わんぱくダック夢冒険
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『わんぱくダック夢冒険』(わんぱくダックゆめぼうけん)または『ダックテイルズ』、『ダックテイル』(原題:DuckTales)は、1987年から1990年にかけてウォルト・ディズニー・カンパニーが製作したアメリカ合衆国のテレビアニメ。ディズニーキャラクターのスクルージ・マクダックと、ドナルドダックの甥ヒューイ・デューイ・ルーイの3つ子を主役とし、彼らが巻き起こす騒動や財宝を巡る冒険、家族愛などを描いた。
アニメーションの制作はディズニーより委託を受けた日本や大韓民国、台湾の制作会社により行われ、1987年から1988年にかけては東京ムービーが全65話を制作した。スタッフロールではTMS Entertainmentと表記されている。人気を得た事から1989年から1990年にかけて35話が追加されたが、この際ディズニーはすでに東京ムービーとの提携を解消していたため、委託先を大韓民国や台湾の制作会社に変更している。また、本シリーズの劇場版にあたる「DuckTales the Movie: Treasure of the Lost Lamp」が1990年に公開された。
1980年代に制作されたディズニーのテレビアニメでは最も成功を納めた作品であり、全100話という話数は同社のテレビアニメ中最も長いものの一つである(最長はDumbo's Circusの全120話)。この成功を受け、ディズニー社自身は『チップとデールの大作戦』など既存のキャラクターを利用した新たな作品や、『ダックにおまかせ ダークウィング・ダック』、『クワック・パック』などの派生作品を、さらにライバル企業であるワーナー・ブラザーズは『タイニー・トゥーンズ』を制作するなど、アメリカのアニメ史に大きな影響を与えた。
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[編集] 日本での展開
日本では『わんぱくダック夢冒険』の邦題で、1988年4月から1989年3月にかけテレビ東京系列にて放送が行われた。後番組は『チップとデールの大作戦』である。ビデオソフトは当時日本国内におけるディズニー作品のビデオ販売を手がけていたバンダイから「伝説の黄金」「地底探検」の2本が発売されている。
その後未放送エピソードを追加した完全版がWOWOWのディズニーアニメ枠にて放送された。この際邦題と各キャラクターの配役を変更し、テレビ東京で放送済みのエピソードも再度吹き替えが行われた。一部のエピソードを納めたビデオソフトがブエナビスタより数本発売されている。2005年には上記の映画を日本語訳と吹き替えした「ダックテイル・ザ・ムービー/失われた魔法のランプ」のDVD発売・レンタルが開始された。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 主なキャラクター
擬人化したアヒルを中心にイヌやブタも登場する。日本語吹き替え版の役者はわんぱくダック夢冒険/ダックテイルの順で示した。
[編集] マクダック家
- スクルージ・マクダック(原版:アラン・ヤング 吹替:内海賢二/北村弘一)
- 架空の町ダックバーグに住む世界一金持ちのアヒル。年老いている。非常にケチでいつも金儲けのことを考えている。スコットランド出身。生まれて初めて自分の手で稼いだ10セント硬貨(幸運のコイン)が米国のものであったことから米国に興味を持ち、渡米。各地を転々とした後ゴールドラッシュ最中のクロンダイクを訪れ金塊を発見する。以後も資産を増やす機会に恵まれ、最終的に世界一金持ちになった。趣味は大量に金貨が保管してある金庫をプールに見立てて泳ぐことや硬貨を上に積み上げていくことなど。また、バグパイプの演奏を好むが下手。
- ヒューイ・デューイ・ルーイ(原版:ルシー・テラー 吹替:順に羽村京子、折笠愛、千原江理子/坂本千夏)
- ワンパク盛り、いたずら大好きの3つ子。サバイバルの指南書である冒険少年ガイドブックを愛読しており、冒険の際は度々この本を利用する。冒険少年クラブのメンバー。姿が酷似しているがほとんどの場面でヒューイが赤色のコスチューム、デューイが青色のコスチューム、ルーイが緑色のコスチュームを着用しているので見分けることは可能。ヒューイが3つ子のリーダー格で、デューイが最も賢く、ルーイが最も創造力がある。
- ベンティナ・ビークリー(原版:Joan Gerber 吹替:いずれも巴菁子)
- 3つ子の世話役としてマクダック家に住み込みで働くこととなった中年女性。他の志望者を退けた3つ子もビークリーにはかなわなかった。しかし、後にバッバとトゥッツィーが同居することになってからは流石に疲れを見せてもいる。ダックバーグ高校時代は水泳部の主将を務めていたらしい。現在も運動能力は年齢を感じさせない。
- ウェビー・ヴァンダークワック(原版:ルシー・テラー 吹替:天野由梨/遠藤勝代)
- ビークリーの孫娘。3つ子の仲間に加わろうとするものの、女の子の遊びをしようとするため嫌がられる。一方で3つ子顔負けの行動力を発揮することも多い。冒険少年クラブのメンバー。動物が好き。
- ダックワース(原版:Chuck McCann 吹替:いずれも藤本譲)
- マクダック家の執事のイヌ。いつもすました顔をしているがスクルージに対する忠誠心は厚い。
[編集] スクルージの仲間
- ランチパッド・マクワック(原版:Terry McGovern 吹替:石丸博也/大塚明夫)
- 非常にタフな飛行機の操縦士。しかしたくましい見かけによらず抜けた性格であり、飛行機を墜落させてばかりいる。スクルージのことは大将と呼ぶ。本人曰く航空学校で墜落を専攻し、卒業後両親と共にショーに参加したがそこで墜落してしまったらしい。自分に嫌気がさし両親のもとを離れて一人旅をしているときにスクルージと出会い、彼に雇われた。しかしあまり扱いは良くないようで、暑苦しさからなのか煙たがられてるシーンも見受けられる。子供たちにとって冒険少年クラブの先輩でもある。『ダックにおまかせ』にも登場。
- ジャイロ・ギアルース(原版:Hal Smith 吹替:いずれも沢りつお)
- のんびりした性格の発明家。彼の発明品はたびたび騒動を起こす。小型のロボットを助手にしている。
- ドナルドダック(原版:トニー・アンセルモ 吹替:富山敬/山寺宏一)
- 海軍に入るため3つ子をスクルージに預けた。本作では脇役である。入隊後は空母に配置される。第二シーズンには登場しない。
- ドゥーファス・ドレーク(原版:Brian Cummings 吹替:いずれも亀山助清)
- 3つ子の友達で冒険少年クラブのメンバー。いつも冒険少年クラブの帽子をかぶっている。大食いで食べ物の話題を出すことが多い。なぜかランチパッドに憧れている。
- バッバ(原版:フランク・ウェルカー 吹替:?/山崎たくみ)
- 第二シーズンのはじめ、スクルージらが百万年前にタイムスリップした際に出会った原始人のアヒル。怪力の持ち主。スクルージに懐いているが悪気はないのに怒らせてばかりいる。トリケラトプスのトゥッツィー(声:フランク・ウェルカー)をペットにしている。
- フェントン・クラックシェル(原版:Hamilton Camp 吹替:?/二又一成)
- 第二シーズンから登場するスクルージの会計士。また、ジャイロが発明した機械を装着しロボ・ダックになる。『ダックにおまかせ』にも登場。
[編集] スクルージのライバル
- フリントハート・グロムゴールド(原版:Hal Smith 吹替:いずれも石森達幸)
- 世界で2番目に金持ちのアヒル。スクルージを1番の座から引きずり降ろそうと度々罠を仕掛ける。スコットランド出身でいつもキルトを着用している。
- マジカ・デ・スペル(原版:June Foray 吹替:いずれも小宮和枝)
- 黒髪の魔女。スクルージが持つ幸運のコインを狙っている。イタリアのヴェスヴィオ火山在住。
- ビーグルボーイズ
- スクルージの財産を狙うギャング一家。ビーグルママを除き全員のイニシャルが「B」になっている。風貌や趣味、コスチュームについている囚人番号などに違いがあり、個性豊かな顔ぶれとなっている。
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- ビーグルママ(原版:June Foray 吹替:?/京田尚子)
- 母親。彼女も犯罪者であり、一番偉い。
- ビッグタイム・ビーグル(原版:フランク・ウェルカー 吹替:緒方賢一/?)
- 小柄で最も出番が多い。スクルージの財産を奪おうとするときしばしばリーダーになる。番号は167-671 。
- バーガー・ビーグル(原版:Chuck McCann 吹替:山寺宏一/?)
- 食欲旺盛。食べ物に気をとられ致命的なミスを犯すことがある。番号は761-176や176-761。
- バウンサー・ビーグル(原版:Chuck McCann 吹替:島香裕/笹岡繁蔵)
- 1本の歯が抜けている。バンクジョブの次に大柄で強い。番号は716-167。
- バギー・ビーグル(原版:フランク・ウェルカー 吹替:?/緒方賢一)
- いつもにやにやしており、だぶだぶの服を着ている。ビーグルボーイズの中で最も頭が悪いと考えられている。番号は617-716。
- ベイビーフェイス・ビーグル(原版:Terry McGovern 吹替:鈴木勝美/?)
- ビッグタイムのように背が低く、顔つきが幼い。これらのことから最年少であると考えられている。番号は176-167。
- ビーバップ・ビーグル(原版:Brian Cummings 吹替:山寺宏一/?)
- 音楽好きで、一人だけサングラスを着けている。番号は671-761。
- バンクジョブ・ビーグル(原版:Peter Cullen 吹替:緒方賢一/?)
- 最も体が大きく力も強い。ビッグタイムが出てこないエピソードではリーダーをつとめる。番号は671-167。
- ディジョン(原版:Richard Libertini 吹替:?/江原正士)
- テレビシリーズ終盤のエピソードおよび映画版に登場するイヌの泥棒。泥棒の癖に臆病なきらいがある。
[編集] その他脇役、悪役、有名なゲストキャラクター
- エル・キャピタン(原版:Jim Cummings 吹替:及川ヒロオ/渡部猛)
- 記念すべき第1回目スペシャル「伝説の黄金」に登場。GOLDの事しか頭にない小汚い悪党で、スクルージをはるかに凌ぐドケチ。ビーグルボーイズやフリントハートを利用して、財宝を手に入れようとしては、ことごとく失敗。ストーリー後編では、ゴールデン・サンの谷にて重度の「ゴールド熱」に感染し、結局何も手にする事が出来なかった。その後の消息は判らない。
- ランプの精(原版:Rip Taylor 吹替:青野武)
- 映画版に登場。アラジンと魔法のランプのジンさながらの絶大な力を持つが、好奇心旺盛で子どものような心を持つ。長年入っていたランプの中に戻るのを極度に恐れている。
- マーロック(原版:クリストファー・ロイド 吹替:内海賢二)
- 映画版に登場する悪の魔法使い。ランプの精の力を欲し、彼が封印されているランプを探していた。
- フェザービー(原版:June Foray 吹替:?/好村俊子)
- スクルージの秘書。有能だがスクルージの指示によりフェントンを力ずくで追い出すなど強引さも目立つ。
- ポー・デ・スペル(原版:フランク・ウェルカー)
- マジカの相棒のカラスで、実は兄弟。マジカの魔法では元に戻れないらしい。
- グリミッツ長官(原版:Peter Cullen 吹替:島香裕(第一話目のみ)→稲葉実/?)
- ドナルドの上官で彼に厳しい態度で臨む。ドナルドと同様第二シーズンには登場しない。
- ガンドラ・ディー(原版:Miriam Flynn 吹替:?/安永沙都子)
- フェントンのガールフレンド。ロボ・ダックの正体がフェントンなのを知らない。
- フライングマクワック
- ランチパッドの父リップコード、母バーディー、妹ルーピーの三人からなるパイロットチーム。ランチパッドは自分だけが墜落してばかりなので家族に強い劣等感を抱いていたが、彼の決して諦めない姿勢を家族は高く評価している。
- グラッドストーン・ギャンダー(原版:Rob Paulsen 吹替:?/堀内賢雄)
- スクルージらの親類の青年。ガチョウ。無職だが、これは彼が常識では考えられないほど運が強く、運のおかげで生活に困らず働く必要が無いと思っているため。人生は全て運に左右されていると考えている。
- グリッタリング・ゴールディ(原版:Joan Gerber 吹替:?/藤田淑子)
- クロンダイクにいた時期のスクルージの恋人。ダンという男が経営する酒場で歌手をしていた。スクルージの金塊を盗もうとするが失敗、警察を呼ばないかわりに彼の採掘を手伝ううちに恋仲になった。別れた理由はダンが「二人でためた金塊をゴールディが持ち逃げした」とスクルージを騙し、確認しないまま彼が去ったため(後に彼女も同様に騙されている)。3つ子とスクルージがクロンダイクを再訪したときにようやく誤解がとけ、その後関係の進展こそないものの別の話で互いの恋愛感情が明確に示されている。ペットにブラックジャックという名のクマがいる。
[編集] 海外の作品名
- ブルガリア語: Патешки истории
- 中国官話: 唐老鴨俱樂部
- チェコ語: Kačeří příběhy
- デンマーク語: Rip, Rap og Rup på eventyr
- フランス語: La Bande à Picsou
- フィンランド語: Ankronikka
- ドイツ語: Duck Tales - Neues aus Entenhausen
- アイスランド語: Sögur úr Andabæ
- ノルウェー語: Eventyr med Ole, Dole, Doffen!
- ポーランド語: Kacze Opowieści
- ポルトガル語: DuckTales - Os Caçadores de Aventuras
- ロシア語: Утиные истории
- セルビア語: Pačije priče
- スペイン語: Patoaventuras
- スウェーデン語: Ankliv
- オランダ語:Ducktales
- ギリシア語: Παπιοπεριπέτειες "
- ハンガリー語 Kacsamesék
- 朝鮮語 욕심쟁이 오리 아저씨
- スロバキア語 Káčerovo
- トルコ語 Varyemez Amca 、Ördek Hikayeleri
[編集] コンピュータゲーム
カプコンはこのアニメを原作としたゲームソフトを発売している。
- 「わんぱくダック夢冒険」(1990年1月26日 発売、ファミリーコンピュータ専用)
- 「ダックテイルズ2」(ファミリーコンピュータ専用)
- 「ダックテイルズ2」(1993年12月3日発売、ゲームボーイ専用)
またセガは1990年代初頭にメガドライブやゲームギア向けにドナルドダックを主役にしたゲームを数本発売しており、これらのゲームではスクルージや3つ子たちが登場するなど、本作の設定が流用されている。
[編集] 関連項目
テレビ東京系 月曜19時台前半 | ||
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次番組 |
おらぁグズラだど(リメイク版) ※火曜19:30へ移動 |
チップとデールの大作戦 |