ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線
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東京臨海新交通臨海線(とうきょうりんかいしんこうつうりんかいせん)は、東京都港区の新橋駅から江東区の豊洲駅までを結ぶ、株式会社ゆりかもめが運営する新交通システム(特殊街路)である。
開通当初から愛称のゆりかもめもしくは新交通ゆりかもめで呼ばれることが多く、正式な路線名は一般にはほとんど用いられていない。なお、路線名は「東京臨海新交通臨海線」であり、「『東京臨海新交通』の『臨海線』」と分離すべきものではないのだが、これは運営会社の株式会社ゆりかもめが当初、「東京臨海新交通株式会社」という社名を用いていたためである。都市計画事業としての名称は東京都市計画道路特殊街路新交通専用道第1号臨海線1~3である。
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[編集] 路線データ
[編集] 概要

新橋と東京臨海副都心を結ぶ交通機関として1995年(平成7年)11月1日に新橋~有明間11.9kmが開業した。開業当初の新橋駅は、現在の位置より100m有明寄りの位置にあった仮駅で、2001年(平成13年)3月22日にJR新橋駅前の現在の位置まで移転・延伸された。2006年(平成18年)3月27日には有明~豊洲間2.7kmが延伸開業した。東京都港湾局による『まちづくり推進計画』ではさらに豊洲~勝どきの区間まで整備されることになっているが、利用状況を考慮した上で整備時期を検討するとしている。このため、豊洲駅の末端部には既に延伸のための準備が施されている。
この路線は1996年に開催される予定だった世界都市博覧会のアクセス線として注目を浴びたが、同博覧会を当時の青島幸男都知事が中止したことによって40億円の赤字を出すと言われていた。しかし、いざ開業してみると、乗客は順調に増加して1日10万人以上を数えるようになり、最近の新線、特に案内軌条式鉄道としては数少ない黒字経営の路線となった。沿線には観光資源(お台場や有明にはシティリゾートホテル、フジテレビ本社、アクアシティお台場、パレットタウン、船の科学館、大江戸温泉物語など)やコンベンションホール(東京ビッグサイト)などの集客施設が林立し、これが利用増につながっているとみられる。昼間のダイヤを比べると、平日よりも土曜・休日の方が本数が多いのがこの線の特徴である。但し車両が小型である故に詰め込みが利かないので、花火大会やコミックマーケットなどで溢れんばかりの乗客が押しかけた場合(特に中央区主催の東京湾大華火祭はコミックマーケットの夏期間と重なる場合が多い)は、臨時増発や特別ダイヤが組まれることがある。
使用車両は、大半が日本車輌製造製である。他に三菱重工業・新潟トランシス(旧・新潟鐵工所)・東急車輛製造なども数編成製造・納入をしている。車両については「東京臨海新交通7000系電車」を参照。
ATOによる無人自動運転を実施していて、全駅にホームドアを設置している。
運行系統は新橋~豊洲間の1系統だが、路線の免特許上は以下のように軌道法に基づく軌道区間と鉄道事業法に基づく鉄道区間(第一種鉄道事業)とが混在している。これは、その下を走る道が道路法に基づく道路であるか、それ以外の道(主として港湾法に基づく港湾道路)であるかの違いによるものである(新交通システムには、軌道区間と鉄道区間が混在している路線も多い)。
- 新橋~日の出間 (2.2km) - 軌道
- 日の出~お台場海浜公園間 (4.7km) - 鉄道
- お台場海浜公園~テレコムセンター間 (2.3km) - 軌道
- テレコムセンター~国際展示場正門間 (2.1km) - 鉄道
- 国際展示場正門~豊洲間 (3.4km) - 軌道
[編集] 運行形態
全線通しの運転を基本とするが、早朝から朝ラッシュ時にかけてと深夜に有明駅発着の列車も運転されている。日中は平日が5分間隔、土曜・休日は4分間隔での運転である。
[編集] 歴史
- 1995年11月1日 - 東京臨海新交通株式会社の東京臨海新交通臨海線(愛称・ゆりかもめ)として新橋駅(仮駅)~有明駅間開業。
- 1998年4月1日 - 社名を株式会社ゆりかもめに変更。
- 2001年3月22日 - 新橋駅~新橋駅(仮駅)間が開業。新橋駅(仮駅)廃止。
- 2002年11月2日 - 汐留駅開業。
- 2006年3月27日 - 有明駅~豊洲駅延伸開業。同時に、駅ナンバリングと音声案内装置が導入される。
[編集] 駅一覧
- すべての駅が東京都内に所在する。
駅番号 | 駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 |
---|---|---|---|---|
U-01 | 新橋駅 | 0.0 | 東日本旅客鉄道:山手線、京浜東北線、東海道線、横須賀線 東京地下鉄:○銀座線(G-08) 都営地下鉄:○浅草線(A-10) |
港区 |
U-02 | 汐留駅 | 0.4 | 都営地下鉄:○大江戸線(E-19) | |
U-03 | 竹芝駅 | 1.6 | ||
U-04 | 日の出駅 | 2.2 | ||
U-05 | 芝浦ふ頭駅 | 3.1 | ||
この間でレインボーブリッジを渡る | ||||
U-06 | お台場海浜公園駅 | 7.0 | ||
U-07 | 台場駅 | 7.8 | ||
U-08 | 船の科学館駅 | 8.4 | 江東区 | |
U-09 | テレコムセンター駅 | 9.2 | ||
U-10 | 青海駅 | 10.2 | ||
U-11 | 国際展示場正門駅 | 11.3 | ||
U-12 | 有明駅 | 12.0 | 東京臨海高速鉄道:りんかい線(国際展示場駅) | |
U-13 | 有明テニスの森駅 | 12.7 | ||
U-14 | 市場前駅 | 13.5 | ||
U-15 | 新豊洲駅 | 14.0 | ||
U-16 | 豊洲駅 | 14.7 | 東京地下鉄:○有楽町線(Y-22) |
[編集] マスコットキャラクター「ゆりも」
ゆりもは、株式会社ゆりかもめが東京臨海新交通臨海線の開業10周年、及び2006年の有明駅~豊洲駅間開業を記念して2005年に登場したキャラクターである。
路線愛称の由来になった東京都の都鳥「ユリカモメ」をモチーフに、胸にゆりかもめ社のシンボルマークが描かれている。
[編集] その他
- 無人運転、高架軌道ということで荒天に弱いという欠点がある。台風や降雪時には他の交通機関より早く運休になることが多い。また2006年8月14日に起きた東京電力江東線切断事故による首都圏大規模停電により列車が高架上で完全停止し、炎天下の下で乗客が1時間近く閉じこめられたこともある(窓が大きいため室温の上昇が早かったという)。
- 日中は全駅に旅客案内を行うステーションスタッフが配置されているが、定期券発売窓口を併設している新橋と豊洲以外に駅員はいない。そのためか、ゆりかもめの各駅に設置されている自動券売機には、乗客が切符を誤購入した場合のことを考え、普通乗車券に限られるが誤購入した切符を自動券売機の切符取り出し口に挿入すれば、購入した運賃が読み取られ、購入運賃分の現金が現金受け取り口に返却される「誤購入払戻し機能」を搭載している。「裏ワザ」として日本テレビの番組「伊東家の食卓」やフジテレビFNSの日事前番組内の「お台場自慢」の中でも紹介された。この機能を持つ自動券売機は、ゆりかもめ以外では横浜高速鉄道みなとみらい線・多摩都市モノレール・福岡市地下鉄・仙台市営地下鉄の各駅などにも存在している。だが、この手を使うとパスネットを始めとする乗車カードを換金することもできるためか、この機能を外す事業者もある。かつては東京メトロ半蔵門線清澄白河~押上間の各駅(押上駅は東武も対応)などにも見られたが外されている。
- 2006年3月27日の豊洲への延伸開業に併せ、駅の構内に音声案内装置を設置した。このうち構内案内図・精算所・トイレ案内図の3つに関しては、各駅毎に1名ずつ、計16名の声優を起用した音声案内システムを導入している。各駅毎に異なった声優を起用した音声案内システムの導入は、日本の公共交通機関としては初めての試みとなる。また、沿線地域での大規模イベント開催時には、イベント用の音声を使用することになっており、2006年8月11日~13日(コミックマーケット70開催日)に初の運用が行われた。なお各駅の担当声優は各駅の当該記事、またはゆりかもめ公式サイト内の情報ページを参照されたい。
- 駅務機器は、新橋~有明間と有明テニスの森~豊洲間で、それぞれ仕様が異なっている。自動券売機は、前者が押しボタン式、後者がタッチパネル式で、自動改札機は前者がバーがあって2枚投入ができないもの、後者がバーがなくて2枚投入に対応しているもの、自動精算機は前者がLED式、後者が液晶式となっている。なお、新橋~有明間の各駅についてはこれら3つの機器を順次後者のものに更新していく予定である。
- なお、開業日には同日開局した東京メトロポリタンテレビジョン(MXTV)で出発式の模様が放送された(開局してから2番目に放送された番組として放送)。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- ゆりかもめ(公式ホームページ)
- 鉄道事故調査:鉄道事故調査報告書