ポール・モーリア
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ポール・モーリア(Paul Mauriat、1925年3月4日 - 2006年11月3日)は、フランスの作曲家、アレンジャー、指揮者、ピアニスト、チェンバロ奏者。イージーリスニング界の第一人者として有名。
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[編集] プロフィール
フランス南部マルセイユに生まれ、9歳の時からピアノを学び、1941年にマルセイユ国立音楽院を卒業。その後、アマチュアジャズバンドを結成し、ポール・フュガンの名で活動。1952年にイレーヌ夫人と結婚し、同年にフランク・プゥルセルの後押しでバークレー・レコードと契約、スタジオ・ミュージシャンとして活動した。1959年にパリへ進出し、1960年シャルル・アズナブールのアルハンブラ劇場公演でオーケストラを指揮する。
1965年にフィリップスと契約を結び、ポール・モーリア・グランド・オーケストラを結成、1968年に『恋はみずいろ』を世界的にヒット(約500万枚)させ、全米ヒットチャートで連続5週トップを記録、これでグラミー賞を受賞し、一躍名を馳せた。
日本においては、その後も『蒼いノクターン』(彼自身による作曲)『エーゲ海の真珠』(メルシャンワインのCM曲)『涙のトッカータ』『オリーブの首飾り』『そよ風のメヌエット』(これも彼自身による作曲で、メルシャンワインのCM曲として使われた)等と立て続けにヒットを重ね、「イージーリスニング界の大御所」「音楽の魔術師」「一家に一枚ポール・モーリア」と言われるようになった。池田満寿夫監督の日伊合作映画『窓からローマが見える』の音楽担当や、来生たかおの『白いラビリンス』の編曲、1995年の阪神・淡路大震災の際には、『カルテット・フォー・神戸』を作曲し、フランク・プゥルセル(バイオリン)、フランシス・レイ(アコーディオン)、レイモン・ルフェーブル(フルート)らと、チャリティーアルバムの制作を行うなど、日本と縁の深いアーティストであった。
1969年に初来日して以来、1990年まで毎年、その後、1996年、1997年、1998年と来日し約1,200回の公演を行った。最後の来日となった1998年のジャパンツアーを最後に指揮者を引退した。
その後のポール・モーリア・グランド・オーケストラの公演はジル・ガンブス(2000年、2002年、2003年、2004年の計4回)、ジャン=ジャック・ジュスタフレ(2005年)を指揮者として行われた。
1994年に長年所属していたフィリップス・レコードからポニーキャニオンへ移籍した。
2006年10月末、フランス南部ペルピニャンの別荘に滞在中、体調不良を訴え検査入院したところ、急性白血病であることが判明した。同年11月3日午前1時、急性白血病による心不全のためペルピニャンの病院で逝去。6日に火葬にふされ天国へ旅立った。81歳であった。
同年11月6日のJFN系のFMラジオ番組「JET STREAM」では、急遽彼の追悼特番を放送した。
また、同年12月17日放送のTBSラジオのラジオ番組「バックグラウンド・ミュージック」でも追悼リクエスト特番が放送された。 また、同年12月15日放送のタモリ倶楽部でも追悼記念番組が放送された。
[編集] 代表曲
- 『アイ・ウィル・フォロー・ヒム』Chariot
- フランク・プゥルセルとの共作で「デル・ローマ」名義で発表された。松浦ゴリエの『恋のPECORI♥Lesson』で再びこの曲は脚光を浴びている。
- 『恋はみずいろ』L'amour est bleu
- アンドレ・ポップ作曲。もともとはヴィッキーが歌った曲で、ユーロヴィジョン・ソング・コンテストで4位に入った。ヴィッキーの原曲はビートの効いたアップテンポであったが、ポール・モーリアのイージーリスニング調の演奏版が1968年にアメリカで大ヒットし、世界的に有名になった。
- 『カトリーヌ』Catherine
- もともとは、男性歌手・ロムアルドへの提供曲だったが、後年ダニエル・ビダルがカヴァーしたフランス語と日本語バージョンがヒットした。もちろん彼の楽団の演奏でも有名。
- 『蒼いノクターン』Nocturne
- 『エーゲ海の真珠』Penelope
- スペインのアウグスト・アルゲロ作曲。メルシャンワインのCM曲として、またTBSラジオで1970年代に放送されていた「林美雄のパックインミュージック第2部」のエンディングとしても使われた。最初の録音版ではダニエル・リカーリが中間部のスキャットを担当している。
- 『涙のトッカータ』Toccata
内容の方はちなみにカヴァーなので、原曲とは似ても似つかない。ギターは主旋律をエレキギターで演奏し、ドラムではドラムセット以外のパーカッションを叩くのが主となっている。バスドラムでサンバキックを刻む。テンポも速い。(BPM=240)
- 『オリーブの首飾り』El bimbo
- 『ペガサスの涙』Pegase
- 『カリオカの碧い風』Aerosong
- 『渚のプレリュード』Prelude59
- 「ブルー・シーガル」のテーマ。
- 『窓からローマが見える』
- 『天使のセレナード』La chanson pour Anna
- NHKの音楽番組世界の音楽のテーマ曲として使用された。
- 『薔薇色のメヌエット』Minuetto
- フジテレビ系列の日曜時事番組竹村健一の世相を斬るのテーマ曲として使用された。
- 『そよ風のメヌエット』Petite melodie
- メルシャンワインのCM曲として使われた。
- 『渚の別れ』
- 『雲に想いを』
- AMラジオ番組・「いきいき歌謡ダイアリー」のオープニング(OP)・エンディング(ED)テーマ曲。
- 『思い出のトッカータ』
- フィリップス時代の最後の曲になった。
- 『白い渚のアダージョ』
- 『果てしなき願い』
- 「大沢悠里のゆうゆうワイド」(TBSラジオ)のテーマ曲として使用されている。
- 『だって猫なんだもん』(ネコなんだもん)MIAOU~NEKONANDAMON~
- 「進め!電波少年」の企画で作曲された(後述)。
- 『白いラビリンス』……来生たかおとの共演曲。編曲およびレコーディング時のオーケストラ指揮を担当。この曲以外の共演曲も含め、自身のオーケストラと来生とのジョイントライブを日本で行ったこともある。
[編集] エピソード
- 松本明子は、日本テレビのテレビ番組「進め!電波少年」の企画でアポイントなしでモーリアのもとを訪れ、作曲を懇願した。その結果ノーギャラで『ネコなんだもん』(原案・松村邦洋、作詞・ジェームス三木)が作曲された。
- 1999年、マジシャンのマギー司郎が日本テレビの取材(1999年4月7日放送 あの人は今!?)でセーヌ川に停泊中の豪華客船内を訪ねた際、モーリアはフルオーケストラを呼びマギーのために『オリーブの首飾り』をバックで生演奏した。