えろ!
- 燃える太陽に叫べ
- 宿命のリングに立て
- KOゴングはまだか!
- 白いマットの子守唄
- 裏切りの落日
- 嵐の中に一人
- 悲しきリングロープ
- 恐怖のレバーブロー
- 傷だらけの勝利
- 栄光ある小さな勝負
- まぼろしの力石徹
- あばよ少年院
- 帰ってきたドヤ街
- 野良犬の掟
- 絶望のライセンス
- 明日に架ける橋
- 栄光への賭け
- 明日への挑戦
- 試練のプロテスト
- 翔けプロボクサー
- 輝くリングへの道
- 初勝利バンザイ
- ボクサー志願
- ガンバレ! 西
- 牙をむくウルフ金串
- 怒りの大特訓
- 史上最大の六回戦
- 勝利のトリプルクロス
- 白銀に誓う
- 力石徹の挑戦
- 男の世界
- 残酷な減量
- 苦闘! 力石徹
- 打倒! 力石へのスウェイバック
- 死を賭けた男
- 嵐の前のふたり
- 宿命の対決
- 果てしなき死闘
- 闘いの終わり
- 燃えつきた命
- さらば力石徹
- 憎いあんちくしょう
- 悲しみの十点鐘
- さすらいのバラード
- よみがえる狼
- 傷ついた野獣
- 勝利のボディブロー
- しのびよる黒い影
- 激闘のスパーリング
- 投げられたタオル
- 生きていた力石徹
- 最後の挑戦
- カーロス登場
- リングある限り
- 明日への旅立ち
- 小さな冒険旅行
- 仕組まれた八百長
- 牧場の子守唄
- 気になるあいつ
- 無冠の帝王カーロス
- 帰えれ、輝くリングへ
- よみがえるクロスカウンター
- 今日からの出発
- リングの魔術師カーロス
- 燃える挑戦状
- 男の闘い
- 死闘カーロス対矢吹丈
- 燃えろ 遠く輝ける明日よ!!
[編集] あしたのジョー2
- 1980年10月13日~1981年8月31日、毎週月曜日19時~19時30分、日本テレビ系放映(全47話)
- 企画:吉川斌(日本テレビ)、川野泰彦
- プロデューサー:高橋靖二(日本テレビ)、加藤俊三
- チーフ・ディレクター:出﨑統
- ディレクター:竹内啓雄、大賀俊二
- キャラクターデザイン/作画監督:杉野昭夫
- 脚本:篠崎好、高屋敷英夫、山崎春哉、大和屋竺、善福次郎
- 美術監督:男鹿和雄
- 音楽:荒木一郎、(選曲:鈴木清司)
- テクニカルアドバイザー:高山将孝
- 制作:東京ムービー新社
前作の続編だが、下記の再編集劇場版の続きという位置付けのためストーリーは力石との対戦後から始まり、カーロス戦までは事実上のリメイクとなっている。但し、旧作や原作にあった、矢吹丈がドサ回りのボクサーになり、そこから這い上がるストーリーは省略されている。又、原作に無いオリジナルストーリーがふんだんに盛り込まれ、オリジナルキャラクター(須賀清など)も多数登場させている。特に終盤のテレビ関東によるレオン・スマイリーとのマッチメイクやホセとカロルド・ゴメスによるWBA・WBC統一チャンプ戦のくだり等は些かやり過ぎと原作や旧作のファンに眉を顰める者も少なくなかった。因みに殆どの話数で絵コンテを担当しているさきまくらは出崎統その人である。尚、サブタイトルには第4話と第33話を除く残り全てに「…」が挿入されている。
[編集] 声の出演
- 矢吹丈:あおい輝彦
- 丹下段平:藤岡重慶
- 白木葉子:田中エミ
- カーロス・リベラ:中尾隆聖
- 金竜飛:若本紀昭
- ホセ・メンドーサ:宮村義人
- 力石徹:仲村秀生
- 林紀子:森脇恵
- 西寛一(マンモス西):だるま二郎
- サチ:白石冬美
- キノコ:堀絢子
- 太郎:鈴木清信
- チュー吉:つかせのりこ
- トン吉:丸山裕子
- 須賀清(情報屋):堀勝之祐
- 白木幹之介:大木民夫
- ハリー・ロバート:池水通洋
- 玄曹達(金竜飛のセコンド):寺島幹夫
- ゴロマキ権藤:渡部猛
- ウルフ金串:納谷六朗
- ハリマオ:田口昂
- 大高会長:加藤修
- 国友会長:田中康郎
- 木村会長:飯塚昭三
- 金竜飛(幼少時):小宮和枝
- 塩谷ジュン(ウルフのフィアンセ):横沢啓子
- 塩谷会長:峰恵研
- 塩谷ジロー(ジュンの弟):塩屋翼
- 林屋の主人:矢田稔
- 林屋のおかみ:斉藤昌
- タイガー尾崎:石丸博也
- チコ・スティンボード:古川登志夫
- 青山:千葉繁
- ガイコツ:沢りつお
- 南郷浩二(バンタム級2位):仲木隆司
- Dr.キニスキー:マイク・バーロー
- カバレロ(ホセのセコンド):池田史比古
- ホセの妻:尾崎桂子
- 大橋(テレビ関東の運動部長):平林尚三
- チンピラ辰(権藤の手下):笹岡繁蔵
- チンピラ吉(権藤の手下):長堀芳夫
- チンピラ留(権藤の手下):小滝進
- 鈴木会長:緑川稔
- 松木(葉子の秘書):鈴置洋孝
- 東野(試合解説):水鳥鉄夫
- 実況アナウンサー:小比類巻孝一
[編集] 主題歌
- OP1(~25話):「傷だらけの栄光」(作詞・作曲:荒木一郎 編曲:後藤次利 歌:おぼたけし)
- OP2(26話~):「MIDNIGHT BLUES」(作詞・作曲:荒木一郎 編曲:チト河内 歌:荒木一郎)
- ED1(~25話):「果てしなき闇の彼方に」(作詞・作曲:荒木一郎 編曲:後藤次利 歌:おぼたけし)
- ED2(26話~):「果てしなき闇の彼方に」(作詞・作曲:荒木一郎 編曲:チト河内 歌:荒木一郎)
[編集] 作品リスト
- そして、帰ってきた…
- 男一匹花一輪…リングに賭けた
- 地獄からの使者…矢吹丈
- その時、十点鐘は鳴った
- 幻の…あのテンプルを撃て!
- 吠えろ…かませ犬
- さまよえる…野獣のように
- あいつが…燃える男カーロス
- そして…野獣は甦った
- クリスマスイブ…その贈り物は
- 死闘の始まり…カーロスVSジョー
- 吹雪の夜…その果しなき戦い
- 丹下ジムは…不滅です
- どこにある…ジョーの青春
- 誰のために…必殺ラッシュ
- 遠い照準か…世界への道
- 姿を見せた…大いなる標的
- あのナックルが…烙印のメッセージ
- 戦うコンピューター…金竜飛
- 俺のバンタム…減量への挑戦
- 力石の…唄が聞こえる
- そして…計量の朝
- 燃える野獣と…氷
- ゴングが鳴った…悪魔のリング
- 第6ラウンド…奇跡が起った
- チャンピオン…そして、敗者の栄光
- ボクシング…その鎮魂歌
- ホセがいる…ハワイへ
- 初防衛なるか…矢吹丈
- 偉大なるチャンピオン…ホセ
- Vサイン…その意味するものは
- さらば…古き愛しきものたち
- アメリカから来た13人目のキング!?
- カードと共に散った…あいつ
- チャンピオンは…ひとり
- 葉子…新たなる企て
- 野性児その名は…ハリマオ
- 意外な訪問者…ゴロマキ権藤
- ジャングルに…野獣が二匹
- 燃えろジョー…標的が近い
- ホセ来日…闘いの日はせまった!
- 衝撃…葉子の予感
- ジョー・段平…二人の日々
- 葉子…その愛
- ホセ対ジョー…闘いのゴングが鳴った
- 凄絶…果てしなき死闘
- 青春はいま…燃えつきた
[編集] 劇場版アニメ
[編集] あしたのジョー
- 1980年3月8日公開
- 監督:福田陽一郎
- 製作:三協映画、富士映画、ヘラルドエンタープライズ
- 配給:日本ヘラルド
- 1970年のテレビアニメを力石戦まで再編集した劇場版。力石や葉子など一部のキャストを変更している。
[編集] 声の出演
[編集] 主題歌
- 主題歌:「美しき狼たち」(作詞:たかたかし 作曲:鈴木邦彦 歌:おぼたけし)
- 挿入歌:「K・O(ノック・アウト)」(作詞:村上龍 作曲:ジョー山中 歌:清水保男)
- 挿入歌:「グッバイ・ジョー」(作詞:梶原一騎 作曲:平尾昌晃 歌:スザンナ・スー)
[編集] あしたのジョー2
- 1981年7月18日公開
- 製作総指揮:梶原一騎
- 脚本・監督:出崎統
- 製作:三協映画、ヘラルドエンタープライズ、富士映画、ちば企画
- 配給:ヘラルドエンタープライズ
- 前作映画の続編で、全体としてはテレビシリーズ『あしたのジョー2』の再編集。ただし、終盤はテレビシリーズと同時進行で別に描き起こされたものである。
[編集] 声の出演
[編集] 主題歌
- 主題歌:「あしたのジョー2のテーマ~明日への叫び~」(作詞・作曲・歌:ジョー山中)
- 挿入歌:「青春の終章(ピリオド)~JOE…FOREVER~」(作詞・作曲・歌:ジョー山中)
[編集] 実写映画
[編集] あしたのジョー
- 1970年7月22日公開
[編集] 出演
- 主題歌「あしたの俺は」石橋正次
[編集] スタッフ
- 監督:長谷部安春
- 製作:望月利雄、守田康司
- 脚本:馬場当
- 企画:高木豊、桧明哉
- 撮影:上田宗男
- 音楽:渡辺岳夫
- 美術:佐谷晃能
- 編集:鈴木晄
- 録音:片桐登司美
- スクリプター:浮石晴
- 照明:森年男
[編集] 舞台
- 1971年6月3日~26日、東横ホール上演
[編集] 出演
- 矢吹丈:石橋正次
- 丹下段平:郡司良
- 力石徹:亀石征一郎
[編集] ビデオゲーム
- あしたのジョー(1989年 タイトー/WAVE AC作品)
- あしたのジョー伝説(1991年 SNK/WAVE ネオジオ作品)
- あしたのジョー(1992年 ケイ・アミューズメントリース SFC作品)
- あしたのジョー闘打 ~タイピング泪橋~(2000年 SSI tristar Windows作品)
- ボクシングマニア あしたのジョー(2001年 コナミ AC作品)
- あしたのジョー ~まっ白に燃え尽きろ!~(2003年 コナミ PS2作品)
- あしたのジョー ~まっ赤に燃え上がれ~(2003年 コナミ GBA作品)
[編集] エピソード
[編集] 漫画
- 本作において、梶原一騎は「高森朝雄」とペンネームを変えて原作を手がけている。これは、梶原一騎の名前を用いると「巨人の星のような『熱血』スポ根もの作品である」という先入観を持たれかねない、と危惧したためであるという。ちなみに高森朝雄というペンネームは、梶原の本名・高森朝樹に由来している。
- 当時の梶原は、原作の改変を激しく嫌うことで有名だった。それを知ってか知らずか、ちばてつやは本作の作画を引き受けるにあたり、「時と場合に応じて、こちらの方で原作に手を加えさせてくれ」と注文をつけた。担当編集者がおそるおそる梶原にその旨を伝えたところ、「手塚治虫とちばてつやは別格だ、いいでしょう」と快諾した。だが連載第一回目、ちばはいきなり「話の導入部がわかりづらい」と梶原の用意した原稿を丸々ボツにし、自ら新たに第一話のストーリーを作り上げた。「好きに手を加えてくれ」と言った梶原もさすがにこれには激怒し、連載を止めるとまで言い出して大騒ぎになった(これについては編集者が梶原を説得し、最終的には事なきを得ている)。
- 本作で最も有名な力石徹の減量エピソードは、ちばと梶原の設定確認の行き違いによって生まれたものである。ジョーと力石の初対面シーン、渡された原稿の一文を自分なりに解釈したちばは、力石をジョーより頭一つ分大きな体格に描いてしまった。発行された誌面を見てそれを知った梶原は、後に話の辻褄を合わせるため、力石に過度の減量を強いたのである。
- ジョーと力石の出会いのシーンは、ジョーが豚の大群に乗って少年院を脱走しようとしたところに力石が立ちはだかり、暴走する豚を片っ端から殴り倒してジョーの脱走を阻止するというものだった。しかし、実際の豚は人間のパンチ程度ではビクともしないほど頑丈であり、空手家の石井和義が若かりし頃、修行と称してバイト先の養豚場の豚に挑んだが、正拳突きを何発も頭部に直撃させたにも関わらず、豚は平然と餌を食べ続けていたという。
- 連載当時、力石が試合中に死亡したのを受け、寺山修司の呼びかけで力石の葬儀が行われた。当時のこの作品に対する注目度がいかに高かったかを示すエピソードだが、葬儀自体はアニメ版の主題歌を歌っていた尾藤イサオがライブ形式で歌いだす等、プロモーション的な要素が強かったようである。
- ボクサーとしての力石は、ファイティング原田をモデルにして作られた。原田と同じくバンタム級のボクサーであり、また過度の減量に苦しんだ点などからそれが窺える(力石だけでなく、後に成長し身長が伸びたジョーも、減量の必要に迫られていた)。
- 梶原が最初に作った本作の最終回は、「ホセ・メンドーサに判定で敗れたジョーに、段平が『お前は試合では負けたが、ケンカには勝ったんだ』と労いの言葉をかける。ラストシーン、白木邸で静かに余生を送るジョーと、それを見守る葉子の姿」というものだった。だが、その原稿を手渡されたちばは、「今まで死ぬ思いでボクシングをやってきたのに、最後の最後で『ケンカに勝った』はないだろう!」と猛反発し、「結末は自分が作る!」と梶原にねじ込んだ。連載を何本も抱えて多忙なスケジュールに追われ、ジョーの原作すら滞りがちだった(実際、連載後期はほとんどちばがストーリーを考えていたという)梶原は、あっさりとこれを承諾。
- 「真っ白に燃え尽きた」ラストシーンは、以上のような事情によりちばが独自に創作したもの。ラストをどうすべきか考えていた際、「あしたのジョー」を最初から読み返していた当時の担当編集者が、ジョーが紀子に「(ボクシングを終えた後は)真っ白な灰になる」と語るシーン(橋の上でボクシングについて語り、紀子に「ついていけない」と事実上見捨てられる所)を見つけ、これをラストとして採用した。
- 連載終了後しばらく、ちばはジョーの絵が全く描けなくなったという。また後年、「今でもたまにジョーや力石のイラストを描くが、あの頃の迫力には全く及ばない」とも語っており、当時のちばがいかにジョーの連載に心血を注いでいたかが窺える。
- 本作のヒットにより、国内のボクシング人気は爆発的に高まった。だが「過度の減量は当たり前、むしろ美徳ですらある」という歪んだ風潮がボクシング界に浸透してしまったという負の面も、少なからずある。
- 『トリビアの泉』で「力石徹は作者の辻褄合わせで死んだ」というトリビアが紹介され、ちばてつやがコメントをしている。その後、ちばてつや本人はジョーが燃え尽きるラストに関して「タイトルに「明日」と着くくらいだからジョーは死んではおらず、明日も歩き出していると思う」というジョー死亡説を否定するような発言をしている。漫画評論家の夏目房之介も、ジョーの身体が次のページ方向を向いており、リングの線も同じように途切れずに向かっていることから明日があることを意味していると解説している。
- また、純粋に「ボクシング漫画」として見た場合、とてもリアリティのある作品とは言えない面も多々あった。劇中でジョーが得意としていたクロスカウンターは、相手のパンチを食らいつつそれ以上の打撃を与える「肉を斬らせて骨を断つ」技であったが、実際のクロスカウンターは、相手の攻撃をスリッピング等でかわしつつ同時に攻撃を加える、いわば「攻防一致」の高等技術である。また、「カウンターパンチは通常のパンチの2倍の威力を誇る」という理論は必ずしも間違っていないのだが、クロスカウンターは4倍の、クロスカウンターをクロスカウンターで返したダブルクロスは8倍の、それを更にクロスカウンターで返したトリプルクロスは12倍の破壊力を持つという部分は完全に梶原の創作であり、何の根拠もない。他にも、ハリマオの空中回転パンチ(物理的に不可能な動きをする)や、ホセ・メンドーサのコークスクリューブロー(実在する技術ではあるが、対戦相手を一撃で廃人に追い込むほど大ダメージを与えるものではない)など、荒唐無稽な描写は枚挙に暇がない。
- →「クロスカウンター」と「空中回転パンチ」については柳田理科雄が『空想科学漫画読本』のシリーズで検証しており、「クロスカウンター」については作品の設定した倍数になるように話を持ってきているものの、「空中回転パンチ」についてはさすがに作品どおりにはならないと結論づけている。豊福きこうは『水原勇気0勝3敗11S』(辰巳出版)でジョーと力石の体格の違いから「普通では腕の長さが違いすぎてクロスカウンターは成立しにくい」と述べ、「ジョーは普通の人と違い、胴体との比率で腕が異様に長かったのではないか」と分析。実際の絵では、力石のパンチがジョーの顔に当たったあとにジョーのパンチが力石の顔に命中しており、その時点では力石の手首あたりにジョーの顔がある。
- 但し、上記の「相手のパンチを食らいつつそれ以上の打撃を与える「肉を斬らせて骨を断つ」技」は、たこ八郎がプロボクサー時代に得意にした戦法でもあり、たこ八郎が矢吹丈のモデルとされる所以でもある。実際もたこ八郎は、力石のモデルであるファイティング原田とは、入門当時からのライバルであった。
[編集] アニメ
- TVアニメ版のオープニングテーマの「ルルル~ルルルル~」の部分は、元々、レコーディング中に歌詞を忘れてしまった尾藤イサオが、それを誤魔化すために咄嗟に口ずさんだものであった。が、それを聞いた寺山修司が「こっちのほうが良いよ」と気に入り、正式に採用されることとなった。
- というエピソードが有名だが、実は寺山はレコーディング期日までに作詞を完成させる事が出来ず、尾藤が寺山の名誉のために、あえて自分がバカになるようなエピソードを語っている…という説もある。
- TVアニメ版『あしたのジョー』の予告編は、本編と関係ない所で独自に制作されていた。そのため、本編の内容と異なる部分がかなりある。また、第51話での次回予告「さらば力石徹」は、本来第52話にあたるところを、第42話と誤植されていた。死に番号を付けられたこの52話は、偶然にも力石の死に関するエピソードの回である。
- TVアニメ版『あしたのジョー』『あしたのジョー2』は、韓国でも放映された。その際、ジョーを初めとする日本人の登場人物は皆韓国人という設定になり、原作で韓国人だった金竜飛や玄曹達はベトナム人に、金竜飛の朝鮮戦争に関するエピソードはベトナム戦争下のものに変えられていた。またちばてつやが韓国の漫画フォーラムに出向いた際に入手した、漫画海賊版における金竜飛は日本人という設定だったとのこと。
- TVアニメ版『あしたのジョー2』で力石戦のトラウマにより矢吹がリング上で嘔吐するシーンは光るゲロとして話題になり、後にいろいろなアニメ作品でパロディ化された。
- 1994年、ニッセイがテレビコマーシャルに『あしたのジョー』を起用したが、「ジョーや力石が生命保険になんか入るはずがない」というクレームが殺到し、CMは短期間で打ち切られた。
- 海外放送が行われていた為シルベスター・スタローンがロッキー (映画)の参考にしたのではともいわれている。ちなみに映画制作は1976年である。
- 細川俊之がアニメで力石の声を演じたのは劇場版のみだが、本人のネームバリューとインパクトのある声のせいか、一般的には「力石=細川」という印象が強い。例えば2001年に放映されたサントリーBOSSのCMは、あしたのジョーを読んでるサラリーマンの横で細川とあおい輝彦が力石とジョーの台詞を勝手にアフレコしているという内容で、その辺りからも細川版力石のインパクトの大きさが垣間見える。
[編集] その他
- 元プロボクシング世界王者・辰吉丈一郎の名前は、元ボクサーの父が、矢吹丈に因んで命名したものである。奇しくも辰吉もまた、ジョーと同じくバンタム級を代表する名選手であった。
- タイトーの発売したアーケードゲーム『あしたのジョー』、SNKの発売したネオジオ用ゲーム『あしたのジョー伝説』は、ともにWAVE社の開発した作品である。両方ともホセ・メンドーサを倒すとエンディングを迎えるが、タイトー版は白木葉子との結婚式、SNK版は夕陽をバックにしたジョーのランニングシーンという、原作とは完全に異なる結末となっている。
- 「トリビアの泉」2006年9月27日(最終回)で矢吹丈がレギュラー最後の影ナレも務めた。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
フジテレビ系 水曜19:00枠 | ||
---|---|---|
前番組 | あしたのジョー | 次番組 |
夜のゴールデンショー | 国松さまのお通りだい |
日本テレビ系 月曜19:00枠 | ||
---|---|---|
前番組 | あしたのジョー2 | 次番組 |
ルパン三世 (TV第2シリーズ) | 新ど根性ガエル |