テレビカー
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テレビカーとは車内にテレビ受像機を設置した鉄道車両のことを指す。
テレビカーの名前を掲げて運転している京阪電鉄の特急専用電車が有名であるが、他社にも存在する。
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[編集] 京阪
[編集] 現行使用車両
テレビは編成の中程5号車の京都寄り車端、電話室横に設置されている。車両外板、窓上にはステンレスの切り抜き文字で「テレビカー」と大きく表示されている。特急料金などは不要で、運賃のみで乗車できる。
主にNHK衛星アナログ放送を受信しているため、電波を遮られる所では画像が途切れる。もっとも、かつての地上アナログ放送受信時代にも、送信所のある生駒山を見通せない八幡市 - 橋本近辺などで映像が乱れる事もあった。その当時はNHK大阪総合を受信していることが多かったが、車掌の判断、乗客の要望によるプロ野球阪神戦中継など他の在阪VHF波を受信する事もあった。
なお、受信しているチャンネルの音声をラジオ放送で流す車両もある。また、地下区間ではLCX方式での受信となる。
2011年に予定されているアナログテレビ放送終了に向けて、車両に搭載する受信設備を地上デジタル放送対応の物に交換する作業が始まり2006年10月6日に完了した。また、32形液晶画面への交換も進められている[1]。
なお、車内に設置しているテレビは京阪沿線の大阪府門真市に本社を置く松下電器産業(Panasonic)製である。
[編集] 廃車車両
1800系から設置を開始した。車体外側面の文字はこの時に黄色の書き文字としてはじまった。続く1900系も白黒であったが、現在も1編成が残る3000系からカラーとなった。いずれも京都側先頭車への設置である。
3000系は1991年から富山地方鉄道に譲渡され10030形となったが、テレビについてはUHF対応・VTR設置の上で当時のPanasonicの最新鋭機種「画王」に交換された(偶数車のみ)ものの、1996年、ワンマン化改造に伴い運賃表取り付けのため撤去された。
[編集] 他社のテレビ設置車両
古くは京成電鉄で開運号専用車両であった1600形、1500形(予備車)にテレビが搭載されていた。また、現在は取り外されたが、かつてはJR東日本の651系電車、JR西日本の681系電車、JR東海371系電車及び小田急20000形電車のグリーン車(小田急ではスーパーシート)の座席の肘掛けに、収納型の液晶テレビが搭載されており、衛星放送を視聴することができた。
近畿日本鉄道は10100系の第3編成を使用して1967年夏の3ヶ月間、営業列車で実用化を前提とした試験を行ったが、当時の大阪線山間部の受像能力の関係で採用を見合わせた。
筑豊電気鉄道では3000形登場初期、一部編成でNHK北九州放送局を放送するテレビが運転台後についていた車両もあった。テレビを放映しない編成は2000形と同じく案内とCMを流すビデオが設置してある車両がある(現在、一部編成は撤去)。
[編集] ビデオ上映
1990年代初頭、山陽新幹線の100系車両(グランドひかり)のグリーン車に収納型の液晶テレビを搭載したり(視聴可能区間は博多駅 - 西明石駅付近)、0系車両を改造した「シネマカー」を連結したりしていた。
また、日本国有鉄道(旧国鉄)では1980年代に九州地区の485系電車、北陸地区(能登方面)のキハ58系気動車にスクリーンを設置し映画や観光案内を流したことがある。
[編集] 外部リンク
[編集] 脚注
- ^ くらしのなかの京阪 vol. 369(2006年11月1日)