スカイライナー
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スカイライナー (Skyliner) とは、京成電鉄が京成上野駅~成田空港駅間を京成本線経由で運行する有料特急の愛称であり、列車種別である。
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[編集] 種別について
京成電鉄ではこの列車とは別に一般の電車による料金不要の「快特(Rapid Limited Express)」・「特急 (Limited Express)」及び「通勤特急 (Commuter Limited Express)」も運行されており、スカイライナーはこれらの上位に位置する最上位の列車である。
また、朝の上り(京成上野着9:49まで)はモーニングライナー (Morning Liner)、夕方→夜間の下り(京成上野発17:56以降)はイブニングライナー (Evening Liner)と名称・種別を変え、通勤客を運ぶホームライナー運用を行っている。これも列車種別名を兼ねている。
「スカイライナー」の名称は、1973年(昭和48年)12月30日に従前の「開運号」の代替として運行された時より、前年の1972年(昭和47年)に「空港連絡特急」用車両として製造されたAE形に名付けられた愛称から取られている。
なお、2010年を目処に予定されている「成田新高速鉄道」開通後の「スカイライナー」については下記を参照のされたい。
[編集] 運行概況
基本的には「東京都心から成田国際空港へのアクセス」を目的に据えている。しかし、東京都心への連絡手段として使用されるJR山手線との連絡駅が上野(京成上野)及び日暮里のみとアクセスがやや不便であるが、競争相手のJR東日本の特急「成田エクスプレス」(N'EX)に比べると料金・運賃が割安である。
また、1980年代半ばより、従前の「開運」号の延長である成田山新勝寺参詣利用として京成成田駅にもほぼ全ての列車が停車する様になったが、2006年12月10日より京成船橋駅に停車する様になり、「成田エクスプレス」が通過する千葉県中央部と成田国際空港との連絡列車としての側面を持つようになった。
2006年12月10日現在では、早朝運行の1・3号を除き京成上野・成田空港両駅をそれぞれ40分おきに運行されている。
また、「スカイライナー」の車内では車掌が車内限定販売のパスネットカード1,000円券の販売を行っていたが、2006年11月15日を持って販売を終了した。
[編集] 使用車両・運用等
共に専用特急形車両であるAE100形が使用されている。なお、運行当初から1993年6月までAE形が使用された。なお、名称は「スカイライナー」「モーニングライナー・イブニングライナー」共に「ライナー券」と通称されるが、金額も含めて性格が大いに異なる。
- 「スカイライナー」は全車座席指定席制を採用。「スカイライナー券」か「特別急行券」と券面に表記される。料金は京成上野~成田空港間、乗車券・ライナー券を合わせて1,920円(大人、2006年現在)となっている。定期乗車券との併用乗車も可能となっており、特急券の前売発売も行われている。各旅行代理店や、系列会社の京成トラベルサービスでも購入が可能。2001年からはiモードやEZWeb、又は京成電鉄ホームページ(外部リンク参照)でも予約が可能である。
- 「モーニングライナー」と「イブニングライナー」は、共に車両指定の定員制。乗車整理券扱いである「モーニングライナー券」又は「イブニングライナー券」を要する。なお、現在は「モーニングライナー」用定期券「モーニングPASS」も設定されている。モーニングライナーとイブニングライナーは、スカイライナーより安く400円(大人、2006年現在)で全区間の乗車が可能。こちらはイブニングライナーに限って前売予約が可能。モーニングライナーは八千代台・京成佐倉・京成成田の各駅で「モーニングPASS」を発売中で、各駅の定期券発売所・改札窓口で購入が可能。しかし、京成成田に限ってはスカイライナー券発売窓口のみの発券である。値段は1ヶ月分で8,000円で、20日分の料金で30日乗車できる計算になる。また、モーニングライナー・イブニングライナーは乗降駅が分離され,モーニングライナーの場合、成田空港駅・空港第2ビル駅・京成成田駅・京成佐倉駅・八千代台駅のみが乗車駅で、青砥駅・日暮里駅・京成上野駅が降車駅である。イブニングライナーは乗降可能駅がモーニングライナーの逆になる。従って、上野~青砥駅間など近距離且つ定められた乗車駅・降車駅間ではない利用は原則として認められない。
[編集] 停車駅
- スカイライナー
- モーニングライナー・イブニングライナー
[編集] 沿革
- この節では前段として成田山新勝寺への参拝観光列車である「開運号」及びかつて新京成線・京成本線(一部は都営地下鉄浅草線系統もあり)と京成千葉線に跨って運行された優等列車である急行・特急「九十九里号」についても記載する。
- 1937年(昭和12年)より臨時特急「護摩」を上野公園駅(→京成上野駅)~京成成田駅間で運行を開始。これを公式に成田山新勝寺参詣観光特急列車としている。但し、途中に中断期間がある。
- 1952年(昭和27年)5月1日 特急「開運号」を1500形を使用して運転開始。また、同時にこれまで運行されていた臨時特急「護摩」は臨時急行列車に格下げされる。
- 運行当初は上野公園駅(→京成上野駅)~京成成田駅間青砥駅のみの停車。また座席指定席制を採用する。
- 1953年(昭和28年) 特急「開運号」に専用車両1600形を導入。1500形は急行用に格下げした上で「開運号」の予備車となる他、多客時の臨時特急「印旛号」などにも使用された。2両編成であるが、大手私鉄で初めてリクライニングシートを採用し、日本の鉄道車両で初めてテレビ(後に1500形にも設置)を設けるなど、当時の車内水準とすれば、豪華さが目立つ車両であった。
- 1957年(昭和32年) 1600形が3両編成化される。但し、1600形自体は1編成のみであった。
- 1963年(昭和38年) 3150形セミクロスシート車両登場。「開運号」の予備車にも使用する事となった。これにより1500形は「開運号」の予備車を外れ、一般車に格下げされる。なお、地下鉄乗り入れ仕様の性能・車体を有していた3150形により、臨時で都営地下鉄1号線(→浅草線)方面からの「開運号」も設定された事もある。
- 1967年(昭和42年) 11月12日限りで「開運号」の専用車両を1600形から3150形に変更。翌12月より3200形落成により同形式も運用を開始。1600形は「開運号」から引退し、一般車に更新される。
- 1962年(昭和37年)~1967年(昭和42年) 夏季の臨時列車として「九十九里号」が急行で新京成電鉄松戸駅~京成千葉駅(現:千葉中央駅)間で運行された。
- 1968年(昭和43年)頃より夏季の臨時列車として「九十九里号」が京成上野駅/都営線方向~京成千葉駅間で運行された。
- 1972年(昭和47年) AE形落成。同時に「空港連絡特急」の愛称として「スカイライナー」の名称を全国の小学生の公募により与えられる。また、「開運号」の運行も昼間時と休日中心の運行となる。
- 1973年(昭和48年)12月30日 AE形で「開運号」の代替列車の運行開始。既に「スカイライナー」の名称が与えられたが、新東京国際空港の開港が予定より大幅に遅れていたことから、やむを得ず「特急」の名称で運行された。開運号時代と異なり、この当時は京成上野駅~京成成田駅間で無停車で運行された。
- 1978年(昭和53年)5月5日 宗吾車両基地に留置中のAE形が放火され全焼する事件が発生する。なお、前年の1977年にも宗吾車庫が放火被害に遭い、1両を廃車し代替新造を行うなど、成田空港反対闘争の煽りを受けている。
- 1978年(昭和53年)5月21日 新東京国際空港開港に併せ、ようやく「空港連絡特急」として京成上野駅~成田空港駅間無停車で運行開始。しかし放火事件により所定運用を満たせない事から計画ダイヤより減便を余儀なくされる。また当時は成田新幹線計画があった事から、京成の成田空港駅は現在の東成田駅であり、現在の成田空港第1ターミナルビルから大きく離れた所にあった。そのため駅からバス連絡を要するなどの不便さがあり、客足はさほど伸びなかった。
- 1979年(昭和54年)9月1日 「スカイライナー」昼間時の一部列車を京成成田駅に停車開始
- 1983年(昭和58年)12月1日 「スカイライナー」上り(京成上野駅行)に限り日暮里駅に停車開始
- 1984年(昭和59年)12月1日 「イブニングライナー」運行開始
- 1985年(昭和60年)10月19日 「モーニングライナー」運行開始。両者共ホームライナー運用に準じた運用として設定。
- 1990年(平成2年)6月19日 AE100形が運行開始。新型車に合わせてAE形は6両編成7本を順次8両編成5本に組み替え、全列車8両編成となった。
- 1991年(平成3年)3月19日 空港ターミナルビル直下に現在の成田空港駅が開業し、同時に「スカイライナー」乗り入れ開始。またこの日より下り「スカイライナー」も全列車が日暮里駅に停車を開始する。これにより空港アクセスの利便性は格段に向上したが、同日にJR東日本の特急「成田エクスプレス」も運行開始。スカイライナーは新たな競争に晒される事となった。
- 1993年(平成5年)6月27日 AE形の運行終了。以降、現在までAE100形で運用されている。
- 1996年(平成8年)7月20日 「スカイライナー」の最高速度が京成成田駅~駒井野信号所間に限り110km/hとなる。
- 2003年(平成15年)7月19日 下り早朝2列車を除き、京成成田駅に全列車停車
- 2004年(平成16年)6月29日 京成電鉄社長が「スカイライナー」新型車両計画がある事を表明
- 2006年(平成18年)12月10日 下り早朝2列車を除き、京成船橋駅に全列車停車
- 2007年(平成19年)1月28日 「開運号」のリバイバル運転を実施(京成上野~京成成田間1往復)。
- 2010年(平成22年)度(予定) 北総鉄道北総線経由のルートが完成し、新型車両による160km/h運転区間を有する新「スカイライナー」が運行開始予定。
[編集] 北総線の延伸
2006年現在、北総鉄道北総線を空港第2ビルまで延伸する計画である京成成田新高速鉄道線が具体化し、2006年に起工式が行われ、着工した。これが実現すると、日暮里駅~空港第2ビル駅間が現行の本線経由では51分を要しているが、最速36分で結ばれる事になる。
また、最高制限速度が110km/hから160km/hになるため、新型車両が導入される事を2004年(平成16年)6月に京成電鉄社長が表明した。
また、「スカイライナー」については2010年を目処に開通する「成田新高速鉄道」経由に変更し、同時に、前述したとおり、大手私鉄としては初の160km/h運転を同線内で行う事になっている。なお、ホームライナー格であり送り込み運用も兼ねている「モーニングライナー」と「イブニングライナー」については現在の所は従来通り京成本線経由で運行する計画である。このため新型車両は京成本線の京成高砂駅~空港第2ビル駅間でも走行するものとみられる。
なお、AE100形自体は新線開業を機に廃車を予定している。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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