三陸海岸
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三陸海岸(さんりくかいがん)は、青森県南東部から岩手県沿岸部を経て宮城県の牡鹿半島までの海岸の総称。総延長600㎞余り。日本有数のリアス式海岸。
海岸名の由来はかつての旧国名三国(明治時代初期に旧陸奥国から分割された陸奥・陸中・陸前の陸の付いた国名が3つ)にまたがって位置することから名づけられている。このことから、単に三陸と呼ばれることも多い。また、この沿岸地域を一括して「三陸地方」などと呼ぶケースもある。
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[編集] 概要
宮古市を境に、北部は隆起地形で断崖絶壁の海岸となっているため、港に適した場所が少ない。八戸市から久慈市辺りの海岸沿いでは、絶壁の上は台地上でなだらかであるため、漁業よりも農業・牧畜などが盛んである。この地域は、銚子市の屏風ヶ浦やイギリスのドーバーのような土地利用や風景となっている。また、種差海岸のような天然の芝生で覆われた海岸も見られる。
一方、宮古市よりも南は沈降地形のリアス式海岸となっているため、水深の深い入り江が多く、天然の良港となって漁業が盛んである。世界三大漁場「三陸沖」には、この南部の漁港から主に出漁する。台地上のところはほとんどなく、海に面した急峻な谷間にできた沖積平野が陸上の主な生活の場である。江戸時代には、干しアワビ、フカヒレなどの長崎俵物(中国向けの輸出品)の産地となった。
海岸沿いには国道45号、八戸線、三陸鉄道北リアス線・南リアス線、山田線、大船渡線、気仙沼線が通っている。海岸沿いには北山崎、浄土ヶ浜、碁石海岸、金華山など多数の景勝地があり、遊覧船が就航されている所もある。
沖合いは黒潮と親潮がぶつかり合う良漁場で、サンマやカツオなどの主漁場である。沿岸でも、ウニ、ワカメ、牡蠣、ホタテ、ホヤなど多種多数の海産物を産する。
[編集] 観光
岩手県部分は主に陸中海岸国立公園に指定され、宮城県部分は南三陸金華山国定公園に指定されている。南北に続く三陸海岸やその西側の北上山地は、元々は海底にあって、隆起・沈降・侵食などで造られた。そのため、元々海底にあった証拠でもある鍾乳洞や大理石など石灰岩地形が随所に見られる。景勝地のほとんどは、奇怪な石灰岩地形の白さと植物の緑、そして、コバルトブルーの澄んだ海と青い空という組み合わせである。
また、所々にある砂浜の内、いくつかは鳴き砂の浜辺となっている。鳴き砂は汚れると音がしなくなるので、浜辺の清掃のみならず、海水が汚れないよう努力され、住民から大事にされている。そのため、普通の海水浴場とは利用法が異なるので注意が必要である。
[編集] 津波対策
三陸海岸は古くから日本海溝付近を震源とする地震などで、これまでに津波による被害をしばしば受けている。このため、多くの漁港や沿岸の集落には高い防波堤や防潮扉などが設けられており、津波対策が施されている。
1960年のチリ地震の際には、地球の反対側にあるチリの地震によって発生した津波が約1日後に到達し、142名が亡くなった。
[編集] 関連項目
- 青森県八戸市、階上町
- 岩手県洋野町、久慈市、野田村、普代村、田野畑村、岩泉町、宮古市、山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市
- 宮城県気仙沼市、本吉町、南三陸町、女川町、石巻市
- 鳴き砂
- 三陸縦貫自動車道
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