サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド (アルバム)
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サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド | ||
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ビートルズ の アルバム (LP/CD) | ||
リリース | 1967年6月1日(UK) 1967年6月2日(US) |
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録音 | Abbey Road 1966年12月6日 - 1967年4月1日 Regent Sound Studios 1967年2月9日 |
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ジャンル | ロック | |
時間 | 39 分 43 秒 | |
レーベル | Parlophone (UK) PMC 7027 (mono) PCS 7027 (stereo) CDP 7 46442 2 (reissue) Capitol (US) MAS 2653 (mono) SMAS 2653 (stereo) |
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プロデュース | ジョージ・マーティン | |
レビュー | ||
ビートルズ 年表 | ||
オールディーズ (1966年) (UK) ---- リボルバー (1966年) (US) |
サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド (1967年) |
マジカル・ミステリー・ツアー (1967年) |
サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band)は、ビートルズによって1966年11月6日から129日以上かけて制作され、1967年6月1日にリリースされた、ビートルズ8枚目のオリジナル・アルバムである。当時の英国盤はモノラル盤とステレオ盤の2種類が発売された。現在まで続くビートルズの名声を決定づけ、その後のポップ・ミュージックに大きな影響を与えた作品である。
目次 |
[編集] 解説
このアルバムは世界初のコンセプト・アルバムと呼ばれ、しばしばロック音楽上の最も影響力を持った作品であると言われる。そのコンセプトとは、アルバム自体が「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」なる架空のブラス・バンドによるショウ仕立て、というものであった。このアイデアのもとはポール・マッカートニーといわれている。
本作以前、アルバムはシングルの寄せ集めという要素が強かったが、アルバム自体が一つのコンセプトの下でまとまった印象を与えているという点で、ビートルズの評価を総合芸術の域まで引き上げた作品でもある。ザ・ビーチボーイズのペット・サウンズの影響を強く受けていることは、ビートルズのメンバーも認めている事実である。
アルバムは架空のバンドのテーマ・ソングから始まり、曲の終わりで"ビリー・シアーズ"(リンゴ・スター扮する)を紹介し、「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」に続く。最後に、テーマ曲が再び演奏され、アンコールの大曲「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」で、ショウは幕を閉じる。
アルバム・ジャケットもコンセプトをもとにデザインされた。架空のバンドに仮装したビートルズの面々が、世界中の有名人と並んで写っているジャケットは有名である。LPの裏面に全曲の歌詞が印刷され、ペパー軍曹のポートレートといった付録が付くなどデザイン面においても当時画期的なものであった。
一方で、音楽的には最初の2曲の後(とエンディング)以外は「架空のバンドによるショウ」というコンセプトは一貫されてはいない。したがって、このアルバムをコンセプト・アルバムと呼ぶべきかということについては議論が存在する。実際にジョンは「最初のコンセプト・アルバムだって言われるけど眉唾物だね」と発言している。また、個々の曲の魅力という点でも、他のアルバムに比べ必ずしも高くない。こういった事情のため、近年では、発売当時からの圧倒的な讃辞は過大評価だったとする機運も強くなっている。しかし、当時このアルバムがジャケット・デザイン等も含めた総合的な作品と評価され、その後のコンセプト・アルバムに最初のインスピレーションを与えたのは、紛れもない事実であり、その意味で極めて重要なアルバムであることは疑いない。
このアルバムはビートルズ中期の実験的なサウンドの集大成として語られることが多い。次作『マジカル・ミステリー・ツアー』(注;アメリカでのアナログレコード発売時、及び、現在のCDではアルバム形式、当初のイギリスオリジナルと当初の日本盤のフォーマットでは、EP盤2枚組)には、『サージェント・ペパー』のときのセッションの曲も含まれ、サウンド的にも本作の延長であったが、その後、サイケデリック・ムーブメントの沈静化、ハード・ロック、ブルースなどが台頭しつつあった時代の変化に対応し、ビートルズはよりハードな表現を追求するようになり、そのサウンドを変化させていくこととなった。
ピンク・フロイドが、同年にファースト・アルバム『夜明けの口笛吹き』(当初の邦題は『サイケデリックの新鋭』)をリリース。このアルバムをレコーディングしていた時、ちょうど隣のスタジオでビートルズが『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を制作していた。ピンク・フロイドのレコーディングの様子を窺いに来たポール・マッカートニーはバンドの音楽を耳にし、「彼らにはノックアウトされた」と語ったという逸話が残っている。
[編集] 収録曲
- A面
- サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
- ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ With a Little Help from My Friends
- ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ Lucy in the Sky with Diamonds
- ゲッティング・ベター Getting Better
- フィクシング・ア・ホール Fixing a Hole
- シーズ・リーヴィング・ホーム She's Leaving Home
- ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト Being for the Benefit of Mr. Kite!
- B面
- ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー Within You Without You
- ホエン・アイム・シックスティー・フォー When I'm Sixty-Four
- ラヴリー・リタ Lovely Rita
- グッド・モーニング・グッド・モーニング Good Morning Good Morning
- サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド (リプライズ) Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)
- ア・デイ・イン・ザ・ライフ A Day in the Life
- サージェント・ペパー・インナー・グルーヴ Sgt. Pepper Inner Groove
- 楽曲ではないある種の短いノイズトラックのためクレジットはない。
- 前半は犬にしか聞こえない高周波音である。CDでは人間の耳に微かに聞こえるようにしてあり、耳鳴りのように聞こえる。
- 後半は逆回転のポールの肉声のコラージュの繰り返しでフェイドアウトする。ポールが実際にプレイヤーで逆回転して聞き取ったところ「スーパーマンのように犯してやる」と聞こえたとのこと。
[編集] 各国での発売形態
国 | 日付 | レーベル | 発売形態 | カタログ番号 |
イギリス | 1967年6月1日 | Parlophone | mono LP | PMC 7027 |
stereo LP | PCS 7027 | |||
アメリカ | 1967年6月2日 | Capitol Records | mono LP | MAS 2653 |
stereo LP | SMAS 2653 | |||
日本 | 1967年7月5日 | 東芝音楽工業 (現:東芝EMI) | LP | AP 8163 |
Worldwide reissue | 1987年5月19日 | Apple, Parlophone, EMI | CD | CDP 7 46442 2 |
日本 | 1998年3月11日 | 東芝EMI | CD | TOCP 51118 |
日本 | 2004年1月21日 | 東芝EMI | Remastered LP | TOJP 60138 |
[編集] アルバム・カバー(ジャケット)
以下の著名人とアイテムがビートルズの4人と共にジャケットに登場している。ジャケット写真への掲載の際には、EMIのスタッフが本人および肖像権所有者と交渉して掲載にこぎつけた。
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なお、マハトマ・ガンディーとレオ・ゴーシー(Leo Gorcey)も撮影されていたが、前者はEMIの判断(インドからの反発を恐れたか?)により、後者は出演料を要求したために塗りつぶされた(オリジナルの写真がライナーノーツに掲載されている)。なお、ジョンの要求により一回だけアドルフ・ヒトラーも登場した(撮影後に脇に除けられたヒトラーの写真がライナーノーツに掲載されており、この時の『幻の』写真は流出して海賊版に用いられた)。
[編集] 外部リンク
- Album Lyrics
- Reconstructivist Art: "Sgt Pepper's Lonely Hearts Club Band"
- The greatest album of all time according to Rolling Stone magazine
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